【改訂版】その一握の気の迷いが、邪なものを生んだ   作:矢柄

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改訂版では鬱度が増しています。鬱展開ですので注意。



006

開戦から一月半、戦況は確実にリベール側に傾き始めていた。

 

確かに帝国の国力は圧倒的だ。リベール王国に比べて人口・工業力・軍事力あらゆる面において何倍もの大きさを有している。

 

しかし、リベール王国軍による航空攻撃は、王国に通じる唯一のルートであるアイゼンロードをしばしば寸断した。

 

このか細い兵站線を維持できない帝国軍は、本土から武器弾薬・兵員の輸送が極めて困難となり、その国力に見合う戦力を前線に送ることが出来なくなっていた。

 

これに比べてリベール王国軍は主要工業地帯であるツァイスおよびグランセルから陸路・水路を通じて潤沢な兵站を前線に送ることが出来ていた。

 

それに、隣国であるカルバード共和国からの物資の買い付けも開始されており、補給という一点において王国は帝国に圧倒的優位を実現していた。

 

今日の砲弾の残数に神経を使わなければならない帝国軍と、そうではない王国軍。どちらが優位であるかなど語るまでもない。

 

それが油断だったのだろう。

 

帝国軍は悪化する状況を打開するため用いる戦力全てをベットし、総力を挙げた夜間攻撃を開始した。

 

目標はボース地方とロレント地方の境界となるレナート川の渡河。

 

物量に任せた決死の突撃を敢行する帝国軍、状況の好転に弛緩し始めていたリベール王国軍。この場においての勝利の女神は帝国軍に微笑んだ。

 

夜の闇を突いた作戦により精彩を欠いた攻撃も、物量と念入りな準備、そして背水の陣とでも言わんばかりの士気によって成功してしまったのだ。

 

結果としてレナート川の関所であるヴェルテ橋を守る王国軍の主力3個師団が渡河した帝国軍との挟撃にあって敗走してしまう。

 

混乱の最中、暁と共に航空攻撃による必死の反撃が行われるが、レナート川を貫けた先は広大な平原、そこは戦車の独壇場であった。

 

 

「陣地を破棄する。ヴァレリア湖沿岸まで後退するぞ」

 

「しかし将軍っ、ロレントには未だ住民が取り残されています! 彼らを見捨てるのですか!?」

 

「ロレントには守備隊が配置されている。彼らに任せるほかあるまい。我々がこの場で壊滅すればどうなるか、貴官にも分かるだろう?」

 

 

帝国軍はこの時、教科書に載せて飾るだけの見事な機動戦を成功させつつあった。

 

このままリベール王国軍がこの地にとどまり続ければ、帝国軍による迂回によって退路を完全に断たれ、包囲殲滅されることは確実であった。

 

そしてリベール王国軍の総戦力は開戦時において7万にも届かず、この地で3個師団が失われるようなことがあれば、それは即ち王国の敗北を意味していた。

 

ここに至り、王国軍司令部はレナート川の防衛にあたっていた第3師団の撤退を許可した。

 

 

 

 

帝国軍の突破を許し、ロレントが包囲されたという凶報はすぐにツァイスにいる私の耳にも届いた。

 

「王国軍は何をやっているのですか!! ああっ、こんな事ならお母さんだけでもツァイスに呼べばよかったのに!」

 

「落ち着きなさいエステルちゃん、今更そんなことを言っても仕方がないわ」

 

「でもエリカさん、ロレントには…」

 

「分かっているわ。でも、もうすぐ軍用飛行艇も完成して、王国軍の反撃も始まるわよ。大丈夫、レナさんは無事よ」

 

「…そう、ですね。エリカさんに当たっても何の解決にもなりません。すみませんでした。教会に礼拝に行ってきます」

 

「それがいいわ。可哀想に、こんなに小さいのに」

 

 

エリカさんに抱きしめられる。その柔らかさに心が落ち着く。どうやら焦りをついエリカさんにぶつけてしまっていたようだ。

 

私は少し恥ずかしくなり、母の無事を祈るなら教会がいいだろうと言い訳するようにドアを開けた。

 

そうして私は教会に行って女神さまに祈る。どうか、母が無事でありますように。

 

 

 

 

「王国軍の撤退を許した…か」

 

「馬鹿なっ!?」

 

「残念ながら。夜明けと共に王国軍の航空攻撃が始まり、機甲部隊が足止めを食らったためとのことです」

 

 

王国を代表する商業都市ボースの市長邸を接収して設置された司令部、将校たちの表情は一様に優れない。

 

戦争計画では開戦より1月後にはグランセル地方とレイストン要塞を除く全ての王国領を占領する予定であった。

 

図上演習において確実な成功が見込まれていたこの戦争計画はしかし、開戦初日にて頓挫していた。

 

 

「導力通信と機甲戦力は戦場の常識を覆したが、航空兵力もまた同様というわけだな。この戦争、我々の敗北だ」

 

「中将……」

 

 

中将と呼ばれたこの場における最高位の将官が肩を落としてそう呟く。

 

侵攻軍の全てを預かる彼には現在の帝国軍の現状が良く理解できていた。

 

例えば、今回の大規模戦闘において莫大な物資が消費されたことも、王国軍の航空攻撃によって物資集積所がかなり破壊されたことも。

 

新たに十分な補給を受けなければ、あと1回の会戦で物資が底をつくことも。

 

 

 

「し、しかしっ、王国の穀倉地帯を押さえればっ!」

 

「兵糧など共和国から調達すれば済むことだろう。我々は最後の機会を逃したのだよ」

 

 

ロレントに展開していた王国軍の正面戦力を包囲殲滅する。これが達成されていたならば、王国側に残されるのは王都とクローネ連峰に展開する2個師団のみとなる。

 

後は、クローネ連峰に展開する兵力を排除し、その上でルーアン地方を押さえれば、海路での兵站線が確立される。

 

はずだった。

 

だが、その目論見は実現することはなかった。

 

王国軍の殿部隊の想定以上の活躍は、夜間戦闘において帝国軍の戦車に大きな被害を与えた。

 

また、王国軍が新たに投入してきた多連装ロケット砲による広範囲の面制圧が予想以上に厄介だった。

 

そして、時間は王国軍を味方した。

 

 

「航空攻撃に晒される以上、大規模な兵站基地を設けることができない。陸路での後方連絡線は頻繁に寸断される。頼みの綱の海軍は大敗を喫し、空輸計画は飛行船が全艦撃墜済み。そして、最後の希望であった短期決着はここに頓挫した」

 

「あと二ヶ月もすれば共和国の参戦が現実的なものとなるでしょうな」

 

 

カルバード共和国の参戦が考慮される以上、10師団以上の部隊を共和国との国境に張り付かせる必要がある。それは、王国方面への増援への足枷となるだろう。

 

 

「いや、それよりも早く王国軍の再編、予備役の動員も完了するだろう。5個師団程度でしかなかった王国軍が倍以上の兵力に化けるというわけだ。それに、大陸諸国も我が国への非難を強めている。近いうちに国際義勇軍が王国へと派遣されるかもしれない」

 

 

そして、帝国軍は後方連絡線を寸断されている以上、兵員を増やしたとしてもそれを活かすための武器弾薬を維持できない。

 

ここで王国軍に数ですら逆転されれば、帝国軍の敗北は確定する。

 

 

「これを打破するには、とにかく王国の航空を何とかしなければならない。上は何と言っている?」

 

「鋭意開発中であると…」

 

「何度目だそれは…」

 

「とはいえ、一ヶ月や二カ月で新兵器の開発など不可能だ」

 

「海軍の速射砲を転用した対空砲も、出すたびに破壊されるからな。敵と同じ航空機がなければジリ貧だぞ」

 

「情報収集の不足ですね。リベール王国の航空戦力に対する認識が甘すぎたのでしょう」

 

「あのロケット兵器は厄介ですな。おそらく車体は共和国にて一般に市販されるトラックでしょう。そこに簡単な発射台を取り付けただけのようですが、命中精度は良くはないようですが、短期的な投射量は侮れないでしょう」

 

「本格的に配備されれば大変なことになるぞ。やはり空を奴らに支配されたままではどうにもならんじゃないか…」

 

「……無い物に不満を口にしても、何も解決はしない。とにかく、他に案はないか?」

 

 

中将の問いに、将校たちは一様に目を机の上の地図に落として黙りこくった。

 

力攻めは最早不可能だ。今回の作戦において大量の弾薬が消費されたため、武器弾薬・物資の備蓄は危険な水準にまで減っているし、兵たちの消耗もかなりのものだ。

 

それだけ、今回の渡河作戦に全てを注いだわけであり、つまり、次の大規模な作戦を行うだけの余力が、侵攻軍には今現在残されていない。

 

 

「王国軍の飛行場に対する攻撃を敢行すべきだろう」

 

「だが、どうやってだ? 基地はレイストン要塞だぞ」

 

「少数精鋭による破壊工作しかあるまい。敵航空戦力は多くはないから、成功すれば大きな効果が期待できる」

 

「だが、王国軍の守りは堅い。最近では斥候も多くが失敗している」

 

 

状況は悪化しているものの彼らは諦める気は毛頭なかった。

だがその数日後、彼らの思惑は脆くも崩れ去る。

 

 

「た、大変です中将っ! リベール王国軍がヴァレリア湖岸より次々と上陸してきますっ!」

 

「ど、どういうことだ!? そんな兆候はなかったはずだ!!」

 

「そ、それが、レイストン要塞に停泊していた艦船の多くには動きがなく…。ヴァレリア湖沿岸各所に巧妙に隠された小型ボートが用いられたようでして…」

 

 

帝国軍の情報・諜報網をすり抜けて再配置された将兵、共和国から秘密裏に調達した上陸用のボート。

 

ロレントに上陸した部隊は後退した3個師団と合流し北上、グランセル地方のグリューネ門から進撃した部隊と共に、渡河した帝国軍9個師団を挟撃する形となった。

 

これを側面から支援するはずのボース地方に残された4個師団は、ボース南部の湖岸より上陸した王国軍部隊より急襲を受けた。

 

さらにここでクローネ連峰の王国軍および《いつの間にか》各地の森林に潜伏していたコマンド部隊が呼応、後方をかく乱された帝国軍は大混乱に陥った。

 

これら全てを準備し指揮を執った王国軍の大佐の名を、後に帝国軍は嫌と言うほどに脳に刻み込まれることとなる。

 

 

 

 

開戦より二カ月が経過した。

 

初夏を迎えたロレントの街は陽気に包まれていたが、住民たちはカーテン越しに外を窺うばかりで、閉塞した空気に包まれている。

 

そんな閉塞した空気の中、剣呑な野太い声が響く。

 

 

「お前っ、今俺たちを見て笑っただろうっ!!」

 

「い、いえ、そんな事は…」

 

 

表通りに劈く怒声。今にも殴りかからんと帝国軍の兵士がロレントの中年男性の胸倉をつかんだ。

 

周りの帝国兵たちはそれをニヤニヤと暗い笑みを浮かべて、怒り狂う兵士と共に中年男性を取り囲む。

 

まばらに通りを歩く住民たちの怯えた表情が、さらに彼らの嗜虐心を刺激した。

 

 

「まったく、何の冗談だこれは」

 

 

気が滅入る雰囲気に私は天を仰ぐ。兵士たちのストレスは既に危険な水準に達していて、このような諍いは今日に限った事ではない。

 

渡河作戦により奪ったはずのヴェルテ橋は早々に奪還され、帝国のリベール王国侵攻軍主力9個師団が地方都市ロレントに追い込まれて2週間。

 

重要な戦略目標である七耀石鉱脈であるマルガ鉱山に手を出す余裕などもはやなく、そして撤退すらもできそうにはない。

 

しかし、ここに至ってなお帝国上層部は侵攻軍の降伏を許可しなかった。それどころか、帰ってきた命令は、王国の一都市に対する死守命令。

 

多くの末端の兵士たちにはその理由が全く理解出来ないようだ。いや、理解ではなく納得が出来ないのだろうか。

 

現在、王国へと侵攻した帝国軍は増援を含め総勢20個師団。30万もの兵員が脱出することもできず包囲殲滅されることが確実となった今、帝国はさらなる攻勢に出る余裕を完全に失っていた。

 

なにしろ東のカルバード共和国が動員を開始しているのだ。ガレリア要塞およびノルド方面に対しては平時以上に備えなければならない。

 

守勢に回る帝国は国境の街パルム近郊に防衛線を引くこととなる。もちろん、戦前よりある程度の備えはあったが、それが王国軍の航空兵器の前に意味をなさない事は明らかだ。

 

現状考えられる限りで、もっとも現実的で有効な陣地を構築する必要がある。当然時間はかかる。

 

ここでその時間を捻出するのが我々の責務だ。だが、多くの兵がその事に納得できてはいない。

 

もしかして自分たちは帝国から見捨てられ、意味もなく死ぬことを強要されているのではないかという疑念と不信に多くの兵が囚われつつあった。

 

加えて、昼夜を問わずに頭上から襲い来る王国軍の航空機、西と南から迫る王国軍部隊から投射される無数のロケット弾と榴弾の雨は帝国軍将兵の精神力を削り取っている。

 

未だ自分たちが殲滅されていないのは、我々が制圧したロレントを無傷で解放するべく、王国軍が我々に降伏を促しているからに過ぎない。

 

もし、明日にでも彼らの気が変わったなら?

 

兵士たちのストレスは限界に達していた。

 

 

「き、君たちっ、そのヒトを放しなさい!」

 

 

と、唐突にそんな声が響いた。誰だと思い振り向くと、何やら頼りない雰囲気の眼鏡の、おそらくは七耀教会の司祭と思われる男がその声の主だった。

 

兵士たちの苛立ちの矛先はすぐさま司祭に向かう。不味いと思い私は彼らに駆け寄った。

 

 

「お前たち何をしている!!」

 

「何だよっ…、って、ちゅ、中尉殿……、いえ、その……」

 

「この件は不問にしてやるから、さっさと陣地に戻れ」

 

 

私の叱責に顔を青くした兵士たちが、私にいそいそと敬礼をとったあと、逃げる様に去っていく。

 

それを見送り、私は今日で何度目かの溜息をついた。

 

 

「あ、ありがとうごさいます」

 

「いえ、司祭様、これは我が軍の不徳の致すところです。どうかお許しください」

 

「いえいえ、大丈夫ですよ。貴方のような心ある方に助けられたのですから、むしろ貴方の正義と女神の加護に感謝しなければなりません」

 

 

体格は良いのに何故か頼りにならない雰囲気の司祭の柔和な笑顔に、どこか殺伐とした気分が癒されるような気がする。

 

とはいえ、七耀教会関係者にまで揉め事を起こすような状況に眩暈がする。これが誇りあるエレボニア帝国軍人の姿なのか。

 

そして、ふと気づく。彼のような司祭がこの街にいただろうか? 私は疑念を表情に出さないように問いかけることにした。

 

 

「ところで貴方は?」

 

「私は従軍神父として教会から派遣されたアルバと申します」

 

「ほう、実にありがたいことです。この戦争では多くの将兵が命を落としていますから」

 

 

事実、毎日のような航空攻撃と砲撃によって将兵の命は散っている。なので教会の神父に弔ってもらえるかどうかは、兵士たちの士気にも大きく影響するのだ。

 

このような科学全盛の時代においても、信仰心の篤いものは少なくないし、女神への祈りを毎日欠かさない兵士もいる。

 

というか、このような追い詰められた状況であるから祈りもより真剣なものになっている。

 

そういう意味でも、あのように我が軍の兵士が聖職者に暴力を振るうなどと言った醜聞が兵たちの間に広まれば、兵たちの間に不和が生じる可能性があった。

 

また、七耀教会のネットワークは広く、最悪これが国際問題になる可能性だって否定は出来ない。

 

 

「兵士の方々の表情は優れませんね。私の立場ではどちらかに肩入れすることは出来ないのですが」

 

「いえ、それでも神父様に弔ってもらう事が多くの兵にとって重要な事なのです」

 

 

とはいえ、リベール王国と七耀教会の関係は深いものだと聞いている。戦争の経緯も胡散臭いものだったし、教会が王国に同情的な立場にある可能性は高い。

 

 

「そう言っていただけると有難いですね」

 

「ははっ。そうだ、どうでしょう? 良ければ礼拝堂まで送らせてもらえませんか?」

 

「おや、ありがとうございます。では、お言葉に甘えさせてもらいましょうか」

 

 

どうやら、偽りではなく真実教会関係者の方だったらしい。そんな私の緊張が抜けたわずかな変化を気取られたのか、

 

 

「疑いは晴れたようですね」

 

「も、もうしわけございません神父様」

 

「いいのですよ。貴方はただ職務に忠実なだけですから」

 

 

アルバ神父が柔和な笑みで私に微笑みかける。なんと心の広い方だろう。私はこの人は非常に信用できる方であり、それを疑った自分を恥じた。

 

そして私は恐縮しながらアルバ神父を礼拝堂に付き添い、いつの間にか彼に自分の生い立ちやこの戦争への疑念について話していた。

 

 

そんな何気ない会話の中で、

 

 

「上は何故このような戦争が起きたのか一向に明かしてはくれないのです。そのせいで、末端の兵たちからはこの戦争への大義を疑う声が上がる様でして」

 

「なるほど…、それはお辛いでしょう。確かにあのような忌むべき事件を覆い隠したいという彼らの考えも分かるのですが……」

 

 

聞き捨てならない言葉を聞いた。

 

 

「えっ、神父様は何かご存じなのですか!?」

 

「おや、ご存じありませんか?」

 

 

アルバ神父の眼鏡の奥に言い知れない迫力を見て、蛇に睨まれたかのように私の体が委縮する。

 

同時に彼がこれから語る事柄がまぎれもない真実であり、祖国の非道と裏切りが私たちを無為な死へと追いやっている事実を無条件に確信した。

 

 

 

 

戦後に開かれた非公開の法廷にて、リベール王国軍によるロレント奪還の直前、帝国軍将兵の間で本来彼らが知るはずのない情報、国境のとある村で起きた惨劇についての噂が流布されていた事が確認された。

 

詳細な聞き取り調査により、この情報の流布が多くの下士官や将兵の士気を挫き、彼らの祖国と政府への著しい不信を醸成していたことが判明している。

 

当該デマの流布と浸透により彼らが自暴自棄となり、司令部の命令に対して反抗的な態度をとると共に、地元住民との関係が加速度的に悪化していった経緯は調査報告書の記載のとおりである。

 

これが帝国侵攻軍に起こったモラルブレイクと、それに伴う悲劇の引き金になった事は間違いないだろう。

 

しかし、終ぞその情報の発信源が何だったのかは明らかにはならなかった。

 

 

 

 

破綻は王国側からの武装解除を求める最後通牒から10時間後、司令部は降伏を受け入れない事に兵たちが皆確信した頃に始まった。

 

 

「貴方たち、彼女から離れなさい。今すぐに」

 

 

私はそう言って紫色をベースとした帝国正規軍の軍服を纏う男たちに銃口を向けた。

 

彼らはなんだと言わんばかりに横柄な態度でこちらに振り返るが、一瞬でその表情が引きつり、凍り付いたように固まった。

 

しかしながら、その中の一人がかろうじて引きつった笑みを顔に張り付けて私に応対する。

 

 

「いやいや邪魔しないでくださいよ大佐殿。人生最後のお楽しみ中なんですから」

 

「貴方たち、自分たちが何をしているのか分かっているの?」

 

 

彼らが今為している行為、無抵抗な市民、しかも婦人に対しての性的暴行など軍人として以前に、人間としても唾棄すべき蛮行だ。

 

今の私にこうして応対するだけの胆力については認めるが、それだけの勇気があるのならば、何故このようなことをしでかしたのか。

 

 

「はは、当然でしょう? なあ、お前ら。貴族様が勝手におっ始めたクソったれな侵略戦争に負けが込んだってんで、わざわざ貴族様が尻尾巻いて逃げるための時間稼ぎをしてるんですよ。焦土作戦ってやつです」

 

 

私はその言葉の端に自嘲と失望を見る。大義も正義も欠けた侵略戦争、無様な敗北、そして貴族階級の者だけが対象から免除された無思慮な死守命令への呪詛を。

 

事実、そういった判断を上は下していた。異動という形で実行されたことを知っている。おそらく本国の貴族たちの強い要求に、軍が屈したのだろう。

 

しかしそれは現場を無視した判断だった。そのような判断が現場にどのような影響をもたらすのか、上は理解していただろうに。

 

もちろん、誇り高い多くの貴族階級の将校がその命令に反発した。兵を見捨てて戦場から逃げ帰るなど、命令であっても帝国貴族として恥ずべき行いであるからだ。

 

だが、誇りよりも自らの生命を重視した者がいなかったわけではない。

 

それに、貴族にとって重要なのは戦場に出来うる限り留まり矜持を貫くことだ。死ぬ事ではない。リベール王国軍は敵を皆殺しにするような野蛮な軍隊ではないのだ。

 

そして貴族が捕虜交換の対象となり、対価として身代金が支払われる慣習が消えたわけではない。

 

こういった理不尽、待遇の格差に多くの平民出身者は不満を募らせていただろう。

 

しかし、だからといって彼らの行いが正当化されるわけではない。現地住民への暴力は許されていないし、焦土作戦など誰も命じてはいない。

 

 

「言い訳はいいわ。早く武器を下して、両手を頭の後ろで組んで跪きなさい」

 

「ははっ、お前ら喜べ、どうやら大佐殿も我々の相手をしていただけるそうだ。もっとも、歳を食い過ぎて俺の好みじゃないな」

 

 

彼らのリーダー格らしい兵長の男がそう強がるような、そして道化を演じるような口調で言うと、周りの男たちがどこか投げやりな笑みを浮かべ、そして銃を構えようとする。

 

私はこのどうしようもない状況に天を呪い、思考を切り替え駆け出した。

 

相手は短機関銃、私は拳銃。武装、数ともに不利。加えて、彼らは曲がりなりにも帝国正規軍の精鋭部隊だ。

 

このように身を持ち崩し、自暴自棄になっていようとも彼らが今まで培ってきた訓練と鍛錬は彼らを裏切りはしない。

 

もっとも、実力という物差しならば、私とてちょっとしたものであるという自負はある。

 

先に引き金を引いたのは私だ。左に駆けながら同時に3度引き金を引く。軽い破裂音のような銃声が響き、放たれた弾丸は脳内で思い浮かべた場所へと導かれた。

 

 

「痛っ!?」「冗談だろっ?」

 

 

3人の兵士たちが手元の銃を落とされ、彼らに明らかな動揺が広がった。しかし、彼らはすぐに立ち直り弾丸をばら撒き始める。

 

ばら撒かれる拳銃弾がロレント市街の石畳と建物のレンガを穿つ。弾丸が石を砕く音が雨のよう。

 

精度は悪くない。私の行く先を予想するように、阻むように連携して射撃する様は流石だと感心する。

 

残念ながらそれらが私を捉えることはなかったが。

 

私はそんな無数の火の雨を横目に腰に下がるものを彼らの足元に転がした。

 

 

「手榴弾!?」「違うっ、閃光―」

 

 

鋭い光が一瞬世界を白く染めた。もちろん彼らは視界を腕なりで塞いだだろうが、それは私から視線を外したという意味でもある。

 

 

「くそっ、あのババアどこ行きやがった!?」

 

「遅いわ」

 

 

ちょっとした倉庫らしき建物の上に飛び乗った私を、数秒程であるが彼らは発見に遅れた。

 

それだけの時間があれば、彼らの手にある銃に弾丸を送り届け、これを無力化することなど私にとって造作はなかった。

 

 

「投降しなさい」

 

「おいおい、冗談だろう?」

 

 

武器を失い唖然と立ち尽くす彼らに、私は銃口を向ける。チェックメイト。しかし、彼らのその表情はどこかすっきりとした、毒気が抜けたようなものになっていた。

 

 

「女だてらにやたら強い軍医の女将校がいるってのは聞いていたが、アンタのことだったか《死人返し》」

 

「妙なあだ名ばかりつけられて困るのだけれどね」

 

「なるほど、そうか。噂通りなら、アンタに任せてたら俺たちはここで死ぬなんてことは出来なさそうだな」

 

「何を…?」

 

「今更何言ったところで俺たちは許されないし、間違いなく地獄行きだろう。いや、正直、冷静に考えたら俺ら何でこんな事してるんだろうな。馬鹿じゃねぇの俺たち。……っ、くそ、頭痛がしやがる」

 

 

彼らを率いていた壮年の男は一瞬、偏頭痛でもしたかのように左手で頭部を抑える。私はその所作にどこか強い違和感と疑念を抱いた。

 

まるで、彼ら自身、彼らが何故このような行為を行ったのか理解できずにいるような。

 

 

「くそっ、俺も本格的に狂っちまったみたいだな。ははっ、もうわけ分かんねぇよ。どうすりゃいいんだ」

 

「……投降しなさい。貴方たちからは聞き出さなければならない事があるわ」

 

 

屈強な男たちからは想像もできないような、弱った、まるで迷子になった幼子のような不安そうな表情に、私は出来るだけ不安がらせないよう、優しく声をかける。

 

その私の言葉に彼らが縋るような表情で頷こうとした時、突然彼らの中の一部、リーダー格の男を含めた3人から表情が消えた。

 

 

「……そういうわけにはいかない」

 

「え?」

 

 

まるで人形のような能面でそう語ると。3人はまるで機械のような正確さで、腰に装着していた手榴弾に手を伸ばした。

 

その3人以外の男たちは目の前で何が起きているのか理解できずに、ただ狼狽えて立ちすくむだけ。

 

かろうじて私は面を食らいながらも引き金を引いて、手榴弾を手にした男の一人の肩を打ち抜く。だが、男は銃弾を受けた事に全く動じず、手榴弾のピンを外した。

 

そして、手榴弾を手にした男は胸に抱えて、すぐさま周囲の男たちを巻き込むべく抱き付き、そして―

 

 

「た、隊長やめt―」「ひぃぃっ!?」「たすけ―」

 

 

無数の破裂音が私の目の前で血だまりを作り出した。

 

引き裂かれ飛び散った肉片と、血と臓物を混ぜ込んだような吐き気を催す臭い。彼らだったものはもう遠目から見ても手の施しようがないほどに損壊していた。

 

 

「どうして……、いったい何が起こっているの…?」

 

 

目の前で起きた惨劇に頭が追い付かない。いったい何が起きたのか。

 

明らかに違和感のある彼らの行動。まるで何かに操られたかのような。

 

確かに、彼らの置かれた状況を見れば自害に及んでもおかしくはなかった。軍法会議にかけられれば有罪は免れないし、この戦況から考えれば死罪である可能性は高かった。

 

あらゆる状況が彼らの暴走の動機が存在することを肯定している。

 

貴族出身者に対する不満、死守命令に対する不満、そして戦争の大義に対する疑念、祖国に対する不信。

 

だが、彼らの様子を直接見た私の主観が、彼らが自害したという結論を否定する。もっとも、それを証明する手段はもはやこの場所には残ってはいないだろうが。

 

私はもう手遅れになった兵士たちを横目に、彼らによって辱めを受けていた女性たちに近づいた。

 

 

「大丈夫ですかっ、私は医者です!」

 

 

しかし、息のある者は多くない。異常な行為により目を背けたくなるほどに損壊が激しく、多くが事切れた状態だった。

 

幸い、かろうじて息のある被害者に応急手当てを始める。どちらにせよ、設備の整った野戦病院に運ばなければならないだろうが。

 

処置を始めると同時に私は迷う。この事が表沙汰になったら、いったい何が起きるだろうかと。

 

間違いなく帝国軍設立以来の最大の不祥事となるだろう。何より、シスターまでもが被害にあっている事が最悪だ。

 

ゼムリア大陸で最も篤く信仰される七耀教会の聖職者であるシスターを、正規軍の兵士が犯し、殺しかけた。

 

最悪である。軍の権威どころか、国威はどん底にまで失墜するだろう。

 

殺してしまおうか。私は一瞬、本気でその様に考えた。殺して、痕跡を完全に消さなければならない。火災か何かで死んだように見せかければ…。

 

そんな風に考えた時、唐突に目の前で女性が咳き込んだ。

 

 

「だ、大丈夫?」

 

「うぁ…、あの子を……、エリッサちゃんをどうか……」

 

「え?」

 

 

せき込んだ栗色の長い髪の女性が最後の力を振り絞って、瓦礫の山の隙間を指さした。私は咄嗟にその方向に視線を送り、注視する。

 

そこには今までわからなかったが、確かに誰かが隠れている気配があった。

 

私がその事に気づくと、栗色の髪の女性は弱弱しく笑みを浮かべ、そして指さす腕が地面に落ちた。

 

私は何度か蘇生を試みるも、彼女はしばらくして息絶えてしまう。

 

 

「……なんてこと」

 

 

力が抜ける。《死人返し》などと大層な呼ばれ方をしているが、結局、自分には助かる事が決まりきった者しか救えないのかもしれない。

 

私には死の運命、条理など覆しやできないのだ。無力感が私の全ての活力を奪うかのようだった。

 

 

「そうだ…、瓦礫の隙間にたしか…」

 

 

私は崩れ落ちてしまいそうになる身体に鞭打って、名も知らぬ女性が託した何者かが潜む場所へと向かう。

 

隙間は狭く、極幼い子供がかろうじて隠れられるぐらいに思える。なら、彼女が託したのは子供に違いない。

 

私は瓦礫の隙間を覗き込んで声をかける。

 

 

「誰かいるのでしょう? エリッサ…ちゃんだったかしら? 私は医者よ、もう大丈夫だから出ていらっしゃい」

 

 

覗き込むと、そこには酷く怯えた目つきで身を屈める一人の少女を見つけた。私は手を差し伸べる。

 

だが、少女は余計に体を丸める。そして気が付いた。あの女性が少女の名前を言った意味、つまり、少女とあの女性は家族か知り合いである事実に。

 

親しい女性が目の前で嬲り殺しにあったことの一部始終を、その悲鳴を、少女が一人瓦礫の中で身動き一つとれないまま目撃し続けていたという事実に。

 

何が大丈夫なものか。馬鹿か私は。

 

耳をすませば、先ほどからずっと、少女がうわごとの様に「ごめんなさい、ごめんなさい」と繰り返している声が聞こえるだろう?

 

私はあまりにも情けなくなって、唇を噛むことで涙が流れ落ちるのをこらえるしかなかった。

 

 

 

 

ロレント陥落を受けて実施が前倒しされた王国軍による本格的な反攻作戦は、苛烈を極め、およそ3週間で王国内に展開していた帝国軍を各個撃破し、その目標を達した。

 

この作戦に初めて投入されたのが、アルバート・ラッセル博士によって開発された軍用飛行艇である。

 

近接航空支援において戦車以上の装甲と攻撃力、そして急降下爆撃機であるアベイユを上回る搭載量は、この戦いにおいて圧倒的な破壊力を見せた。

 

何しろ帝国軍は2カ月程度で満足な対空兵器など完成させる事などできず、急ごしらえの対空砲では軍用飛行艇には太刀打ちできなかったのだ。

 

急造の対空兵器が破壊されてしまえば、後は航空攻撃を遮るものは何もなかった。

 

帝国軍の火力の中核である装甲車両や重砲が為す術もなく破壊されていった。

 

もっとも、開戦から2カ月ではどれだけ苦労しても十分な航空部隊を揃えることは出来ず、戦場での真の主役は大砲と銃でありつづけたのだが。

 

なにしろ、カルバード共和国からの支援により大量に持ち込まれた火砲は、旧式であったが、潤沢な砲弾の供給により帝国軍に多大な被害をもたらした。

 

航空攻撃によって帝国軍の火砲が沈黙したのだから、多少の射程距離の短さは問題にはならなかったのだという。

 

そして、巧緻を極めた作戦遂行により帝国軍は十分な組織的な抵抗が出来ぬまま、孤立し、誘導され、撃破されていった。

 

そして最後の止めとして、唯一の退路となる峠道が再び爆撃によって封鎖されると、侵攻軍は降伏することとなった。

 

そして、

 

 

「お母さん、どうか無事で…」

 

 

私は日課の朝の剣の訓練をさぼって、一人教会に礼拝していた

 

王国軍が昨日、私の故郷であるロレントを奪還し、王国内に侵攻してきたすべての帝国軍は降伏した。

 

一両日中にはロレントの詳細な情報が届くだろう。

 

 

「ここにおったかエステル」

 

「ラッセル博士。おはようございます」

 

 

ふと、後ろから声をかけられ振りむくと、そこにはラッセル博士と軍の士官がいた。博士がこの時間に教会に来ることは珍しい。

 

というより軍の士官がいるということは、ラッセル博士の個人的な用事ではないのだろう。

 

では、何が目的か。ラッセル博士がそれを告げる。

 

 

「エステル、カシウスの奴がお前を呼んでおる」

 

「お父さんが?」

 

「そうじゃ。何やら急ぎの用らしい」

 

 

私は首をかしげる。今は作戦後の処理で忙しいはずだ。それに、こんなに焦ったようにメッセンジャーを送るのも珍しい。

 

何か重要な案件が発生したのだろうか。機体のトラブル? アベイユは信頼性の高い機体に仕上がっているはずだ。

 

いや、もしかしたらお母さんの安否が判ったのかもそれない。お父さんのことだから、実はもう要塞に連れてきているのかも。

 

そうして私は期待半分でレイストン要塞に飛行船で向かう。到着すると、金髪の髪の凛々しく若い士官が私を父の所まで案内してくれた。

 

案内役のリシャールと名乗る若い士官の、何か痛ましいものを見るような私を見る目を見た時、私の浮ついた感情は一瞬で冷え切った。

 

心臓が早鐘のように打ち、足がすくむ。

 

通されたのはモルガン将軍の執務室。そこには父だけがいて、他には誰もいなかった。若い士官の人も部屋から出て行ってしまう。

 

父は沈痛な面持ちで壁に額をつけて寄りかかっていた。とても悪い予感がする。聞きたくない言葉が父の口から発せられるのだろう。

 

凶報だ。絶対に凶報だ。それも、私達家族に関係する話に違いない。そんなのは決まっている。いやだ、認めたくない。話さないで、話さないで、話さないで。

 

 

「レナが死んだ」

 

 

ああ、そんな言葉なんて聞きたくなかったのに。

 

 

 




鬱度×2。

6話でした。

打って変わって、今回は七耀石と導力器について。

七耀石(セプチウム)は舞台となるこの世界独特の鉱物で、その性質と色によって七種に分類されています。古くから宝石や神秘の象徴として珍重されていたこの鉱物ですが、C・エプスタイン博士により発明された導力器(オーブメント)の基幹的な素材になることから重要性が飛躍的に高まったとのこと。

七耀石は導力を時間と共に自然に蓄積するという性質があり、七耀石同士の相互作用をエンジンとして、自ら蓄積する導力を出力として利用し、歯車などの機械装置によって七耀石同士の干渉を調整することで魔法のような現象を生み出すことができます。これを利用したのが導力器です。

導力器は原動機として、あるいは銃弾を加速するための装置として、あるいは反重力を発生させる機関として利用されるだけでなく、戦術オーブメントとよばれる『導力魔法(オーバル・アーツ)』を発動させる懐中式の機械にすら応用されています。

導力器に使用するのは宝石としての価値を持たない七耀石の欠片(セピス)を加工して作られる結晶回路(クォーツ)です。セピスや七耀石は大陸各地の鉱山で採掘され、市場に供給されます。また、魔獣と呼ばれるこの世界の生物には七耀石を収集する性質があるようです。

作者の勝手な考察ですが、生物が七耀石を集める性質は、この世界の生物にとって七耀石が重要な栄養源になっていることを示します。これは魔獣と呼ばれる地球の生物とは一線を画す魔法や特殊な能力を行使する生物の、その特別な能力の基盤となるからだと考察されます。

原作の描写では魔獣を倒すことで、主人公たちは魔獣から七耀石の欠片(セピス)を採取し、そしてセピスを店舗や銀行で換金して現金を手にします。また、魚までもがセピスを飲み込んでいることが描写されています。これは七耀石の生態系における循環が起こっている可能性を示唆する証拠でしょう。

作者の勝手な考察ですが、まず植物が土壌中の粒子レベルの七耀石を回収し、蓄積。これを草食動物が食べて蓄積。さらに肉食動物が食べて蓄積。動物が死ねば七耀石は土に戻され植物が再び…。というサイクルが予想されます。あるいは岩石に含まれる七耀石を直接摂取する様な行動を行うかもしれません。

また、どうやらこの世界の大深度地下には七耀石の大規模な鉱脈、七耀脈があるようで、これらはこの世界の地殻変動などに大きな影響を与えているようです。七耀脈の変動によって温泉の温度が異常に上がったり、地震が起きたりする現象が原作でも描写されています。

さて、この七耀石には前述にある通り7種類存在することが確認されています。それらには属性が存在し、導力をエネルギーに変換する際の形態が異なることが示唆されています。七耀石の種類についてはまた今度ということで。


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