ゴールデン・バティスタ号 船長室
えーっと、読者の皆様。
「へー、あなた変なこと言うのね。ヴィントは私達のよ。」
謹んでお詫び申し上げます。
「ヴィント君、聞きましたか?彼女達は君の事を物扱いしてますよ。」
現在進行形で絶賛修羅場中のこの状況を。
「いやいや、そんな事あらへんよ。ずっと、ボク達のリーダーって事。」
とりあえず、ここから出よ。
ゴールデン・バティスタ号 甲板
ボオァ!!
外に出るとそんな感じの強風が俺を歓迎した。
あまりの風の強さに俺はバランスを崩した。
外はいつの間にか夜になっており、こんな強風じゃなかったらノンビリしていたと思う。
しばらくすると落ち着きそよ風になった。
「ふぅ、やっと一息つける。」
甲板の手すりに体を預けた。
そう言えば今回の騒動はパッと始まったけど、緩やかに終わりそうだ。
色々考えているうちに、エルトがやって来た。
「よぉ、エルト何の用だ?」
「ヴィント・・・」
ガシッ!!
エルトは俺を見ると涙目になって俺に抱きついた。
俺の名を呼ぶ声は親とはぐれた子供みたいな声だった。
「ヴィント・・・、無事で、無事でよかった。」
そう言って、抱きつく力が強くなる。
それはまるで、戦争に行った自分の兄に甘える妹のようだった。
「エルト、ごめんな、心配かけて。」
「本当に、本当に心配したんだから!!」
俺にはエルトを慰める事しか出来なかった。
実はこの時、俺は誰かに見られているような気がしたが、気のせいだと思った。
古城 玉座の間 語り部・作者
ノイツェシュタイン王国の何処かに有る、数日前まで誰にも使われなかった古城。
なぜ数日前かって?
今は有るクラッズの青年(身長はヒューマン並みの大きさ)が住み着いているから。
その城の玉座の間に有る玉座にクラッズの青年は座っていた。
玉座の間に、いつの間にか白いフクロウが入って来た。
「ミネルヴァ、どうだった?」
青年はそのフクロウをミネルヴァと呼んだ。
その言葉にミネルヴァは『ホー』と返す。
「そうかい、あの海賊達、石板じゃなくてヴィント君の方を攫ったのか。
こっちは石板を盗んでくれと頼んだのにな。
まぁ、彼等はストーム殿に恨みが有るようだし。
ついでと言う感じだったのかな?」
どうやら今回の事件の黒幕は彼のようだ。
しかも、事実上ヴィントは巻き込まれたも同然。
まぁ、原作とは違い、真面目で実力は有るが運が全くない主人公と言う設定なので作者的には面白いけど。
ミネルヴァは更に『ホー』と鳴き声を挙げた。
「あぁー、石板を盗まなかったのか!
しかも、関係の無い女の子を誘拐した!!
挙げ句の果てには、彼の恋人と思われる女の子が泣いていた!!!」
青年の声は怒り半分、呆れ半分と言った感じだ。
すぐさま自分の右手で頭を支えため息をついた。
「ハァー、結局自分でやるのか。
石板以外にも盗まなきゃいけないものは沢山有るのにな。」
そう言うと彼は玉座にかけてあった、二振りの剣を装備し。
玉座の間も出入り口となる大きな扉の方に行った。
「ミネルヴァ、道案内をよろしく頼む。
まずはお土産屋さんから、お詫びの品を買わないと。
その次にドラッケン学園。
彼は僕の事を許してはくれないだろうけど。」
そう言って彼は玉座の間から出た。
数日後 ドラッケン学園 講堂 語り部・ヴィント
ここドラッケン学園の講堂では、ある新任教師と留学生の紹介を行うらしい。
因みに、留学生の方はプリシアナのお偉いさんの娘さんらしい。
教師の方は、若いエルフの女性で、炎術士学科を担当するとの事。
「ヴィント、大丈夫?顔が青いけど。」
語り部やっていたら、エルトに声をかけられた。
「ああ、大丈夫大丈夫。心配かけてごめん。」
「そう?具合が悪くなったらいつでも言って、テュルキス程じゃないけど一応回復魔法も使えるんだから。」
ヒールだけだけどな。
しかし、海賊の一件からどうもエルト達が優しくなっている様な気がする。
特にエルトは俺に抱きつくなどのスキンシップを取るし。
そうやってしばらくすると学園長先生が出て来た。
長ったらしい演説の後で
「では、新任の先生から紹介いたしましょう。明日から炎術士学科を担当して頂く。エルトフィール先生です。」
パチパチパチパチ
周りが拍手をするが俺はずっこける。
なぜかって?
それは新任の先生が俺の・・・
「ちょっと母さん!何やってんの!!」
大声を出した俺は悪くないと思う。
第一章・完
第二章に続く