シャフティング・マインド(凍結)   作:lock

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こんばんは。
最近、スタミナ制のゲーム(ソシャゲというのでしょうか)にハマってしまっているlockです。
12話「登場ーAppearanceー」を投稿します。


登場ーAppearanceー

「能力使ってなかったって・・・それじゃ、能力の発動無しに俺の紫電に耐えたって事かよ!!?」

 

最前列に座るライトが、最後列のユウトの耳にまで響くような大音量で怒鳴る。

二人の直線上にいた何人かが耳を塞いだ。ネコなどは、机に突っ伏してプルプル震えている。

ユウトは答えた。

 

「えーと、うん。そういうこと・・・になるのか?」

 

ライトは口をあんぐり開けたままで、彫像(ちょうぞう)のように固まってしまった。

ユキも流石に驚いた様子だったが、すぐに気を取り直してユウトに質問した。

 

「じゃあ、あの爆発・・・能力が暴発したときの爆風と衝撃も、能力無しでノーダメージに抑えたの?」

 

その問いに何か答えようとしたユウトは、何故か唐突に、露骨にイヤな表情を作った。

 

「やっぱり来るか・・・」

 

その時、シューッ・・・と音を立て、彼の右耳から、黒い煙が吹き出してくる。

いや、耳ではなく、右耳に付けられたピアスからである。驚くユキ達に、更に驚くべき事が起こった。

 

ピアスが光り、スライムの様にフニャフニャと形を変えだす。

十字架から、直径5㎝程の発光する球体になったピアスは、耳から分離して空中に浮かんだ。

そしてクラス中の視線を一身(いっしん)に集めながら、それは10㎝、20㎝と大きさを増し・・・

 

「シシシ・・・呼ばれて飛び出てジャジャジャジャーン!!」

 

バン!と弾け飛んだかと思うと、そこには奇妙なモノがいた。

一言で言えば、直径20cmほどの黒い球体。

それに大きな口が付いたもの、で最低限の説明は終わってしまう程のシンプルなフォルム。

それぞれの端が(きゅう)の直径を(また)ぐほど裂けている巨大な口以外には何もない。

外界から多くの情報を得るためには必要不可欠なはずの、目や耳すら備わっていないのである。

 

球体は口だけでニヤリと笑うと、よく通るテノールで高らかに叫んだ。

 

「俺様の名前は『バクバク』!!以後よろしくだ、皆の衆!」

 

クラス中が呆気にとられる中、ユウトは煙を吸ってゲホゲホむせていた。

 

====================================

それから、およそ10分後。

 

「ねえねえ、なんでバクバクって名前なの?」

 

「俺様のマスターが付けてくれた名前だ。俺様、よく食べるからな」

 

そこへ、反対側から別の女子が。

 

「え、そうなんだー!っていうか、いつもなに食べてるのー?」

 

「今はパンやらカップラーメンやらだ。昔はマスターが旨いオムライスを作ってくれたが、今はさっぱりだ」

 

すると、またも別の女子が話し掛ける。

 

「あ、じゃあバクちゃん、今日一緒に学食行く?オムライスもあるよ!」

 

「本当か!?」

 

「あ、ずるい!私まだバクちゃんとお話してないよ!」

 

「私も!グループで行こう、グループで!」

 

教室の一隅(いちぐう)を占領し、ワイワイと騒ぐ女子生徒達。

ユウトは、つまらなさそうにぼやいた。

 

「楽しそうにしやがって・・・随分あっさり溶け込んでるじゃんかあの野郎」

 

あはは、と苦笑するユキ。

 

「つまり、こういうこと?机の上にテレポートしたように見えたのは、叶君の周りにあった『光』を食べて、一瞬姿が見えなくなった事による錯視(さくし)。龍城君の電流に巻かれても平気だったのは、叶君の『痛み』を食べていたから。爆発のダメージが無かったのは、『爆風』と『衝撃』、そして体への『ダメージ』を食べていたから。それで、能力を使ってなかったっていうのは・・・」

 

「『俺の』能力は一切発動してなかったって意味だ。あいつは、俺の能力とは何の関係も無い存在なんだよ。あの時色々食ってたのも、あいつが勝手にやった事だし・・・ちなみに言うと、息は超苦しかった。死ぬかと思った。余裕ぶっこいてたのとか、丸っきり演技だった」

 

「驚かすなよ・・・能力に自信無くすとこだったぞ」

 

ライトは何故かユウト達の席の近くに立ち、ほっと胸をなで下ろしている。

そこへ、チナツが声を張り上げた。

 

「お前ら、席に着けー!1時限目始まんぞ-!」

 

タイミングよくチャイムも鳴り出し、生徒達はそれぞれの席へ戻っていく。

バクバクもピアスに戻り、ユウトの右耳にぶら下がった。

 

「よし、全員いるな?・・・さて、皆さんお待ちかね、ペナルティの時間だ。楽しい楽しい、ゴミ拾いするぞー」

 

ペナルティが無いとは誰も言ってない。

その瞬間まで、生徒達は誰一人としてそれに気付いていなかったのだった。




バクバクのイメージが上手く湧かない方は、
・暗殺教室28話「映画の時間」に出てきた翻訳触手
・LINEマンガで絶賛無料配信中(一部)の「百万畳ラビリンス」に出てくる《ルームシャーク》
・『D.Gray-man』(ディーグレイマン)に出てくる《ティムキャンピー》

この辺を黒く塗ってみるとイメージしやすいかと思います。
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