シャフティング・マインド(凍結)   作:lock

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こんばんは。
アニメも終わって随分経つのに、まだカゲロウプロジェクト大好きなlockです。
14話「場違いーOut of placeー」を投稿します。


場違いーOut of placeー

それは一言で表現すると、『場違い』な物だった。

赤黒くこびりついた血も、鼻を覆う腐臭も、苦しげに蠢く掌(て)も目も脚も、昼前の商店街には全くそぐわず。

ごみ袋を持った4人も、『それ』に気付いた周りの人々も。

あまりに異質すぎる『それ』を目前にして、凍ったように動きを止めてしまった。

訪れる静寂。

そして、怒りを孕んだ声がその静寂を破った。

 

「お前ら…何のつもりだ」

 

ユウトが、1m程もある銀の十字架を構えていた。

見れば、右耳のピアスがなくなっている。

男は無気力な顔で、何も答えずに静止していた。

 

「答えないなら…潰してやるよッ!!」

 

ユウトが勢いよく駆け出し、決して軽くは無いであろう十字架を、男目掛けて降り下ろす。

頭部に直撃するかというその瞬間、男は腕を曲げ、猛烈な勢いで迫っていた十字架を受け止めた。

男の目がギョロリと回り、ユウトを捉える。

 

「ごみ…?ごミ…ゴミだよね…」

 

ブツブツと呟きだす男。

ユウトはバックステップで大きく距離を取り、後ろのクラスメイト達に向けて叫んだ。

 

「お前ら!全員伏せろ!!」

 

その言葉でようやく我に帰った、生徒3人や周囲の人々。

 

「キャアァァァァッ!!」

 

ユウトの声を聞いた全員がコンクリートに伏せ、同時に今さらのように悲鳴が響く。

その場が、ようやく『非常』を認識したらしかった。

男は、悲鳴にもまるで反応を示さず、更にブツブツと言葉を溢す。

 

「ゴミなら…ゴミは…捨てて来いって…言われタからネ―――」

 

ユウトが、十字架を体の前で横に構え、足を踏み締める。

 

「ゴミ…キエロ」

 

男の声が、ガラガラ声に変わると同時。

バキバキッ!

男の両腕が、十にも十五にも曲がる。

ベキ、ボキグシャ!!

胴体が文字通りに捻り潰れ、頭蓋が頂点から2つに裂けていく。

そこまでになっても、男の体は血の一滴たりとも流すことなく。

曲がり、潰れ、裂け・・・やがて、黒く変色しながら丸みを帯びていく。

 

「ゴミ・・・ゴミ・・・ミンナ・・・ゴミ・・・」

 

ガラガラでくぐもった声を発しながら、男から黒い球体となったそれは宙に浮かび・・・

 

爆散。

 

爆音、そして衝撃波と共に、ビシャ、ビチャッと血肉が周囲に飛び散っていく。

ユウトは立ったまま、踏ん張りで衝撃波を堪える。

ビリビリと、十字架を持つ彼の右手に振動が伝わり、ユウトは危うく十字架を取り落としそうになる。

だが、すんでの所で持ち直した。

 

キィィン―――

 

「野郎・・・!」

 

憎々しげに唸(うな)り、ユウトは駆け出す。

彼の目がしっかと捉えているのは、骸(むくろ)。

地に両足を着け、手と頭をダランと下げる、白骨死体。

いや、死体という言い方は、もしかしたら適切では無いのかも知れない。

何故なら、

 

ガキィンッ!

 

今度は左脇腹に、またも猛烈な勢いで振るわれたユウトの十字架を受けて、微動だにせず屹立しているのだから。

 

「・・・ッ!」

 

ユウトは、右手に響く反動に顔を歪め、距離を取るべく重心を後ろに掛け―――

 

ビュン、ビッ!

 

たところで、そのままドウッと後ろに倒れた。

 

「叶!?」

 

ライトが伏せた状態から立ち上がり、ユウトへ駆け寄ろうとする。

 

キィィィン―――

 

「来るな!危ねえぞ!」

 

「で、でも・・・!」

 

棒立ちになったライトが見たのは、腹部から血を流し、倒れ込むユウト。

ポタリ、ポタリと、骸骨の左手から血が垂れている―――凄まじい速さで振るわれた指先が、彼の胴を浅く抉ったのだ。

出血量こそ少ないが、ダメージが体に刻まれたのは確実だった。

 

「無茶だろ!ここは校舎じゃ無いんだ、仮想空間(バーチャル)起動(セット)は出来ないんだぞ!?」

 

「うるせえ・・・黙って大人しくしてろ」

 

ライトの言葉に耳も貸さず、またフラフラと立ち上がるユウト。

 

「くっそ・・・どうしろってんだよ・・・!」

 

生まれてこの方、ケンカする事はあれども、ここまでの血を見る機会は無かったライト。

立て続けに起こった、理解の範疇を超える出来事に、脳がパニックを起こしかけたとき。

何者かが、彼らのすぐ近くにあるファストフード店の屋根から身を躍らせ―――

 

「ユウトーーーッ!!」

 

ドン!と音を立て、ユウトの隣に着地した。

闖入者(ちんにゅうしゃ)の姿を認めたユウトは、目を丸くして彼女を怒鳴りつけた。

 

「バッ・・・何でこんなとこ来てんだ、お前!」

 

「ユウトがピンチだってのに、放っておける訳ないでしょ!」

 

すっくと立ち上がったのは、ショートの茶髪にネコミミを生やし、同色の尾をピンと立てた女の子。

ユウトを慕(した)う活発少女、ネコである。

 

「あー・・・そういや、君らも幼馴染みだったっけ」

 

アズサと共に起き上がりつつ、ヒロミツが呑気に独りごちる。

 

「って言うかお前、校舎周りの清掃じゃなかったのかよ!軽く1kmは離れてるぞ!?300mが限界だったんじゃ・・・」

 

「ふっふーん、ある程度範囲を狭めれば、距離を伸ばせるの忘れた?あと、もう300mじゃなくて500mだから。あたしの成長を舐めないでよね」

 

そう。彼女は、情報を得ることを得意とする『予測』の能力者。そして彼女の能力である《猫神の恩恵(キャッツセンス)》は、その中でも音響情報・・・『音』を探知できる能力なのである。

彼女はその能力を活かし、ユウトがいる場所の音を常時聞き続け、いち早く異常を察知して駆けつけたというわけだ。

因みに、建物の屋根から飛び降りても平気だったのは、思(マインド)を纏った事による基礎身体能力の上昇と、本人曰く『能力の、なんかネコっぽい補正』との事である。

 

「いや、舐めてねえけどさ・・・どっちにしろ、お前に戦闘は無理だ!逃げろ!」

 

「やっぱり舐めてんじゃん!あたしも成長したんだってば!」

 

ギャースカギャースカと、益体も無い言い争いを続ける二人。

不意打ちを加えるチャンスだというのに、ガイコツは微動だにしていない。

そこへ、また新たな人間が姿を現した。

 

「ネ、ネコ、ちゃん・・・待って、ってばぁ・・・」

 

ゼエゼエと息を切らしながら走ってきたのは、銀髪と、たわわに実る熟れた桃を揺らす、ユキだった。

 

「ほほーう・・・?」

 

たちまち情けない顔になるヒロミツの目を、アズサが目つぶしする。

悶絶しながら地べたを転がる変態をよそに、アズサはユウト達に声を掛けた。

 

「聞いて・・・!先生に、メールで助けを呼んだ。今は寮の方にいるから、10分ぐらいで着く、って・・・!」

 

それを聞いて、ヒロミツ以外の全員が、禍々しい思(マインド)を立ち上らせるガイコツを注視する。

 

「動かない・・・のか?」

 

そのライトの言葉を、ユウトとネコは直ぐに否定する。

 

「いや」

 

「ううん・・・じきに、動き出す」

 

その言葉通り、ガイコツはゆっくりと、思(マインド)を練り上げ始める。

 

戦闘再開は、もう直ぐそこだった。




うう・・・さりげない胸の書き方が分からない・・・
あ、ゲス男1号の名前変えました。なんか、ユウトと微妙な被り具合を感じたので。
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