シャフティング・マインド(凍結)   作:lock

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こんばんは。
最近は毎日昼寝してしまっているlockです。
16話「戦闘ーCombatー【Ⅱ】」を投稿します。


戦闘ーCombatー【Ⅱ】

ビュアッ!

 

鋭く空を裂く指先が、ユウトの鼻先を掠める。

 

「ハッ!」

 

電流が(ほとばし)り、踏み込もうとしていた右足の動きが止まる。

その足を目掛けて、今度は別方向から鎖が跳びかかるが、寸前のバックジャンプで回避される。

 

「むう・・・」

 

不満げな声を漏らしつつ、鎖を引き戻すアズサ。

鎖を振り(ほど)かれてから、骸骨の攻撃は当たらず、だが鎖が再び骸骨を捕らえる事もなく。

奇妙な膠着(こうちゃく)状態を保ったまま、早5,6分もこの調子が続いていた。

 

「皆!お願いだから無茶しないで!倒そうとか考えないでね!」

 

後方から、ユキが心配そうに注意する。

 

「分かってるよ!てかお前ら、戦えないなら逃げろよ!」

 

ライトが後ろへ向けて叫ぶが、

 

「そんな訳にいかないってば!ユウトが体を張って戦ってるんだから、私だって戦う・・・うっ・・・もう!離してってばユキちゃん!多知花君!」

 

「だーめ♪」

 

「ダメですぞ」

 

戦闘向けの能力があるわけでも、基礎体力が優れているわけでも無いのに自分も闘うと言って聞かないネコが、ユキとヒロミツによって、両手両足を押さえつけられていた。

 

「お前ら、そのバカ絶対放すんじゃねえぞ―――っと!」

 

さながらフェンシング選手のような鋭い突きを、体を捻って躱すユウト。

お返しの十字架を見舞い、距離を取って体勢を立て直す。

そうしている間にも、鎖と紫電がひっきりなしに骸骨を襲うのだが、段々余裕を持って躱されるようになってしまっている。

理由は簡単。

行われているのは『ケンカ』ではなく『戦闘』、相手は『生徒』ではなく正体不明の『敵』。そして場所は、教師の目が届く『校舎』ではなく、バーチャルセットが使えない『屋外』。

それらの要素による無意識のプレッシャーが、ライト達の集中力や体力を、少しずつ削っているのである。

 

「はあ・・・はあ・・・おい!チナツセンセはまだなのかよ!」

 

ライトが息を切らし始め、焦りの表情が浮かんでくる。

戦況が動かない事も、彼の緊張に拍車をかけているらしかった。

 

「はあっ・・・ライト、少し落ち着く・・・べき」

 

こちらも息を切らし、だが冷静に、アズサはライトを励ます。

 

「あと5分・・・その間は引きつけて、逃がさないようにする・・・チナツ先生が来れば、きっと何とかなる・・・それまで、待つ!」

 

鎖を縦横無尽に繰り出し、骸骨の足場を制限していくアズサ。

それに触発されるように、ライトの顔にも、少し余裕が戻る。

 

「そう、だな・・・おーし!バチ来いや!」

 

その様子を見ていたヒロミツは、ネコを抑えながらポツリとこぼした。

 

「『それ必ず救うの軍ある者は、すなわち必ず守るの城あり。必ず救うの軍なき者は、すなわち必ず守るの城なし。』か・・・」

 

「え?何それ?」

 

ユキが、これまたネコをがっちりホールドしながら聞く。

 

尉繚子(うつりょうし)っていう、昔中国で書かれた兵法書の一節だよ。籠城戦の心得で、『籠城において、援軍のアテがある城は守りきることができるが、アテが無い城は必ず落城する運命にある』って意味」

 

ユキは小首を傾げる。

 

「うーん・・・分かるような、分かんないような・・・流石(さすが)は多知花君だね、すごく物知り」

 

アハハ、と苦笑するヒロミツ。

だがその時、ふとユキが視線を留めた。

 

「・・・あれ?ユウト君・・・」

 

「?」

 

つられてヒロミツも、戦闘の方へ目を向ける。

 

「そらっ!」

 

動きを鈍らせるライト。

 

「・・・はっ!」

 

行動範囲を狭めるアズサ。

二人とも能力を上手く使い、見事に骸骨を抑えられている。

 

そう、二人は『抑える』動きをしているのだ。

チナツが到着さえすれば、この得体の知れない骸骨もどうにかなる。

大人という存在、教師という存在への信頼感が、彼らにそう思わせてくれている。

・・・だが。

 

「ハアァァッッ!!」

 

ギィン!

 

打ち下ろした十字架を受け止められ、歯を食いしばって押し込もうとするユウト。

その表情には、全く収まる気配の無い焦燥が、ありありと浮かんでいる。

そう、彼の動きにだけは、何故だか敵を『破壊』しようとする明確な意思が見られたのだ。

ユキは、彼を落ち着かせようと大声で叫んだ。

 

「叶君!無理に攻撃しないで!『倒そうとか考えないでね』って言ったでしょ!?」

 

だが、その言葉すら彼には聞こえていない様だった。

それどころか、ますます焦るように、攻撃のピッチが上がっていく。

 

「ユウトッ!!」

 

押さえ付けられたままのネコが必死に叫ぶが、全く反応を見せない。

 

「駄目!止めてユウト!それじゃ倒せない!」

 

「・・・るさい・・・」

 

キィィィン―――

 

その時、丁度のタイミングで。

骸骨もライトもアズサもユウトも。

一瞬、全員の動きが止まり、戦闘音に僅かな切れ目ができた、そのタイミングで。

ユキは、高い音・・・耳鳴りのような、その音を聞いた。

ユウトは十字架を脇に投げ捨て、拳を固める。

 

「テメエは・・・絶対にぶっ壊す!」

 

彼が叫んだ、その瞬間。

 

ユウトの全身を覆うマインドがキラキラと、白く輝きだす。

それはまるで全身を、雪原の(きら)めきが覆ったかのように美しく。

だがその表情は・・・どこまでも醜い、『怒り』と『憎悪』に満ちていた。

 

「ユウト!ダメーッッ!!」

 

キィィィン・・・!

 

誰もが動きを止めた中、甲高い音と共に、ユウトのマインドが体表を流れ始める。

頭頂から足の先まで、全てのマインドが一カ所に・・・強く握られる、右手へと集まっていく。

集まり、(まと)まり、圧縮し。

ほどなくユウトの右手は、銀に光るマインドで覆われ、(まばゆ)いばかりの光を放っていた。

 

「ウオオオオオオーーッッ!!」

 

ユウトは吠え、駆け出す。

棒立ちになって微動だにしない、かつて人であったはずのそれに向かって。

ユウトは走る速度を殺さず、勢いをそのままに―――

がら空きの顔面に、右拳を叩き込んだ。

 

バガァァァン!!!

 

凄まじい破裂音。頭蓋骨は粉々に砕け、その破片をバラバラと散らした。




うーん・・・意識してるつもりは無かったんですけど、読み返してみると・・・
・・・ダーメだこれ、言及されても何も言い返せない・・・
好きですよ、ええ・・・アニメ全部見ましたよ・・・連載の再開が待ち遠しいですよ・・・

―――「HUNTER×HUNTER」。
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