スプラトゥーンのガチエリアでのみすさまじく勝ち続けるlockです。
7話「献身ーSelf‐sacrificeー」を投稿します。
「う、ん・・・」
ユウトは、顔に冷たさを感じて目が覚めた。
うっすら
天井に設置されたスプリンクラーが降らせる、雨だった。
(そっか・・・熱帯雨林だもんな、雨くらい降るよな、うん)
ぼんやりした脳でザアザアと鳴る降水音を認識しながら、彼は上体を起こす。
全身が妙にズキズキ痛み、考えも明瞭としない。
辺りを見渡すと、何やら大きくて黒い塊がそこにあった。
動かない体に鞭を打ち、立ち上がる。それの正体を見極めようと、一歩、二歩近づいた。
すると、その塊が僅かに動きを見せる。
一部が少し盛り上がり、低い音を立てる。
その部分をよく注視し、やっとユウトはその正体に気付いた。
「う、あ・・・」
情けない声を上げ、再び尻餅を
顔。そして腕と胴体、脚。
自分が意識を失う、その直前まで闘っていたはずの
だがその体は、ユウトを猛然と追い掛け回していた時とは比べ物にならないほどみずぼらしく、汚いものだった。
力強かった脚はひしゃげ、腕はあらぬ方向に折れ曲がっている。胴体は所々、まるでクレーターのように
そこで彼は、ふと気付く。
雨の音に交じり、キメラではない何者かのうめき声がすることに。
「誰か・・・いるのか?」
答えは無い。
うめき声は、横たわるキメラの、更に向こうから聞こえてくるようだった。
ユウトは地面に手をつき、四つん這いで、キメラの足の方からその向こう側へ回り込んだ。
果たしてそこには。
「黒・・・萩?」
均整の取れた体を地面に横たえ、制服と銀髪を泥だらけにし。
整った顔を苦悶に歪め、悪夢に
「う、あ、ああ・・・ぐ、ぐぐ・・・」
その様は、まるで拷問を受けているかのようで。
とても見ていられず、ユウキは目を逸らした。
うめき声と冷たい雨の中で少しづつはっきりしてきた彼の脳に、いくつもの疑問が浮かんできた。
なぜ、俺は五体満足で目を覚ますことができた?
なぜ、キメラが瀕死で倒れている?
なぜ、黒萩がここに?
なぜ、こんな事に・・・?
そこへ、ザッ、ザザッとノイズ音が鳴り、続けてチナツの声が響き渡った。
『あー、テステス・・・フィー、やあっと繋がったぜ・・・クソガキ、無事かー?』
「無事・・・だと思う」
ぼそぼそと、ユウトは返答する。
『全く、男ならしゃんとしろ、しゃんと!それで、ボールはどうした?』
言われてユウトは、目線を下向ける。
キメラの頭部に取り付けられていた、オレンジの光を放つボール。
それがヒビ一つなく、足下に転がっていた。
ユウトは、それを拾い上げる。
オレンジだったボールが、明るい緑へと変わった。
パンパカパーン!と場違いもいいところなファンファーレが鳴り、粋な演出のつもりか、色とりどりのレーザー光まで降ってくる。
ユウトはそれらを無感動に見つめ、ただ立ち尽くしていた。
すると、20メートルほど離れた場所の壁が開き、通路が姿を現した。
『ユキと一緒に、そこから帰ってこい。優しく連れて来るんだぞ?』
チナツの指示が降ってくる。
ユウトは無言でボールを投げ捨て、ユキの傍に立った。
呻くユキの膝の下に手を入れ、背中と地面の間に腕を捻じ込む。
そのまま、所謂《お姫様だっこ》の体勢でユキを持ち上げ、通路へ向かって歩き出す。
「こんな、ロマンスもへったくれもないようなお姫様だっこがあったとはね・・・」
モニタールームのチナツは、そうぼやいた。
=============================
モニタールームのスライドドアが開き、ユウトとユキが入ってくる。
ユキはやはり、依然として魘されたままである。
「お疲れさん。とりあえず、ユキをここに寝かせてくれ」
ドアのすぐ右にいたチナツが、ソファをぽんぽん叩いて指示を出す。
ユウトは黙って従い、ユキをそっとソファに寝かせた。
そこへチナツがユキの手を握りしめ、目を閉じて何かを念じ始める。
するとどうしたことか、ユキのうめき声はピタリと止み、呼吸も落ち着いてきた。
「お前・・・どうやったんだ」
そこでようやく、ユウトが声を発する。
チナツは答えた。
「別に?ただ、あたしがこういうのに向いてるってだけでね」
その
そして、別の質問をする。
「なあ、教えてくれ・・・一体、何があった?」
「何って?」
「黒萩が、あの場所にいた理由とか・・・あのキメラを倒したのが、何なのかとか」
チナツは再び瞑目し、数秒考えるようにしてから、
「分かった。知りたければ教えるさ、それが教師って人間の務めだからな。ただし」
チナツは、右手の人差し指、中指、薬指を立てて示した。
「条件が3つある。守れるっていうんなら、話してやってもいいぜ」
「・・・なんだ?その条件ってのは」
「まず1つ目。まあ月並みだが、これから話すことは一切他言無用だ。
2つ目は、ちょっとしたお使いを頼まれてくれってことだ。これについての詳細は、また後で話す。3つ目は・・・」
そこでチナツは言いよどんだ。言いたくはないことのように、言いづらそうに。
チナツの視線が、ユキの方へ向く。
「3つ目は・・・人を1人、殺してほしいんだ」
ユキの顔にまた、苦しみの表情がうっすらと浮かんだ。
毎度毎度、よく1分前で仕上がるなと思います。
予約投稿してるわけでもないんですよ・・・