シャフティング・マインド(凍結)   作:lock

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こんばんは。
もう1週間以上も毎日投稿してるんだなーと、自分でも結構ビックリしているlockです。
8話「破壊ーDestructionー」を投稿します。


破壊ーDestructionー

「人を・・・殺す?」

 

ユウトは、呆然として聞き返した。

 

『人を1人殺してほしい』

 

ユウトの耳には、確かにそう聞こえた。

そしてそれは、やはり聞き間違えなどではなく。

 

「そうだ・・・人を、殺す」

 

チナツは再度、己に確かめるようにそう言った。

その目の光は揺らいでおり、幾許(いくばく)かの迷いが見て取れる。

だがチナツは、その迷いを振り切るように口許を引き締めた。

 

「お前、異能力に関しては、何をどれだけ知っている?」

 

ユウトは突然話題が変わったことに驚きを隠せず、また、隠さなかった。

 

「ちょ、ちょっと待て!何でそんな事を・・・人を殺すなんて・・・!それがなんで知識の確認に―――」

 

しかしそのユウトの言葉を、チナツはぴしゃりと遮った。

 

「無駄口を閉じろ。そして答えろ。今は復習の時間だ」

 

答えなければ、話は進められない。お前の知りたい情報も開示しない。

ユウトは、そう暗に告げられた事を悟り、奥歯を噛み締めると、自分の知識を一つ一つ思い出しながら答えていった。

 

「っと・・・まず、世界で初めて能力が発見されたのが31年前。世間に公表されたのは半年後で、それから少しずつ能力者が増えてって・・・今は人類の約10パーセントの、大体8億人が能力者。でも、そのほとんどが能力を発動できない。能力があるってことは、あれで判るんだけど・・・あれ、なんだっけ、あの計測器の名前・・・プ、プル・・・」

 

名称を思い出そうと、頭を捻りだすユウト。

チナツは呆れ顔でポケットをごそごそと探ると、虫眼鏡の持ち手部分にボタンが一つ付いたようなそれを取り出した。

 

「プルチック・メーターだ。そんぐらい覚えとけ」

 

「っ・・・と、とにかく、自分の能力を十分に発動できるのは、8億人の中でもごくわずか・・・200万人位で、日本人では約3万人。で、その3万人の内のほとんどがこの神威学園の中で生活している。ここがやたらにデカくていろんな店が入ってたりするのも、大人の能力者を、労働者としてここに入れておくためだ。それと、能力の明確な呼び方は、30年以上経った今でも決まってなくて・・・それぞれ勝手に【超能力】とか【マインド・パワー】だとか呼んでる」

 

そこでチナツは、一旦ユウトの言葉を遮った。

 

「不良にしか見えないファッションしてるくせに、よくもそんなに数字を覚えていられるもんだな。先生感心したぞ」

 

右の耳たぶに付けられたピアスを見ながらの皮肉に、ユウトは苦虫を噛み潰したような顔で反駁(はんばく)した。

 

「うるさい。見た目と記憶力は関係ないだろ」

 

「まあ、それもそうだな・・・それならユウト、さっき【マインド・パワー】と言ったが、なぜそうとも呼ばれているかは解るか?」

 

「・・・発動できる能力の性質が、能力者の精神に大きく左右されるからだ。能力者は、自分の精神力を、微粒子として体に纏わせることができる。これが(マインド)と呼ばれていて、能力者はそれを操ったり変質させたり―――いろんな方法で能力を使う。んで、精神が成熟し始める中学生から、安定してくる20代までが最も強力に能力を発動できる。能力は9種類に分けられていて、『怒り』『攻撃性』『予測』『喜び』・・・で、後は・・・」

 

そこでユウトは、また言葉に詰まった。そしてまたチナツが助け舟を出す。

 

「『楽観』『心配』『服従』『信頼』『分類不能』だ。ちなみに言っとくと、あたしの能力は『服従』に分類されてる」

 

「・・・あっそ。で、なんなんだ?まさか、本当に授業をするだけってことはないよな?」

 

ユウトは、鋭い目線で問いただした。いい加減に、我慢の限界だったのだ。

 

「そろそろ教えろよ。一体あの時、何があったんだ?殺すって、誰をなぜ殺すんだ?」

 

チナツは答えず、ホログラムウィンドウにコマンドを打ち込み、モニターに映像を表示させた。

 

「これは、2週間前・・・ユキがテストをした時の映像なんだが」

 

そこに映っていたのは―――

 

ドドドドドド――――――轟音を立てて崩壊していく、先ほどまで自分たちがいた熱帯雨林だった。

 

「な・・・!」

 

ユウキは驚愕した。

地下にいったいどれだけの空間を造ったというのか、あの熱帯雨林は、軽く見積もっても500メートル四方はあったのだ。それが、見るも無残に破壊されていく。

木は倒れ、草は吹き飛び、その空間はあっという間に―――

粉々。そう形容して差し支えないであろう程に、何も残らぬ土地に変貌してしまった。

 

「何でだ!?俺以外のテストは、仮想訓練室で行われたんじゃ無かったのか!?」

 

「・・・仕方ないから教えるがな、一部の生徒のテストは、実技演習室で行われたんだよ」

 

白い手袋がウィンドウを滑り、画面の一部がクローズアップされる。

映像が乱れていて見えづらいが、どうやら人影が空中に浮いているようだった。

 

「ユキやお前みたく突出した能力を持つ奴らには、仮想訓練室のテストは生(ぬる)すぎたからな。お前だって、能力を使えばあのゴリちゃんにすら勝てただろうに」

 

ズキン。

打ち付けでもしたのか、鈍く痛む胸を、ユウトはギュッと押さえた。

チナツは更に続ける。

 

「まあ半日もあれば全部直るから、それは問題ない訳だが・・・問題は、この力が大きすぎるって事だ」

 

チナツは告げる。

 

「これは、ユキの能力がもたらした破壊だ。ユキは一人で、あの演習室を壊滅させちまったんだよ。しかも・・・これで、まだ1%も力を発揮していない」

 

更に驚く余裕も、ユウトにはもう無かった。

 

「―――さすがに、何となく解るだろ?」

 

チナツは、ソファに横たわるユキの額をそっと撫でた。

 

「殺す標的(ターゲット)黒萩(クロハギ) (ユキ)。能力は『分類不能』の《厄災の箱(パンドラボックス)》・・・無差別に破壊を振りまく、世界最強クラスにして最高の破壊力を持った能力だ」




はい、説明回でした。
いつもより文字数少ないですね・・・その上、まだまだ全然説明しきれてないです。
どうしよう・・・

(8/14修正)
細かいところ直してたら、いつの間にかいつもぐらいの文字数になってました
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