黒き鎧は手を伸ばす   作:黒烏ノ艮

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・「」通常会話
・『』機械音、電話、一部用語や単語
・《》アバター名、技名
・【】思念発声


1話

夢を、見ていたんです。

夢の中のボクは、目の前の欲しい物に手をのばし、例え届かなくてもそれでもと、手を伸ばし続ける人でした。

その人の苦しみはとても強く、その人の思いもとても強かった。

ボクは叫びました。

頑張れ!頑張れ!頑張れ!!

そう強く願い続けていたんです。

 

 

 

『ピピッ、ピピッ、ピピッ…』

「ふぁ~…変な夢…です…」

 

目覚ましの音で目が覚めたボクは、布団の中で欠伸と共に呟く。

目覚まし時計はニューロリンカーのアプリなので音は響かず同室の"ニコちゃん"を起こさないで良かったです。

すーぴーと起きた様子がないのを見て、そう思いながらまだ鳴り続けているアプリを止めながらベットから抜け出し、着替えを始めます。

 

ボクの名前は神雅 朝凪。全寮制の小学校に通う3年生。好きなのは料理と格闘系全般、苦手なのは体育と英語な、極々普通の女子です。

もちろん体育が苦手なボクは格闘技が好きと言ってもTVで見たり、ニューロリンカーで調べて物真似したりしかできませんですが。

 

"ニコちゃん"は同じ学校に通う上級生で寮の同室の上月 由仁子ちゃん。5年生のニコちゃんはボクの2つ上です。

ニコちゃんは本当は"ちゃん"をつけるなって言うのですが、照れ隠しなが分かってるから呼び名はニコちゃん。

ちょっと怒りっぽかったり口が悪かったりするけど、とっても面倒見が良くて優しくて、寝てたり猫被ってるとまるで、天使の様にかわいい女の子です。

 

ボクが通っている学校は制服なので三貫日も終わり、3学期が始まったばかりの今は長袖ブラウスに黄色い厚手のチェックのスカート、紺のブレザーに学年別カラーのリボン。

ボクの学年は紺…というより黒になり、同学年の女子には評判が良くないです。

 

本当はスカートではなくズボンを履きたいですけど、学校の指定なので仕方なく、代わりにボクはニコちゃん提案の黒タイツを履いている。

 

クローゼットに備え付いている鏡を見ながら髪の寝癖を梳かし、ストレートを左右で黒のヘアゴムで適当に束ねておさげにすれば身支度は終わりです。

この髪型もニコちゃんが「これなら楽だし女子らしくなる」といろいろ気に掛けて考えてくれたです。

 

昨日の夜も遅くまでこっそりフルダイブ系のゲームをやっていた様子だったので、まだニコちゃんを起こさない様に静かに部屋を出ます。

 

洗面所にて朝の身だしなみを終えて、食堂に近付くと庭の畑を寮長先生が手入れをしている様子が見えた。

 

「おはようなのです。寮長先生」

 

「あら、早いのね。朝凪さん」

 

そう言って立ち上がってこっちに微笑んでくれたあの人がボクや、ニコちゃんが通っている全寮制の学校練馬区・遺棄児童総合保護育成学校の寮長先生。本当は寮長だけど先生じゃないらしいけど、皆から寮長先生って呼ばれるとっても優しい先生です。

 

「朝ご飯作るのお手伝いするです!」

 

「毎朝ありがとう、お願いしますね」

 

そう話してから厨房で、寮長先生が来るまでにボク用に買って貰ったエプロンを付けて、調理の準備を始めます。

女子寮だけですが全員分ですから手早く、そして美味しく作ってしまうですよ!

 

 

 

 

 

「朝凪さん。そろそろあなたも食べて」

 

部活の朝練や日直当番などの早め登校組が朝食を食べ終わり、空いた席で通常登校組が大方食べ始めた所で寮長先生から声がかかりました。

 

後から合流した朝の朝食当番のメンバーも皆自分の分を受け取っている所でしたので、ボクも貰おうと思い、ふと気付きました。

 

ニコちゃんがまだ起きて来てない。

 

寮長先生にニコちゃんを起こしに行くことを告げてから部屋に戻ると、案の定未だに気持ちよさそうに寝ていました。

 

あまりに気持ちよさそうなので起こすのも忍びないです。けれどあんまり遅くなると朝食を食べる時間が無くなってしまうです。

 

よし!起こすぞっ!と気合いを入れてからカーテンと窓を開け、布団を両手で持って勢い良くひっぺがし、大きく息を吸って。

 

「ニコちゃん起きろー!」

 

「なんだ!?何処のレギオンの襲撃だ!…あ"?」

 

と、ニコちゃんを起こす事に成功したです。

 

 

 

 

「ダメですよー?あんまり夜更かししちゃあ」

 

ニコちゃんは着替えながら、ボクのニコちゃんの布団を折り畳みながらするお説教を憮然とした様子で聞いていた。

 

ゲームが楽しいのは分かるですが、朝起きられないのではダメですからね。おこずかいの範囲内であって勉強や日常生活に影響が無ければ、ボクも子供身ですからあんまりいろいろ言いたくは無いですが。

 

「朝食抜くと大っきくなれないですよ?」

 

「ぐっ…ぬぬぬっ…」

 

でも、ニコちゃんがそこまでのめり込むゲームなんて珍しいですね。

近頃、旧世代のちょっと過激なゲームが好きなのは知ってましたが、フルダイブ系では対戦型のFPSなんかでも倫理がどうのこうので、人の形ではなくぬいぐるみが水鉄砲を撃ったりしているので、好きではなかった様子でしたが。

そして何よりニコちゃんは人見知りが強いですからね。

 

「誰かと一緒にゲームしてるですか?」

 

「ん?あぁ、深山に誘われて始めたんだが、結構楽しくってな。」

 

キー君が誘ったですか。キー君は本名は深山 騎兵と言ってニコちゃんの更に2つ上、今中学1年で同じ寮の先輩です。背が低い事を悩んいたり、あんまり男らしい顔で無いことを悩んでいたりと、頼りない所もあるですがとっても優しいお兄さんです。

呼び名はキー君。頼りがいがもう少し付いたらキー兄ぃにするかもしれないです。

前は良くニコちゃんと一緒に良く遊んだですが、中学に上がってからはあんまり会ってないですからね。元気にやってるかな?

 

「ニコちゃん、今度ボクもそのゲーム誘って欲しいです。キー君とまた遊びたいです。」

 

「あー…まぁ、気が向いたらな…」

 

む。あんまり誘う気ないですね?まぁ、仕方ないですね。そろそろご飯食べないと学校に遅刻しちゃうですから。行くですよ、ニコちゃん。

 

 

 

 

朝はなんとか学校に遅刻することもなく、その日学校ではいつもどうりいつもの1日でした。

 

ニコちゃんとは校門で別れて、友達と挨拶をしながら上靴に履き替え、教室に向かいました。ニコちゃんとは学年も離れてるので下駄箱も遠いです。

 

いつもどうり友達とお話をしながら先生を待って、いつもどうり退屈な授業を受け、いつもどうり体育を見学し、いつもどうり美味しい給食を食べて、いつもどうり眠い午後の授業を乗り越えての下校です。

 

うちの学校はお掃除には業者さんが入るのでそれだけは助かるです。決してお掃除が嫌いな訳ではないですが、放課後は用事がある生徒も多いので、寮の門限までに帰ろうとするとするとギリギリで慌ただしくなるですから。

 

「どうして手をだしたんだ!」

 

学校から帰ると庭の方からニコちゃんの声が聞こえて来るです。なんだかちょっと穏やかでない感じの声です。

うちの寮はその性質上、トイレやお風呂場の様な所以外の公共スペースなどはソーシャルカメラ、昔で言う所の防犯カメラの様なものがあるですが、庭の畑には意外と死角になってしまう所が多くあるので何かあったら大変です。

 

そう思って覗いてみると、キー君とニコちゃんがいました。一応暴力であったり、恐喝の類いではないので話を聞いていると、どうやらニコちゃんが怒っていて、キー君が聞き流している様です。

 

朝に話した例のゲームの事でしょうか?不可侵条約とか災禍の鎧を手放せとかレギオン存続とか断罪とか聞こえます。

 

どうやらキー君がゲーム内の他のチーム、レギオンに、災禍の鎧と言う伝説級呪いのアイテムをどっからか持ってきて、殴り込みをかけたと。

 

しかし、レギオン同士は不可侵条約を結んでいるのでこのままでは他レギオン全体に潰される事になる。

 

そうなる前にキー君をレギオンマスターとして断罪と言う一撃必殺で排除するか、王として災禍の鎧を他の王達に犯人として差し出さなくてはならない。

と、言う事らしい。

 

 

わお、キー君大胆。でも、キー君がそんなニコちゃんの敵になるような事を積極的にやるとは思えないんだけど…

 

んー…プライド…かな?ニコちゃんはキー君に誘われてゲーム始めたって言ってたけど、ニコちゃんの方が王って言う位強かったり、レギオンマスターとして地位が上だったりとキー君のプライドぼろぼろで、誘った方としての意地だったりで強くなりたくて、いろいろしてたらやり過ぎちゃった、とか。

 

でもキー君、災禍の鎧どこから持って来たんだろ?そこまで強くないはず(だからこそ呪いのアイテムを使ったはず)のキー君がラッキーだけで、伝説のアイテム手に入れられると思えない。

 

となると…キー君にレギオン全体に関わる問題を起こさせて達成する目的…ニコちゃんがキー君の事で黙っていられるはずがない…引っ張り出すのが目的?

 

「これは…侵略戦争仕掛けられてるかも知れないです…」

 

 

 

 

ニコちゃんとキー君の話はボクがいろいろ考えいた後直ぐに、キー君が強引に部屋に戻った事でお開きになったです。

でも…

 

「おい、いつからそこで聞いてた?」

 

ボクがニコちゃんに見つかり、ニコちゃんがしまったと言う顔をした後、厳しい顔をしたまままお部屋へ連行された後、ボクは壁を背にニコちゃんが手で逃げ場を封じられた状態で詰問されてるです。

あんまり近くでかわいいニコちゃんの顔みると顔が赤くなる気がして、ドキドキするです。

 

ボクは見たまま聞いたままを話すと今度はやってしまったという感じで、頭を抱えて座りこんでしまいました。何ででしょう?例のゲームの話はナイショにでもしないといけないのですかね?

でも、今は。

 

「ニコちゃん、例のゲームボクもやらせて欲しいです。」

 

さっきの二人の話、キー君の様子。いろいろ気にになる事も言いたい事もあるですから、まずはやってみるのが一番です。ゲームをやったことのない人の話など、説得力も無いですし。

 

「あー…うん。分かった。もうそこまで知られちまってるなら、インストールするかはともかく、事情を話して黙ってて貰わねーとな…」

 

なるほど、ナイショにする必要のある違法っぽいゲームなら強制執行で消去されないように黙ってて貰う必要もありますものね。ボク達は保護されている立場ですから大人の介入は避けたいですしね。

 

その後夕食準備の時間になるまで部屋で例のゲーム、ブレインバーストについての説明をニコちゃんから聞いていました。

思考を一千倍に加速するだとか、ソーシャルカメラのハッキングだとか、それを利用した現実が舞台の遭遇戦だとかいろいろ聞きましたが、一番驚いたのは"対戦格闘ゲーム"であること!

 

 

もう一度言います"対戦格闘ゲーム"です!

 

格ゲーですよ格ゲー!しかもフルダイブを使っているため全身を動かして戦うのです!こんな素敵な事は無いのです!

何ですかニコちゃんその呆れた様な顔は。殴って殴られての格闘ゲームですよ。

え?剣や重火器もあるし、ニコちゃんの所は遠距離主体のレギオン?

良いじゃないですか。戦えば格ゲーですよ。

中にはシューティングばりに弾幕張ってきたり、ビーム連射してきたって向き合って戦えば格ゲーですよ。

わ、笑わなくても良いじゃないですか。

あ、ほら、ボクは夕食準備の時間ですから行って来るです。

夕食食べ終わったらインストールして貰うですから!

準備しといて下さいよ!

 

ボクはそう言って未だに大爆笑しているニコちゃんから逃げるように夕食の準備に向かったのです。いえ、逃げてません。寮長先生を待たせてはいけないので、急いで向かっただけです。

 

 

 

 

「ご馳走さまです。寮長先生」

 

食器を返却場所に返して、お皿を洗っている寮長先生に声をかける。ニコちゃんは早いうちに食べ終わり部屋に戻っていて、食堂では数人が夕食を食べたりしているだけで、皆談話室の方でテレビを見たり遊んだりしてる。

 

「おや、ずいぶん急いで食べたんだね」

 

「ニコちゃんがお部屋で待ってるんです」

 

寮長先生に軽く挨拶をして、部屋に戻るとニコちゃんはベットにベットに横になってフルダイブしている様だった。

 

むむむっ。直ぐにインストールしようと思ってたのに。そう思いながら夕食前に出来なかった宿題を片付けるために机に向かう。

 

学校で勉強してるし、もっとやりたい人は塾だったりフルダイブ系の通信だったりいろいろあるんだから宿題なんか出さなくて良いのに…そう思いながらも、出された物は仕方ないです、ニコちゃんが戻って来るまでに出来る所までやっておきましょう。

 

 

そうして机に向かってしばらく、もうすぐ宿題も終わろかという所でニコちゃんがフルダイブを終わらせて来た。

 

「アサ」

 

もうちょっと待ってて下さい。もう少しで宿題終わるですから。

 

「いや、そのままでいい。今はインストールしないことにしたからな」

 

「ふぁ!?」

 

どういうことなのですか!?インストールしないって!キー君助けるの、ゲームの外からじゃ間に合わなくなっちゃうのよ!

 

「インストールしないしない訳じゃない。今は時期が悪いって話だ。アサにはいろいろ知られちまったし教えちまったが、今から始めた所で間に合いはしないからな」

 

そんな事無いのです!やってみれば意外となんとかなるはずっ…

 

「それに!…それよりもアサには純粋に対戦を楽しんで欲しいんだ。そのためにも、インストールするのは全部片が付いたら後の方がいい」

 

そんな!それじゃあキー君は?!

 

「あたしがレギマスとしてきっちり片付ける」

 

話は終わりだ。風呂行ってくる。そう言ってニコちゃんは部屋を出ていってしまったです。

 

「…それじゃあキー君とニコちゃんは」

 

このゲーム楽しめなくなっちゃうですよ…




アクセルワールド映画公開!!

って事でつい書いてしまった物を初投稿。

もう楽しみで楽しみで眠れない。

今後どうなるかは妄想してるけど、続くかは不明
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