仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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 今回、自分の小説内に置いて初めてとなるオリキャラが登場します。正直のところこんなむかつくキャラ出したくなかったけどしょうがない。


プリキュアの世界chapter12 壊す者と応援する者

ーハルケギニア 現在ー

 

「……」

 

 相田マナは、士の話、そしてミラクルライトから投影された映像を見て唖然とした表情を浮かべている。隣にいるシャルルに至っては、机の上に顔を突っ伏している。

 

「ど、どうしたの?」

「いや、その……はるかのキャラが変わりすぎだと思って……」

「そうなんですか?」

 

 十年後のマナも行っていたが、昔ははるかはもっとしゃべり方は普通だった。むしろ、お嬢様言葉を使うには一番程遠いところにいた人物だ。いや元々それなりの学校に通ってはいたが、それでも十人が九人位はマナと同じ意見だろう。それなのに、一体何がどうなってこうなってしまったのか、マナは一切分かることができなかった。冷たい氷を頭にぶつけられたように、徐々に頭が痛くなる。と、ここでカトレアが言う。

 

「でも、少々無理をなさっているような気も……」

「え?どういうことですかちい姉さま?」

「何となくなんだけれど、無理してお嬢様言葉を使って、はき違えている気が……」

「そうかしら?」

 

 このカトレアの意見、実は軽く当たっていたりする。気がついているだろうか。一度、海東の言葉に対して激怒しそうになった時のことを。あの時、彼女は一度吐こうとした言葉を飲み込んで、一拍おいてからお嬢様言葉を言っていたのだ。それが何を意味するのか、彼女たちにはまだわからなかった。

 

ー新作アクセサリー発表会場 11:25 a.m.ー

 

 この男『三脇乃 須下』は世界的なアクセサリーデザイナーである。彼が生み出す独創的なデザイン、想像力溢れる魅力的で、しかもそれぞれがタイプの違うアクセサリーに心を惹かれるものは多く、世界的なコンテストに置いて数々の栄冠を勝ち取るほどの男である。そんな彼が、新作の発表会を行うということで会場には多くのマスコミが集まっていた。

 三脇乃は、テレビ映えする衣装に身を包み、その会場への階段を昇っていく。すると、その階段の先に、壁にもたれかかる女性の姿があった。三脇乃はその姿を見ると一度鼻で笑い言う。

 

「これはこれは、僕の一番弟子のりん君じゃないか」

「……」

 

 夏木りん。駆け出しのアクセサリーデザイナーだ。彼女は二年前に大学を卒業してから、デザイナーとしてあこがれていた三脇乃の下でデザイナーとしての修行をしていた。元々才能があった彼女は、三脇乃からの信頼も勝ち取り、デザイナーとして大成することができると自分でも、そして中学の同級生たちの間でも話題になっていた。だが、彼女の作品が、彼女の物として世に出ることはなかった。

 

「どうしても、謝る気はないの?」

「何がだい?」

「あたしのデザインを盗用したこと」

「……」

 

 三脇乃はうっすらと浮かべた笑みを絶やさずにそれを聞く。まるで、笑顔が張り付いて、しかし上手に貼れなかったかのように浮かんでいて、なんだか不気味だ。りんは続ける。

 

「あたしだけじゃない。今まであなたがデザインしてきたと言ってきた物のほとんどは、貴方のお弟子さんがデザインしてきた物……あなたが本当に作ったのは最初のほんの一握りだけ」

 

 そう。世界的デザイナー三脇乃、その正体は、弟子の作品を丸パクリしてそれをあたかも自分がデザインしたように装っていたただのペテン師なのだ。これまでも彼に作品を奪われ、そしてデザイナーとしての人生を終わらされた。夢を、つぶされた人間が何人もいるのだ。三脇乃は、それを一笑に付すと言う。

 

「どこにその証拠がある。大体、僕の弟子にだって今やデザイナー業界で一線を走っている者だってちゃんといるじゃないか?僕が全部盗作したというのなら……」

「そうね、『女性』だけ……ね」

「……」

「確かにあなたはちゃんと限られた弟子が仕事を貰えるように根回しをしたわね。……肉体関係を条件にして……。あたしみたいにそれを断った人達のデザイン、あなたはそれを盗用したのよ」

 

 三脇乃は、それをその言葉だけを聞くと階段をまた昇り始める。そして、りんの目の前に来たところで止まって言う。

 

「確かに、僕は彼女たちのデザインを盗んださ。でも、この僕の誘いを断った奴が悪いんだよ」

「……」

「僕はこのデザイナー業界の革命児、王様なんだよ。そんな僕の言うことも聞けないクズどもなんて世に出る必要なんてないんだよ」

「あなた、最低ね」

 

 三脇乃は、壁にもたれかかるりんの顔の横に勢いよく手のひらをぶつけ、顔を近づけて言う。それは、一つ間違えればキスされてしまうほどの距離だ。

 

「僕の女になれ。そうすれば、次からは共同制作ということにしよう」

 

 卑劣、非道、外道、この世界におけるどんな悪態吐いても言い表せないような男。今までにも彼女はたくさんの男を見てきたが、ここまでの、腹の中から胃液が逆流してくるほどの感覚が示されるような奴ははっきり言って初めて見る。りんは、手を上げそうになったが、しかし寸での所で止まった。

 

「やめましょう、あんたみたいなのを引っ叩いても何の解決にもならない」

「それが賢明だ。これから記者発表を始めるんだ。大事な僕の顔に傷でもつけられたら溜まった物じゃない」

 

 三脇乃は、壁から手を離すと、会場へと足を向ける。まるで、何事もなかったかのように、ゆっくりと。りんは、その背中に向かって言う。三脇乃はそれを立ち止まって振り返りもせず、聞いた。

 

「これだけは言っておくわ。貴方はもう、あたしが憧れた貴方じゃない」

 

 あれは、自分が友達や仲間と一緒にアクセサリーショップを手伝っていたときの事。ある雑誌で見た彼の姿、それは何年も前の古雑誌で、彼が世界大会の審査員奨励賞を貰った時の物だった。それは紛れもなく彼がデザインしたものだった。あれを見た時の感動、それから彼のはち切れんばかりの笑顔は今でも忘れられない。だからこそ……。

 

「フッ、憧れなんてすぐに壊れてしまうもの。アクセサリーのひものようにね」

 

 せめて、自分で罪を認めてもらいたかった。

 

ーベーカリーPANPAKAパン 二号店 10:47 a.m.ー

 

 朝の通勤、通学ラッシュが収まってようやく朝の平穏が戻ったベーカリーPANPAKAパンは、ゆっくりとした時が流れていた。売り物のパンはほとんどが無くなり、空の陳列棚が並ぶだけとなった。この後は、ランチタイム時になるまで人が来るということはない為、バイトの女性たちの束の間の休息となっている。とはいえ、全く人が来ないわけではないので、気を抜いていられないのではあるが。その時、自動ドアが開き、一人の男性が入ってくる。その姿をみたやよいは、笑顔になって言う。

 

「いらっしゃいませ、番先生」

「先生はよしてくれ。お前と同じで、これと言って連載を勝ち取ったわけじゃないんだからな」

 

 番ケンジ、彼もまたやよいと同じく売れていない漫画家である。画力については大したものがある物の、やはりこちらも編集者の眼鏡にかなっていないそうだ。

 

「今日もパンの耳?」

「あぁ、頼む」

 

 彼は、ここ最近毎日このパン屋にパンの耳の詰め合わせを買いに来ているのだ。パンの耳というのはサンドイッチを作るときに切られて、それを大量に集めたものなので大抵の店で安く売られている。そのため彼のようにそれほど収入のない男であったとしても簡単に手が出せるものだ。因みに、咲は彼にもここでバイトしないかと進めたのだが、自分のように眼光の鋭い男がバイトをしたら客が逃げてしまうと言われてしまって、断られた。

 先ほどのやり取りからして、一見してやよいと番は付き合っているのではないかと思うのだが、実はそうではない。みゆきが番にパンの耳の詰め合わせを渡しながら聞く

 

「番君。つぼみちゃんはどう?元気でた?」

「あぁ、もう立ち直って、今日からえりかの家の服屋でバイトさ」

「よかった……」

「つぼみちゃん、宇宙飛行士の試験に落ちてがっかりしていたもんね……」

 

 実は、番は花咲つぼみと付き合っているのだ。結婚するのは双方の夢がかなってからという話になっているのだが、それだといつになるか分からないじゃないかという笑い話をするほどの仲だ。何故そんな話になったかと言うと、番の漫画家になるという夢もそうであるが、つぼみの夢が問題なのだ。

 つぼみの夢、それは『草も、花も無い宇宙に少しでも花を咲かせたい』という物。実質真空で光合成すらできないような宇宙でそんなことできるはずもない。だが、それでも、たとえ不可能かもしれないがそれでも、彼女はその果てない夢に向かって一歩を踏み出そうとした。だから、せめてつぼみが宇宙飛行士になったら結婚しようという話になったのだが、つぼみは最終試験で落選してしまった。数多くの努力も、勉強に費やした時間も無駄になってしまったのは分かるが、何故そこまで落ち込んでしまったのだろうか。それには、宇宙飛行士の試験について説明せねばなるまい。

 宇宙飛行士選抜試験は書類審査を合格したもののみが受けることができるもので、まず第一次選抜筆記試験が行われる。この時点で書類審査も含めて応募した9割以上の人間がふるい落とされるそうだ。その後第二次選抜試験として精密検査と面接がある。なお、この精密検査はあまりにも精密すぎて通常の健康診断でも見つからないような病気が見つかるということもあるらしい。面接では、高圧的な面接官が選ばれ、どんな状況でも落ち着いて対処できるかの試験が行われる。さらにそれを通っても、次の試験が最も過酷と言われる閉鎖環境適応試験がある。24時間監視の下で5人共同生活を送って、極限状況でいかに回りと上手くやっていけるのかの人間性を試され、ストレス耐性や根気強さも試される。時には何百ピースもある模様のない白パズルを完成させたり、一日で100羽の鶴の折り紙を折れという難題があったりする。そして最終的にアメリカで現役の宇宙飛行士による最終面接が行われて、そこで合格してようやく宇宙飛行士という肩書を得ることができる。つぼみは閉鎖環境適応試験になんとか合格したが、あと一歩最終面接で不合格になってしまった。あともう少しで夢への第一歩を踏み出し損ねたということにショックを受けたつぼみだが、実はそれだけがここまで落ち込ませる要因にはならない。それは、この宇宙飛行士選抜試験のある事実を知らなければならないのだ。実は、宇宙飛行士選抜試験は一年に一度あるというほど頻繁ではなく、何年かに一度という割合でしかなく、実際にここ30年で5回しか行われていないのだ。これは、宇宙飛行士という職業に就く数がそれほど多くなくてもいいということもあるだろうが、この事実がつぼみを苦しめた。次にいつ試験を受けるチャンスがやってくるのか、だれにも分からない。分からないということほど、人を苦しめるものはない。つぼみは、昼も夜も泣き明かした。だが、それから半月ほどして、ようやく彼女は立ち直った。いつまでも落ち込んでいても仕方がない。いつかはいつか分からないけど、それでもいつかはやってくるのだから、その時まで頑張るだけ。そう、彼女は考えた。そして、それまでなにか仕事をしようと思っていた彼女に親友のえりかが自分の服屋で働くということを進めたのだ。

 

「あいつが笑顔になってくれて、本当によかった……」

「うん」

 

 その時、またも自動ドアが開いた。そこにいたのは……。

 

「いらっしゃ……あ」

「ん?」

「久しぶりねやよい、みゆき」

「ラブは今、どこにいるかしら?」

 

ー城南大学 10:35 a.m.ー

 

「あら、あの子……」

 

 月影ゆりが眼の端で捕らえた女性。一時限目が終わった直後大急ぎで駅へと向かう女性の姿を見た。だが、変だ。彼女は確かこの後二時限目の自分が担当する授業も取っているはずだ。何かあったのだろうか。




 ただの宇宙飛行士選抜試験の説明回になってしまったぜ……。
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