仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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ネギまの世界2-2

「一体どういうことなんですか!?」

 

学園長室に机をたたく音が聞こえる。士たち3人は直談判に来た。彼らもネギの処遇について文句があるのだ。彼は生徒を守っただけなのに何でそれが罰になるのかと。

 

「ふむ、おぬしらの言いたいこともわかるがのう、一般人の前で魔法を使いさらに、記憶を消失させることもしなかったということがまずかったんじゃ」

「そんな!ネギ君は生徒を守ったのに…」

 

ユウスケはそういって口ごもった。生徒より掟の方が大事だなんてそんなことがあっていいものだろうか。いやあっていいはずがない。記憶の消去だって不特定多数の人が見ていたのだ、その全員の記憶の操作などできるはずがない。

 

「すまぬが、今のわしらにはどうにもすることができぬ」

 

近衛門も胸の内は苦しいはずなのだ。子供である彼が処罰されるという事に。

 

「でっ、麻帆良学園がなくなるとはどういうことだ」

 

士は近衛門に聞いた。麻帆良学園自体がなくなるかもしれないという事の意味を問いただすためだ。なぜそこまで問題が派生してしまったのだろうか。

 

「…わしらにネギ君を止めなかった責任まで押しつきてのう。麻帆良学園都市は関東魔法協会の本部じゃ、関東魔法協会がなくなってしまえば麻帆良学園都市の意味もなくなるからのう」

 

あまりにも理不尽なことにネギを止めなかった責任は関東魔法教会にあると判断されたそうだ。そのためそこに所属している魔法先生は全員一度本国に帰って裁判を受けなければならない。だが結果は分かりきっている。たとえ別の結果が出ようとも彼ら魔法先生はこの街にしばらくは帰ってこれない。そうなれば関東魔法協会は再編されることになる。下手をすれば協会自体がなくなってしまう可能性もあるのだ。麻帆良学園都市は教会を隠す隠れ蓑として存在していた街である。さなぎがいなくなってしまえば蓑は必要なくなるという事なのだ。

 

「!そ、そんなことって…あんまりです」

「…関西魔法協会の強硬派の圧力でのう、穏健派も彼らを止めることができなかったらしいんじゃ」

 

こればかりは理事である近衛門にはどうすることもできなかった。実は本国にこれを進言したのは関西魔法協会の強硬派なのだという。関東魔術協会にいい印象を持っていなかった関西魔術協会にとってはこれがチャンスとばかりに強硬派が関東魔法協会をつぶしにかかったようだ。今現在近衛門の婿養子の近衛詠春を筆頭に何とか説得を試みているのだが望み薄であろう。

 

「…大体わかった。いくぞ」

「あっ士君」

「おい士!」

 

士はいつものセリフを吐いて外に出ようとする。どの世界でも彼は大体わかったと言うセリフを吐いているのだが、今回の複雑な裏事情がわかったとはとうてい思えない。そもそも理由そのものが矛盾があるかもしれなければ、論理的になっていないかもしれないのだ。そんなあやふやなものが分かったなどとは到底思えない。

 

「門矢君」

 

近衛門はドアから出ようとする士に声をかけた。

 

「明日ネギ君は羽田からイギリスへと飛ぶことになっておる」

「で?」

「…空港まで彼を送ってくれんかのう?」

 

彼はこの言葉に込められた意味をすぐさま理解した。そして士から出た言葉は…

 

「…わかった」

 

そういうと彼は夏海やユウスケとともに学園長室から退散していった。近衛門の方はこの後この街にいるすべての魔法生徒魔法先生を招集しての緊急会談の準備をしなければならなかった。もしかしたら自業自得なことかもしれない。自分が彼をこの街に先生として来ることを了承したことから始まったことなのだ。そんな彼の背中はどこか寂しげであった。

 

「そんな、じゃあもうネギ先生と会えないの!?」

 

一方ここは3-Aの教室、高畑からの報告を聴いて当然だが全員納得はしていないのだ。特に魔法を知らなかったメンバーにとっては、その理不尽な行為に怒りすら覚えていた。そんな中長谷川千雨があることに気が付く。

 

「それだけじゃないかもな」

「え!」

 

どういうことなのか、全員が千雨の方を向いた。

 

「生徒全員を受け入れてくれる学校なんてあるのか?」

 

それは彼女たちを打ちのめすには大きすぎる爆弾であった。それに補足するように高畑が付け加える。

 

「長谷川君の言う通りだよ。ひとつの学校で大量の生徒を受け入れてくれる学校なんてありもしない、それぞれ別々の学校に分かれることになると思う」

「!そっそんなぁ!?」

 

ここにいる全員でいっしょに卒業できるものだと昨日まで思っていた。離れても心は一緒だとはよく言うが実際にはそんな言葉戯言に過ぎない。離れる時は離れてしまう、心などそれこそいくらでも心変わりできる。それはゆるぎない事実であった。

 

「ネギ先生とは…会えないんでしょうか」

「…無理だろうね、彼は今麻帆良の外の病院で面会謝絶になっている」

 

面会謝絶など建前である。本当はネギ先生と外とのつながりを断っているのだ。そのことは明日菜たちは分かっていたがそのことを今高畑に行ってもしょうがない。それに自分たちはすでに知っていた。自分たちが彼ら魔法先生と同類であることを…

 

 




関東魔術協会と関西魔術協会の下りは自分でもいい加減だと思っていますが、これぐらいしか思いつかなかった自分の想像力が恨めしい。

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