あと、書いてて気がついたけど、なんかいつきが攻殻機動隊の少佐っぽくなってるのは何で?
「フッ!ハァ!!」
「フン!フッ、ハァ!!」
士、海東組は手錠で繋がれているため、それぞれに勝手に動くことはできないため、共に行動しながら戦う。士は、屑ヤミーを右足で蹴る。続いてもう一体の屑ヤミーを左足で蹴る。屑ヤミーはそれだけで倒れ、セルメダルへと姿を変える。
海東もまたディエンドライバーで一体、二体と殴り飛ばしていき、外さないように、そして突き抜けた銃弾が味方に当たらないように屑ヤミーの腹部に斜め下から接射する。銃弾は屑ヤミーを突き抜けて天井に当たった。その時、一体のグロンギが士と海東の下に向かって走る。どちらも、どうにかすることはできる位置にあるが、どうするか。
「海東」
「僕に命令するな」
「はぁ!」
士、海東もまたグロンギに向かって走る。そして手錠の鎖をグロンギの首に勢いよくひっかけ、グロンギは受け身も取ることができずに仰向けに転倒した。その時、上から一体の屑ヤミーが落ちてくる。
「うおぉぉ!!」
通路にいる熊本が落としたヤミーだ。熊本は、狭い足場でありながらも、いわゆるちぎっては投げちぎっては投げという言葉が似合う様に屑ヤミーを落とし、パンチによる衝撃で、また一体落としていった。だが、状況は不利。道は前後の二つのみ、その両方から敵に襲い掛かられると、逃げ場所がない為に一方に攻撃されながら一方と戦うということを続けなければならない。
「くっ……流石に分が悪いときたぜよ……」
せめて、もう一人いれば何とかなる。だが熊本は男一匹、助けを呼ぼうとは思わなかった。何故ならば……。
「熊本!」
呼ばなくても来るだろうと信じていたからだ。一人の人間が自分の後ろに舞い降りる。遠藤が上に上がった時のように少しはなれた場所にある鎖で昇り、離れている分の距離を振り子のように揺らして勢いをつけ、跳んで通路に降り立ったのだ。果たして、その人物は。
「助けがいるときは私を呼べ」
「来るとしんじてたけんのう、いつき」
「ふっ」
二人は、双方を信頼しているように背中合わせで敵に向かう。いや、信頼しているのだ。彼は彼女を、彼女は彼を。
「それと、今後のためにもうそろそろ名前で呼んでくれんけんのう」
「悪いけど、もう慣れたからな……」
明堂院いつき、彼女の家は明堂院流古武道という武術の名門の家系。彼女は、中学生のころまで兄が病弱であるために、しかし兄の事を尊敬するがゆえに明堂院流を継ごうとしていた。だが、兄のさつきの手術が成功してからはその役目は彼に返した。その時の門下生の一人が熊本である。さつきが師範になった後もいつきは兄の手伝いとして、師範代理であったこともあって稽古に付き添い、そして熊本とも何度も拳を重ねていたこともあって仲は急接近していった。それから時がたち、プリキュアとして戦っていたときの経験と正義感から、いつきは警察官に、熊本も同じく。そして同じ班に配属になった後も、こうしてバディとして共に犯罪者と戦ってきたのだ。何も言わずとも、阿吽の呼吸で二人は行動することができる。
「フッ!ハァ!!」
「フッ、ハッ!」
熊本は、まず屑ヤミーの腹部を殴り入れ、左フックを入れると、ヤミーが一体下に落ちていく。続いてその後ろにいるヤミーがそろって向かってくるのをみて、熊本は通路の手すりを持って、力を入れて両足を浮かし、走るように蹴りを入れそれが多段ヒットする。そして最後の一撃に両足で胸を蹴り、ヤミーは後ろに吹き飛ぶ。
いつきはヤミーの攻撃をしゃがんで避けると、すれ違いざまに一度腹部に下突きをいれる。それで沈んだヤミーには目もくれず、次々と進んでくるヤミーを蹴り倒す。ヤミーは次々とセルメダルへと姿を変え、残り一体を胴回し回転蹴りで打倒した。いつきがそのすぐ後後ろを見ると、熊本もほぼ同じタイミングで敵を倒し、後ろを見たようだ。二人はそれぞれに笑顔を返すと、改めて気合を入れなおすために深く呼吸をして、通路から跳び下りた。
「……さぁ、行くわよ」
六花は安全のために眼鏡を外して、前を見る。少しぼやけてはいるが、見えないほどではない。これならば大丈夫だ。リカはグロンギに向かって走り、まず一発、顔にランニング・ニー・バットを決める。
「ハァ!そりゃ!!」
続いて近づくグロンギに横蹴りを、次のグロンギに上段の回し蹴りを食らわせていく。そして、つづいてもう一体にもかかと落としを食らわせた。次々と攻撃を喰らっていくグロンギたちは、沈黙していく。そしてまた一体。
「イーッ!」
「フッ!」
はるかは、バク転しながら二体のグロンギのナイフでの攻撃を避けていく。そて最後にバク宙を決めて着地してから、前掃腿でグロンギの足を一度で二体とも払う。そんなはるかの後ろから屑ヤミーが抱き着くように拘束しようとする。それに対してはるかは抱き掴まれる前にさっと腰を落とし、左足を軸に百八十度回転して相手の左手を右わきで挟むように拘束し、みぞうちに肘内する。
「わたくしの寝首を掻こうとしてもそうはいきません」
崩れ落ちる屑ヤミーを一瞥すると、はるかは集団でいる屑ヤミーを睨みつけ言う。
「さぁ、お覚悟はよろしくて?」
それは、彼女たちプリンセスプリキュアがかつてプリキュアだったころの決め台詞であった。
「よっしゃやるぞー!!」
「ひめ、くれっぐれも無茶しないでね」
いつの間に上ったのか、ひめとみらいは天井から伸びる鎖の端を持って先ほどまで熊本がいた通路のところまで来ていた。
「あのねひめ、さっきも言ったと思うけど、貴方が怪我したら非難されるのは日本っていう国そのものなんだからね!」
それは、外務省職員としての言葉。もし、日本でひめに何かあった場合、みらいやマナの首が危ないだけじゃない。外交的に考えても世界中から非難されることは確か。下手をすれば第三次世界大戦が起こるかもしれない。なんとしてもそれだけは止めたい。
「大丈夫大丈夫!それじゃ、行くよ!!」
「あぁ、ひめ!!」
止めたかった。だが、彼女は行ってしまう。みらいもまたそれについていくように飛び出す。
「アーアァー!!!」
「はぁーーー!!」
ターザンロープのように地面スレスレを振り子の原理で飛翔する彼女たち二人は、次々と屑ヤミーやグロンギを打倒す。特にひめは両足を大きく広げて敵を蹴っていく。後で大人のはるかに子供のひめとセットで怒られることは間違いない。
「よっと」
「はぁ!」
そして、二人は鎖から手を離して着地し、肉弾戦となり、敵を倒していく。特に、みらいの負担が大きい気がするのは、気のせいではない。みらいからすると、ひめの二倍の心労がたたっていると言っても過言ではない。だが、それでも彼女はひめを守らなければならなかった。友達として、あとついでに国のために。
「行くぞゆうこ!」
「うん、相楽くん!」
そして、最後に誠司とゆうこの二人は、比較的に非戦闘組の近くで戦っていた。敵が彼女たちの近くに来ないようにである。この提案をしたのはゆうこの方だ。ゆうこは、誠司から、マナとレジーナが戦えない理由を聞き、二人をどうしても守らなければならないと思ったから、そしてもう一つ。大人の方のめぐみ。マナやレジーナと違い、一体どうしてめぐみまでも戦わないのか。いや、多分これだろうという理由ははっきりとあった。もしもそうだったとすれば、彼女のここ最近の行動の理由と、戦いを避けているのにも合点がいく。ならば、彼女たちは戦わせてはならない。そのため、ゆうこは誠司と共にここで戦いを繰り広げているのだ。
「これでッ!」
「ラストォ!!」
そして最後の一体。グロンギの顔に万力のように蹴りで挟むように繰り出し、グロンギが消滅したところで敵はいなくなった。
「敵はもういないか?」
「あぁ、全部倒したよ」
士、海東が敵がいなくなったことを確認して、ようやくそこで戦闘は終了した。
「みんな、大丈夫?ケガはない?」
「えぇ、誰一人傷を負ってないわ」
「戦闘では……に限るがな」
そう言う熊本の頬には、すでに血が塞がっているが傷があった。それは、遠藤を取り押さえていたときに出された屑ヤミーに攻撃されたときにできた傷だ。だが、これぐらいだったら後は残らないだろうから大丈夫だろう。
「すごかったです皆!」
「うん、どうしてそんなに強くなったの?プリキュアに変身してないのに?」
と、子供時代のみらいたちが聞いた。彼女からしてみれば、力を出すには、プリキュアに変身しなけれBなならないという条件があると思っていたのだが、未来の自分たちは、プリキュアに変身しなくても強く、自分たちも見とれてしまうほどであった。
「うん、それには色々理由があるみたいなんだけど……研究中だから詳しいことは話せないの」
「へぇ……」
「それよりもだ」
士が、話を切って言う。
「今は、あの遠藤止という男が何者かについて考えるべきじゃないか?」
「確かにそうだね……」
「遠藤止……奴は、仮面ライダーの事やプリキュア、それからそのソウルジェムという物についてもよく知っていた」
「でも、めぐみちゃんたちがソウルジェムを持って……魔法少女ってのになっているのには予想外だったみたい」
「うん、そして大事なことがもう一つ……」
「えぇ……」
そう言って、マナは箱に詰められた大量のプリチェンミラーを箱ごと持ってくる。
「この箱の中のプリチェンミラー……今のプリキュアの皆のなんだよねきっと……」
「あのお方の言い方からすると……プリキュアの少女たちはすでにお亡くなりになっているか……それとも……」
その言葉の先は出なかった。考えたくなかったからだ。もしも、ほとんどが中学生で構成されたプリキュアの女の子たちが、そんな目にあったというのならば、ひどいトラウマとなっていることだろう。それも、今後の彼女たちの人生を左右するほどの。生きていれば、の話ではあるが。
「どっちにしても、最低ね……」
「何とかして、あいつを止めないと……」
「その前に、二つやるべきことがある」
と、マナは指を日本立てて言った。
「まず一つ目、子供のほうのひめ、ゆうこ、それからいおなちゃん、それからあゆみちゃんの四人をどこかに隠す」
「え?」
「どういうことですか?」
「あいつは、魔法少女になっためぐみちゃんに興味が無くなった様子だった。魔法少女が絶望すると魔女という怪物になって、手が付けられなくなるからだと思う。そして、あいつは全員が魔法少女になっていると思っている様子だった」
「大体わかった。プリンセスプリキュアや魔法使いプリキュアのように魔法少女となってしまった少女たちと違ってその四人はプリキュアのまま。あいつはめぐみ一人が魔法少女になったことで他の全員も魔法少女と勘違いした可能性がある」
「その勘違いに気がついたら、今度は彼女たちを攫いに来る恐れがある。ということだね」
「そういうこと……それから、二つ目は……」
マナは、そう言うと大人のめぐみの方を向いて言う。
「めぐみとゆうこと誠司の仲直り」
「え?」
「そうね。それも一大事だったわね」
と、六花もそれに納得する。ふと考えればそれほど大事なようには士は思えなかったがしかし、大事なことのようだ。
「では、四葉財閥の本社に行きましょう。あそこであれば、セキュリティは万全ですし、話し合うための会議室もありますわ」
「よし、そこにしよう。それじゃ……」
「あ、あの~」
「え?」
と、申し訳なさそうに手を上げたのはめぐみである。どうしたのか聞くと彼女は恥ずかしがりながら言った。
「えっと……そ、その……ほ、本社には……お、お風呂とかありますか?」」
「え?」
「はい、社員用の物が……それが何……あぁ、そう言うことですか……」
と、めぐみの下半身と、地面を見て皆察したが、めぐみの羞恥心や尊厳のために誰も何も言わず。
「なんだ?漏らしたのか?」
「うぅ……」
言わないはずだったのに、士が言ってしまった。めぐみはその言葉に、恥ずかしくなってうつむいてしまう。
「「「士!」さん!」様!」
これに対して、大人のめぐみ、ひめ、はるか、その他諸々海東と熊本と誠司以外の全員に殴られる。これを考えると、夏海の笑いのツボはどれだけ優しい物だったのかが……いやどっちもどっちだろう。
「士さん、流石にそれは最低だよ」
「せめて、乙女心とか羞恥心とかについて学んだ方がいいと思う」
「士様、後でヒメルダ姫とご一緒にお説教ですからお覚悟はよろしくて?」
「ねぇちょっと、さらっと私も説教受けることになてるんだけど……」
「当たり前ですわ!あんなお股をおっぴろげにして、女性としてのご自覚がお足りませんわ」
「えぇ……」
というか、お嬢様言葉にしようとして、なんだか少しヤバイ表現になっている気もしないでもない。因みに、その様子をケラケラと笑ってみている小ひめであったが。
「ヒメルダ姫、貴方もついでにプリンセス講座です」
「えっ、なんで!?」
「こうならないためですわ!」
「……ぐうの音もでない」
取り合えず、ひめーズと士の説教が決定したところで、この後どうしようか相談する。このまま外を歩くのもいいのだが、それだと漏らしためぐみをさらし者にするようでかわいそう。先ほどの遠藤の言葉を借りると、絶望して魔女という怪物になってしまうかもしれない。その時、いつきが言う。
「その点は大丈夫。四葉財閥の特殊車両で来ているから」
「特殊車両?」
「あぁ、本棚?」
「本棚?」
マナが察しがついたように言う。だが、本棚とはどういういことなのだろうか。マナ以外の面々もなにか納得しているようである。
「それなら、大丈夫だね。外に止めてるの?」
「うん」
「よし、なら行こう」
と、勝手に話が進んでいき、外に出ることとなった。果たして、そこにはトラックが停車していた。普通の車両のようだが、これが特殊車両とはどういうことなのだろうか。
「これが特殊車両なのか?普通のトラックのように見えるが」
「外見はね。今後ろを開けるから」
と言って、いつきはトラックの背部を開けるボタンを押す。するとゆっくりとトラックの扉が観音開きに開いていき、中に入っている物が見えてくる。果たして、そこにあったのはどこからどう見て本棚だった。トラックの一番奥。運転席の真後ろに背中合わせであるように本棚が置かれていた。それを見て、何かに気がついたようにめぐみたちは言う。
「あっ、もしかしてこれって……」
「みゆきちゃんたちの……」
「何だこれは?移動図書館か?」
「似たような物だよ。ほら、入って」
そういつきにせかされて士達は入って行く。そして最後の一人が入ったところで、いつきがドアを閉める。そしていつきは、目線の少し下にある段の本を右に、その下の段にある本を左にずらす。最後に元の段にある本を左右に開くようにずらす。すると、本棚から光が漏れ彼女達の姿を消していく。
「何だこれは……ッ!」
士は、目を光から守るように手で目隠しをする。
ーふしぎ図書館 01:13 p.m.ー
次の瞬間、彼の姿は、先ほどまでの暗い場所にではなく、明るい場所にである。巨大な木の根っこ目の前に複数にあり、その間からは無数の本が見える。ここは一体どこなのだ。
「ここは、ふしぎ図書館。ここから、世界のいろんな場所へ移動することができるんだ」
「ほぅ……まるで、光写真館のようだな」
とはいえ、あれは移動するときは勝手に移動する物なので、どちらかと言うとこちらの方が便利と言えば便利だろうか。そういえば、自分があの大学でオーロラを出現させたとき、ゆりが図書館がどうのと言っていた気がする。あれはこれの事だったのか。
「これも、君達プリキュアの所有物かい?」
「どちらかというと違うよ。本当はスマイルプリキュアっていう子たちが普段使っているんだけど、たまに私達も貸してもらっているの」
つまり、共同財産である。因みに、スマイルプリキュアの5人はと言うと、二人は、夢を叶えるための下積みという名前のバイト中。一人は、実家のお好み焼き屋を継いで、一人はサッカーの日本代表になり、今はドイツに遠征中。そして、一人は……一人は……。
「ん?一人は?」
「えっと……冒険家で、今はエヴェレストだっけ?」
「あれ?南極じゃなかったっけ?」
「アマゾンを旅しているって聞いたよ?」
「……一体、その一人は何なんだ?」
「えっと……道探し?」
「……?」
「あぁ……あの人か……」
どうやら、子供めぐみたちは何かを察したようだ。頭を抱えている。納得できないが、士は無理やりにでも自分を納得させ、そしていつきは本棚の本を操作する。