仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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 初代組描写の前に、消化しなければならない大きな問題二つを解決します。そして、後半は時間から分かる通り、ニ、三時間遡ります。主に、士がはるかと出会ったあたりから、めぐみの所(修羅場)に向かうところまでの間です。
 そして今回、小説を書く中で改めて本編を見直したのですが、その中であるキャラの性格がかなり好きになりました。結果唐突に、そしてかなりの設定改変+過去捏造を行ってまで登場させました。ただ、逆にセリフが思いつかなくなって、かなり苦戦し、結果他のキャラに比べてオリジナル色が強く……それほどでもない、というか他がやりすぎなだけか。


プリキュアの世界chapter32 スタートライン

ーヨツバテレビ廊下 11:55a.m.ー

 

 現在真琴、DB、美希そしてきららの四人はうららの楽屋に改めて向かうところである。うららの楽屋から出た後、四人は真琴のリハが終わったところで改めて彼女の楽屋に行こうと話したものの、意外とそれが長びいてしまった。とにかく、この後もう一人リハーサルが入ってからうららの歌のリハがあるということなので、会って話をする時間はあるだろう。先ほどの様子からして、かなり精神的に追い詰めてしまったように感じて少し心配ではあるが、先ほど彼女から連絡が来て、うららのチームメイトであり先輩でもあるのぞみがすでに来ているらしいので大丈夫であると信じたい。

 

「それで、のぞみはうららの側にいるの?」

「えぇ、時間からして大学の講義を抜け出してきたみたい」

「まぁ、あの子ならしょうがないわね」

 

 のぞみは、いつぞやも説明したがプリキュアの仲間の一人で、うららの一つ上の先輩。つまり、真琴や多くのプリキュアと同年齢の二十四歳である。そして、のぞみは現在大学の四回生だ。ここで、一つおかしなことに気がつくだろう。のぞみは本来なら大学を卒業している年齢。普通なら社会人二年目となっている年齢なのだ。これにはある理由があるのだが、ここで言うべきことではない。

 

「あら?」

「え?」

 

 その時、一人の女性が楽屋に入って行った。あの女性は確か、というか間違いなく自分たちの知っている女性だった。

 

「あの子なんで?」

「彼女って、うららと何かあったっけ……」

「いや……すぐに思い当たることはないけど……」

 

 彼女もまた自分と同じアイドル、いや畑で言うとバラエティアイドルの部類に当たる女性だ。それも、今現在のバラドルのトップランナーであると言われている彼女。バンジージャンプを跳べと言われれば躊躇なく跳び、大量のわさびの入った寿司を戸惑うことなく食べ、芸人が入ることすらもためらうような熱湯風呂に進んで入りに行く、バラドルの中のバラドル。その根性、視聴者を笑顔にするためならば泥沼にだって裸で入って行くような男気は、真琴達普通のアイドルの中でも尊敬する人物として名前があがるほどなのだ。ただ、ここ最近彼女とうららがどこかで共演したという話は聞いたことがない。なぜ彼女がうららに会いに来たのだろうか謎である。

 

「とにかく、私たちも行きましょう」

「えぇ……」

 

ーヨツバテレビうららの楽屋 数分前ー

 

「落ち着いた?」

「……はい、すみません。メイクし直しますから……」

「うん」

 

 のぞみの腕の中で泣き続け、泣くための水分も無くなったうららは、メイクをし直すために鏡の前に座って、自前のメイクセットを取り出してメイクし直そうとしていた。うららが泣き終わるまで待っていたのぞみの上着には、うららのメイクのファンデーションやマスカラがついている。のぞみは、上着を脱ぐと、上着についたそれらや涙で濡れている箇所から、彼女がどれほどの辛さや悲しみを抱えていたのか、誰にも相談できず、自分一人で抱え込んでいたこの数年間の間の事を考えると、彼女自身も悔しい気持ちになる。色々と話したいことが彼女自身あった。しかし、まずは一つずつ解決していこう。そう彼女は思い、メイク中のうららに声をかける。

 

「最後に話したのって、確かうららが高校二年生の時だったっけ?」

「はい……あの時期から仕事を取るのに必死になって……のぞみさんや、りんさんも受験勉強で忙しいだろうからって……」

 

 六年である。六年間も彼女たちの関係は疎遠になっていた。それが、どれだけ女性たちの心を圧迫していたことか、想像に難くない。無論のこと、当時はまだうららは枕営業なんてものしていなかったしかし、仕事を取るために色々な、それこそ地方のテレビ局に自分を売り込みに行ったり、果ては海外にまで行ったりして、少しでも気を抜くと次々と雑草のように同じようなキャラのアイドルが現れる。芸能界はそんな世界だ。だから、当時の彼女は今では考えられないほどに必死で努力していたのだ。

 

「のぞみさん、確か今は先生でしたよね……やっぱりサンクルミエールに?」

 

 それは、彼女たちの母校であった学校。ここしばらく近くも通ったこともないなど言わずもがな事である。しかし、そのうららの言葉にのぞみはうっすらと微笑みを浮かべて首を振った。

 

「私、まだ大学に通ってるんだ」

「え?」

「大学受験の時に一浪、大学二回生の時に留年しちゃってまだ卒業できてないの」

「そう……ですか」

 

 なんとなくうららは納得してしまった。と、言うのも彼女の学力は中学を卒業するころには人並みぐらいになってきたものの、従来全くというほど勉強をすることはできなかったのだ。それこそ、テストになると平均点以下ばかりを取るというほどだった。ただ、やはり受験やら大学での勉学やらについて行くことはできず、いまだに卒業することはできていないそうだ。

 

「でも今年こそ卒業できるように単位を取って、国家試験も何度落ちても合格するまで私は頑張るから」

 

 のぞみに、はち切れんばかりの笑顔で言われたうららは、内心傷ついた。とても身勝手なことであるが、努力することに疲れて楽な道を選んだ自分と違って、彼女は辛くても自分自身の足で、例え時間をかけてでも歩こうとしているのだ。やっぱり、自分は彼女と一緒に歩くのに値しない人間。メイクをする手を下げて、うららは立ち上がろうとする。もう、彼女と一緒の部屋にいるのもはばかれるのだ。その時だ。

 

「うらら!いるの!?」

「え!?」

 

 勢いよく開かれたドアから、一人の女性が入ってきた。うららはその顔を見て驚愕した。何故彼女がこの場所にいるのだ。プリキュア仲間である真琴達や、彼女の先輩であり親友ののぞみは分かる。しかし、彼女との接点はほとんどと言っていいほどない。あるとしたら中学生の時に地方テレビ局の番組で共演して、それから一度くらいであった時ぐらいだ。どうして彼女が自分に会いに来たのだろうか。彼女、バラドル界の女王である、女性の名前は……。

 

「らんこさん……」

 

 一条らんこ。ノーブル学園のOGで、はるかやきららの二つ上の先輩だ。彼女はテレビで輝くトップアイドルを目指していた少女だ。それがある時期からバラエティアイドルの方に方向転換し、現在バラエティ番組で彼女を見ない時は、特に特番の番組で彼女の姿がないということはないのではないだろうかと言われるほどの売れっ子となっており、そしてネットのおもちゃにされている少女だ。主に彼女がテレビに出演するたびに『〇んこさん』『おい下ネタヤメロ』というようなやり取りが何度も流れるほどにである。

 

「久しぶりねうらら」

「どうして私の所に……」

「もちろん……あの噂について聞くためよ」

 

 らんこは、開かれた扉を閉めながらそう言った。やはり彼女もまた真琴達と同じように自分のよからぬ噂の真相を探りに来た様子だ。しかし、うららには一つ大きな疑問があった。

 

「あの……でも、私らんこさんとは一度くらいしか共演したことが……」

 

 うららの記憶の中でも、そして実際の記録でも彼女たちが共演したことはただ一回しかなかった。芸能界というのは交友関係が物を行く場合があるが、しかし流石にたった一回の地方ロケの共演だけで自分の楽屋まで突撃するほどの交友関係が築けたかどうか、うらら自身思えなかった。

 

「だから?」

「え?」

「確かに、私とあなたが共演したことなんて数えるほどしかないし、ほとんどは私が高校生の時ばかり。それが何?」

「何って……」

「でも、あえて理由を付けるなら……本当のアイドルである貴方……私は、あの時のうららが好きだったから……かな」

「え?」

「あの頃私は、テレビカメラが回っていたら誰よりも前に出て目立とうとしていたでしょ?」

「え……?そういえば……」

 

 実際の所、彼女は他の人間と一緒にロケなどをする際には、相手の事を押しのけてでも前に出るようにしていた。それは、多くの人間がただ彼女が目立ちたがりだからとでも思っていたし、実際うらら等の共演者たち全員そう思っていた。

 

「ただね、あれはただ単に目立とうとしたわけじゃないの」

「え?」

 

 彼女はうららとのぞみに語った。あの行動の意味を。

 十年前、アイドルになりたての頃、彼女は自分が出る番組を全て録画したDVDを何度も繰り返し見て、そのたびに落ち込んでいた。どうにも、自分がかすんで見えるのだ。当時は、今のようにキャラが濃くなく、さらに駆け出しであったことから他のアイドルに喰われて全く目立つことができなかった。このまま自分は終わってしまうのか。いや、そんなのは嫌だ。自分は、トップアイドルになるために芸能界に入ったのだ。だから、そのためには何だってやってやる。もちろん、倫理的範囲内で。そこで思いついたのが、積極的にテレビカメラの前に陣取るということ。結果、テレビ関係者の印象に残るようになり、徐々にテレビへの出演も増えていった。途中で、あまりにも必死になるためにお笑い芸人も顔負けな行動を取ることも多くなって、事務所の方から、バラドルになって見ないかとも言われたほどだ。だが、自分はトップアイドルを目指している。そんな邪道なものはノーサンキューだった。だが、そんな彼女の気持ちが変わるきっかけが幾度と会った。自分の出身校の後輩の天ノ川きららとの『マーブルドーナツ三番勝負』、プリキュアであると公表した後の剣崎真琴との対談、中でも彼女に一番の衝撃を与えたと言っていいのが春日野うららとの地方ロケだった。

 

「え?私……との、ロケ?」

「そう、あの時も私はいつも通りカメラの前に立つのに必死だった。そして放送日、私はいつも通りその時のロケの映像を確認した。その時よ、貴方には勝てないって思ったのは……。どれだけテレビに私の顔が大きく映っても、その後ろにいるあなたは笑顔を絶やさないで、貴方は気がつかなかったかもしれないけどなんかこう……これがアイドルのオーラですっていうのを前面に出してたのよ。私がカメラをほとんど独占しているってのに……それを感じた時、こんな子がすぐ下にいるなら、トップアイドルになるのは無理だなってあきらめたほどよ」

「貴方がそんなことを思うなんて、珍しいわね」

「えぇ、槍でも降るんじゃない?」

 

 と、感想を述べたのは真琴ときららだ。彼女たちは、らんこが話を始めるちょっと前にうららの楽屋に入ってきていた。

 

「降ってるなら、そう思った時に降ってるわよ。そんな異常気象十年前にありましたかって」

「いいえ、無かったわね。続けて」

「じゃ、お言葉に甘えて」

 

 と、ある種暴言に近いような言葉もらんこは軽く流す。バラエティ慣れしていると言えば聞こえはいいだろうか。ともかく、彼女は話を続ける。

 自分はそれから、自分の身の振り方について考えるようになってしまった。このままアイドルを続けていてもうららがいる限りトップアイドルになることは不可能。そうでなくても一つしたの真琴の人気や、アイドルとモデルとで畑は違うがきららの人気も上がって言っているというのに。因みに、きららはその頃、大事な仕事をすっぽかしたということで芸能生活の危機に陥っていた。しかし、彼女がプリキュアだということが知られると、物珍しさからか数多くのテレビ番組、雑誌で取り沙汰されるようになった。彼女自身は、そのことに肯定も否定もせず、それを使って売れようとは考えていなかった。夢は自力で掴むもの。プリキュアの力を利用して夢を叶えても、それは間違っているという彼女たちプリキュア全員の共通認識によるものだった。それを聞いたらんこは、今は干されているが、それほどの根性、そして意志があるのならば絶対に復活するだろうと思っていた。結果、その考えは当たっていたのだが。

 ともかく、一度は芸能活動休止とか言って海外にでもトンズラしてしまおうかと、自分らしくもなく後ろ向きなことも考えた。そんな時だ。また、彼女うららにテレビ局で会ったのは。彼女も自分と同じように仕事を貰うべく色々な所を回っていたようで、その日は偶然一緒になって、昼ご飯を食べることになった。そこで彼女は言った。

 

「私、アイドルやめようかなって思ってるの」

「え?なんでですか?」

「向いていなかったのよ最初から……」

「そんなことないですよ。だって、らんこさんの明るいところ私好きです。らんこさんがテレビで体を張って頑張ってるところを見て、私も頑張らないといけないって思えるんです」

「……」

「だから……その、アイドルを止めるのはいいかもしれません。らんこさんの人生だし……私がとやかく言っていいわけありませんし。でも、せめて芸能界に残ってもらいたいってのは……自分勝手ですかね?」

「……考えとく」

 

 そこから紆余曲折あって、何やかんやあって彼女はバラドルとなった。正直、そのなんやかんやの期間が長く、そして濃すぎるためにここでは書ききれない事ばかり。ただ一つ言えることがある。アイドルは、寿命の短いものだ。特に、十台の時にちやほやされていた人間がそのまま二十台、三十台になってもアイドルとして仕事を続けられるかと聞かれたら、ハテナマークを付けなければならないだろう。おそらく、世の中のアイドルの九割は、早々に芸能界から去る道を選んでいるだ絵牢。だから、うららに止められなければ彼女は、十中八九芸能界から去っていた九割のアイドルになっていた。

 

「……」

「確かに、バラドルとしての人生はかなり辛かったし、トップアイドルの夢も叶えられなかったのは……正直言って悔しいわ。でもね……こんなのもいいかなって、思わせてくれた。それは、全部あんたがいたから、あんたは私の恩人なのよ。だからあんたの黒い噂を聞いたときは、すぐにあんたに会おうと思った。でもね、共演する機会が全くなくってね……」

「なるほど、うららはのぞみたちに会いたくないから生放送の番組とか、観覧のあるようなバラエティ番組に出演しなかった。基本バラドルのらんこともすれ違いになってたっわけね」

「そういうことなのダビィ?」

「想像の話だけれどね」

 

 というか、実はほとんどらんこ側に問題があるのだ。と、言うのも彼女は今日でこそ日本にいるが、基本的に海外で冒険したり、絶叫マシンに乗せられる仕事が多かったりで、結果的に日本のバラエティ番組に出ると言ってもスタジオにいないことがほとんどであったのだ。実質、この一番組にここまでの関係者を集められたヨツバテレビのキャスティング力は、なにやら意志的なものを考えさせられる。うららは、らんこの話を聞いてもやはり、心が上ずることはない。むしろ、自分が彼女の夢を奪う原因になってしまったというのに心が傷ついているほど。もう、ネガティブなことしか考えられなくなっていた。その時だ、のぞみが時計を見て言った。

 

「もうそろそろ……うらら、テレビつけてもいい?」

「え?あっはい」

「ありがとう」

 

 のぞみは、テーブルの上にあったリモコンでテレビの電源を入れ、あるチャンネルを入れた。そこに映った顔は、彼女もよく知る顔だった。そして、よく知る番組だった。

 

『みんなに伝えたい!私が伝えたい!ご存知、プリキュアウィークリーの看板キャスター。増子~美代です!続けて読めば、マスコミよ!!』

「プリキュアウィークリー……?」

 

 今年で十年目に突入するヨツバテレビの看板番組、『プリキュアウィークリー』には、彼女の学生時代の友達の一人がレポーターとして出演したり、それこそプリキュア仲間の数名の近況を知れるからよく見ていた物だ。一体どうしてのぞみはこの番組が見たいと言ったのだろうか。

 

『今日は、番組の内容を少し変更して、とある場所の中継をしたいと思います!みんな!録画の準備はオッケー?それじゃ、行きましょう!!』

 

 そして、画面が切り替わる。そこに出たのは……。

 

「三脇乃須下、新作アクセサリー発表会見?」




 ボッロボロです。実は、響の一件とこれが一番筆が遅くなった原因です。
 余談:そういえば、ニチアサおなじみのある声優さんはアイドル時代、バラドルになることを事務所から進められたけどそれを拒否して事務所を辞めたとかそのために干されたとかqなんとか……。いつの日にか、プリキュア声優やってくれないかな……。
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