仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

152 / 265
 この回からさらに登場人物が増えるから管理が大変になってきます。自己紹介だけでも大変だ。
 シリアス?あぁ、いい奴だったよ残念だ。まさかこんな大事故に出くわすなんてな。前回私が特殊タグの使い方を学んだばかりに、まさかシリアスが死んでしまうなんて。情けない。まぁ、代わりにギャグが生き返ったが。息を吹き返しすぎて一周まわっておかしくなったよ。

※追記:カジキイエロー、俳優さん含めて私が一番好きなキャラなのにすっかり忘れてた……。


プリキュアの世界chapter56 第二ステージの始まりを告げるのは……この私だァァァァァ!!!!

 士たちの視界を奪っていた光は、やがてその力を弱めて、彼彼女たちに視力を返していった。そして、元の殺風景な道路が戻ってくる。一つの大きな色のない灰色のオーロラを残して。

 

「これって……」

「あぁ、士や僕が使っている。他の世界へと渡る扉だ」

「では……」

「だろうな」

 

 先ほど、士が四葉本社で使用した時は、道は閉ざされていた。恐らく、遠藤止かもしくはそれに通じる何者かによって。しかし、もしも朧の言葉が正しいのであれば、今この道はどこかの世界と通じているという事になる。そして、実際にその推測が当たりであるという事を、彼らはすぐさま知ることとなる。オーロラの中から一人の女性が現れたのだ。だが、士にとっても、プリキュアの女性たちにとってもその女性たちは初めて見る顔ではなかった。むしろ見知った顔。いや、会うのがこれで十年ぶりだ。でも、よく知っている顔だ。懐かしい、でも、信じていた。この時が来るという事を、彼女たちは信じていた。

 

「ごきげんよう……本当に、また会えましたね」

「ごきげんよう……また会えるって……みんな信じていたよ。トワちゃん」

 

 紅城トワ。本名はプリンセス・ホープ・ディライト・トワ。十年前、はるかたちプリンセスプリキュアと共に世界の平和を守った少女だった女性。そして、全ての戦いが終わった後、平行世界との扉が閉ざされたために二度と会うことはないだろうと思っていた女性。しかし、それでも彼女たちは信じていた。また、会えると、離れていても気持ちは伝わっているのだと、離ればなれになったとしても、またいつの日にか会うことができるだろうと、皆信じていた。だから、この再会は偶然じゃない。必然だった。それが紛れもない事実なのである。

 

「あれが、未来のトワっち……」

「みたいですわ……」

「すごく、綺麗……」

 

 ドレス姿のトワ。それは、何度だって見てきた。しかし、今目の前に立っている大人のトワは、自分たちの知っているそれよりももっと、簡単に言えば綺麗で、優雅で、そして格好良かった。

 子供であるはるか達にとって、そこにある光景は自分達がたどるはずだった未来。シチュエーションとしてはこんな敵の目の前でという事はなかっただろうがしかし、いつかはたどり着くはずだった未来。自分たちは早々にトワと再会することができたが、それでも嬉しかった。もう二度と会えないかもしれないという思いが、少しでも心の中にあったからだ。しかし、それでも自分たちはまた会えることを信じていた。未来の自分たちもきっとそう思っていた。でも、十年という時間それを信じる続けることが今の自分たちにできるだろうか。これからも、たくさんの別れが待っている。別れ、なかなかみんなで会えなくなるという事もあるだろう。同じ世界でもそうであるのに、別世界のトワにもなってくると、再会は絶望的だ。そう、この十年の中で悟ってしまうだろう。しかし、それでも彼女たちは信じていた。そして、それが報われた。その喜びは、彼女たちの間での言葉こそ少なかった物の、今の自分達では計り知れないほどの喜び。嬉しいからこそ、言葉には出さなくても表情で分かってしまう。あぁ、信じてきてよかったという喜びであった。

 

「あれ?トワさんが来れたってことは……」

 

 ここで、大人のみらいが気がついた。今まで道が通じておらず、来ることができなかったトワがこの世界に来ることができた。それは、トワの世界とこの世界の道が通じたからという事になる。二度と開くことのないその道への扉を開くことができたという事はだ、別に閉ざされておらず、遠藤止の手によって封鎖されただけであろうこのナシマホウ界と魔法界の道もまた朧が開いたのではないだろうか。

 

「どいてどいてぇ!!!」

「え!?」

 

 事実、その想像は当たっていた。灰色のオーロラの中から大声と共に箒に乗った一人のとんがり帽子をかぶった女性が現れた。それは、まさしくおとぎ話などでも見た魔女そのものであった。その魔女は、周囲の者が大声で飛び退いて作られた道の間を一般人(などはその場にはいないのであるが)の眼には止まらないような速さで低空飛行し、未来の目の前でバイクが急停車するときのようにブレーキをかけて止まった。

 

「夏休み以来ね、みらい!」

「リコ……!」

 

 十六夜リコそして……。

 

「みらい!リコ!!」

「「はーちゃん!」」

 

 大人の花梅ことはもまた、どこからともなく出現。オーロラの中から飛び出してくるとつかさずみらいとリコに飛びついた。確かに彼女達もまた会うのは前の長期休暇の夏休み以来だった。しかし、それでも久しぶりに出会ったという事は変わりないこと。あと、ことはの容姿もまた他の二人と違って一切中学生の頃と変化はしていなかった。

 

「貴方が、私の未来の……」

「えぇ、あなたたちは過去から来た私達ね。水晶玉で今までの事、見ていたわよ」

 

 話には聞いていた。しかし、実際にその姿を見るまで自分は疑問だった。本当に未来の自分が魔法を上手く使えているのかと。けど、先ほどの低空飛行や急ブレーキなど、今の自分では到底できないような箒の使い方、魔法の使い方は、まさしく魔法の使い方がうまくないとできない物。いつかは、いつかは自分もまた今目の前にいる未来の自分のようになるのかもしれない。今はまだ魔法は下手であるし、現在使用ができなくなっているが、でもいつか、やがていつかは立派な魔法つかいになれる。そう、未来の自分はその証拠であるのだ。因みに、大人ことはと子供ことははというと。

 

「初めまして私!」

「こちらこそ初めまして!」

 

 ちょっと天然が入ったような出会いをしていた。懐かしい出会い、久々の再会という物は場の雰囲気を明るくさせる。今までは絶望的雰囲気がその場に蔓延していた。しかし、士の復活、仮面ライダークライムの活躍、そして道が閉ざされていたために会うことができなかったプリキュアとの再会、これらのたった数十分の間に起こった出来事の連続により、今まさにこの闘いの流れが変わろうとしていた。

 

「なんだか、負ける気がしないわね」

「うん、ここにいるみんななら……」

『ちょっと待った!!!』

「え?」

 

 またオーロラの中から大声が聞こえた。しかし、それは今までのような女性の声とは違う。男性の声だ。プリキュアの中には、男性で一緒に戦ってくれるような人間が何人も思い浮かんだ。しかし、先ほどのような声の仲間はいない。だが、その声に聞き覚えのある人間もまたいたのは事実である。

 

「士……」

「……あぁ、あいつだな」

「え?」

 

 その瞬間であった。軽快なBGM、まるで電車の発車メロディーのような音楽と共に、一つのレールがオーロラから伸びたのだ。それも彼女たちの頭の上にである。そして、その上を一編成の電車、いや形からしたら新幹線のような車輛が通過していった。そんなオカルトなことが普通の状況で起きることなどない。それは紛れもなく非常識なことである。電車が通る風圧にも耐えながら、彼女たちはその電車が自分たちの真上を通り、遠藤止の真上を通ってまた帰ってこようとするところを見た。

 

「なにあれ、電車!?」

「デンライナーだとッ!という事は、まさか!!?」

「あぁ、そう言うことだ。どうやら、こちら側の救援も来たらしい」

「こちら側ってことは……」

「あぁ、頭は悪いが、頼りにはなるよ」

 

 海東がそう言った直後、デンライナーが士たちのすぐ近くに横付けし、中から一人の赤い鬼が現れた。

 

「おい泥棒野郎!頭が悪いってのは聞き捨てならねぇな!」

「本当、僕たちまで先輩と同じに見られちゃうじゃないか」

「なっ!?カメ公お前……」

「なんや久しぶりっちゅうか、七年ぶりっちゅう気がするのうディケイド!」

「そんなわけないって、この前会ったばっかりじゃん。ね、良太郎」

「えっと……僕はこの前の戦いには参加していないんだけど……それより……久しぶり、士」

「降臨!満を持して!」

「いきなり何なんだよ手羽野郎!」

「……頼りになります?」

「……安心しろ、あんなのでもかなり強い」

 

 デンライナーから降りてきたのは、モモタロス、ウラタロス、キンタロス、リュウタロス、ジーク、そしてジーク以外のイマジンの契約者である野上良太郎であった。時をかける電車、デンライナーに乗り、未来を、過去を変えようとするイマジン達と戦う仮面ライダー電王に変身するライダーである。良太郎はデンライナーから降り、自分の時代に残ったのだが、たまにデンライナーに乗り、こうしてモモタロス達と共に戦っているそうだ。本来ならば士よりも年上であるのだが、時空のゆがみの影響で若返ってしまったらしい。

 

「いちいち鼻につく言い方をすんな!……まぁいい!この祭り、俺たちも参加させてもらうぜ!!」

「フン、電王が来たと思ったが、偽物の良太郎か」

「え?」

「何言っとるんや!良太郎は良太郎や!そうやろ!」

「う、うん……確かにちょっと若返っちゃったけど……」

「いや、お前は良太郎じゃない!少なくとも、俺の知っている良太郎が良太郎をやっていない良太郎なんて、俺の良太郎じゃない!!」

 

 それは、まるで駄々をこねる子供のようであった。自分の欲しいおもちゃを買ってもらえなかった子供の泣き声、そんな風に見える。

 

「良太郎が良太郎じゃなくて、良太郎が良太郎で……ってあぁ、どっちだっていい!!」

 

 しかし、むしろ難しい言い方で言ったことが災いしたのか、モモタロスにはその言葉の真意など一ミリも伝わっていなかった。

 

「こいつは確かに、運が悪くて喧嘩も弱くて、おまけに変な名前ばかりを俺たちに付けやがるし、ちょっとばかし若返っちまっているがな。弱いくせに誰かを守りたいっていう度胸と頑固なところは誰にも負けねぇ、自分の事なんかよりもまず他人を不幸から救いたいっていう馬鹿が付くほどのお人好しの良太郎だ!それ以外の何物でもねぇ!人相が少し変わっちまっても、それでも良太郎は良太郎だ!俺たちと一緒に戦った良太郎に違いねぇ!」

「ッ!」

「それに、今回ここに来たのは、俺たちだけじゃねぇんだぜ!」

「なに!?」

 

 その言葉と共に、デンライナーからは複数の人間が降りてくる。その姿をみて、遠藤止は驚愕に顔をゆがめている。

 

「馬鹿な、あいつは敵だったんじゃ……それに、何故あいつが生きて……」

 

 その中には、士の見知らぬ人間たちもいた。しかし、その内の何人かは紛れもなく、士の見覚えのある、そして共に戦った同士であった。

 

「士、元気していたか?」

「士!久しぶり」

「チーズ!」

「……チーフだ、辰巳シンジ、尾上タクミ、剣立カズマ……確かに懐かしい顔ばかりだな。……他の奴らは知らないな」

「私か……私はッ!」

 

 たくさんの世界を回った中で出会ってきた仲間、仮面ライダー龍騎の辰巳シンジ、仮面ライダーファイズの尾上タクミ、そして仮面ライダーブレイドに変身する剣立カズマの三人。この三人の事は知っていた。しかし、残る八人の男女の事は知らない。何人かの着衣を見るに、医者であるのだろうか。だが、応えようとしているのは黒いスーツをその身に着こんだ男である。そして、男は大きく身体をのけぞらせて反動をつけると、勢いよく体制を戻すと言った。

 

「神だァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!」

 

 その瞬間、何やら涼しい風が一つ過ぎていった。なんだこの男は。どことなく鳴滝のようななにかを感じるが、それ以上に今までに出会った変人奇人を越えた何かを感じる。それは、イマジンズに初めて出会ったその時以上の嫌な予感だった。

 

「ありす、訂正しよう」

「はい?」

「もしかしたらだめかもしれない」

「え゛……」

「俺たちとこいつを一緒にするな」

「こら、黎斗!また吸い込まれたいの!?」

「ヒッ!」

「僕たちも一緒に戦います。士さん」

「お前たちは?」

「僕らは聖都大学付属病院のCRのドクターです。僕は宝生永夢、仮面ライダーエグゼイドです」

「鏡飛彩、仮面ライダーブレイブだ」

「花家大我、仮面ライダースナイプに変身する。但し、CRには所属していない」

「私はその助手の西馬ニコ、よろしく」

「九条貴利矢、よろしく」

「私は、ポッピーピポパポ!!CRの看護師をしてるの!」

「仮面ライダーパラドクスに変身する、パラド。お前は、おれの心を躍らせてくれるか?」

「そしてぇ!!私こそがぁぁぁぁ!!!」

 

 最後の一人。そこにいる者たちの中で一番士が関わり合いになりたくない人間が名前をハイテンションで言おうとした瞬間、遠藤止がさえぎっていった。

 

「こっちも待たされてイライラしているから代わりに紹介してやるよ檀黎斗!それとも?新檀黎斗と呼んだ方がいいか?」

「違ぁぁぁう!!!」

「!!」

「私はァァァァァ!!!!」

 

 男は、首を一回りさせて、両手を広げ、何か神々しい光でも浴びているのかというほどに恍惚とした表情をしたのち、悪人のように唇をゆがませて、自身の存在を誇示するかのように叫んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「檀!!!!黎斗!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

神だぁぁぁぁぁぁぁァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 今、一瞬雅楽のような音楽が聞こえたのは幻聴なのだろうか。今日一日、ストレスがたまるようなことが多すぎて、疲れているのだろう。

 

「おい、お前ら医者なんだろ?あいつの頭をどうにかしたらどうだ?」

「いや、あの……」

「恐れ入ったかぁぁぁ!!!ぶあっはっはっはっはっはっ!!!!!!!!

「黎斗!!」

「はあああああぁぁぁぁぁぁぁ~~~~~~…………」

 

 高笑いを続ける神(笑)は、ポッピーピポパポが差し出したクロノスの使用している変身ベルトと同一のものに吸い込まれていった。一人いなくなっただけというのに、あたりは静寂を取り戻したと言ってもいいほどに静かになった。それほどまでにあの男の存在感はすさまじかったのだろう。

 

「……よし、話を戻そう。こいつらの事は知らないが、たぶん強いはずだ。仮面ライダーだからな」

「は、はぁ……」

 

 ありすは、その言葉が若干信じられないような気がした。しかし、自分達プリキュアの仲間達もかなり個性的な面々がそろっているのにもかかわらずの強さを持っていることは知っている。そのため、その例に習ってそれなりの変人であったとしても弱くはないという事を彼女は知っていた。まぁ、先ほどの神(自称)のような変人はプリキュアの面々の中にはいないだろうが。……十年ほど前のある事件の際にいきなりミュージカルを始めたり、敵の檻の中で歌いだしたりすることを奇行であるとしなければの話であるが。

 

「ふっ、だがまだこちらにいる手駒には到底……」

「違うよ。来ているのは、仮面ライダーだけじゃない」

「なに!?」

 

 良太郎がそう言い放ったその時、またもオーロラの中から巨体がその姿を現した。

 

「海賊船?」

「海賊……ということは」

「あぁ、彼らも来たらしい」

 

 海東がそういった瞬間。船から複数の人影が跳び下りた。大人、子供入り混じった複数人。無論、その中には士たちの知っている人間もいた。だが、やはり半分は自分たちの知らない人間たちである。というか、何人か明らかに敵のような物、ロボットもいる。いったい何者なのだろうか。

 

「また面白いことやっているらしいじゃねぇか、士」

 

 考えていた士に、赤いジャケットを着た男が話しかけてきた。

 

「キャプテン・マーベラス、お前も来たのか?」

 

 キャプテンマーベラス、海賊戦隊ゴーカイジャーのゴーカイレッドである。かつては共に作戦を立て、ショッカー・大ザンギャック連合との戦いに臨んだ仲間だ。

 

「あぁ、お宝を守るためにな」

「お宝……か。おれも取り戻した。お宝ってやつをな」

 

 士は、そう言いながら海東の方を見る。

 

「ジョー……」

「……お前も、吹っ切れたようだな」

「あぁ……あのあと、また士に裏切られたよ。二度もね……けど、前ほど嫌な気持ちにはならなかった」

「そうか」

 

 そう言って、ジョーは海東の胸に拳を置いた。それを受けた海東は笑みを浮かべる。それは、一体何の笑みであったのか。少ないやり取りではあった。しかし、それだけで二人は通じ合っているように見えた。一方、マーベラスと似たような服を着た他の四人は、プリキュアたちの元に向かっていた。

 

「初めまして!俺は、伊狩鎧といいます!またの名を、ゴ~カイ!……シルバァァ!!!」

「邪魔!私はルカ、よろしく」

「僕はドン・ドッゴイヤー!皆からはハカセって呼ばれてるんだ」

「私は、アイム。よろしくお願いします」

「その喋り方……あなたはもしや、高貴な生まれでは?」

「はい、ファミーユ星の元王女です。今は星は滅んでしまいましたが……」

「それは失礼を……私は、ホープキングダムのプリンセス・ホープ・ディライト・トワ、お見知り置き、よろしくお願いします。アイム王女」

「いえそんな……はい」

 

 以上が海賊戦隊ゴーカイジャーの六人である。かつて、レジェンド大戦と呼ばれる壮絶な戦いがあった。宇宙帝国ザンギャックが、34のスーパー戦隊がいる地球に攻めこんできたのである。ザンギャックと戦った34のスーパー戦隊はしかし、数に勝ったザンギャックの大艦隊に次第に押され始めていた。そこで、アカレンジャーの号令の元最後の力を振り絞り全員突撃。大艦隊をなんとか撤退させることに成功するものの、同時にすべてのスーパー戦隊は戦う力を失ってしまった。そして間もなく、宇宙に散らばっていった戦隊の力、レンジャーキーを受け継ぎ、地球にあるという宇宙最大のお宝を探しに来たのが彼らゴーカイジャーの凱を除く五人だった。やがて、地球で凱という六人目の仲間を手に入れ、地球に住む人々の姿を、そして地球を守ってきたかつてのスーパー戦隊の姿を見て成長したゴーカイジャーは、またも地球に攻め入ったザンギャックの艦隊を六人の力を合わせて、いや全スーパー戦隊の力を合わせて打倒し、皇帝をも倒してまた宇宙へと旅立っていった。その際、自分たちが使用していたレンジャーキーを手放して。

 さらにその後ろから士の見知った男が現れた。その男は、自分が旅の途中にであった。あの戦い以前に出会った唯一のスーパー戦隊である。その時は、家臣が、いや仲間が五人いたのだが、今日は一人、しかも士の知らない人間が後ろについていた。

 

「久しぶりだな、士」

「だな……殿様。龍之介たちはどうした?」

「あいつらには別の場所に行って貰っている。今日は、俺と……それから、先代のシンケンレッドに来てもらった」

「先代?っていう事は、後ろにいるのはお前の母親……ってことになるのか?」

 

 士の眼には、丈瑠の後ろにいる少女の容姿は、どう見ても丈瑠よりも年下であるとしか思えない。それなのに、その少女が娘であるとはどういうことなのだろうか。良太郎のように若返ってしまったというのだろうか。

 

「志葉家十八代目当主、志葉薫。よろしく頼む」

「ん?十八代目はお前じゃなかったか丈瑠?」

「いや、違う。お前が別の世界に行った後色々あった。元々俺は、志葉家の人間でもなんでもなかったが、十九代目として俺は薫の養子となった。つまり、薫は俺の母親だ」

「……だいたい分かった」

「分かってなかろう」

「……」

 

 志葉家十八代目当主志葉薫シンケンレッドである。そして、志葉家十九代目当主、つまり現当主である志葉丈瑠もまたシンケンレッドである。士は知らない事であったが、実はここにはかなりややこしい事情が隠されている。太古の昔より、この世とあの世の狭間を流れる三途の川。そこにすむ妖怪外道衆は、人間たちを襲い、苦しめてきた。その外道衆と代々戦ってきたのが、殿様とその家臣たち構成されている侍戦隊シンケンジャーであった。そして、現代のシンケンジャーは、ここからかなりややこしいことになっており、志葉家十八代目の当主であると思われていたシンケンレッド、志葉丈瑠は実は影武者で、志葉薫という少女が本物の十八代目シンケンレッドであった。しかし、最終決戦に赴く際に様々な事情から薫は丈瑠を養子にし、十九代目のシンケンレッドを襲名させたのだ。こう書くだけではその真相がよくわからないと思うが、ともかく、志葉丈瑠が現在のシンケンレッドであるという事だけは知っていてもらいたい。

 

「とにかくだ……また一緒に戦える時を待っていた……士」

「あぁ、また力を貸してもらう」

 

 士は、丈瑠から差し出された手を握手代わりに叩いて答えた。

 続いてその後ろにいる三人、こちらも見知った顔がいた。彼らはサングラスを取りながら士に近づいて言った。

 

「士、俺たちも一緒に戦わせてもらう」

「お前らも来たのか、ゴーバスターズ」

「あぁ、例えここが俺たちの世界とは別の世界であっても、人類の敵はシャットダウンする。それが俺たちの役目だからな」

 

 特命戦隊ゴーバスターズの桜田ヒロム、岩崎リュウジ、宇佐見ヨーコの三人。ヴァグラスという人類の天敵と戦った若者たちである。若干一名若者と言うには年が行き過ぎているような気もするが、若者である。本来なら彼、彼女たちに加えて他にも五人の仲間がいるのだが、今この場に諸事情のために来れなかった三人を除くと、一人は戦いの中で消滅し、一人は森の管理人となってゴーバスターズを抜けてしまった。そのため、今この場所には三人しかいないのである。

 

「そして……ん?」

 

 そして、恐らく今この場にいる戦隊では最後になるだろう。恐らくというのは服装に統一性がある物の、かなり多種多様に、そして普通の戦隊よりも人数が多いのだ。普通は五人ないし三人。もしくは六人程度のはずのスーパー戦隊。しかし、そこにいたのは十二人の少年少女、青年、それから獣人にロボットとかなりユニークにとんだ面々がそこにはいた。先ほどまでは、人間と人間じゃないのとでそれぞれ分かれているのかと思っていたが、しかし十二人一緒に居続けているところを見ると、やはりその十二人が一緒の戦隊なのだろう。その内の一人、恐らくリーダーであろう青年が自己紹介を始めた。

 

「よう、俺はラッキー!宇宙一ラッキーな男だ!!」

「ラッキーか……この十二人で一つの戦隊なのか?」

「あぁ!究極の救世主!宇宙戦隊キュウレンジャーだ!」

「そうか、凄いな」

 

 士は、若干呆れながらもそう言った。逆に十二人十二人も集めなければならなかった敵とは一体どれほどの力を持っていたのだろうかと別の方向で気になってしまったからだ。いや、今はそんな事どうでもいい。彼らの自己紹介を詳しく聞かなければ、頭が混乱しそうなのだ。

 

「俺はスティンガーだ」

「俺はガル!よろしくじゃきに!」

「バランスだよぉ~シクヨロで~す!!」

「俺はチャンプだ。待たせたな、ディケイド」

「ナーガという」

「私はハミィ!キタコレ!」

「ラプター283です!ラプターって呼んでください!」

「僕はスパーダ、よろしく!」

「僕ちんはキュウレンジャーの司令官、ショウ・ロンポー!よろしく」

「佐久間小太郎、よろしくね!」

「俺様の名前は鳳ツルギ、俺様たちがきた。すなわち、伝説が始まるという事だ!!」

 

 以上が宇宙戦隊キュウレンジャーの十二人である。彼、彼女たちはゴーカイジャーたちがいる宇宙とはまた別の宇宙にいるスーパー戦隊である。宇宙幕府ジャークマターに支配された88の星座系をまたにかけて宇宙の平和を、そして希望を取り戻すべく戦い、そして平和を勝ち取ったまさしく救世主である面々だ。

 モモタロスたちイマジンも含めてここに、三十九名の戦隊、ライダーの救援が集まったのだった。

 

「なるほど、これだけ集まったらもう大丈夫だろうな」

「いや、これだけじゃないんです」

「なに?」

「渡くんが集めたのは、これだけじゃない。もっとたくさんのヒーローが駆けつけてくれる手はずになっているんだ」

「あぁ、でもあまりにも人数が多いから何人かに分けてくることになったんだ」

「きっと、戦っている間に来てくれるだろうね」

「なるほどね、彼も本気だとみて、間違いないようだ」

 

 そう考えると、スーパー戦隊、仮面ライダー全員がこの世界に来る可能性すらも浮かんでくるのだがしかし、そのあたりは渡の裁量に任せるとしよう。

 

「なら、その増援が来る前に倒してもいいんだろう?」

「そう言うことだ、よしお前ら……ド派手に行くぜ!」

「おう!!」

「よっしゃぁぁ!!」

「へっ!腕が鳴るぜ!!行くぜ良太郎!」

「うん、モモタロス!」

『お~い出してくれぇ!!』

「だめ、黎斗はもう少し反省してて」

 

 こうして、ヒーローたちはそこに並び立った。その光景はまさに圧巻と言っていいほど。である。デンライナーは、気絶しているみのりを保護するとすぐさま走り出してオーロラの中へと消えていった。今ここに、最終決戦の火ぶたが切って落とされようとしていた。

 

「ん?……あっ、ちょっと待った!!」

 

 落とされようとしていたその時である。尾上タクミがストップをかけたのだった。

 

「どうしたタクミ?」

「いや、あの……言いにくいんだけど」

「ん?」

「変身できないから一度戻ってもいい?」

「なに?」

「え、どういうこと?」

 

 変身できないとはどういうことなのだろうか。ふとここで士は一度仮面ライダーファイズの変身ベルトの設計について思い出してみる。確か、ファイズの変身アイテムであるファイズフォンは、番号を入力して、ドライバーのバックルにセットすることによって、変身者の身体に戦闘用強化スーツが電送のだ。そう、電送である。それは一体どこからというと。

 

「大体わかった。ファイズはスマートプレイン製の人工衛星からスーツが電送される。つまり、その人工衛星が存在しない別世界で変身することはできないという事だろ?」

 

 そう、仮面ライダーファイズは変身する際には人工衛星イーグルサットからスーツが送られのだ。簡単に瑛ば宇宙刑事ギャバンが変身する際にスーツがドルギランから電送されるのと同じである。つまり、その人工衛星がないこの世界では、ファイズが変身することができないのだ。

 

「あぁ、そう。だから、一度元の世界に戻って……」

『そんな時間を、与えるとお思いですか?』

「あっ!ジョーカー!」

「まだ生きとったんか……」

「いや、生きているっていうか亡霊なんだから生きているも何もないんじゃ……」

『変身できないのであれば、貴方のみを狙うだけです……』

「そう言うことだ……仮面ライダーの名前をかたる偽物は、今ここで始末する!」

 

 その瞬間であった。遠藤止の後ろに数々のスーパー戦隊が現れた。史上二番目のスーパー戦隊であるジャッカー電撃隊を始めとした数々のスーパー戦隊、そして仮面ライダーファイズを始めとした仮面ライダーの数々、それだけでも百人はいる。しかしそれだけではない。

 

「ショッカーの怪人までいるな」

「あぁ、オルフェノクやアンノウン……」

「イマジンまでいやがる……」

「ど、どうするのさあんなにたくさんいて!」

 

 と、ゴーカイジャーのハカセがそう言いながらマーベラスの袖に絡みついた。五十体ほどの怪人の姿。ここで全ての決着をつけるつもりだというのだろうか。しかし、それにおじけづく彼らではなかった。マーベラスはハカセを振りほどいて言う。

 

「ビビることはねぇ。どんだけ敵がいても蹴散らすだけだ」

「あぁ……とはいえ、少しまずいな」

「え?」

「考えてもみろ、こんな狭い道でこれだけの大人数が戦えるか?」

「確かに、すでに避難は済んでいますが、街中で戦うにはもう少し人数を減らした方がいいかと」

 

 避難は済んでいるからと言って、建物の被害を無視することなどできない。この闘いが終わった後にもこの場所に帰ってくる人たちがいるのだ。これだけの会社が営業を取りやめていたら、それだけ日本の経済に影響を与える。そう言っても過言ではないような企業がここにはある。十年前のように戦いが終わったら自動的に治ってくれるのならばいいのだが、今回はちょっと望み薄。そのため、即座にこの場所から離れた場所で戦う必要がある。

 

「何とかできませんか?先ほどまではどうにもできませんでしたが、これほどの人数がいれば、誰か何とかできるのでは?」

「私に、考えがあるッ!」

 

 その時、軽快な音楽と共に紫色の土管が出現。並びに、忘れようにも忘れられない男の声と共に、変身ベルトに吸い込まれたはずの檀黎斗神が現れた。

 

「黎斗!?」

「おい神、勝手にバグヴァイザーⅡから脱出するプログラムを作ってやがったな?」

「そんなことはどうでもいい!場所を変えるのであれば、うってつけの物を作って置いたぁぁ!!!」

「……一応、話だけは聞いておこうか」

「これだぁぁぁ!!!」

《STAGE SELECT!》

「え゛……」

 

 その音声が響いた瞬間、士、海東、黎斗、ポッピーピポパポ、ラッキー、ガル、二人の坂上あゆみ以外の味方と、遠藤止が出した救急戦隊ゴーゴーファイブの五人と五星戦隊ダイレンジャーの六人、地球戦隊ファイブマンの五人、仮面ライダーファイズ、カイザ、デルタ、オーガのみ。遠藤止とジョーカーもいなくなっていた。

 

「え?み、みんなは!?」

「黎斗!一体何をしでかしたの!?」

「ゲーマドライバーのステージセレクトと、渡の使っていた世界移動能力組み合わせ、新たにプログラミングした!これで思う存分に戦うがいい!」

 

 ステージセレクトとは、よくゲームに置いて次にプレイするステージを選ぶことを言う。仮面ライダーエグゼイド達が使用するライダーガシャットにはそれぞれ空間生成装置によって周囲に特殊空間を実体化させることができるのだ。それを利用することによって自身と敵を一般市民に被害が及ばない場所にエリアを展開させることができるらしい。今回の場合は、そのステージセレクトと、渡や士の使用する世界移動能力を合わせたことによって、実際に場所を移動させる能力を作ったのだ。

 確かに、人口密度が先ほどまでの十%を下回ったから、存分に戦うことができるだろうが……。

 

「そ、それでみんなはどこに行ったんじゃ!」

「ふっ……知るかぁぁぁぁ!!!!」

「えぇぇぇぇぇ!!!!!」

 

 なんとも無責任な話である。ガルほどには驚かないにしても、二つの別々の力を絡み合わせたその技術力は流石と言っていい、そう感心してしまう。

 

「まぁ、あいつらなら大丈夫だろ」

「あぁ!皆のことなら心配はいらねぇ!こいつらは俺たちで倒すぞ!」

「はい!」

「僕に命令しないでくれたまえ……」

 

 こうして、それぞれの場所でそれぞれの戦いが始まった。では黎斗によって飛ばされた面々は一体どうしているのだろうか。そして、他の救援とはいったい誰なのだろうか。戦闘のステージが今一つ終わった。これから第二ステージへと移行していく。




 質問。ニコって今現在でもライドプレイヤーニコに変身できるのか。
 ここから先、登場予定の人たちの口調とか諸々の確認のために忙しく、また最近地の文書いていないからこの話の後半の地の文が雑になっているきがする。地の文のリハビリしないと……。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。