「くッ!やれぇ!!」
その声にロボット軍団プラス七人衆がネギたちに走っていく。数の上では圧倒的に不利であった。
「ふっ!ハァ!!」
しかしその差をものともせずディケイドはソードモードで切り刻み。
「フッ!ハァ!!」
ディエンドは銃を撃ち。
「ハァ!!ウリャ!」
ネギは古菲から教わった中国拳法を繰り出していく。彼らには数の差などは眼中になかった。そしてその三人に続いて麻帆良学園の精鋭たちが続いていく。
「士君…」
そんな彼らを遠くから見ているのは気絶したユウスケを介抱している夏海である。そんな彼女の元に一つの小さな影が飛んできた。
「は~い夏海ちゃん」
「キバーラ!あなた一体今までどこに…」
先ほどまで鳴滝(浮浪者の方)の元にいたはずのキバーラがその足にビンを持ってやってきた。
「それよりも…はいこれプレゼント 」
「ビン?」
何故ビンなど持って来たのかわからないが、彼女はおっかなびっくり開けてみる。
「キャッ!!」
すると、中から煙と共に一つの人影が出現する。
「エヴァちゃん!?」
「フン…ようやく出られたか…私としたことが、油断してしまった……」
それは、行方不明となっていたエヴァであった。昨日別荘から士たちが出ていった後に何者かに拉致されたらしい。おそらく結界がなくなった時に一番厄介となるのが、真祖の吸血鬼並びに闇の福音ことエヴァンジェリンであったのだろうと思われる。
「マスター!」
「……その顔…どうやら吹っ切れたようだな…」
エヴァが見た彼のその表情はすがすがしいほどの笑顔であった。彼の心の奥底にあった迷い、そして後悔、その色々なものがなくなったその瞳は透き通り、そしてどこまでも輝いていた。
「…はい!」
「フフ…さて、では今回の屈辱2倍……否、10倍にして返してやろう!」
エヴァは呪文を唱え空を存分に舞った。そしてある時は巨人兵を次々と氷漬けにし、またある時はロボットたちを粉々にしていく。その姿はまるで籠から解き放たれた白鳥のように…
「ハハハハハハ…ハァーハッハッハッハッハ!!」
…アンゴルモアの如くとしておこう。
「マスター、楽しそうでよかったです」
「いいのかあれで?」
そしてその姿を見て涙のように洗浄水を目から流す茶々丸とそれに突っ込む千雨
「エヴァ様すごーい!」
「エヴァちゃん、あんなこともできたなんて…」
「あれが真祖の吸血鬼の力ネ…そして……」
いつもの風景、いつもの非日常。これが彼女たちにとっての常識である。
「ネギ」
「はい?」
「お前のクラス、31人全員そろったな」
「!…はい!」
超、エヴァが戻ってきたことで、ネギクラスが元通り31人になった。秘密を共有するものが一人でもいてくれるという事、それはどれだけうれしいことか、共に苦難の道を歩んでくれるもの、その存在がどれだけたくましいことか。その時、ディケイドのライドブッカ―から三枚のカードが飛び出した。
「!」
ブランク、つまり最初は何も書かれていなかった場所に現れたのは、半分ネギの顔で斜めに線が入ってもう一方に白いオーラをまとったネギの顔のカード、白い羽根の書かれたカード、そして3-Aの出席簿が書かれたカードであった。
「フ…なるほどな……」
そういうと彼はネギの顔が書かれたカードをドライバーに入れた。するとドライバーから声が出る。
《FINAL FORM RIDE NE-NE-NE-NEGI》
「ちょっとくすぐったいぞ」
「え!?つ…士先生!!」
そういうとネギの背中をディケイドが叩く。その瞬間、ネギの周りに魔法陣が現れる。それは、黒く怪しい光を放っている。
「ネギ!?」
「ぐっ……グゥゥゥ」
すると彼の体に紋様が描かれ、しだいに髪が伸び、黒い鎧を全身にまとったかの様な姿になった。その姿を知っているのはこの中で3人だけ。
「ば…馬鹿な、『闇の魔法』だと!!」
それを作ったエヴァ、そしてそれを学園祭の時に使用した超さらに未来から来たラミアである。
「そんな…あれは『魔法世界』で……」
そのタイミングの違いに困惑しているラミアはしかし、その後の姿も見て驚く。
術式兵装「雷天大壮」
瞬間、黒い鎧をまとっていたネギの姿は一転、見える肌も白くなり、雷をまとったかのような姿となった。
「雷天大壮まで…こんな、早く……」
闇の魔法、雷天大壮、そのどちらも本来は魔法世界で覚えるべき技のはずだった。それがこんなにも早くネギが使うことにラミアは困惑する。その時、超の発した言葉が耳に通る。
「その時と何もかもが違うネ。先生の周りにいる生徒の数も、そして繋がりも……」
彼女もその力は、ネギが魔法世界に行った際に手に入れた力であったと話に聞いたことがある。そしてそれを完全に自分のものにしたときには、今この場にいる人間のうち約半分がいなかったことも知っている。しかしそれが今可能になったのは絆の力、そしてディケイドの力であった。いやディケイドは唯手を貸しただけだ。ネギの中に存在する可能性を速めただけであった。
「こいつはおまけだ」
そして彼は又もう一枚のカードをスキャンする。
《ATTACK RIDE PAKUTHIO》
すると光の中から何枚ものカード状の物が、3-A のある特定のメンバーの元に飛んでいく。
「これってもしかして明日菜たちと同じ!?」
それは契約の証、パクティオカードであった。それが、ネギと仮契約していないメンバー全員にいきわたったのだ。否、仮契約していないメンバーだけではなかった。
「わ…私にもですか?」
受け取った者の中には刹那の姿があった。彼女はすでにネギと仮契約を行っているはずだがどういうことなのか?
「そういう事だな」
そういう事らしい。
「よし、みなさん行きますわよ!!」
「くッ、俺だって…」
あやかが号令を取る中、目が覚めたユウスケが傷ついた体をを無理やり起こした。
「ユウスケ、大丈夫ですか!?」
「こんな時に…俺一人が何もしないでただいるだけじゃ嫌なんだ!」
今までいろんな世界へと行った中で彼自身が戦闘を行ったことは確かにある。しかしその世界その世界で最後の対決には参加できなかったことが多い。だから彼はもう嫌なのだ。自分の代わりに誰かが傷つくのが、そして誰かの笑顔が失われるのが。ともかく、彼は士と、そして夏海と共に戦うために前へと出る。
「ユウスケ…わかりました。キバーラ!」
「ウフフフ…行くわよぉ」
『アデアット!!』
「変身!」
「「変身」」
そういうとあやかたちの手にそれぞれの武器が現れ、ユウスケは仮面ライダークウガに、そして夏海は仮面ライダーキバーラとなった。
「最後に特別参戦さ」
そういうとディエンドはカードを三枚ディエンドライバーに充てんした。
《KAMENRIDE HIBIKI DEN-O FOURZE》
すると三人の仮面ライダーが現れた。それは、ディエンドの能力である。彼はその銃から様々な世界の仮面ライダーを一度に三人まで呼び出すことができるのだ。今回現れたのは…
「…」
鬼の力をその身に纏う『仮面ライダー響鬼』。
「俺!参上!!」
時をかける列車デンライナーに乗る『仮面ライダー電王』。
「宇宙キターーーーーー!!!!!」
そして宇宙をつかむロケット男『仮面ライダーフォーゼ』であった。
「なんだぁ…主役の登場を盛り上げすぎじゃねえか、あぁん!?」
ここで電王(モモタロス)がその数多くの敵を見て鼻息を荒くする。
「誰が主役だよ!」
ユウスケが電王の頭を思いっきり叩く。ユウスケはある理由によって電王、というよりモモタロスに激しい恨みを持っているのだ。
「痛って~、おいてめぇなにしやがる!」
「バカ騒ぎするなさっさとやるぞ」
そんな二人を無視してディケイドとネギが仮面ライダーたちの横に並び立つ。
「バカ!?…ったくしょうがねぇなぁ!」
彼ら彼女らはそろい立つ。そして、この男が開始のゴングを鳴らすかの如く叫ぶ。
「言っておくが俺たちは…最初から最後までクライマックスだぜ!!」
「行こう!ネギ!!」
「はい、明日菜さん!!」
「行くぜ行くぜ行くぜぇ!!!!!」
そして電王は剣を回しながら敵に走り寄っていき、彼に続くように他の面々も突撃していく。
「りゃぁ!うらぁ!!」
電王が荒々しくも的確に敵を切り倒し、
「フッ!ハァ!」
響鬼が太鼓のばちにあたる『音激棒』で敵を叩きのめし、
「うおりゃ―――!!」
そしてフォーゼが(そのものずばり本当に右手にロケットをつけての)ロケットパンチを繰り出していく。一人いるだけでも頼もしい仮面ライダーがこの場所に7人いるのだ。どうやって負けようか。はっきり言おう負ける気がしないと。
闇の魔法関連の設定は間違っていないだろうか…。