それは、あまりにも巨大であった。今まで、プリキュアたちが自分よりも大きな敵と戦っていたということは何度も話してきた。だが、目の前にいるその怪物は、その今まで戦ってきた敵の中でも巨大な部類に入ると思われる。
さらに言えば、その今まで戦ってきた怪物はほとんど黒い姿であったためこのように生物感は皆無だった。はっきり言うと気持ち悪い。カマキリをそのまま大きくしたようなその姿に、女性陣はもはや引いていた。虫が嫌いでお馴染みキュアマーチに至ってはすぐそばの岩場に隠れてしまったほどだ。
この場合、一体どうやって戦いを挑むか、と普通であれば慎重にならざるを得ないところである。しかし……。
「仮面ライダーの敵でも、こうなったらこっちの仕事だな」
「よぅし、みんな!行くぞ!」
「おぉ!!」
どうやら、スーパー戦隊の彼らにとっては日常茶飯事の様子で、冷静にそれぞれが行動を起こしていた。
「朧さん!忍マシンを!!」
「デカマシン発進!!」
「来い!ゴーカイガレオン!」
≪ゴ~カイガレオン!!≫
「時を超えていでよ!豪獣ドリル」
≪発進!豪~獣~ドリル!!≫
「司令官!バスターマシンを!!」
「「「「「ゴーバスターパーフェクトアニマル!降臨!!」」」」」
「「「「「「ブレイブ!イン!!ハァッ!!」」」」」」
≪ガブリンチョ!!≫
≪レッシャが参りま~す!白線の内側に下がってお待ちください!!≫
「来い!ビルドレッシャー!!」
≪レッシャが参りま~す!ビルドレッシャー!!≫
「みんな!行くぞ!」
≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪≪セイ!ザ!ゴー!!≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫≫
≪カモンザゴー!!≫
その瞬間、銀色のオーロラが出現し、それぞれの戦士のマシンが出現し、戦士たちはその現れたマシンに乗り込んでいく。
「忍風合体!」
「「「旋風神!推参!!」」」
「「「「「特捜合体!」」」」」
「「「「「ビルドアップ!デカレンジャーロボ!!」」」」」
「海賊合体!」
「「「「「完成!ゴーカイオー!!」」」」」
≪豪~獣神≫
「完成!豪獣神!!」
「コンバインオペレーション!」
「「了解!」」
「特命合体!」
「ゴーバスターオー!」
「「「レディーゴー!!」」」
「完成!」
「「「「「ゴーバスター!パーフェクトアニマル!!」」」」」
「「「「「「ライデンカミツキ合体!!」」」」」」
≪ガブリンチョ!ステゴッチ!!≫
≪ガブリンチョ!トリケ~ラ!!≫
≪ライデン!キョ~リュウジン!!≫
「「「「「「完成!ライデンキョウリュジン!!」」」」」」
「「「「「烈車合体!!」」」」」
「接続!」
「「連結完了!」」
≪毎度~ご乗車!ありがとうございます!!トッキュウオー完成いたします!!あドア開きます!!≫
「「「「「乗車完了!トッキュウオー!!」」」」」
「烈車合体!」
「乗車完了!ビルドダイオー!!」
≪スーパー!カモン・ザ・ドッキング!!≫
≪キュゥゥゥゥタマジン!!≫
それぞれのマシンが変形し、合体し、積み上がり、新たな姿に変わっていく。スーパー戦隊の敵は、何も等身大の怪人達だけではない。時には怪人自身が巨大化したり、怪人自身も巨大ロボットに乗り込んだり、はたまた別次元から自立型のロボットが転送されることもある。そんな時に、スーパー戦隊の面々は、このように巨大ロボット達を呼び出し、そして戦うのだ。時には人間が作った科学のロボット。時には神様がロボットになった神秘のロボット。時には宇宙の技術で作られた未知のロボット。その相棒と共に、スーパー戦隊は約半世紀の間戦ってきたのだ。
ここに現出したのは旋風神、デカレンジャーロボ、ゴーカイオー、豪獣神、ゴーバスターオー、ゴーバスターパーフェクトアニマル、ライデンキョウリュジン、トッキュウオー、ビルドダイオー、キュータマジン。総勢10体のロボットがその場に立った。
「よぅし、お前ら!ド派手に行くぜ!!」
『おぅ!』
「私たちを踏まないでくださいね!!」
と言いながら等身大の戦士たちは、彼らの邪魔にならないようにその場から退散する。これで下に気を使わなくても要なった。あとは、目の前のマンティストロフィーを倒すだけだ。
「!!」
「なんだ?」
しかし、マンティストロフィーもただやられるわけではない。マンティストロフィーは、自分の周りに何枚もの鏡を出現させ、そこから何体ものザンギャクの戦闘員であるスゴーミンを出現させた。
「そう来なくちゃな!」
「ハァッ!!」
こうして、戦隊ロボ軍団VSマンティストロフィー率いるスゴーミン軍団との戦いが開始された。
剣と身体が敵にぶつかるたびに巨大な火花が散り、大きな地響きが起こる。光線技を出せば遠くにある雲が割れ、巻き上がる炎、雷、水、多種多様な属性の攻撃が周辺に散らばっていく。その度に土が舞い上がり、風が土埃を運ぶ。
「すごい……」
「ていうかなに?あんたらの世界じゃああいうのが日常茶飯事ってこと?」
「まぁ、大体は……ね」
プリキュア陣営の困惑はもっともである。こんな戦闘毎日のように続けていたら、命がいくつあっても足りないだろうしビルや家々を破壊して一般市民の生活にも影響を与えかねない。というか、こんなにも巨大なロボット達が戦ってしまっては、地面が変形し放題木も燃え放題で環境にも影響が出てしまうのではないだろうか。だが、それでもこれがスーパー戦隊の日常、そして彼らの世界で普遍的に行われてきた戦であるのだ。
ともかく、これだけの戦力であの敵を倒しきれないとは思えないが油断は禁物。何せ相手は遠藤止という転生者、そしておそらくその力からしてジョーカーを喰らったのであろう、そんな最悪な二つを喰らってただでさえ強かったのにもっと強くなっているはずなのだから。
果たして、その危惧は当たっていた。いや、先ほどスゴーミンを出してきていたのだからそれは想像していればよかったのだ。
「!!!」
「なっ、鏡の中に!!」
マンティストロフィーは自らが出現させた鏡の中へと飛び込んでいった。そしてそれから十数秒後、虚空に鏡が出現し、そこからマンティストロフィーの鎌が出現する。
「「「「「ぐあっッ!!」」」」」
「ッ!!」
さらにもう一つ。
「「「「「「「「「「「「ッ!」」」」」」」」」」」」
これはかなり厄介な能力だ。そこに存在している鏡から攻撃が飛んでくるのならともかく、何もないところに出現させた鏡から放たれる攻撃など、避けようもない。特に、ロボットに乗っている彼らの反射神経がどれだけよかったとしても、見て、ロボットを操縦して、そしてその操作がロボットに伝わるまでに時間のロスが存在するのだから、避けることは不可能に近かった。
「!!!!」
「ぐあぁぁぁ!!」
「うわぁぁ!」
「きゃぁぁ!!!」
さらに、鏡の中からマンティストロフィー自体が出現し、エネルギーのこもった鎌でロボットたちを切り刻んでいく。結果、機体のあちこちから火花が飛び散り、小さな爆発が連発しながらダメージを負ったロボットたちは分解し、さらにゴーバスターオーからブルーバスターとイエローバスターの二人が外に投げ出されてしまった。残っているのはゴーカイオー、豪獣神、ゴーバスターオー、ゴーバスターパーフェクトアニマル、トッキュウオー、キュータマジンの6体のみ、否ゴーバスターオーはブルーとイエローが戦闘不能となってしまったために実質的に残るは5体となっている。
「おい!みんな!!」
「大丈夫か!」
「ッ!なんて強いんだ……」
駆けつけた戦士達。そもそもこの戦場での戦いのダメージが大きかったのだ。それに加えてのマンティストロフィーの特別殺意のこもっているであろう攻撃を受けたのだからこれ以上の戦闘は不可能のようだ。
ゴーカイジャーは恐ろしいまでの強さを改発から感じた。おそらく今までに戦って来た全ての敵の中でも一、二を争うほどに。
「皆さん!ここはカンゼンゴーカイオーでいきましょう!」
「あぁ!来いマッハルコン!!」
ゴーカイジャーの5人はそう言いながらゴーオンジャーのレンジャーキーを目の前の舵の真ん中にある鍵穴に差し込むと、空中に穴が開き一体のF1カーのようなフォルムをした者が出現する。
「バ〜リバリ〜!久しぶりだなゴーカイジャー!!」
「あぁ、お前の力を借りるぜ!」
彼の名前は炎神マッハルコン。炎神戦隊ゴーオンジャーと共に戦ったマシンワールドの住人炎神スピードルとベアールVの息子である。ゴーカイジャーが彼と出会った際には反抗期真っ最中でマシンワールドにて暴走行為をしていたのだが、ゴーカイジャーと出会い彼らの相棒としてその後の戦いのほとんどに関わった。言うなればゴーカイジャー7人目の仲間である。
マッハルコンと久々の会話を交わしたゴーカイジャーは、自分たちの姿をしたレンジャーキーをとりだすと、それを先程のように鍵穴に差し込み回した。
「「「「「「レンジャーキーセット!!」」」」」」
するとゴーカイオー、豪獣神の胸が開きそこから光と共に一つの大きな炎神ソウル、カンゼンソウルが出現する。本来の炎神ソウルは、それぞれの炎神の精神が宿った本当の意味での魂であるのだが、このカンゼンソウルには炎神の精神は入っておらず、また別の用途で使用される物であるのだ。
「バ〜リバリ〜!!」
「「「「「「カンゼンソウル!セット!!」」」」」」
ゴーカイオーと豪獣神はカンゼンソウルをマッハルコンにセットして共に走り出す。そして……。
「「「「「「海賊合体!!」」」」」」
「「「「「「完成!カンゼンゴーカイオー!!」」」」」」
ゴーカイオー、豪獣神、マッハルコンの三体は合体してまた新たなロボット、カンゼンゴーカイオーがその姿を現した。
マッハルコンがゴーオンジャーの大いなる力であるとするならカンゼンゴーカイオーは、ゴーカイジャーの大いなる力。ゴーカイジャーの6人が強敵を相手とし、負ける寸前でもそれでも夢を掴むまで突き進むという意思によって発現した自分達の、それまでは他の戦隊から貰うしかなかったゴーカイジャーが手に入れた自分達独自の大いなる力であるのだ。
「戦隊の者たちだけでは危険だ。我々仮面ライダーもいくぞ!」
「あぁ!」
「はい!」
「先輩と言えども、僕に命令しないでくれたまえ」
「俺たちも行きましょう!」
「合体は出来ないけど、撹乱ぐらいすることできるもんな!」
「ッ、俺たちも星獣がいれば……」
「私たちにもロボットがいれば……」
ギンガマンの6人は、巨大ロボを出すためのパートナーである星獣たちが宇宙に帰っているために出ることができない、そのためこうして下から仲間たちの戦いを見ていることしかできなかった。仮面ライダーはそもそもこのような巨大戦という物とはほとんど縁のない存在。プリキュアに関しては敵が大きかったり、実際に今のマンティストロフィーと同程度かそれ以上の敵とも生身で互角に戦った経験があるが、果たして体力を大きく削られている自分達でこの状況を打破する事ができるのか。
「来たね」
「え?」
その時、ディエンドがそう言いながら崖の向こうを見ていた。その先から現れた物、それは……。
「え、大きな……」
「仮面ライダー?」
そう、全身緑色の仮面ライダーがそこにいた。しかもただの仮面ライダーではない。巨大な、まさしくマンティストロフィーとほとんど同じ大きさである仮面ライダーが戦士たちの頭上に現れたのだ。一歩、また一歩と踏み出すたびにまるで地震でも起こったかのような地響きが戦士たちの耳に聞こえてくる。
「僕のとっておきのお宝さ、行け!仮面ライダーJ!」
「あんなに大きな仮面ライダーがいるんだ……」
「というか、同じ仮面ライダーの仲間なのにお宝扱い?」
「彼の場合は特別なのさ」
仮面ライダーJは、ディエンドの言葉に呼応するようにマンティストロフィーに拳で一撃、二撃与える。しかし、マンティストロフィーはほとんど微動だにせず、逆にカウンターをJに食らわせる。Jは、その一撃だけでゆっくりと倒れこんできた。地上にいた戦士たちは、その巨体に押しつぶされないように、なんとかギリギリのところで逃げることに成功した。
「弱ッ!」
「……やっぱり、ショッカーの技術力じゃ完全な再現はできなかったようだね」
「え?」
「あれは、本物の仮面ライダーJじゃない。仮面ライダーJの奇跡の力を再現するためにショッカーが作った、ロボットさ」
「ロボット!?」
そう、実はこの仮面ライダーJは本物ではないのだ。そもそも仮面ライダーJは、宇宙からの侵略者集団であるフォッグと戦った仮面ライダーである。もちろん通常はほかの仮面ライダー同様の大きさであるのだが、そのフォッグのボスフォッグ・マザーはあまりにも巨大な敵であり、通常サイズでは歯が立たなかった。しかし、ある一人の少女を助けたい。その思いに精霊たちが同調することによって膨大なパワーが注がれたことによって実現した姿が、仮面ライダーJのジャンボフォーメーションであるのだ。ショッカーは、その奇跡の力であるジャンボフォーメーションを再現しすべての仮面ライダーを滅ぼそうとした。しかし、その前に試作機であったロボットを海東大樹に盗まれてしまったためその計画自体は実現には至らなかった上に、ほとんど未完成で本来の仮面ライダーJの力の半分も出し切れていないのだ。
「そんな、それじゃ一体何のために持ってきたのよ!」
「こうするためさ、痛みは一瞬だ!」
≪FINAL FOAMRIDE DE-DE-DE-DECADE≫
「ぐあッ!」
「士さん!?」
あろうことか、海東はディエンドライバーに一枚のカードを装填すると、その銃口をディケイドに向けて弾丸を放った。いったい何をしているのか、そう突っ込む間もなくディケイドの身体が空中に浮き、その身体があらゆる関節を無視して曲がっていき、ジャンボディケイドライバーに姿を変えた。そしてそのサイズに合うようなカードを放出しながら空中へと向かう。
「えぇ!?なにあれ!!」
「あれが士のファイナルフォームライドさ」
「ファイナルフォームライド?」
この世界においては全く出番がなかったためにプリキュアたちにとっては初耳の単語である。ディエンドは、要は士の一つの可能性ってことだとプリキュアに説明するが、なぜあれほどまでに関節をあらぬ方向に折り曲げれるかについてはなんの説明もなかった。
そうこうしている間に、立ち上がった仮面ライダーJの腰にジャンボディケイドライバーが巻き付くと、仮面ライダーJはその姿をディケイドの強化形態であるコンプリートフォームへと変えた。これは、初めて昭和ライダーと平成ライダーが全員集まり、共闘した時、仮面ライダーXの文字通り最大の敵であったキングダークを相手にして海東が使用した戦法だ。
「士さんってあんなこともできるんだ……」
「フフフ、ならば!私もこれを使うまでのこと!!」
「え?」
そういいながら、仮面ライダーゲンムである壇黎斗神はエナジーアイテムを取り出した。
「それってもしかして!」
「私がいなかったころの資料を読み、ひそかに開発していたこのエナジーアイテムを使って……」
「貸して!黎斗!」
「壇黎斗神だッ!?」
「永夢!!」
仮面ライダーポッピーは、壇黎斗神の掲げたエナジーアイテムに飛びついて無理やり奪い、それを仮面ライダーエグゼイドに投げた。エグゼイドは、それを受け取って書かれている絵柄を見る。
「やっぱりこれ!超スーパーヒーロー大戦の事件の時の!」
仮面ライダーたちの世界では以前、世界中に巨大な空中要塞とそれに随伴する多くの戦闘機が出現し、世界が亡びそうになったことがあり、現れたキュウレンジャーの敵であるジャアクマターの艦が地球に飛来、巨大なロボットとなってエグゼイドたちを襲った。その時、超スーパーヒーロー大戦と呼ばれるゲームの世界のブレイブから元の世界の仮面ライダーたちに授けられたアイテム、それが今エグゼイドが持っているエナジーアイテムである。これとこの世界のブレイブがゲームの世界のブレイブから受け取ったカードから具現化したゲームの世界のヒーローたち、そしてCRのドクターたち、ジュウオウジャー、キュウレンジャーが協力したことによって世界は救われたのだ。
「ようし!」
≪巨大化!≫
≪マキシマムマイティ!X!!≫
エグゼイドは、そのエナジーアイテムを使用した後、通常のライダーガシャットよりも大きなライダーガシャットであるマキシマムマイティエックスガシャットをゲーマドライバーに装填した。
≪マキシマムガシャット!レェェベェェルゥゥマックス!!最大級のパワフルボディ!ダリラガン!ダゴズバン!マキシマムパワー!!エエェェェックス!!≫
エグゼイドはそのエナジーアイテムの名称通りに巨大化し、その大きさマンティストロフィーとほぼ同じ大きさとなった。
「え、エグゼイドも巨大化しちゃった……」
「あれがエナジーアイテム……あっ」
巨大なマキシマムゲーマーレベル99となったエグゼイドを見たキュアビューティは、あることを思いついた。もしかするとこれを使えば自分たちも戦えるのではないかと。
「壇黎斗神様」
「壇黎斗し……な、なんだ?」
壇黎斗神は、いつもの流れて神を付けないだろうと思っていたので、そのまま壇黎斗神と呼ばれて一瞬だけ戸惑った。
「先ほどのエナジーアイテム、まだありますか?」
「むろん、こんなこともあろうかと予備を用意していた!」
「人間を機械とするものもありますか?」
「当然!≪機械化≫という物だ!これを使えば仮面ライダーを機械の身体と……」
「なら後はプリキュアに使えるかどうか……」
「ん?」
ビューティは考える。果たしてうまくいくものかと。元々はゲーマドライバーで変身する仮面ライダーを強化するアイテムを人間やプリキュアを相手として使うことができるのか。いや、もしも使えたとしてもあの時のような姿になることができるだろかと。というかそもそもどのような効果を発揮するのか壇黎斗神もまだわかっていないものだ。いや考えていても仕方がない。できるかできないかじゃない。したかしなかったかだ。元々できなくて当たり前の事、ならばやってみる価値は十分にあるのではないだろか。
「借ります!」
「なッ!またしても!?」
余りにも一瞬のことで、ゲンムはなんの反応も出来ずに手の中にあった二枚のエナジーアイテムを奪われる。一方、エナジーアイテムを奪ったビューティはそれを自分に……。
「ハッピー!!」
「え!?」
ではなく仲間のハッピーに投げた。ハッピーは、それを先ほどのエグゼイドのようにつかもうとするが、あえなく手をすり抜けてハッピーの身体の中に二枚とも入っていった。果たして……。
≪巨大化!≫
≪機械化!≫
「え?え?」
「ハッピー!何か身体に異変は?」
「へ?」
ビューティがハッピーにそう聞いた直後だった。ハッピーの身体に変化が起こった。
「え?え!えぇぇ!?」
「おい、ハッピーの身体が大きくなっていってるぞ!」
そう、徐々にではあるが、ハッピーの身体が先ほどのエグゼイドのように大きくなり始めているのだ。どうやら、エナジーアイテムはプリキュアにも効果のあるもののようだ。これで一つ目の問題、二つ目の問題は解決した。あとはもう一つ。
「か、身体が動かなく……」
しだいに、自身の身体が動かなくなっているということにハッピーは気が付いた。しまいにはまったく動かなくなってしまう。こんなこと、確か前にも同じようなことがあったような気がする。あれは確か中学校のころ現役のプリキュアとして戦っていた時のことだ。あの時は敵として戦っていたマジョリーナの作った機械の光線を浴びて同じようなことが……。
「え?もしかしてまたあれ!?」
「え、ちょ、まってぇな……」
「もしかして……」
「ま、まさかあの伝説の!」
何か嫌な予感をする者ハッピー含めて三名、わくわくしだすものが一名。何が起こっているのかさっぱりわからないもの多数という混沌とした状況。そしてついにハッピーの身体が完全に変化した。その姿、まさしく機械の身体となったキュアハッピーそのもの。スマイルプリキュアの四人にとっては見覚えのあるものであった。
「ハッピーロボだぁぁぁぁ!!!」
「「「やっぱり!!??」」」
「な、なにこれ?」
「エナジーアイテムで、ハッピーがロボになっちゃった!?」
「成功してくれましたか」
「えっと、ピース……ハッピーロボって?」
「ハッピーロボは、地球の平和を守るために悪と戦うための私たちのスーパーロボットだよ!」
「ちゃうわ!」
「えっと、十年前の戦いのときに間違って相手の武器の光線を浴びたハッピーがなったのが、あのハッピーロボで……」
そう。その時光線を浴びたキュアハッピーは巨大化したうえでロボットになった。もちろんそうなったのは後にも先にもその一回だけであり、二度と日の目を見ないであろう物であった。まさかこのタイミングで復活することになろうとは。
「よぅし!みんな!また乗り込むよ!」
「えぇ!」
「おぉ!!」
「「お、おぉ……」」
ピースのその声に四人は答えて乗り込んだ。乗り込んだまではよかった。
「これがハッピーロボの中か!RVロボやVRVロボとは全然違うな!」
「って!なんであんたまで乗り込んどんねん!!」
レッドレーサーまさかのハッピーロボ同乗である。しかも操縦席に。もう乗っ取る気満々であった。
「まぁまぁ細かいことはいいから。行くぞ!!って、どう動かすんだ?これか?これか?」
レッドレーサーはいろいろと操作し始めるが、そのたびにハッピーロボの頭のアホ毛が回ったり首が回ったりするだけで前に進むようなことは無かった。
「うわぁ~やめて~」
「何しとんねん!」
「い、いやぁ俺たちのロボットはハンドルで動かしているから、こういうのの操縦はさっぱり……」
「ハンドル!?それでいったいどう操縦してんの!?」
驚愕の操縦方法に驚いたマーチだが、そういった奇抜なロボットの操縦方法にスーパー戦隊は事欠かないためまったく意味のないツッコミとなってしまった。ちなみにここにいるメンバーでいえばゴーカイジャーは船の舵を左右に動かして操縦していたり、またここでは合体していないがニンニンジャーのロボットは神輿を担ぐことで操縦していたりする。
「もう何してんのハッピー!」
「え!?私のせい!?」
ブルーバスターを介抱しているメロディがハッピーを叱ったが、しかしその奇抜な動きをしているのは操縦しているレッドレーサーなので、まったくと言っていいほどのとばっちりである。
「全くブレイブな奴らだぜ!ガブティラ!俺たちも行くぞ!」
そうキョウリュウレッドが促すと、ガブティラは声をあげながら走り飛んだ。そして次の瞬間、ガブティラがレッシャへと変形する。
≪キョウリュウジャ~レッシャ~≫
「キョウリュウジャーレッシャーも!しゅっぱつしんこうだぜ!」
「俺!参上!!列車なら俺たちが元祖だって言っただろ!」
≪デンオウ!レッシャ~≫
そしてまぎれもなく唐突に出現したデンライナー。果たしていったい何が起こるのか一同固唾をのんで見守る。
「俺!合体!」
「烈車合体!」
≪毎度~ご乗車~ありがとうございます!臨時レッシャ~合体いたします!≫
そのアナウンスが響いた瞬間、レッドレッシャーつまり頭の部分を押しのけて変形したデンライナーがトッキュウオーにハマった。
『え?モモタロスこれでいいの?僕たち仮面ライダーなのに……』
「いいんだよ!俺が主役なんだからな!」
「違う違う!」
『「へ?」』
≪キョウリュウ~参りま~す!≫
が、すぐにキョウリュウレッシャーに押しのけられてデンライナーは足に回ってしまう。これは、昭和ライダーと平成ライダーが争いながら地下帝国バダンの思惑をつぶすために戦った時にだけ見られたいわゆる限定的な変形で、その名も……。
「「「「「「『トッキュウオーキョウリュウジン!feat.デンライナー!!』」」」」」」
「って!また俺は足なのかよ!!というか良太郎!」
『ゴメン、でもちょっと楽しくてつい』
こうしてまた一つ伝説のロボットが出現した。果たして、デンライナーの存在意義について悩んでしまうような立ち位置ではあるのだが、モモタロスのキャラクター的にはこちらのほうがあっているのかもしれない。そう考えたのか、この扱いに対しても良太郎はかなり好意的に受け入れていた。ちなみに、なぜそういった変形機構がないはずなのに、ガブティラがレッシャになった挙句にトッキュウオーと合体できたかについては一切が不明である。
次々と戦場に加わる戦士たち。だがこれだけではない。ゴーバスターオーから落とされたイエローバスターは、自らを介抱していたフォーゼに言った。
「フォーゼ、あの時みたいに私の代わりにゴーバスターオーに乗って!」
「え?けど、それにはもう一人……」
戸惑うフォーゼ、しかしそれもごく普通の反応であった。確かに自分は以前ゴーバスターズやほかの戦隊、仮面ライダーの全員が戦ったあの戦いのときにイエローバスターの代わりにゴーバスターオーに乗って海東大樹の乗るビッグマシンと戦った。しかし、その時と今とでは状況が違う。前回ゴーバスターオーから落とされたのはイエローバスター一人だけだったのに対して、今回はもう一人、ブルーバスターも落とされてしまっているのだ。ということは、ブルーバスターの代わりに乗り込む人間も必要となってくるのだ。だが一体誰が乗ると言うのか。いや最初から誰が乗り込むべきであるのか決まっていた。彼女は、そう感じていた。これもまた運命なのだと。だから、彼女は真っ先に名乗りを上げたのだ。その鋭い目線をマンティストロフィーに向けて、彼女は言った。
「私が……私が乗る!」
「メロディ!?」
キュアメロディはそういうと、ゴーバスターオーへと向かって走っていった。フォーゼもまたそれに続く。
そして、フォーゼにとっては二度目の、メロディにとってははじめてのゴーバスターオーの操縦席へとやってきた。
「ここが、ゴーバスターオーの中……」
当然のことであるが、操縦席は様々な機械に囲まれており、どこをどう触っていいものか、まるで見当がつかない。ちょっとした勢いで名乗り出た役目ではあるが、少し自分には荷が重かっただろうか。
「おぉ!戦隊ロボ、再び来たアアァァァァァーーーーっと、久しぶりだなウサギ!」
「ウサギじゃなくてウサダ、またよろしく」
「おう!」
「え?今の声、どこから……」
フォーゼとはまた違う声がフォーゼの顔が映る画面からした。しかし、いったい誰が、そう考えていた時である。
「やぁ、俺ゴリサキ。リュウジの代わりに乗ってくれてありがとう」
「え?なに?このハンドルが喋ったの!?」
「僕たちバディロイドは、ヨーコたちゴーバスターズのパートナーだよ」
「バスターマシンに乗る時にはこうして合体しているんだ」
「そうなんだ……」
メロディはそれを聞くと、ゴリサキの顔についているハンドルに手をかける。上手く動かせるかはわからない。少なくともこのゴリサキの本来のパートナーであるブルーバスターのように動かせるはずがない。しかし、それでも自分からこのポジションを願い出たのだ。あの怪人を倒すのは自分でなければならない。ウィーンや多くの場所でたくさんの人たちを殺してきたあの怪物はそれによって人生を狂わされた一人である自分が倒さなければならないのだ。
「いくぞ、フォーゼ、メロディ!」
「おぅ!」
「はい!」
レッドバスターが二人に声をかけるとゴーバスターオーはマンティストロフィーに向かって歩き始める。不慣れなパイロット二人が乗っているという状況、考えてみればかなり危うい状況とも言える。だが、彼らはそれでも戦う。怪我をした二人の分まで、二人のパートナーの思いも乗せて、そしてあの怪物によって人生を狂わされた人たちのためにも。
「むぅ……」
仮面ライダー一号本郷猛は考えていた。あのマンティストロフィーの内側にある厄介なほどのエネルギーをなんとか放出させる方法はないものかと。マンティストロフィーの強さの要因。それはジョーカーや遠藤止の内側にあった莫大な闇のエネルギーを吸収したためであると彼は考えていた。ならばそのエネルギーを放出させることができれば、あの怪物を弱体化させることができるのではないか、そう考えていたのだ。だがどうすればいい。ふと、彼は何十年も昔のことを思い出していた。ある巨人と共に地底から現れ、ショッカーの怪人が合体した怪獣を倒したときのことだ。そうだ自分はあの時あの怪獣からエネルギーを奪い弱体化させることに成功していた。それだけではない。あの方法を使えれば弱体化だけじゃない、自分もまた再びあの奇跡の姿を見せることができるのではないか。
「やってみる価値はあるな……」
仮面ライダー1号はそう呟くと、ネオサイクロン号にまたがりアクセルを全開にする。ネオサイクロン号は、その勢いにより、ウィリーしたかのように前輪が浮かび上がる。だが、それもすぐに収まって地面につくと、すぐさま激闘が繰り広げられていふマンティストロフィーと仲間たちのもとに向かった。
「え、1号ライダー?」
「なにをするつもりだ?」
その姿を見たゴーカイジャーの6人。何故1号が向かってきているのか、まさかバイクで体当たりをするつもりであるというのか。そんなありきたりな考えが浮かんできたのだが、真相はまさにそのとおりであった。
「行くぞッ!」
仮面ライダー1号はそういうと進行方向上にあった崖から飛び出し、そのままマンティストロフィーへと向かった。そして……。
「はぁっ!」
そのままの勢いを保ったままマンティストロフィーへとぶつかり、そのまま後ろへと突き抜ける。マンティストロフィーは苦悶の声を上げる。当然だ。身体を突き抜けられて痛みを感じない者などいはしない。
「嘘!」
「本当にやりやがった!」
その仮面ライダー1号のまさに力技とも言える行動に戦士たちは目を疑った。しかし、次の瞬間さらに目を疑うようなことが発生する。
「とう!」
1号ライダーはネオサイクロン号を飛び出してその身を空中へと投げ出した。ネオサイクロン号自体はそのまま地面に降り立ち、透明人間が操作しているかのように安全な場所まで行くと停車した。
一方空中へと飛んだ1号ライダーの身体に金色のエネルギーが纏わり付く。本郷は直感的に感じた。これは遠藤止の、転生者の力だ。これほどの巨大な、なんでもできるエネルギーを欲望のために使うなど、いやそれが本来の人間としてのあり方なのかもしれない。
人が力によって溺れる姿などたくさん見てきた。嫉妬や妬みで自分から改造人間となった者達も見てきた。自分は、そんな自らの欲望を具現化させてきたもの達と戦ってきた。だが、地獄大使の言った通りに力を自分のためではなく人間の自由のためなどと言うために使うような酔狂な人間がどのくらいいるだろうか。その力を正しき事のために使う者が何人いるだろうか。時には、自分のやっている事はただの自分勝手な事なのではないかと思う時もあった。しかし、それでも彼は戦った。誰からも愛されなくてもいい、恐れられても構わない。化け物と罵られようとも、後ろ指刺されることも構いはしない。それが、自分の欲望の使い方なのだから。
「遠藤止、今お前に見せてやる。これが俺の……欲望の使い方だ!ライダー……変!身!!」
1号ライダーは右手を上へと掲げた。すると、エネルギーの光はますます広がりながら彼の身体を包み込んでいく。暖かくて、そしておぞましいほどの力。そして一瞬だけ大きな光が周囲を襲った瞬間、エネルギーを見に纏った仮面ライダー1号の姿が消えた。
地上の戦士達、そしてロボットに乗るもの達も皆その姿を探すがどこにも見えない。果たしてあの漢はどこに行ったのか。誰もが心配し始めたまさにその時である。
「なっ!」
「まじかよ……」
「そんなことが……」
空中から現れた見覚えのある銀と黒、緑の一人の戦士。
「仮面ライダー1号!!」
巨大となった仮面ライダー1号。それも先ほどまでの新たな仮面ライダー1号としての姿ではなく、かつて戦っていた時の新1号と呼ばれる姿であった。