仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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ネギまの世界2-10

「フン」

 

それぞれに分かれたネギクラスの面々の戦いを一つずつ見て行こう。まずこちらにいるのはエヴァンジェリン、茶々丸、朝倉そして幽霊のかよの4人である。

 

「マスターは使わないのですか?」

 

茶々丸はエヴァンジェリンがアーティファクトを使わないことに今までのデータから答えが分かっていながらも疑問をぶつける。

 

「こんなものがなくともわたしには……」

 

そうして彼女はその手に魔力を込めていく。

 

「…自分の力があるわ」

 

彼女はアーティファクトがなくとも自分の魔法、自分の力があるため一切アーティファクトを使おうとは思っていなかった。その言葉の通り、氷の矢が田中さんにぞくぞくと突き刺さっていく。そんな彼女に、しかし死角からグールが襲い掛かる。

 

「笑いのツボ!ハァッ!!」

 

そんな彼女を救ったのは仮面ライダーキバーラ、夏海であった。夏海は剣の持ち手をグールの首筋に突き刺す。するとグールはまるで笑い転げるかのように行動ができなくなり、なすすべなく夏海に切り捨てられた。

 

「大丈夫ですか?」

「フン余計なことを…」

「マスター助けられたのですからここは」

「素直にありがとうって言っておくもんだよエヴァちゃん!」

「お前達、いちいちうるさいぞ!」

 

するとそこに巨神兵(仮)が現れる。

 

「朝倉さんあなたのアーティファクトであれをロックオンしてください」

「え!?あれを!?」

 

自分のアーティファクトでそんなことができるのかわからない、というかなぜ茶々丸はそれができるかを知っているのだろうか。

 

「あなたならできます」

「…了解!」

 

そういう言うと彼女は茶々丸を信頼して自分のアーティファクト『渡鴉の人見』を巨神兵にまとわりつかせる。これはスパイカメラであり、本来は偵察などに使うものなのだが、今回は茶々丸のアーティファクトの射線を通すための物としてだ。

 

「ロックオン完了!」

「行きます!」

 

その時、空から極太のレーザーが巨神兵へと降り注いだ。それは旧約聖書にしるされたソドムとゴモラを焼き払った火の如くであった。

 

『「す…すっご~い」』

 

茶々丸のアーティファクト『空飛び猫』正式名称『二一三〇式超包子衛星支援システム』である。超が制作したこの砲台、先ほど朝倉のアーティファクトについて知っていたのはこれから情報をダウンロードしたためであった。

 

「行きましょうエヴァちゃん!今日はあなたと私でWヴァンパイアです!」

「言ってって恥ずかしくないのか?だが……それも悪くない!」

 

Wヴァンパイアこの二人にかなう者はいない。

 

 

続いて亜子、裕奈そして龍宮のチームである。この内裕奈は『七色の銃』を使い、敵を撃ち倒していく。亜子のアーティファクトのドーピング効果によって、周りの様子がスローに見えるため、その命中率、正確性は高いため、プロと一緒にいても遜色ない様子であった。

 

「ほぅ…やるじゃないか」

「ふふふ亜子のおかげで全部の動きがスローに見えるからね。私のことはキッドって呼んでくんな」

「調子に乗らない方がいいよ」

「ああ、戦場ですぐに死ぬのは油断している奴と自分の力を過信している奴だ」

 

因みにほかに言われるのは戦場でおしゃべりな奴と、戦場で舌なめずりをしている奴、あと帰ったら彼女と結婚するんだというようなリア充である。龍宮とさらに途中参戦したディエンドの言葉はプロからの適切かつきつい意見であった。

 

「うっ!…二人ともきついねぇ~」

「お前とはくぐって来た戦場が違うのさ」

「右に同じさ」

《ATTACKRIDE BLAST》

 

カードを充てんしたディエンドは空に向かって弾丸を放つ。すると、その弾は幾重にも分かれ複数の敵を撃破する。

 

「ふっ!」

 

龍宮もまた、小型の銃を二丁取り出し、ガンカタの要領で周りを囲んでいた敵を撃破していく。その間わずか0.5秒程度であったという。

 

「うわっすご~い…」

 

その攻撃にあっけにとられる裕奈。しかし忘れてはならないのは親が魔法先生であるとはいえ、祐奈が一般人であるという事だ。確かに龍宮は幼いころから戦場で生きてきたような物、大樹も改造人間などと戦ってきたという経験がある。しかし、祐奈にはそれがない。いくらドーピング効果があると言ってもその射撃の正確性、そして冷静なところは本物であろう。龍宮もまたそれを分かっていた。

 

「さぁどんどん行くよ『キッド』」

「!…フフフ、やってやりますか!」

 

銃弾の雨あられが戦場に降る。

 

 

「ハァ!うりゃ!!」

 

次の戦場は仮面ライダーフォーゼ、そして…

 

「漢魂!!」

 

麻帆良学園都市連合軍である。先ほど、腕から気を飛ばしたのは、豪徳寺薫だ。

 

「やるじゃねえか!」

「そっちこそ!」

 

彼らは似た物同士である。同じような不良のような恰好をしていてもその心には優しいものを持っている者、そして友情に熱い男たちであった。

 

「おっとそうだ、手出してくれ」

「こうか?」

 

そうすると彼は握手をし、こぶしを突き合せていく。

 

「友情のシルシだ!これでお前と俺はダチだ!」

 

そして胸をドンドンと叩くこれは彼の中での『友情のシルシ』である。このようにしてかれは友を増やしていったのだ。

 

「おう!…なんだかよくわからねぇが……」

 

それが隙であると思ったのか、敵が何体も襲い掛かってくる。

 

「!」

 

しかしそれらはすべて、多数の子供忍者によって押し流されてしまった。

 

「決まった~『忍法分身の術』!!」

「僕達だってやればできるんです~」

 

そこに現れたのは鳴滝兄弟と楓であった。鳴滝兄弟のアーティファクトによる分身攻撃。そしてその分身によって押し流された敵を楓が手裏剣で倒していった。

 

「お前らサンキュウな!」

「へへ、仮面ライダーに感謝されました」

「よかったでござるな」

 

この世界にも仮面ライダーが放送されている。フィクションだと思っていたもの、自分があこがれていたもの、それに褒められて悪い気がするものはおそらくいないだろう。そしてフォーゼは改めて敵に顔を向ける。

 

「よっしゃ…それじゃあ俺のダチたちと一緒に……」

「タイマン張らしてもらうぜ!!」

「タ…タイマン?」

 

タイマン、ある辞典によるとそれは1対1を表す言葉だと言われる。今現在の状態である多対多の戦闘には使われないものだ。彼のその言葉に豪徳寺をはじめ、その場にいる全員がハテナマークを浮かべた。

 

 

一方こちらは響鬼、刹那、木乃香、夏美、早乙女そして小太郎がいる方面である。

 

「フン!ハァ!!」

「ハァ!!」

 

響鬼が音撃棒で敵を叩いている横で刹那は夕凪で敵を切り裂く。しかし死角から田中さんが刹那に襲い掛かった。

 

「!」

 

響鬼は刹那をかばうべく敵の前に出た。結果刹那は傷つかなくて済んだが、響鬼は傷を負ってしまった。

 

「あっ!」

 

田中さんを切り伏せすぐに響鬼の元に刹那は駆け付ける。

 

「大丈夫ですか!?」

「…」

「私は大丈夫です」

 

響鬼はうなずきそして君は?というように手を差し出す。するとそこへ一人の少女がかけてくる。

 

「うちが直したる!」

 

彼女のアーティファクト『東風ノ檜扇』によって響鬼の傷が治っていく。

 

「これで大丈夫や!」

 

彼女のアーティファクトは3分以内に受けた即死以外のありとあらゆるけがを完治させることができる能力を持っている。響鬼のケガはすっかりと無くなった。

 

「…」

「え?」

 

そして響鬼は刹那の方を向き何かを言いたげであった。彼はほかの者たちと違い、ほとんどしゃべることができないでいたため、何を言いたいのかは一切わからなかった。が…

 

「…」

「…ええ!」

 

彼女は感じた。彼が本当に言いたいことを。それが何だったのか、それは刹那にしかわからない。

 

 

 

又こちらには、超、古菲、チア部三人、葉加瀬そして五月がいた。

 

「フン!」

「ハイ!」

 

主に戦っていたのは古菲と超で普通の一般人ではありえないほどの動きで自分たちより大きなものたちをも倒していた。

 

「アイヤー又強くなったアルネ」

「当たり前アル、未来でもまだまだ修行しているネ」

 

とそこへ、電車のように猪突猛進してくる影がいた。

 

「どけどけどけー!!」

「アイヤ~」

「危ないアル!」

 

剣を振り回しながら現れたのはやはり電王であった。仮面ライダー電王は時の列車デンライナーを使って過去、未来、時々別の世界まで行く仮面ライダーである。その電王は野上良太郎という者が変身するものだが、なぜか召喚されるライダーはモモタロスというイマジンが宿っているバージョンのみなのだ。

 

「ちょっとあんた危ないでしょ!!」

「ちゃんと回りも見なさいよね!!」

「だぁぁうるせぇ!俺はまだ暴れたりねぇんだ…?」

 

チア部に怒られてもいつも道理の彼だがしかし、肩を叩かれて振り向く。そこには…

 

[人様に迷惑をかけたらだめですよ]

「おッ…おう……」

 

四葉五月、その後ろにはコアラがいたそうな……。

 

「鬼をも沈めるその笑顔…」

「流石五月……」

 

エヴァが認めるその少女、戦わずして勝つことができると言うのはまさに世界最強なのではないだろうか。

 

 

こちらはクウガ、ザジ、美空、大河内アキラと佐々木まき絵、そして高音、愛衣、萌がいた。

 

「フッ!ハァ!!」

 

クウガはタイタンフォームという銀と紫を主体とした姿になり、大剣を振り回す。その攻撃は重く、少しかすっただけでも機械である田中さんやクモ型ロボットには致命傷となる傷を負わせることができた。その時、田中さんの口が開いた。

 

「くっ!…?」

 

ビームが来る。そう思って防御態勢を取ったのだが、いつまでたっても衝撃が来ない。何故なのかとみてみると、そこには黒い肌を持った翼をはやした、よく見ると角も見える少女が田中さんの身体を貫いているところだった。少女、ザジは腕を田中さんから抜き、空中を回転しながらクウガの側に立つ。それと同じタイミングで田中さんは倒れ、爆発する。

 

「有難う!助かったよ!」

「…」

 

彼はお礼を言う。だが、少女は何も言わない。

 

「えっとお~い…」

「…」

 

だが、何も言わない。

 

「ザジは無口…」

 

と、水泳部のアキラはいう物の、そういう本人もまた。

 

「あんたも変わらない気がするんだけれど」

「ハハハ…」

 

と言われるぐらいの無口であった。

 

「まぁそんな子もいるだろうね。でも…」

「?」

「本当にいろんな子がいるね…そうまるで……」

 

彼は空を見上げる。そこにはいつもの空と同じ、青い空、それの間を埋める白い雲、そして太陽があった。

 

「この青空を漂い、色々な形に変わる雲のように……」

「なんすかいきなりのその謎ポエムは…」

 

冷静に突っ込みを入れる美空であった。

 

 

こちらは、明日菜、あやか、千鶴そしてディケイドがいる。

 

「!!!」

「あやか!そっちに行ったわ!」

 

千鶴の言う通り、グールの中の数体があやかに向かって走り寄ってくる。しかしあやかはそれを一瞬だけ横目で見ると、左足を踏み込み、

 

「雪広あやか流合気柔術『雪中花』」

 

合気道、天地の気に合する道を意味する柔道・剣道・空手道等と並ぶ、日本において代表的な武道の一つである。相対する敵の力をそのまま活用するために護身術でしか使えないのではあるが、逆に言えば相手が強ければ強いほど効果を発揮する武術である。

 

「どうりゃぁぁぁ!!!!」

 

態勢が崩れ、中に浮いた状態のグールに明日菜はハマノツルギで追撃する。明日菜とあやか、犬猿の仲であり、一番の仲間である二人の息ぴったりなコンビプレイにかなう物はいなかった。

 

「流石ですわね明日菜さん」

「委員長、あのさ……こんな時に言うのもあれだけれど…」

「…」

 

明日菜が言おうとしていること、それは今までの半年の事、ネギが来てからのすべての事であった。

 

「みんなに黙っていたこと…」

「もういいですわ…」

「え?」

 

しかし、あやかはその言葉を遮った。なぜなら…。

 

「昨日…あやまってくれたじゃないですか」

「あっ…」

 

昨日の放課後、3-Aの全員が集まっての話し合いの時の事である。確かに明日菜は最後にか細い声であやかたちに謝っていた。

 

「あやまってくれた…ただそれだけでいいんです」

「委員長……」

 

仲のいい者同士でされると嫌なこと、それは秘密を作られることである。だが、もっと嫌なのは喧嘩し、謝罪もないことだ。謝罪のあるなしで一生ものの友情が壊れるか、親友を失うことだってある。あの時謝っておけば、あの時あんな言葉を言わなければよかった。彼女たちはその過ちを犯さずに済んだ。

 

「これからどんなことが起ろうと…何度喧嘩をしたりしても…離れ離れになっても……私たちはいつまでも親友ですわ」

 

小学校の時、明日菜が転校してきて、喧嘩して、あやかの弟が亡くなってしまった時も喧嘩して、でも励ましてくれて、彼女たちの関係は腐れ縁という物で、友達という物で、委員長とクラスメイトという関係で終わるようなものではなかった。

 

「委員長…ありがと…」

「大好きだよ…親友」

 

明日菜さん、委員長と呼び合っていた二人は、この時本当に自分たちが親友であると初めて認識した。否、初めてではない。彼女たちは気が付いていないだけであった。真の友であるということを。

 

「ん?」

 

その時、ディケイドの手にカードが出現する。

 

「なるほど、バージョンアップか?」

 

そういうと士はケータッチという機械を手にした。どこから取り出したか謎であるが、そこに先ほどのカードを入れ、仮面ライダーの紋章を触れていく。

 

≪KUUGA AGITO RYUKI φs BLADE HIBIKI KABUTO DEN-O KIVA W OOO FOURZE WIZARD GAIM DRIVE GHOST FINALKAMENRIDE DECADE≫

 

士は、バックルを横にスライドし、ケータッチをバックルがあった場所に装着する。するとディケイドの姿が変化していき、胸には仮面ライダーの顔が書かれたカードが多数設置され、額にはディケイドのカードが置かれた。これが、仮面ライダーディケイドコンプリートフォームである。本来なら、9人の仮面ライダーのカードが胸に貼られているのであるが、仮面ライダーの数がディケイドが誕生してからまた増えたので今回パージョンアップして、カードの枚数も16人と相成った。そして変身が終わった時、ディケイドの前にラミア七人衆の一人、ハルバートを持った怪物が現れる。

 

「ディケイド…あの方のためにここで倒させてもらう!」

「新しい力、試させてもらう!」

 

ディケイドの戦いは続く。

 

 

「ふっ!ハァ!!」

「ちぃ!ちょこまかと!」

 

ネギは空中を自由自在に飛び回り、時に近距離での体術で、時に遠距離から魔法を使ってラミアと戦っていた。一対一では確かにラミアの方に力がある。しかし、ネギには頼もしい仲間がいた。

 

『ネギ先生!!光の弾が来ます!』

「!」

 

頭に響いたその言葉から直ぐにネギは空中から地面に降りる。その刹那、ネギがいた場所に本当にラミアの放った光弾が通っていく。

 

「ちっ!『いどの絵日記』かっ!」

 

のどかのアーティファクト『いどの絵日記』は、名前が分かれば相手の考えていることを読むことができる。その力を上手く使うことによってネギはラミアの攻撃が分かっていた。側にいる千雨と夕映は、そののどかを守ることに集中している。

 

「くそ、どいつもこいつも!!」

 

ネギは相対するラミアの正体が分かっていた。だからこそ、いどの絵日記が効果が表れたのだ。ネギのクラスメンバーであり、7人の部下を持っている人物であり、さらに認識阻害が効かない人間は一人しかいない。地面に降りたネギは型をとり接近戦を仕掛ける。

 

「行きますよ……『千雨さん』!!!」

 

戦いは佳境に入っていった。

 




テレビでも毎回主役級ライダーを呼び出していたらもっと楽な戦いができたのではないだろうか。…それはそれで面白みがないと言われてしまえばそれまでであるが。

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