仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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IS〈インフィニット・ストラトス〉の世界1-3

 ユウスケたちは盾無に連れられてグラウンドへと出た。大きさは普通の高校のグラウンドと同じくらいだろう。このような場所でもISという競技はできるようだ。

 グラウンドの端の方には多数の女学生の姿が見える。全員がスク水のような服を着ているようだが、楯無曰くそれはISスーツと言い、ISを纏った際に最も効率的に運用することのできる服装なのだそうだ。そしてその中に一人だけポツンと存在している男子学生もまた、造形は少し違うものの、他の女学生と同じ服装をしている。彼が先ほど盾無の話に出ていた織斑一夏という人物なのだろう。

 

「山田先生、おはようございます」

 

 盾無は、眼鏡をかけた緑髪の女性に対して挨拶する。山田先生と呼び掛けていることから、おそらく彼女がこのクラスの担任であるのだろう。山田は、盾無の方を見ると、すぐさまユウスケたちに気が付き言う。

 

「更識さん? えっと、後ろの人たちは……」

「う~ん、ちょっとしたお客様。とりあえず、ISの授業の見学をしてもらおうと思って」

「よろしくお願いします!」

「します!」

「えっと、よろしくお願いします……」

「あ、はいわかりました」

 

 山田は、男の後ろにいた少女たちの大きな挨拶に若干戸惑いながらもそう返した。見たところ少女は中学生と小学生だから、来年かはたまた何年か後にIS学園に入学することを考えているのだろかと山田は考えた。

 しかし、少女たちはまだしも一組の男女は何なのだろうか。少女たちの親、としてはあまりにも若すぎる。彼女たちの兄妹なのだろうか。事前に何も聞かされていなかった山田は意味が困惑した表情を浮かべる。

 盾無がつれてきたのだから他国のスパイ等という物騒な物ではないとは思うのだが、果たしてどう対処したものか。そう思案していた時、学校から彼女の知っている女性が現れた。

 

「山田先生」

「あ、織斑先生! と、あの……」

 

 それは、彼女にとっては先輩であり、あこがれの人物であり、そして同僚でもある織斑千冬だった。のだが、これまた山田は困惑した。なぜなら彼女もまたその後ろに見覚えのない男性を連れているからだ。

 

「あぁ、この人はジャーナリストの門矢士。IS学園の取材に来たそうだ」

「こいつらがISの操縦者か?」

「といっても、まだ大多数が実際にISを動かした経験も少なく、戦闘の経験すらほとんどないがな。織斑、篠ノ之、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ前に出てこい」

「「「「「はい!」」」」」

 

 千冬が声をかけると、四人の少女と一人の男子が集団の中から現れた。名前からするに、三人は海外からISを学ぶために来たという海外から来た留学生なのだろう。

 

「うちのクラスでは、この五人が専用機持ちだ」

「なるほどな。だが、こんなガキ共に兵器の操縦が務まるのか?」

「ちょっと、あなた失礼じゃありませんか?」

 

 と、士の発言に当然のように突っかかってきたのはブロンドヘアーの少女だ。

 

「お前は?」

「イギリス代表候補性のセシリア・オルコットだ」

「紹介ありがとうございます織斑先生。初対面の人間に対してガキ呼ばわりするなんて、礼儀作法を学んでこなかったのですか?」

「わるいが、初対面の人間に対して突っかかってくるようなガキにたいする言葉遣いなんて、どの世界でも同じだ」

「なんですって!」

「落ち着けよセシリア!」

 

 怒り狂いそうになる少女を止めたのは唯一の男子学生。十中八九彼が織斑一夏なのだろう。一夏はセシリアを落ち着かせると士に向き直って言う。

 

「士さん。確かに俺達はまだ子供だし、ISの操縦だってまだまだ未熟だ。けど、何も見ていないうちからそんなこと言うなんて、あんたおかしいぜ」

「……」

 

 一夏の言葉に何も言い返さない士は、ただ彼の顔をじっと見ていた。それは、一夏から千冬と同じ気配を感じたからだ。それは、二人が姉弟だからという普遍的な理由じゃない。もっと根本的で、そして奇妙な気配。一度どこかで感じたことのある違和感を感じるのだ。しかし、士はその正体をうまく思い出せないでいた。

 

「な、なんだよ」

「いや、だが俺に言わせれば危険なおもちゃを持った子供が危険だっていうのには変わりないということだ。そうだろう?」

「なっ!」

「特に、こんな安い挑発に乗って怒るようなガキ共には、な」

「ッ!」

 

 そういって士は一夏の顔をカメラに収めた。

 言っていることは無茶苦茶であるように思えるのだが、だがその実彼の言葉には一理ある。この時の士はまだ知らないことではあるがISは待機状態ではそれぞれブレスレットやネックレスなどの装飾品となっている。そして操縦者の意志によって待機状態から解放されてその身体に纏う機械となっている。時にはその応用によって腕だけにISを出現させて攻撃や防御に使うことが出来るのだ。

 つまり士のような挑発に激昂してISでうっかり一般人を攻撃し、殺してしまう。そんな危険を孕んでいるのだ。事実、これまた士の知らぬところではあるのだが一夏の仲間たちは学園の中で幾度となくISを一夏の制裁のために使用し、攻撃している。それでも一夏が生きていられるのは彼女たちが手加減しているというのもあるのだが、はっきり言ってしまえば奇跡的であると言っても過言ではない。

 士の言葉に身に覚えのある少女たち、そして一夏は何も言えずに黙ってしまう。士は、カメラから視線を外して顔を上げた。その瞬間である。

 

「「光姉直伝!笑いのツボ!!」」

「グッ!アッアハハハハハハハハ!!!おいッ!なにをッ!!」

「光家秘伝!笑いのツボ!!」

「グアッ!!アッハッハッハッハッハハハハ!!れ、連続はやめろッ!」

「すみません! うちの居候の士君が失礼なことを言ってしまって!」

「士、お前プリキュアの世界ではるかちゃんに礼儀作法教わってなかったか?」

「あ、あんな昔の事覚えてられるか!アハハ!!」

 

 笑いのツボ多段攻撃は流石の士も初めての経験であったためいつもはかなり短時間で終わるはずの笑いもいつもより長く続いていた。この士の醜態に対し、彼と口論をしていた生徒たちは唖然とし、なにも言えない。

 そんな中、楯無の後ろにいたどことなくセシリアに似ている少女が言った。

 

「士先生。確かに兵器は、使う人間によって人を殺せる力にもなります。しかし、人を助ける力にもなりうります。ここにいる学生たちは、ただ闇雲に力を使うためではなく、力の使い方を学ぶためにここにいるのではないですか?」

「ほう、なかなか良いことをいうな、名前は?」

「雪広あやかです」

「織斑千冬だ。士、確かにこいつらはISの使い方どころか人間としてもまだまだ未熟と言っても良い。そしてそれを若いからという安易な言葉で言い訳もしない。ISという兵器との付き合い方、それを教えるのも我々大人の責任だと思っている」

「そうかぁ、お前が先生ならぁ少しは安心できるかもしれないなぁ」

 

 まだ若干の笑いが残った声で士はそういうとグラウンドの端の方へ行き、俺はここから見させてもらうと言う。士の知り合いであろう女性たちもまた一度一礼してから士の下に向かった。

 

「では、本日は専用機持ち同士でペアを組んでの模擬戦闘です。一人余ることになってしまうますけど、自由にペアを組んで」

「山田先生……」

「はい?」

 

 千冬は、この山田の言葉に対して頭を抱える。先ほど士にあんなことを言った手前で生徒たちの醜態を見せることになるとは。案の定、事態は千冬の思った通りの方向へと向かった。

 

「よし一夏、私とペアを組め」

「いえ、一夏さんとペアを組むのは私に決まってますわ!」

「えっと一夏、僕とペア、組んでくれるよね?」

「とうぜん私と組んでくれるな。それは、嫁の役目だ」

「ちょ、ちょっと待ってくれよみんな!」

 

 専用機持ちの少女たちが、一斉に一夏を取り囲む。全員が一夏とペアを組もうとしているようだが、一夏がそれほどまでにISの操縦が上手いのだろうか。

 

「なんだ、あの一夏はそんなにISの操縦が上手いのか?」

「う~んそう言うことじゃないんだけど、まぁ女子校に男子一人だったらこうなるのは当然?」

「あぁ、よくわかります……私たちもそうだったし」

 

 盾無のいうことに対し苦笑いを浮かべる桜子。そう言えば、自分たちもそうだったな元の世界のことを思い返す。自分たちの学校もまた女子校で、男子が入る隙間なんて一切存在しなかった。しかし、その中に小学生の男の子が教師として赴任して来た。その時の自分たちの行動と、彼女たちの行動がほとんど同じと言ってもいい。いや、違うところもある。あの時自分たちはネギのことを可愛い弟分みたいなもので扱っていた。だが、それは年齢があまりにも離れていたから起こったもの。今目の前にいる彼女たちのソレは、明らかに恋愛感情の籠ったものだ。

 

「どの世界でも異端者に待っているものは同じってことだな」

「異端って……」

「異端は異端だ。あれじゃ、客寄せパンダそのものだ」

「そうね、そうかもしれないわね」

 

 まぁ敵対視されるよりはマシだろうがなと士は付け加え、さらに言う。

 

「男性初のIS適合者、学園唯一の男子生徒、そのネームバリューを欲しがるのは外だけじゃなかったってことだな」

「……」

「なんだ、反論しないのか?」

「いえ、確かに時々思うことがあるから……もしも彼がIS適合者じゃなかったとして、他に誰か男の人がISを動かしていたとして私は、いえ私達は彼に惚れてたのかなって」

「なんだ? お前もあのハーレムの一員なのか?」

「ハーレムって……まぁ、否定し辛いのは確かだけど……ね」

 

 楯無はまるで自虐するかのように笑みを浮かべてそう言った。

 確かに自分や彼女たちはそれぞれに彼を好きになった理由もあるし、経緯もある。ただ男で初めてISを動かしたとか、織斑千冬の弟だからという理由で行為を持ったわけではない。だからこそ、思う。

 織斑一夏を好きになった自分は間違っていないだろうかと。




 取り急ぎ自分が納得できるクオリティでできているところまでを投降しました。
 この先はもう少しお待ちください。
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