仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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 実は、ある仮面ライダーを見ている時、ある人のセリフに対して感銘を受けました。そうか、これか、これがなのはに必要なセリフだったんじゃないかと。
 あ、因みに自分魔法少女リリカルなのはのテレビ版は必要分は見ましたけど、劇場版は一切見ておりません。そのため、劇場版からのキャラクターはおりませんので。


魔法少女リリカルなのはの世界1-3

 戦いは、終始仮面ライダー側が有利に進めていた。

 これは、そもそも士とユウスケの戦闘経験がずば抜けていたためということもあったが、相手の大半がマスカレイド・ドーパントというドーパントであるということも関係していた。

 確かに、ドーパントは恐ろしい敵である。しかし、その中でもマスカレイドドーパントは量産型のドーパントであり、多少の戦闘の心得がある者であれば生身でも十分対処が可能なのだ。そのため、このドーパントたちに関しては特に問題はないだろう。

 と、するとこの場合の脅威はただ一人だけだ。

 

「ッ!」

 

 ディケイドは、後方からの攻撃を察するとすぐさま前方に回転して避ける。

 回避後すぐに後ろを向くと、そこには巨大な宝石を胸にはめ込めている怪物の姿、≪ジュエル・ドーパント≫だ。

 

「外したか……」

 

 ジュエル・ドーパントは、振り下ろした拳を上げると、そうつぶやいた。

 どうやら、こいつは口をきけるらしい。ちょうどいい、このドーパントに何故高町なのはを襲ったのか聞いておこう。

 

「おい、なんであの子供を襲った?」

「金のためだ」

「金だと?」

「そう、それと個人的な復讐もかねてだな。あの女には組織をつぶされた借りがある。だからだ!」

 

 ジュエル・ドーパントは力任せに突っ込んできて腕を振るう。恐らく、今までもそうした戦い方をしてきた、そして勝ってきたのだろう。

 だが、それはドーパントのことを何も知らない人間相手だっただけの事。ドーパントのことをよく知っているディケイドには、そのような攻撃を避けることは動作もなかった。

 

「フッ! ハァァ!!」

 

 ディケイドは、攻撃を回避するとカウンターでライドブッカーでその腹部をフェンシングの要領で突きさした。

 

「これは……」

 

 しかし敵は微動だにしない。そう、ジュエル・ドーパントの最大の特徴は、その防御力にある。かつて原典と呼ばれる世界においても仮面ライダーWが最終強化フォームであるサイクロンジョーカーエクストリームでも葉が経たなかったことからその頑丈さが分かるだろう。それに加え、このジュエル・ドーパントはその時のドーパントをよりさらに強化した存在であるため、防御力もさらに上昇している。まさしく鉄壁だ。

 

「ハァッ!!」

「クッ!」

 

 ジュエル・ドーパントは、動きの止まったディケイドを左から殴り掛かる。それに対してライドブッカーによって攻撃を受け止めるが、防御力があるということはすなわち素の攻撃力も高いということ。勢いを受け止めきれなかったためにもろに攻撃を受けて吹き飛んでしまう。

 地面にたたきつけられたディケイドはしかし、上手く受け身を取ることによって衝撃を和らげることに成功し、そのまま数回転がっただけでほとんどダメージを受けることなく余裕の笑みを仮面の下に浮かべる。

 

「やるな、だが……宝石には弱点があるのを知っているのか?」

「弱点だと?」

 

 ディケイドは、そう言いながらゆっくりと立ち上がるとライドブッカーから一枚のカードを取り出し、ジュエル・ドーパントにそのカードを見せながら言う。

 

「その通り、変身!」

≪KAMENRIDE HIBIKI≫

 

 ディケイドがライドブッカーから取り出したのは仮面ライダー響鬼のライダーカード。それをネオディケイドライバーに装填すると、その姿は紫色の炎に包まれる。そしてそれを払った瞬間、紫色を基調とした鬼の仮面ライダー、響鬼がこの世界に現れる。

 

≪ATTACKRIDE ONGEKIBOU REKKA≫

 

 ディケイド響鬼がカードを装填すると、響鬼の武器である音撃棒・烈火が現れる。そして音撃棒・烈火の先端にある鬼石と呼ばれる部分に火が灯り、ディケイド響鬼がソレを振ると、火がジュエル・ドーパントめがけて飛んでいく。

 

「ふッ! 無駄だ!!」

 

 しかし、ジュエル・ドーパントはその攻撃を真正面から受け止め、なおそれでも近づいていく。

 

「ッ!」

≪ATTACKRIDE ONIBI≫

 

 効果がないと見たか、ディケイド響鬼はさらにカードを装填し、今度は響鬼の技の一つである鬼火を口から噴射する。だが、それでもジュエル・ドーパントは進む続ける。止まるということを知らないのか。

 いや違う。ただ自信があるのだ。どんな攻撃でも自分の身体を砕くことはできないと、どんな攻撃でも耐えられるという確固たる自信が。

 だが、その自信が命取りとなるのだ。

 

「無駄だと言ってるだろうが!!」

「どうかな! ハァッ!」

 

 ディケイド響鬼は炎の攻撃が重点的に当たっていたジュエルドーパントの胸部の宝石に向けて音撃棒・烈火を横から勢いよく振るう。すると、その身体に今まで一度も入ったことのないヒビが、心地の良い音と共に入り、そのヒビが次々とつながっていき、大きな亀裂となってジュエル・ドーパントの身体に刻み込まれた。

 

「何!?」

「宝石の弱点、それは高温……そして衝撃だ!」

 

 宝石、この場合はダイヤモンドとしておこう。ダイヤモンドは炭素原子が結びつくことによって構成されている宝石だ。そのため、熱には強くなく超高温で熱すると炭化してしまう性質を持っている。

 それに加え、ダイヤモンドにはもう一つの弱点大きな弱点がある。それが劈開性。これは、ある一定方向に強い力がかかることによって割れやすくなる性質のことである。よく、ダイヤモンドは世界一硬い宝石であると言われているのだが、それはモース硬度が最高硬度を持っているから言われている。だが、このモース硬度は単に硬いことに関しての指標ではなく、ひっかっききずによる硬度を指し示している、つまるところ表面に引っかき傷がつきにくい硬度であることを単に示しているだけの尺度であり、大きな衝撃を受ければ簡単に壊れてしまうのだ。

 原典たる仮面ライダーWも、この劈開性という弱点を見つけてこのジュエル・ドーパントを攻略することに成功している。今回は、その劈開性に加えて仮面ライダー響鬼の炎攻撃を組み合わせることによってジュエル・ドーパントの防御力を低下させることに成功したのだ。

 

「馬鹿な、こんなはずでは!?」

「終わりだ!」

≪FINALATTACKRIDE HI-HI-HI-HIBIKI≫

 

 ディケイド響鬼が、カードを装填するとネイディケイドライバーから和太鼓型のアイテム、音撃鼓・火炎鼓が出現し、ジュエル・ドーパントに張り付く。そして、ディケイド響鬼は音撃棒・烈火を持ち、ゆっくりと近づいていく。

 

「くッ!? 何故だ! 身動きが、とれん!?」

 

 ジュエル・ドーパントは何とか逃げようともがいてみるも、しかし音撃鼓・火炎鼓のオーラに捕らえられて一切の身動きが取れない。その間にも、ディケイド響鬼はドーパントに近づく。彼からしてみればそれは悪魔のようにも見えたであろう。

 自分を殺しに来る邪悪な存在に見えたであろう。だが彼は忘れていた。先ほどまでの自分は正しく悪魔のそれであったということを。力なき少女を襲おうとしていた悪魔その物であったということを、彼は完全に失念していた。いや、目を背けていた。違う、罪から逃れようとしていた。自覚無き罪、罪を積みと知りながらも行う所業。彼が罰せられる理由なんて目に余るほどに大量にあったのだ。

 

「ハァッ!」

 

 まず一振り。瞬間、ジュエル・ドーパントに入っていた亀裂はまたさらに広がる。

 

「ハァ! ハァ!!」

 

 二撃、三撃、それ以降も何度も何度も打ち付けられる衝撃は、ドーパントの身体を通り越して本体にまで影響を与えるほどにまで大きく、そして強い物だ。この戦いの結末、それはジュエル・ドーパントが慢心していた時点で決着がつけられていた。それは間違いないだろう。

 

「ハァァァァ!!!」

「ぐあぁぁぁぁぁ!!!?」

 

 ディケイド響鬼が加えた最後の一撃。それによりジュエル・ドーパントの身体は大きく爆散した。勝負あり、である。

 

「ッ! ぐぅぁ……」

 

 ジュエル・ドーパントの変身者であった男は、その場に倒れ込み、身体から人間をドーパントに変化させるアイテムであるガイヤメモリが排出され、バラバラになる。本来ならば仮面ライダーWによるメモリブレイクが必要であるのだが、そこは仮面ライダーディケイド、そのような物なくともガイヤメモリを破壊することは可能であるのだ。

 

「ふぅ……」

 

 ディケイド響鬼は、その倒れた男を見ながら二つの変身を解く。一瞬だけ、仮面ライダーディケイドの姿に戻り、すぐさま門矢士の姿に戻ったのだ。

 

「士!」

「ん?」

 

 その時、ユウスケが士に駆け寄る。どうやら、ユウスケの方もマスカレイドドーパントたちを全て倒したようだ。

 

「こっちも、終わったみたいだな」

「あぁ……」

 

 今回は比較的楽な戦いだったと言えよう。ジュエル・ドーパントの防御力は確かに脅威ではあったが、それを扱っている人間がその力に慢心した結果、炎や衝撃といった簡単な攻略法に対抗する手段を持ち合わせなかったことが、この完勝に繋がることとなった。

 

「……」

 

 背後で戦いを見守るしかなかったなのはではあったものの、夏海や麻帆良の少女たちのおかげで無傷のままであった。だが、助かったはいい物の目の前にいる鎧を来た人間たちやこの女性たちはいったい何者なのだろう。先ほど、少女たちの一部が小さな魔法の杖のようなものを使って敵を倒していたが、あれは自分の使っているレイジングハートのようなデバイスなのだろうか。ということは、彼女たちは自分も所属している時空管理局の人間なのか。いや、しかしこのような小さなデバイスなんて見たことがない。では、一体彼女そして彼らは一体。

 その時、先ほどまでピンク色の鎧を着て戦っていた男、門矢士がなのはに近づく。

 

「高町なのは……だな」

「え? あ、はい……あの」

「質問がある。プリキュア、仮面ライダー、それから……どれみという言葉に聞き覚えはないか?」

「仮面ライダー? それって、昔にやっていたTV番組の?」

 

 矢継ぎ早に飛んできた質問。プリキュア、とは何のことなのだろか。仮面ライダーは少しくらいなら知っている。確か、昭和の時代にテレビで放送されていた人気特撮番組の名前だったはずだ。自分はあまりよく見たことがないけれど、兄や父はそのDVDを借りてきてはよく家で見ているので、そういう物があったこと自体は知っている。

 どれみ、というのはあの音楽のドレミの事なのだろうか。けど、それがいったい何の意味を持っているというのか、なのはにはいまいちわからなかった。

 

「いや、もういい」

「士、やっぱりこのなのはちゃんって……」

「あぁ、平行世界の同一人物……だってことだ」

「そうか……」

 

 平行世界の同一人物。つまり、自分以外の自分。自分ににた自分に彼らはあったことがあって、だから自分のことを知っていた。そういう認識でいいのだろか。だから、自分が彼らのことを知っていなかったのに、彼らは自分のことを知っていたのだろう。

 と、いうことは先ほどのプリキュアというのは、平行世界で自分と一緒に戦っていた仲間、もしくは友達の名前、なのだろうか。

 と、なのはは考察していた。厳密にいえばなのははプリキュアと一緒に戦ったことがないのでその部分は外れてはいるものの、大まかな形ではなのはの考えの通りである。

 

「なのはちゃん、どうしてドーパントに襲われていたんですか?」

 

 ドーパント。先ほど自分のことを襲っていた怪物の事だろうか。

 

「……分かりません。でも」

≪Master(マスター)≫

「え?」

 

 なのはが何かを応えようとしたその時、相棒であるデバイス、レイジングハートがなのはに念話を送ってきた。

 

「え? 何?」

「今の声は?」

「え? みんなにも、聞こえるの?」

「? 何のことですか?」

「え、夏海さんには聞こえないんですか?」

 

 どうやら、夏海と呼ばれた大人の女性以外の四人の女の子はレイジングハートの念話を受信したようだ。と、いうことは必然的に考えられるのは―――。

 どうやら、レイジングハートも同じ結論のようである。

 

≪Perhaps they have magical talents, too. More than that, FATE is heading to this place(恐らく、彼女たちにも魔法の才能があるのでしょう。それよりも、フェイトがこの場所に向かっています)≫

「え、フェイトちゃんが?」

 

 フェイト、それは自分の友達の一人。かつてある事件の時に出会い、多くのぶつかり合いの末に友達となった自分にとって大事な人の一人である。

 

≪Seems very worried(とても心配しているようです)≫

「そっか……また迷惑かけちゃったんだね」

≪Master……(マスター……)≫

 

 あの時と、同じように。

 また、自分は誰かの心配の種になってしまった。すべては、自分が弱かったから。自分の不手際のせいで、また誰かに迷惑をかけてしまった。

 自分がもっと強かったら、他人に迷惑をかけない人間であったのならば、こんなことにならなかったのに。魔法を使えるようになっていたら、あんな怪物自分一人で対処することが出来ていたのに。

 高町なのはの自己嫌悪は、フェイトがその場に現れるまで続くのであった。




 ジュエル・ドーパントは、魔法少女リリカルなのはのストーリーが『ジュエル』シードから始まった事から選出しました。
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