仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

233 / 265
 まぁた賛否両論ある話を書く。それが七匠クオリティ。


魔法少女リリカルなのはの世界1-4

「なのはを助けてくれて、ありがとうございます」

 

 と、病院の休憩スペースで士達に頭を下げるのは、高町なのはの友達という少女、フェイト・テスタロッサ・ハラオウンだ。

 あの戦いの後すぐに駆けつけたフェイトと二、三話をしたなのはは、いつまでも病院に帰らないと先生や看護師に心配をかけるとし、すぐ様海鳴大学病院に戻った。

 病院は怪物騒ぎにより混乱状態にあった。しかし、怪我人はいたとしても死人が出なかったのは不幸中の幸いである。

 とにかく、見た目には外傷はないとはいえ、念のために検査をすると言う運びになったなのはが検査室に向かい、その間駆けつけたフェイトと話をすると言うことになったのだ。

 

「いや、そんな大したことしてないよ」

「私たちは、ただ当然のことをしたまでですから」

 

 と、ユウスケと夏海は返答する。さも当たり前のように言う二人だが、得体の知れない怪物に対して立ち向かう勇気のある人間なんてこの世に何人もいないであろうことをフェイトは知っていた。だからこそ、彼女はこうして感謝しているのだ。そんな恐怖を乗り越えてなのはを助けてくれてありがとうと。

 まぁ彼らにとっては、ドーパントという存在は対して得体の知れない怪物であるとまでは言えないものであったのだが。

 

「フェイトさん、先程なのはさんを襲った男は……」

「あの後、時空管理局の私の仲間が身柄を拘束したそうですけど、意識不明で事情聴取もできないそうです」

 

 あやかの質問にフェイトは答える。

 マスカレイド・ドーパントは、どうやらジュエル・ドーパントが出現させたいわゆるエネルギー体であった為変身者は居らず、あの場にはジュエル・ドーパントの変身者であった男が一人取り残されていたそうだ。

 その男から何故なのはを狙ったのか、そもそもガイアメモリをどこから入手したのかを聞き出したかったのだが、ガイアメモリを使用した副作用のようなもので意識が戻っていないらしい。

 

「時空管理局ってなんですか?」

「私や、なのはが所属している次元世界の平和維持を目的とした組織です」

「次元世界だと?」

「はい」

 

 フェイトの話を統合するとこうなる。

 次元世界、つまり並行して存在する世界のあちこちで続発する次元犯罪を取り締まる警察、軍隊、あと裁判所を統合したような組織であり、なのははその時空管理局の武装隊の士官候補生なのだそうだ。

 

「え? つまり、なのはさんは軍人って事ですか?」

「この世界の基準だと、そういう事です……」

「でも、小学生……なんですよね?」

「はい、私も……小学生ですけれど入局しています。ミッドチルダ、本局が置かれてる土地なんですけど、そこは就職年齢が低いんです」

「……」

 

 それからフェイトは色々と語ってくれた。

 高町なのはは、今から数えること二年前。この街にジュエルシードという危険な宝石が事故によって落ちてきたときに、それを探しに来た人間から魔法を授かった。それが、彼女が魔法少女となった始まりの出来事。

 時空管理局はその事件の途中で出会い、当初は危険だからという理由で事件に関わらないように言われることもあったが、母親の命令でジュエルシードを探していたフェイトと友達になりたい、分かり合いたいという理由で事件に係わり、そして解決に導いた。

 なのはは、自分の恩人であり、大切な友達だ。フェイトは、自信を持ってそう言い放った。

 

「けど、どうしてなのはさんはこの病院に入院していたのですか?」

「……今から二か月ほど前、なのはは任務中に……」

 

 高町なのはは任務中に突如としてもたらされた攻撃によって重症を負った。簡単に言えばそういう事だ。

 これは、あのプリキュアの世界に関わった高町なのはと同じだ。違うのは、そこにファントムが関係しているかいないかと、重症度といったところか。いや、ファントムのことに関してはまだ不明だ。もしかしたら、フェイトたちが知らないだけで、本当はこの世界でもファントムがなのはのことを襲ったと言う可能性は考えられるのだから。

 重症度としては、プリキュアの世界の高町なのはは立って歩けなくなるのが難しくなる可能性もあると言われるほどの重症だった。だが、この世界のなのはは魔力を放出するリンカーコアを損傷はしたものの、何とか中傷程度に収められて数か月簡単なリハビリをすれば前線に戻ることが出来ると言われるくらいに落ち着いている。とはいえ、魔法の使用は厳しく、もしも使用し、強大な魔力が必要な攻撃を行えばリンカーコアは持たないであろうと言われているそうなのだが。

 あのプリキュアの世界、正確に言えばプリキュアの世界の人物が赴いたまた別の世界なのだが、その世界にいたため高町なのはのことは知っていた物の、それ以外の大まかな高町なのはの概要を知っていなかったため、次々と出てくる新情報に驚きが隠せなかった。

 和気藹々。やはり、女性が多い場であるためにそれぞれが仲良さげに話している少女たちと、コミュニケーション能力が高い小野寺ユウスケ。そんな中で、一人の男が暗い顔を崩さなかった。

 

「随分と身勝手な組織だな」

「え?」

 

 門矢士である。なのはの人となり、そして時空管理局という組織。それらを聞いた士は、心の底からフツフツと沸いてくる怒りを抑えきれなかった。

 

「士君?」

「最初は危険だからと遠ざけておいて、いざ協力を申し出たら即刻戦力にか? まるで、なのはのことを武器かなんかと思っているようだな」

 

 夏海は驚きが隠せない。士が、こんなに誰かのことを否定するなんて。確かに失礼な態度や言動が多い士ではあったが、ここまで他人のすることに対して否定するのは初めてではないだろうか。

 

「そんなこと……」

「第一、あんな小学生に、軍人をやらせるなんてどうかしている。なのはが大怪我を負ったのも、体力が付ききっていないのに無茶をさせたせいじゃないのか?」

「それは……!」

 

 確かに一理ある。そもそも、彼女はこの地球出身の人間としてはあり得ないほどの魔力の持ち主。つまり、他人が持ち合わせていない天賦の才能の持ち主だった。だが、ただそれだけ。

 それまで普通の一般人として暮らして、普通に家族に囲まれ、友達に囲まれて、学校に通い勉学に励んでいただけの小学生の女の子だった。

 そんな少女が、運動神経がそもそも悪かった女の子が、何の基礎訓練もなしに二年間に渡り戦い、疲れないわけがないではないか。技術的にも、精神的にも未熟な女の子が、何年にも分かって戦って、精神をすり減らされる事件に遭遇してきて、無事であるわけがないじゃないか。

 いや、そもそも小学生ですら現場に送り出さなければいけない時空管理局という組織にも問題があるのではないか。天賦の才能があるからという理由だけで戦いを続けさせるなんておかしくはないだろうか。

 止められたはずだ、無茶なのを承知だったはずだ。何故止めなかった彼女の周りの人間も、上司も、家族も。そんな当然のような疑問が次々と士の頭に浮かんでくる。

 

「大体、時空管理局って名称自体気に食わない。自分たちが支配者気取りか? それに、先ほどの話だとこの地球は管理外世界だと言ったな。その管理外世界にいたごく普通の一般人だったなのはを戦力に取り込んだ挙句、自分たちの権限が及ばない場所でも好き勝手暴れまわるなんて、身勝手にもほどがある」

「ッ!」

 

 いうなれば、現地で調達した少年兵をそのまま自国の軍隊に入隊させたようなものだ。士はそう続ける。

 管理外世界には脅威に対抗するための武器が何もなかったから自分たちが介入した。介入したらそれっきりか。いや、そもそももしなのはが戦っていなかったら介入できていなかった可能性もあるではないか。時空管理局がたどり着く前に地球が滅んでいる可能性があったではないか。

 管理している世界の危機にはすぐ察知して直に駆け付け、管理していない世界の危機には疎い。いや、そもそも管理していない世界に介入する権利なんてどこにもないのだ。

 正義の味方を気取っているというのか。なら、その正義とはどこにあるのか。管理外世界に対する正義とはどこにあるのか。例えば、自分門矢士がこの地球で犯罪を犯したとしよう。それに対して、時空管理局は行動できるのか。自分たちの世界にも危害を及ばすかもしれない。だから処罰するのか。

 そう、全てが曖昧だ。その曖昧な正義を振りかざして自分たちの法が届かない場所でも戦って、自分たちの世界に連れ帰って自分たちの法律で処罰する。結果的にそういう可能性もあるのではないか。

 曖昧な正義、曖昧な協力者、曖昧な法律。すべてが曖昧な世界で存在している組織、それが時空管理局なのではないか。

 

「なのはもお前もまだ小学生だ。正常な判断能力も人生経験もないというのに時空管理局に入れられて、自分の命を危険にさらしてまで他人を守るようになるには早すぎる」

「おい、士よせって! 今日のお前なんか変だぞ!」

 

 思わず立ち上がった士を、ユウスケが押さえつけるように言う。しかし、それでも士は止まらない。

 

「子供時代の全てを犠牲にして、親兄弟や友達との付き合いも犠牲にしてでも、それでも見ず知らずの人間のために戦うなんて選択、間違っている!」

「士君!」

 

 もはや、正論も独善も何もない。そこに合ったのは士の感情。怒りという最も他人にぶつけてはいけない感情を、それもいち小学生の女の子にぶつける、周囲からすれば大人げないと言われてもおかしくなないことをしている門矢士の姿がそこにはあった。

 これらの言葉に、今まで黙っていたフェイト。しかし―――。

 

「あなたに、何が分かるんですか……」

「何?」

「なのはの気持ちを何にも知らないあなたが! なのはの何が分かるって言うんですか!」

 

 何も分かっていない人間が、この世界のことを何も知らない人間が自分の価値観を押し付ける。それは正しく、異世界転生者のソレと全く同じこと。少し違うが、それは門矢士も嫌った遠藤止のそれと似ているところもあった。

 

「私は、なのはが戦ってくれたからここにいる! なのはが、私のことを友達だって言ってくれたから。時空管理局も、私に居場所を……帰る場所を、家族をくれた大切な場所なんです。そんな人たちを、場所を……そんな風に言わないでください!」

「士、ちょっとは頭を冷やせって!」

「そうです! いつも、冷静なあなたは何処に行ったんですか!」

「冷静……なのかな?」

「単にカッコつけてるだけだと思うです」

「です」

 

 なんなんだこの言い争いは。一体どこに帰結すればいい。どうすれば士のことを抑えられる。

 これまで士のことを見てきた麻帆良の少女たちも、この士の変容に驚愕していた。

 だが、これだけは分かる。これは、こんなところで何も知らない人間と、子供が言い争って何かが解決するという問題ではない。そもそも答えなんて見つからない。例えどれだけ士が声高に時空管理局のシステムの異常を叫んだとしても、何も解決することがない。

 士自身、そんなこと重々承知だった。しかし、なのはのことを、そして時空管理局の事を知れば知るほど、聞けば聞くほど、≪ある出来事≫が思い出されて仕方がないのだ。

 時空管理局が善良な組織であるのならばいい。高町なのはが確固たる自分の中の考えを持っていればいい。これが、自分の信じる物であるという物を持っているのであればいい。だが、もしもそれがなければ、時空管理局が自分の考えている組織のソレと同じものであるとするのならば―――。

 高町なのはの将来が危うくなる。人格的にも、人間性的にも。

 

「少し屋上に出る。時空管理局って奴らにはお前らだけで会ってくれ」

「あ、士!」

 

 士は、翻すように屋上に向かうエレベーターの方に向かう。小野寺ユウスケはそんな士を追ってその場から去る。

 こうして、残されたのはフェイト、夏海、そして麻帆良ガールズの四人のみ。

 夏海は、士が去って俯いているフェイトに駆け寄ると言う。

 

「フェイトちゃん、ごめんなさい。士君が、フェイトちゃんの大事な場所や人のことを悪く言ったりして……」

「いえ、いいんです……」

「一体どうしちゃったのかな、士先生……」

「あんな風に誰かの事を否定するなんて……」

「初めての事です」

「今まで、こんなことなかったのに……」

 

 本当にそうか。前にもあったのではないか。士が、激昂まではしないまでも何かを完全に否定するという出来事が。誰かの人生を否定するということが、あったのではないか。それも、ごく最近だ。いつだ、いつのことだ。そう、あれは確か光写真館で大勢の客人を迎えた時―――。

 

「……いえ」

「え?」

「前にも一度だけ……そうです、以前にも同じようなことがありました。子供なのに、仕事をしている人。その人の知り合いに対して、同じように怒っていたことが……」

「子供なのに仕事……ッ! それって!」

「はい、麻帆良学園のある世界……貴方達の担任、ネギ君の時にも……士君は言ってました」

 

 そうだ思い出した。士は以前、麻帆良学園都市でネギに向けて、いや正確に言うとネギの知り合いである先生に対して言い放っていた。

 

『ここで先生をするってことは、10歳という大切な時間の一つを捨てることと同じだ。普通は小学校に通っているはずだが? お前たちはそれを分かっているのか?』

『時間を奪ってまで、大事な子供時代を削ってまでするべきことなのかと聞いているんだ』

 

 あの時は、ここまでではなかった物の、士がここまで言うのかと心の底で思っていた。しかし、あまり印象に残らなかったのはそのすぐ後にファントムが現れてそれの対応に追われたからだろう。

 

「そして、こうも言っていました。『こいつの人生を破壊するのもお構いなしにか』……って」

 

 ここまで来て、その場にいた者たちの中にある共通の考えが浮かんだ。でも、なんで。その答えを導き出すことはできなかった。少なくとも分かることは、ただ一つ。

 

「……士先生は、子供が仕事をすることを望んでいない……いえ、憎んでいる?」

 

 そんな最中、彼女たちの背後で一人の男性が歩き去っていたことには全く気が付かない。果たして、彼の行く先は何処なのか。




 因みに、魔法少女リリカルなのはの劇場版はなのはの世界の執筆終了後に鑑賞したいと思います。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。