仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

248 / 265
魔法少女リリカルなのはの世界2-4

 この世界のどこかにあるはずのとある場所。

 確かに時間が進んでいるはず。なのに、その場所ではまるで時間が止まっているようにも、時間が戻っているかのようにも感じる。そんな曖昧な空間。

 そこで、一人の男がある本を開いていた。

 

「この本によれば、元・普通の高校生常磐ソウゴには、魔王にして時の王者、オーマジオウとなる未来が待っていた。だが、それもすでに過去の話。数々の試練を乗り越え、魔王の座を奪おうとした者をも打倒し、魔王となった彼は、多くの家臣と共に新たな未来を歩んでいた。ある日、彼は夢を見る。それは、自分が魔王となるべく戦っていた時に出会った一人の仮面ライダーにまつわる物語。彼は、そんな夢の中の物語に疑問を感じ、とある天才物理学者に相談を……おっと失礼」

 

 男、ウォズは≪真逢魔降臨歴≫と題名が書かれている本を閉じるとどこかに眼を向ける。それは、まるで自分の姿を見ている人間がいる事を知っているかのような目線で、ニヤリと笑って言った。

 

「ここから先は、まだ皆さんには未来の出来事……でしたね」

 

 その時、時計の針が進むような音がした。

 

「変な夢?」

「うん……」

 

 場面はまるっきり入れ替わり、先ほどまでの殺風景な風景が嘘であったかのような様相へと変化した。

 建造から何十年か経とうというほどの木造二階建ての、家を兼ねた古いお店。

 中は多くの時計が所狭しと壁にかけられており、このお店がどんな種類の店であるのか一目瞭然である。

 そう、ここは時計屋。修理や保全も一緒に行い、また空き部屋を貸す下宿屋のようなことをしているこのお店の名前は《クジゴジ堂》。店主である男性は、依頼が来たため古い大きな時計を直すために外出している。現在はその甥っ子である男性が店番をしながらお客さんの相手をしていた。

 男性の名前は、常盤ソウゴ。お客さんの名前は桐生戦兔。二人とも、一見すれば普通の男性に見えなくもない。しかし、その裏にはもう一つの顔ともいうべき物。仮面ライダーに変身する力を宿す戦士達であるのだ。

 常盤ソウゴ、仮面ライダージオウに変身する彼は、幼い頃から《王様になる》という夢を抱えて生活を送っていた。そんなある日、未来からやってきた一組の男女、そして自分に対して魔王と呼ぶ男と出会った。そして、彼は知る。自分は将来、《最低最悪の魔王》となる人間であるのだと。男女は、そうなる前の自分を殺すためにやってきた刺客であるのだと。

 だが、彼はそんな未来を否定した。《最低最悪の魔王》ではない。《最高最善の魔王》となるのだということを決意した彼は、魔王と呼ぶ人間。ウォズから変身ベルトを受け取り、仮面ライダージオウとして戦うことになった。

 戦う中で出会う多くの歴戦の戦士達から仮面ライダーとなる力と引き換えとしてソレゾレの思いを、力を受け継いだ。そして、自分と敵対するタイムジャッカーとのし烈な戦いを征した常盤ソウゴは、自分が本当は本物の魔王となる人間、《常磐SOUGO》の替え玉に過ぎなかったことを知る。

 自分が仮面ライダージオウとなったのは、彼が魔王になる器だったからではない。ただ、仮面ライダーの力を集めるために必要なだけだったために担ぎ上げられた傀儡である。生まれながらの王、魔王への覇道、そのような物は刷り込まれただけのただのただのイメージであり、自分が本当はただの高校生に過ぎないという事実を突きつけられる。

 自分を信頼し、仮面ライダーの力を渡したもの達の思いを裏切った。そんな事実を目の当たりにした彼は絶望し、傷つく。

 だが、そんな彼の目の前に現れた一人の仮面のヒーローに変身する男が言った。《ライダーとして選ばれたからには、その責任がある。今、ライダーを背負っているのはオマエなのだ》と。

 そして、彼は立ち上がり、思い出す。自分が王になりたかったのは、刷り込まれたイメージじゃない。子供の頃に両親と交わした大切な約束だったのだと。

 そして、オーマジオウではないもう一つの王の力を持ってして、常磐SOUGOを打倒した彼は今度こそ本当の王となり、今ここにいる。未来へと向かって歩みだす。

 

ーっと失礼語りすぎましたー

 

 そんな彼と話している男性は桐生戦兔。仮面ライダービルドへと変身する天才物理学者である。

 自他ともに認めるその天才的な頭脳により様々な兵器を作り出し、スマッシュと呼ばれる怪物や秘密結社ファウスト、そしてすべての黒幕である最悪の敵との戦いを経験した彼は、新たな世界へと足を踏み入れた。

 それが、この世界。今、自分たちがいるこの世界こそ、彼がたどり着いた新天地。

 現在彼は、この世界で工場を借り、そこで発明した品を売って生計を立てていた。

 

ーなぁ、なんかソウゴと比べて簡単に紹介しすぎじゃね?ー

ーあまりにも長くなると、見ている人たちがつまらないからね。彼らが理解できるくらいの基本情報だけを並べたらこんな文章にもなるー

ーにしても短いだろ、てか俺すらもでてねぇ!ー

ーまぁまぁ醜い嫉妬は身体に毒よ。それに、本当の天ッ才! は語らなくても分かるー

ーいや、俺は影も形もねぇんだが!ー

ーてな訳で、どうなる第2ー4話ー

ーなんかそれ読み辛くねぇか?ー

ーあらすじフォーマットを使うとこうなっちゃうんだからしょうがないでしょー

ーあ? ていうか、あらすじにしては結構後の方じゃねぇか?ー

ーそれは言わないお約束でしょー

 

 以前ある戦いで共闘した二人の仮面ライダーが再び相対した理由。それは、とある夢がかかわっていた。 

 その夢というのが、かつてソウゴが遭遇した仮面ライダーディケイドの変身者、門矢士が絶海の孤島の屋敷に赴いてデスゲームに遭遇するという話。

 さらにもう一つ。高校生の自分が学校や学友たちと共に怪物が徘徊する世界に飛ばされてサバイバル生活を送る話。

 ただの夢、と断罪するにはあまりにもリアリティがあり、そしてとても残酷な夢であった。とくに自分と同じ顔をした人間や、知っている顔の人間が次々と殺されていく光景は、今思い出しても吐き気を催しそうになる。

 ソウゴには、ある確信があった。あの夢は、きっと別の世界で本当にあった物語であるのだという。確固たる自信が。恐らく、時空の乱れという物で別世界の記憶が流入してきたのだろうと思う。

 いきなり何を突拍子のないことを言うのかと思うかもしれない。しかし、少し前に彼は、自分に復讐心を抱く者が変身したアナザーオーマジオウと戦った。その際、時空の乱れによって自分の仲間の一人が異世界の同一人物が変身した仮面ライダーの姿になったことがあったのだ。

 

「なるほど、つまりその≪アナザーオーマジオウ≫の事件の時に混戦した異世界の記憶がソウゴの中に宿ったってことか」

「そうなんだろうけど……なんだか変なんだ」

「変?」

 

 確かに、戦兔の言うようなことが自分に起こったのだろうとは想像がつく。しかし、何かが引っかかるのだ。

 

「うん……色々と、特に最後の方で真実のソウゴが言った言葉……」

 

 それは、学校ごとサバイバル生活を行った世界での《真実のソウゴ》との戦いの事。

 そもそも、あの学校がサバイバル生活を余儀なくされたのは、他世界における様々なソウゴ連れてきて、その中から最も優れたソウゴを選出し、それを依り代として真実のソウゴこと、オーマジオウが復活することを画策していたのだ。

 そして、選出されたのは自分に最も近しい存在であった常磐ソウゴ。その世界では学友であった元タイムジャッカーのウールの死、幾人もの別世界の常磐ソウゴの死、そして仮面ライダーディケイド、門矢士の負傷。様々な犠牲の元、常磐ソウゴは新たに手にいれた令和ライダーの力を駆使して、ついに真実のソウゴを倒すことに成功する。

 その、真実のソウゴが最後に言い放ったのだ。

 

≪お前は、俺だ!≫

 

 と。

 

「確かに妙だな」

 

 そう言いながら入ってきたのは二人の男と、一人の女性だった。

 妙だと言った男、ゲイツがさらに言葉を繋げる。

 

「オーマジオウがソウゴであるというのは誰もが知っている話だ。それをわざわざいう必要なんてない。もし仮にお前は将来俺になる……そういう意味合いで言ったのなら話は別だが、もしその場合幾人ものソウゴの中から選ぶなんてまどろっこしいことをせず、最初から一人の常磐ソウゴを狙えばいいことだ」

「それじゃあどうしてそんなそんなことを言ったの?」

「分からん……」

 

 と、女性ツクヨミの問いかけに対してゲイツは言う。

 妙と言えば妙だ。オーマジオウが常磐ソウゴが変身するはずの仮面ライダーであった。そんな事、判明する前であるのならばともかく、判明した後に、いやそもそもの話である。ゲイツとツクヨミは常磐ソウゴが最低最悪の魔王オーマジオウとなった未来から、魔王となる前のソウゴを抹殺するために過去にやってきたのだから、知らないというわけがない。

 まだ疑問は尽きない。

 

「それに、どうして門矢士は消えたのかなって、それが気になるんだ」

 

 オーマジオウが爆散した後、負傷した門矢士は夢の中、自分が見ていないところで静かに消えていった。ようやく終わる、自分の旅に満足をして。

 もしもその負傷が原因で死んでしまったのだとしても、その場合は死体が残ってしかるべくことであり、身体が消失する意味はない。

 ならばまた別の世界に行ったのかとも考えたが、その場合はいつもの灰色のオーロラを出現させるはず。今回の場合、そのオーロラが影も形もなかったためソレではないのは確実。

 なら、何故門矢士は消えた。

 

「なるほど……万丈お前はどう思う?」

「なんで俺に振るんだよ」

「話を聞いてばかりじゃなくて、君も何か答え出しなさいって」

「って言ってもよ……」

 

 もう一人の男であり、桐生戦兔の相棒たる存在である男、万丈龍我は突如降られた難問に対して首をかしげながら考えるそぶりを見せる。だが、天才たる桐生戦兔や他の者たちがいくら考えても答えが出なかったのだから、彼が答えを見出せるとは―――。

 

「よし、分かった!」

 

 謎の自信に溢れまくっている万丈が掌をグーで叩くとこう言い放った。

 

「その真実のソウゴは、常盤ソウゴだった!」

 

 室内であるというのに涼やかな風が流れていく。やはり、分かっていなかったようだ。

 

「だからずっとそういう前提で話をしてきたんじゃないの」

 

 戦兔は飽きれながらそう言い放ち頭をかく。そう、元から真実のソウゴの正体が仮面ライダージオウに変身し、オーマジオウへと姿を変える《はずだった》常磐ソウゴ。それを根底として話を進めてきたというのに、今更そんなことを言われても―――。

 その時、彼の手が止まった。

 

「前提……」

「ん?」

「そうか、前提か……!」

 

 ここで戦兔にある考えが舞い降りた。そうだ。そう考えれば辻褄が付く。オーマジオウが最後に言い放った言葉の意味も、門矢士が消失したその意味も。全て納得がいくものとなる。

 

「どういう事、戦兔?」

「そもそも前提が間違っていたんだ」

「何?」

 

 戦兔は、どこからともなくホワイトボードを取り出すと、そこにいくつかの絵をかきだす。

 

「俺たちは常盤ソウゴが未来でオーマジオウになるってことを前提にして話を進めてきた。でも、もしその前提が違っていたら……」

「ソウゴがオーマジオウになる以外に誰か、別の存在がオーマジオウになっていたって事?」

「そんなことあるわ……」

 

 あるわけがない。そう言おうとしたゲイツは、一人の男を思い出す。

 ソウゴを利用し、ライダーの力を集め、自分自身が王となって君臨しようとした男。

 

「常盤……SOUGO。仮面ライダーバールクスのSOUGO……」

 

 そうだ。もしあの事件の時に常磐ソウゴが敗北していたら、もしもソウゴが再び立ち上がることなくSOUGOが魔王となっていたら、オーマジオウになるのはあの男だったという可能性もある。

 

「そう。つまり、真実のソウゴも、また別の人間……常盤ソウゴじゃないソウゴが変身したオーマジオウだったんじゃないか?」

 

 もしそうなら、あの《お前は俺だ》の意味も少しは意味合いが変わってくる。お前は異世界のソウゴかもしれない。しかし、最終的には俺と同じ魔王となって世界を滅ぼす。そういう意味合いであったのかも。

 

「けど、もしそうだったとして、どうして門矢士が……まさかッ」

「……」

 

 戦兔は、ソウゴの言葉に頷いた。そう、もしもソウゴの考えている通りだとすると、門矢士が消失した理由も分かる。それにその場間だと、また例の言葉の意味も違ってくる。

 けど、矛盾している考えだ。もしもそうだったとして、何故真実のソウゴは門矢士の事を見て何も思っていなかったのか。何故門矢士は真実のソウゴが子供の姿をしていたという事に対して驚いたのか。

 いや、それだけじゃない。あの時、門矢士はともに世界を旅した仲間であるはずの仮面ライダーディエンドの変身アイテムであったネオ・ディエンドライバーを持っていた。ディエンドは、海東大樹はどうしたのだ。それに―――。

 疑問に疑問が次々と沸いてきて、頭の中の収拾がつかなくなってくる。

 

「気になるな……本当はどうだったのか……」

 

 そう、実際にどのような答えがあったのか。それを知らない限りは夜も眠れなくなる。だが、夢の中の世界、というよりも別世界の、それも過去に行く方法なんて―――。

 

「なら、見に行けばいいんじゃねぇか?」

「え?」

「持ってんだろ? ディケイドの力」

「あ、そうか!」

 

 意外なことに、この言葉を発したのは万丈だった。

 そして、ソウゴはその言葉を受けて思い出す。自分が、仮面ライダーディケイドの力を宿した《ライドウォッチ》を持っていたという事を。

 

「万丈お前たまに頭よくなるな。さすが脳に筋肉が詰まってることある!」

「おう、もっと褒めろ!」

「褒めているのか?」

 

 きっと褒めてはいないような気がする。というか、けなしているだけのような気もするが本人が喜んでいるのであればそれでいいのだろう。

 とにかく、ディケイドのライドウォッチには、仮面ライダーディケイドの、ひいては門矢士の能力の一つである世界間移動機能が備わっている。

 

「これとタイムマジーンを使ってその世界に行けば……」

 

 いける、世界観移動機能と、ツクヨミたちが未来から持ってきたタイムマシーン、《タイムマジーン》の力があれば、異世界の過去へと旅をすることが出来る。

 

「なんか行ける気がする!」

「そうと決まれば話は早い。すぐ出発だ」

「え? 戦兔も行くの?」

 

 本当は自分一人でも行くつもりだったので、戦兔もまた同行を決めたのは少しびっくりした。

 

「平行世界のことに関しては物理学者としては見逃せないでしょ、ほら行くよ万丈」

 

 確かに多元宇宙論、つまりパラレルワールドの実在を観測するという物は、物理学者にとっては貴重な体験の一つなのかもしれない。

 とはいえ、元々はパラレルワールドの世界の住人であった桐生達にとってはパラレルワールドが存在するという事実はすでに明白の事であるので、それほど色めきだつ必要なんてない気もする。

 だが、飽くなき向上心という物なのだろう。他の世界を見ることによって、自らのインスピレーションを活性化させ、また新たなる発明品を作り出す。それを考えればいくら行き来したことがあると言っても心が揺さぶられるのかもしれない。

 こうして、ソウゴと戦兔はともにパラレルワールドに赴くことに―――。

 

「はっ? なんで俺まで!」

「乗り掛かった舟だし、このまま見過ごすわけにはいかないでしょ」

「だから、なんで俺まで!?」

「ゲイツとツクヨミもどう?」

「いや、俺は遠慮しておく」

「私も、《アレ》の準備もあるから」

「そっか、分かった。それじゃ、お土産楽しみにしてて。行こう、戦兔、龍我」

「だからなんで俺までぇぇぇ~」

 

 という事で、有無を言わさずに万丈龍我まで連れて行かれることになってしまった。ある意味あんまりと言えばあんまりだ。

 こうして、元・普通の高校生常磐ソウゴと天才物理学者桐生戦兔、そして殺人を犯して逃亡中の男万丈龍我は―――。

 

―俺は殺してねぇしもう逃げてもねぇ!―

ー万丈、あらすじ紹介はもういいからー

 

 訂正、プロテインの貴公子万丈龍我は、共に異世界へと旅立っていくのだった。

 2022年11月5日の事であった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。