仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

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魔法少女リリカルなのはの世界 2-16

 門矢士がまず最初に始めたことは、自分自身のパワーアップであった。

 今の自分が使用できる能力は、自分より前に戦っていた平成ライダー九人の能力だけ。

 対して、時環相互の使用できる能力は、自分も含めての平成ライダー十九人分。これでは勝ち目なんてない。

 ならばどうする。

 そう、バージョンアップだ。自分自身の最強フォームであるコンプリートフォームをさらに強くする。他の平成ライダーの力を取り入れて。

 だが、それだけじゃまだ不十分だ。なぜならば、それだけなら相手に並ぶだけ、いや時環相互はその十九人の仮面ライダーと共に戦った仮面ライダーの力を使うことが出来るようになれば、それ以上に不利な戦いになるだろう。

 どうすればいい。どうすれば。

 その時、彼はひらめいた。

 そうだ、もう一人仮面ライダーを取り込めばいいと。

 その仮面ライダーこそ、平成の次の世代の仮面ライダーである。仮面ライダーゼロワン、令和ライダー一号だ。

 彼の力もまた取り込んで変身すれば、時環相互に勝つことが出来るのではないか。そんな希望的な観測。

 そして、長い年月をかけて彼は完成させることが出来た。ネオディケイドライバーに付随する最強のケータッチ21を。

 そして、ジオウ以外の平成ライダー、ゼロワンの力を込めたソレを手にして、彼が向かった先、それが。

 

『それが、あの……俺たちの世界……』

『そういう事だ……』

 

 ケータッチ21を開発する門矢士。その姿を見ながらウォズが一つ一つ説明をしていく。

 だが、まさか彼が自らのパワーアップアイテムを作成していたなんて、思いもよらなかった。てっきり、どこかの世界で入手したものだとばかり思っていたから。

 

『門矢士はショッカーで大首領をするにあたって英才教育を受けてきた。その中で、手にいれた能力なのだろう』

『へぇ……』

 

 ふと、ここでソウゴが気が付いたことがあった。

 

『そういえば、海東大樹……仮面ライダーディエンドは?』

 

 なるほど、彼の事を忘れていた。確かに、士にはまだ仲間が一人残っていた。仮面ライダーディエンド、海東大樹だ。

 彼は、常磐ソウゴが一年を通して戦っている最中に何度も介入し、ぶつかり合ってきた。彼の存在が士の中から消えてしまっているような気がするのだが。

 

『きっと、消えたわけじゃないんだろ』

『え?』

 

 と、言ったのは戦兔だった。彼はさらに言う。

 

『士はちゃんとわかっていたはずだ。自分にはまだ、仲間がいる事を。だが、彼はそれ以上に多くの仲間を失ってしまった。きっともう、海東大樹にも止められなかったんじゃないか?』

『その通り』

 

 というと、さらに場面は変わった。

 映像は、海東大樹が門矢士と何度も口論を続けている場面だ。

 

『海東大樹は、何度も門矢士に対して復讐のために戦うことはやめるようにと言っていたらしい。が、そのすべてを彼は跳ね除けた』

『哀しいな……』

『はい……』

 

 そして、あの日。門矢士はついにもう一人の自分と戦うこととなった。

 

「全ての平成ライダーは私の力の一部となった。残るはお前だけだ。仮面ライダーディケイド」

「……」

 

 周りに何もない絶海の孤島。そこで対峙する瓜二つの青年たち。

 一人は、復讐のためにその身を犠牲にしてきた哀れな男。

 一人は、自らの欲望成就のために多くの命を奪ってきた男。

 優越感に慕っているその顔と、何かを押し殺して相手をにらみつけているその顔。全く正反対な二人のその表情は、精神体として見守っているソウゴたちの表情をも曇らせていた。

 

「さぁ、頂くぞ、その力……」

「あぁ、いいぜ……奪って見せろよ」

 

 そう言うと、士は懐からネオディケイドライバーを取り出した。

 抵抗するか、鏡の世界の人間の分際で。

 

「愚かな……」

 

 時環相互は、そう言うと腰にオーマジオウドライバーを出現させた。

 

「そのベルト……オーマジオウになれるのか」

「まだ不完全だ。お前の力を取り込めば……私は最終にして最強の王となることができる!」

「……」

 

 士は、ネオディケイドライバーを力強く腰に装着すると、ベルトが出現し腰回りについて回る。

 もう後戻りは決してできない。決してしない。自分は、奴を、本物の魔王を。

 殺す。

 もう、それだけしか考えていなかった。

 

「変身!」

「変身!」

≪祝福の時! 最高! 最善! 最大! 最強! オーマジオウ!!≫

≪KAMENRIDE DECADE≫

 

 最強の仮面ライダーとはだれの事か。

 人によって、その答えは様々な物だ。

 それは、人によって愛しているライダーは違うから。人の数だけ自分自身の中での最強の仮面ライダーという物があるから。

 しかし、その愛さえも全てが無駄になる。

 最強の仮面ライダーは何者であるのか。そんな議論をたった一度の戦闘で終わらせた、たった一度の変身で終わらせた最強最悪の仮面ライダーがいた。

 その名もオーマジオウ。

 今、最凶が降臨した瞬間である。

 その姿を見たディケイドは、怒りに震える手でもう一つのアイテムを取り出した。

 

「なんだそれは?」

「この力は、お前と戦うために生み出した力だ……」

≪W OOO FOURZE WIZARD GAIM DRIVE GHOST EX-AID BUILD ZI-O ZERO-ONE FINALKAMENRIDE DECADE≫

 

 ディケイドは、ケータッチ21の画面を次々とタッチしていく。自分の後に生まれた仮面ライダーたちのエンブレムを。

 そして、最後にFの文字をタッチした。

 

≪FINALKAMENRIDE DECADE COMPLETE 21!≫

 

 士がネオディケイドライバーを外し、同じ場所にソレを装着した。瞬間、コンプリート21から無数のカードが舞った。それが、仮面ライダーディケイドに吸い込まれるかのように張り付くと、コンプリートフォームのような姿になる。違うところと言えば三点。

 まず、胸のヒストリーオーナメントと呼ばれる物の数。コンプリートフォームまではそれまでに出逢ってきた仮面ライダー9人分のカードが張り付けられていたソレが、自分の後に生まれた10人も追加されての19人分へと変化した。

 二つ目に、頭部。コンプリートフォームまでは自分自身のカードだけが張り付いていた。しかし、進化した後ではさらにもう一枚、新たな世代のライダーである仮面ライダーゼロワンのカードまで張り付いている。次の世代からもう一段上がったという意味なのか。

 そして最後にして最も違う部分。それが、マントの存在である。コンプリーフォームの時にはなかったそのマントンには、平成ライダーのほぼ全てのライダーカードが張り付けられていた。

 これこそが、彼がオーマジオウを倒すために編み出した最強のフォーム、コンプリート21。

 

「はぁぁぁ!!!」

「フフフフフ、フハハハハハハ!!!!!」

 

 二人の仮面ライダーがぶつかり合った瞬間であった。

 世界は、崩壊した。

 

『え、何? どうしたの?』

 

 ソウゴは、突然目の前が真っ暗になった様子に驚き、困惑の声を上げる。一体何が起こったというのだろう。これから、二人の仮面ライダーの戦いが始まるというのに。

 

『あまりにも強すぎる力に、この空間も耐えきれなかったようだ』

『え?』

 

 どうやら、二人の力が強すぎたがために、自分たちがいる空間にまで被害が及んでしまったのだとか。それほどまでに、二人の力が強い物だったのか。

 

『それじゃ、どうすんだよ?』

『しょうがない、ダイジェストにはなってしまうが、私から説明を……』

 

 戦いは、三日三晩続いた。

 その間、二人は自らに宿る様々な能力を駆使して戦った。

 クウガからゼロワンまで、仮面ライダーを召喚する能力を用いたディケイド。

 それを、軽々しく撃破しながら戦うオーマジオウ。

 オーマジオウの強さは圧倒的だった。そんな相手に対して三日間も戦い続けていたディケイドの力も確かに本物だった。しかし、それでも勝つことが出来ない。それがオーマジオウだった。

 

「ッ……クッ……」

『門矢士が!』

 

 その時、映像が元に戻った。

 どうやら、戦いが終わったらしい。門矢士は傷だらけで、変身を解除して倒れ伏している。

 ほとんど無傷のオーマジオウの目の前で。

 そう、門矢士は負けてしまったのだ。圧倒的な力を持つオーマジオウの前に。

 

「偽りの存在であるにもかかわらず、ここまでよく戦ったものだとほめておこう。だが……」

 

 オーマジオウは、ブランクウォッチを士に向けた。これは、あの時仮面ライダー響鬼の変身者に使用していた者だ。これで、門矢士から仮面ライダーディケイドの能力を奪おうというのだ。

 

「クッ……」

 

 もしもライダーの力が奪われれば変身する能力だけではない、偽りの自分の姿すらも失くしてしまうかもしれない。そうなれば、自分は終わる。そのすべてが。

 ここで、倒れてなる物か。士は、必死にその身体を起こそうとする。だが無駄だった。何もできない。士は、自分が負った傷の深さも認識できないのだった。

 そして、終にその時が来る。

 

「ぐ、ぐあぁぁぁぁ!!!」

 

 ブランクウォッチは、門矢士。仮面ライダーディケイドの力を吸い込み始める。そして、それと同時に門矢士の身体も徐々に透明になっていく。

 

『門矢士!』

『おい、どうするんだよ! このままじゃアイツ……』

 

 本当にこの世界が、あの世界に繋がるのか。もしそうだとするのならば、ここで門矢士が敗れるのはおかしいはずだ。そもそもこれは平行世界の一つの記憶。もしかしたら、門矢士が敗れた世界というだけで、また別の世界では彼がオーマジオウを倒した世界もあるのかもしれない。

 そう考え始めた戦兔は気が付いた。

 

『あれは……』

『え?』

 

 遠くからディエンドライバーを構えながら走ってくる海東大樹を。

 

「ハァァァァァァ!!!!」

「くッ!」

 

 海東大樹は、オーマジオウが手に持つライドウォッチ向けて光弾を放った。

 

「ッ! 海東!」

 

 その結果、オーマジオウは士から力を奪うことを中断せざるを得なくなった。

 

「仮面ライダーディエンド……鏡の世界の付属品か!」

「僕のお宝……これ以上傷つけさせない!!」

「海東……」

 

 海東大樹は後悔していた。門矢士を止めることが出来なかったことに。彼の一番の親友である自分が彼の言雄w止めなければならなかったのに、彼を躊躇させることすらもできずにこの場に出させてしまった。

 彼がここまで傷ついたのは自分の責任だ。ならば、彼を救うことでその責任を果たさなければならない。

 例え、その命が尽きようとも。

 

「ッ! これは……」

 

 海東は、ある物を士の前に落す。そして、自らはオーマジオウの顔面へとその銃口を向けたまま距離を詰める。そして―――。

 

「そんな物が、効くと思ったか?」

「くっ……」

 

 引き金を引こうとした瞬間、オーマジオウが海東大樹の腕をつかんだ。

 そして、もう一方の手で大樹の手にの中にあるディエンドライバーを握りしめた。すると、ディエンドライバーは数々の火花を散らせ、ミシミシという音も立てていく。そして、ついに崩壊。粉々に砕け散ってしまった。

 

「ッ!」

「フン!」

「ぐああぁぁぁ!!!!」

 

 その後は、海東大樹の始末だ。オーマジオウは、海東大樹の腹部に手を添えると、力を解き放った。真っ赤な、地獄の窯の溶岩のような色のオーラが彼の身体を襲った。

 恐らく、今彼の身体を激痛が襲っているのであろう。変身している状態であったとしても致命傷になりかねない攻撃だ。ソレを、生身で受けているのだから。

 

『海東大樹が!』

『ッ! おい、アレ!』

『え?』

 

 オーラが、海東大樹の命を奪う中、士は最後の手段に出ることになる。彼が残してくれた、その武器を使って。

 最後の最後。本当に残ったすべての力を出しながら、ソレを必死で手に取った士は、立ち上がるとすぐにオーマジオウの懐に飛び込んだ。

 

「あぁぁぁぁあああ!!」

「クッ!」

 

 すべてがスローモーションのように見える世界。

 そこで、オーマジオウは、海東大樹を攻撃していた手を門矢士に向けようとする。しかし、それを海東大樹は許さなかった。

 

「ッ! グッ……」

「なに!?」

 

 海東大樹が、離れそうになっていたオーマジオウの手を掴んだ。それは、ほんの一秒にも満たない抵抗。しかし、その抵抗がついに実を結ぶことになる。

 

「うあぁぁぁぁ!!!」

 

 取ったぞ、懐を。

 門矢士がゼロ距離でオーマジオウドライバーに向けた物。

 それは、海東大樹が今使用している武器。先ほど砕かれたディエンドライバーをバージョンアップさせた武器である。

 ネオディエンドライバーだ。

 

「おのれぇ!!」

「はぁぁぁぁぁぁ!!!!」

 

 門矢士は撃つ。何度も、何度も、何度も。

 

「ああああああ!!!」

 

 何度も、何度も、何度も。

 

「あああああ!!!」

 

 銃口が焼き付くのではないかと思われるほどに何度も、何度も、何度も。

 何度も、何度も、何度も。

 

「ああああああ……」

 

 そして、銃撃は収まった。

 白い煙が上がる中、門矢士は、そして海東大樹は倒れ込む。

 今度こそ、全ての力を出し尽くしたのだ。文字通り、真っ白に燃え尽きていた。

 そして、オーマジオウもまた。

 

「グッ……おのれ……この、私が……」

 

 オーマジオウドライバーは何発もその銃弾を浴びた結果、崩壊。オーマジオウ自身もまた大きな痛手を負うことになった。

 そして―――。

 

「ぐ、おぉぉぉぉぉぉ!!!」

 

 オーマジオウの、世界を揺さぶるかとも思える叫び声が響いた瞬間であった。

 ソノ姿が、消えた。文字通り、その場に何もなかったかのように、きれいさっぱりと無くなってしまった。

 門矢士の姿も。

 オーマジオウの姿も。

 残ったのは、ただ一人、海東大樹の姿だけだ。

 

『え、どうなったの?』

 

 戦いの一部始終を見たソウゴたちは困惑した。門矢士は、海東大樹は、そして時環相互は何処に行ってしまったのかと。

 

『門矢士。この世界では時環相互のミラーワールドの世界の存在だった。そして、もしも本体が消滅すれば、ミラーワールドの世界の門矢士もまた、消滅する』

『それじゃ……』

『門矢士は勝ったのか!』

『いや、まだじゃないのか?』

『え?』

『その通り、これからが本当の彼の戦いになる』

 

 そう言うと、ウォズは真逢魔降臨歴の本のページを再び捲った。

 その瞬間、またもや場面が転換しようとする。その刹那、ソウゴは聞いた。

 

「すまな、い……つ、かさ……」

『海東大樹……』

 

 こうして海東大樹の旅も終わりを告げた。

 もしかしたら、嫌だったのかもしれない。オーマジオウを倒して、門矢士もまた、自分の最高のお宝が消えてしまうという事が。だから、彼は止めたのかもしれない。門矢士が、自分自身を殺しに行くことを。

 だからこそ、こうして戦いに介入した。

 だが、それで彼が手にいれた物は何だ。優越感か、それとも独占欲か。はたまた―――。

 その日、門矢士最後の仲間である海東大樹もまた死亡した。

 だが、それでもまだ戦いは終わらない。

 オーマジオウは戦いの傷を癒すために退いたに過ぎないのだ。

 これからが、本当の、最後の戦いになる。それを痛感しながら、常磐ソウゴは死亡した海東大樹の姿をその目に残しながら、また世界を移動した。

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