仮面ライダーディケイド エクストラ   作:牢吏川波実

43 / 265
気が向いたら、設定集とか裏話とかを書こうと思います。


SAOの世界後編
SAOの世界2-1


―これまでの仮面ライダーディケイドエクストラは―

「ソードアート・オンライン?」

「ゲームを終了させることができなくなったんです」

「君は、士との旅で一体何を学んだんだい?」

「リアルの名前を出すのはマナー違反なんでしょ?」

「いつかお前の…名前を取り戻す」

「確かに、私は茅場昌彦だ」

「ここは…正真正銘本物の渋谷だ…」

 

 

 いくつかの走る音がする。75層ボス戦に参加したメンバーの麻痺がようやく解けたため、いくらかのプレイやーはキリトたちの事を追っているのだ。もちろんクライン、エギルの二人もいる。

 

「キリトの奴、茅場に追いついちまったか!?」

「分からん、だが、今のままもう一度戦っても勝ち目はないだろう」

 

 エギルの目に見えても分かった。例え二刀流があっても、例えキリトがどれだけ速くとも、このゲームの開発者であるヒースクリフには遠く及ばないだろうということが。技の技量だけではない。心理戦もだ。ヒースクリフのあの挑発的発言、それによってキリトの心は大きく揺さぶられた。さらに、どれだけ斬ろうとしても一向に通らない剣、と言うのに、自分に対しての攻撃は通ってしまう。そういった苛立ちによって、彼は感情的になりソードスキルを出してしまった。心身的に見ても、まだ幼いキリトでは、ましてや最後の攻撃で剣が折れてしまったキリトでは、戦っても勝つことなどできるわけないだろう。

 

「クソ!早まるんじゃねぇぞキリト!!」

 

 クライン、エギルの二人は階段を駆け上がった先にある扉へと突入していく。それに続いて何人ものプレイヤーが扉の中へと入っていった。眩い光が彼らを襲い、一瞬だけ目が眩んだ。その後、光に目が慣れた彼らの目の前にあったのは…。

 

「なっ!?」

「おい、ここって…」

 

 この街並み、覚えがある。渋谷である。それを見た彼らは少し懐かしんだが、しかし続いて疑問に思う。どうして自分たちは渋谷にいるのだろうか。それにビルの色合いもなんだかおかしい。渋谷を再現したステージなのだろうか。だが、そんな簡単なことでいいというのだろうか。なんだか、とんでもない事実を目の当たりにしている気がする。その時、あるプレイヤーが気が付いた。

 

「おい、あのビルの上にあるのは!」

「え…なっ!?」

 

 なんてことだろう、違和感の塊ではないか。109と書かれた正式名称があったかどうかも忘れたあのビルの上にあるのは、自分たちが今いるはずであるアインクラッドそのものではないか。いや、それがそこにあるというのなら、自分たちは…。

 

「アインクラッド…それじゃ、俺たちはどこに…」

「クライン!」

「ッ!キリト!」

 

 そこに、右手に剣を持ったキリトが現れた。なにか焦っているようである。

 

「お前…」

「話は後だ!来るぞ!」

「く、来るって何が…」

「決まってるだろ!…ッ!」

 

 その時、現れたエフェクトは自分たちも見慣れたものだ。

 

「なっ…モンスター!」

「しかも、こいつは第1層のボスじゃねぇか…」

 

 エギルの言う通り、そこに現れたのは斧を持ったブタのような怪物は、第1層のボスだったイルファング・ザ・コボルド・ロードだった。おまけにその周辺には取り巻きのルイン・コボルド・センチネルが3体出現。第1層ボス戦の様相とまったく同じであった。

 

「どういうことだよ…」

 

 それは、二つの意味であった。クラインは参加していなかったため、第1層のボスを見たことはなかったが、言伝でそのモンスターの特徴は知っていた。まるっきりそのままだ。しかし、今までのボスであったモンスターが通常モンスターのように出現する等と言うことはこの2年間で初めてである。もう一つ、転移門をくぐったということは、そこはその層の主街区であるはず。SAOでは、モンスターが出現する「フィールド」と、出現しない「都市または町」の二種類に分けられている。モンスターが出現しない「都市または町」というのは、『アンチクリミナルコード有効圏内』通称『圏内』と言われており、モンスターの出現する『フィールド』は『圏外』と言われている。そのため、主街区であるこの場所でモンスターがポップするなどあり得ないはずだ。この二つを解決するものは一つしかない。76層から、かつてのボスモンスターが現れるようになった。圏内というものが無くなったという設定ができたとしか考えられない。だが、現実は彼らの想像を凌駕していたとしか言いようがないのだがそれは当然であろう。

 

「グオォォォォォォ!!!!」

 

 その時、赤い光の弾がモンスターを襲った。

 

「今のは…」

 

 あれは、先ほど75層ボス戦の時に見た…。

 

「戸惑っている暇はないぜ」

 

 ディケイドだ。

 

「お前…」

「お前ら、戦うなら早くしろ、いたるところにモンスターが現れて、俺たち4人だけじゃ手が足りない…ハァ!」

 

 そして、行き掛けの駄賃のようにセンチネルを一体倒して、別の場所へと向かって行った。

 

「くそ…誰も説明できないっていうのかよ!クソ野郎がぁぁぁ!!!!!」

 

 クラインに続いて、ギルド風林火山のメンバー、エギル、そしてほかのプレイヤーたちが続いていく。理不尽な戦いは、多くの無関係な人々にも危険を及ぼしていた。

 

 あの旅の目的は何だったのだろう。今思い出しても、よくわからない。あの時出会った人々、あの時素通りしたいくつもの街並み。それを思い出そうとしても、全ては手の届かない記憶の奥底。だから、夢を見たい。夢の中だけで、彼らと出会うことができるのだから。あぁ、やっぱりいい夢だ。楽しかった思い出が続々と目の前に現れる。ずっとここにいたい。だけど、もうやめよう。目覚めるときだ。目覚めないといけない。旅はこれからも続いていくのだから。こんな場所にいつまでいてはいけない。ここは自分が生きていく場所ではないのだから。どんな理不尽な現実にだって、つまらない人生だって、そこが俺たちの故郷だ。目を背けても、見ないようにしても、聴かないようにしたって、そこが現実であることには変わらないのだから。こんなところで立ち止まっていても何も得ることはない。なぜなら、すでに得たものばかりだからだ。だから、今こそ帰るとき。それは、いつだって知っている。楽しいばかりじゃない、辛いことがたくさんあるからこそ、クリアした時充実感を得ることができる。だから、こんな楽しいことばかりの夢なんて、破壊してやる。お前の思い通りになんてなってやるか。そこをどけ。これは、お前の(リアル)じゃない、俺の人生(デスゲーム)に、手を出すな。

ー世界の破壊者ディケイド、いくつもの世界を巡りその瞳は何を見るー




 第1話恒例謎ポエム。恒例にしていいのだろうか。ネタが続かなそう…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。