というか、今気が付いたが…ダークリパルサーをダークリバルサーって書いてた…。修正しときます。
もしも、彼以外の人間だったら、最後まで戦えただろうか。そんな言葉を聞いたことはあるか。そして、自分がその以外にあたる人間だったらどう思うか。答えは簡単だ、そんなことあるはずないと言ってやる。だが、それが事実だったらどうか。もしも、自分たった一人でグロンギを全て倒すことができただろうか。最後まで、グロンギを敵であると断じ、戦うことができたであろうか。グロンギは怪物、だが姉さんから聞いたことがある。グロンギには、人間態なるものが確認されたことがあるそうだ。姉さん…。八代刑事、別世界のクウガであれば、彼女のことも救えたんじゃないのだろうか。あのグロンギが、士が現れたことによって出現したイレギュラーであっとしても、彼であれば、救えたのではないだろうか。俺は、小野寺ユウスケはこの先も、クウガを名乗っていいのだろうか。
「…」
「ユウスケどうしたの。元気ないじゃん?」
そう言ってくるのは桜子である。ユウスケはその言葉に、そんなことはないよ、と作り笑顔で答える。だが、桜子からしてみれば、それは無理していると思われても仕方がない顔の動きであった。だが、それ以上追及しても申し訳ないため、そこで会話を中断させるためただ、そうとだけ返した。その時扉が開かれ、3人の少女が入ってくる。
「ただいま戻りました」
「う~さすがに正座30分はきつかった…」
「あ、足がしびれてうまく歩けないです…」
「おかえりいいんちょ、こってり絞ったて感じだね」
「えぇ、たまには怒らないといけませんから。では、私はシャワーをいただいてきますわ」
そして、あやかは一人風呂場へと向かって行った。そして、鳴滝姉妹もまた、ユウスケの表情の違いに気が付いた。
「どうしたですかユウスケ?」
「なんだか、元気がないような…」
部屋に入ってきたばかりの二人にも気づかれてしまった。これは、逆にその場にいる全員に気を使わせることになるのではないだろうか。そう考えて、ついに自分の心の内を言うことに決めた。それは、率直に、単刀直入に言葉に出た。
「俺は…仮面ライダー失格なのか?」
「え?」
さすがに、その場にいる4人は困惑する。いきなり何を言っているのか、と桜子は言った。ユウスケはそれに答えるように言う。
「俺は、自分の世界でクウガになって…何体かのグロンギと戦って、それで士に出会ったんだ」
「あぁ、そういえばそんなこと…」
彼女たちは、士達と事故的に旅に同行することに伴い、今まで士達がどのような旅をしてきたのかについて聞いていた。その過程で、ユウスケが自分の世界で仮面ライダーとして活動していたときのことを聞いていた。
「確か、士先生と一緒に世界を救ったんですよね?」
「そうだけれど…もしも士がいなかったら、って思ってさ…」
「え?」
「士がいなかったら、グロンギの死のゲームは止められなかった。あの究極の闇であるグロンギを倒せなかったかもしれない…」
「…でも、それって仮定の話でしょ?」
「別世界にもクウガはいたらしいんだ」
「え?」
「そいつだったら、姉さんは死ぬことなんてなかったかもしれない…もっと犠牲者は少なかったかもしれない…」
「…」
あの事件に置いて、あこがれの存在であった姉さんこと八代刑事は死んでしまった。そのほかにも、何百人もの人間がグロンギになって、死んでいった。
「俺以外のクウガだったら…あぁ、くそ…もう乗り越えたと思っていたのに…姉さんのことは、もう終わったことだって思ってたのに、なんで…」
そして、ユウスケは頭を抱えてしまった。自問自答の波に押しつぶされてしまったかのように、心は揺れ動き、そして歪んでいた。
「それじゃ、どうして今までユウスケはクウガをしてきたの?」
「そうです、そもそも何のために、仮面ライダーしてきたんです」
「今は、別世界のクウガがどうって言ってるけど、もともとユウスケには信念という物があったはずだよね?」
信念、俺がどうして仮面ライダーを続けてきたのか。それは、俺は。
「すべての世界…皆の笑顔を守りたかったからだ…」
「それじゃダメなんですか?」
ただ、それだけのために戦ってきた。といっても過言ではない。それは、行動指針としては正しい物。だが…。
「…ダメ、なのかもしれない…」
「え?」
「俺の世界に現れたグロンギは、周囲の人間をグロンギに変える能力を持っていたんだ」
「そんな…」
大雑把なことは聞かされていたが、まさかユウスケが戦ったグロンギがそんな危険な能力を持っていたなんて、麻帆良組は知らなかった。
「そして何百人もの人達がグロンギになって…俺、その人達を何のためらいもなく殴って、倒した…」
「それの…なにが悪いことなの?」
「そうです、そのグロンギを倒さなかったら、みんなの…笑顔は…」
彼女たちは、その言葉を言いながら気づいてしまった。ユウスケが何を言おうとしていたのかを。
「皆の中に…グロンギは入っていないのかな…」
「…」
「おれ、守るべき者だったはずの人間だったグロンギを、殺して…元は人間だった改造人間を倒して…おれは、それに何のためらいもなかった罪悪感もなかった」
「それは…」
「もしも、別世界の…『五代雄介』って人だったら、どうしてたんだろうな…」
「…」
それはもしも、それはIFなのかもしれない。だが、『彼でなかったら戦えていなかった』そこまで評される男であったならどう戦っていたのだろうか。もしかしたら、もしかしたら、もしかしたら。皆黙り込んでしまった。
「あの…」
「え?」
そのとき、一人の女の子の声が聞こえた。そういえば完全に忘れていた。この少女、シリカの存在を。
「クウガとか、別世界のだとかよくわからないんですけれど、どうしてそれでユウスケさんは悩むんですか?」
「どうして?」
「だって、ユウスケさんはちゃんと守ったんじゃないですか、みんなの笑顔…」
「でも、俺が倒した奴らだって…」
「それって…綺麗事って言うんですよね…」
「…」
綺麗事。正論を語ること。正論の後ろにある本質を見ようともしない事である。
「グロンギとか改造人間とか、分からないですけど、それが皆生きているってことは分かります。でも、私達だって生きているんです」
「…」
「ユウスケさんが、命を大事にする人と言うことは分かりました。でも…優先順位をつけるわけじゃありませんけれど、人の命を奪おうとする怪物を守るなんて、それは…ちょっと違う気がします…」
「守ってるわけじゃないさ…守ってるわけじゃ…」
守ってるわけじゃない。いや、自分の考えは、グロンギたちを守っていると思われても仕方がないのかもしれない。ただ、笑顔を守りたかっただけだ。誰の?何のために?答えが出ないのは分かっている。おそらく、士もそう考えているのだろう。だから必要なのは答えじゃない。覚悟だ。だから、覚悟を決めろと言われたのだ。だが、自分にはまだ決める事なんて、できやしない。綺麗事。勧善懲悪。そんなものを完全に信じられる猛者なんているわけない。
「ユウスケさん…」
「え?」
そう声をかけたのは、桜子だ。
「私達だって、五代雄介っていう人がどれだけすごい人だったのかは分からないよ…でもユウスケも十分すごいと思う」
「俺も…?」
「はい、最初にアインクラッドに来た時だって、リーファさんを守るために迷わず前に出たじゃないですか」
「でも…あれは…」
あれは、ただあの子が危険だと思ったから、思わず身体が動いてしまっただけ。そう言おうとしたが、遮られる。鳴滝姉妹だ。
「ユウスケは、私たちの世界でもいの一番にたくさんの敵に向かって行ってくれた…あれも後悔しているの?」
「…あれは、俺は…」
「ユウスケはユウスケですし、五代さんは五代さんです…きっとその五代さんって人も、グロンギまで助けるなんてこと、できなかったはずです」
「…」
そう言われると、そうかもしれない。たとえ、五代雄介がどれだけ神格化されていおうと、彼は彼、自分は自分なのだから。他人が他人になろうとしても、いづれボロが出て失敗してしまう。小野寺ユウスケと五代雄介、似て非なる存在だが、それは当たり前なのだ。どれだけ似ていようと、似ていなくても、どちらもクウガであっても、2人は2人なのだから。ユウスケは、それを理解する。だが、理解することと覚悟するということは違う。まだ、彼は迷うしかなかった。誰かが覚悟を持てと言ってもだめだ、覚悟は人からもらう物などではない。自分自身の手で、つかみ取らなければならないのだ。
「…すこし外で頭冷やしてくる…」
「ユウスケさん…」
なんだろう、外に出るときのユウスケの姿は、今までで一番弱弱しく見えてしまう。このまま終わってしまう男なのか。いや、そんなわけない。何故ならば、彼は仮面ライダーだからだ。ヒーローだからだ。だからなんだと言われても良い、それが真理だからだ。どれだけ心がズタボロにされようとも、どれだけ傷つき、批判され、お前はクウガじゃないと言われても、彼は仮面ライダークウガなのだから。
「…」
外に出たユウスケは、光写真館を隅から隅まで眺める。姿かたちは違えど、そこは光写真館。自分の帰るべき場所だ。ユウスケはそう思いながら、しかしそれは、まるで別れを惜しむかのような顔つきだった。
(俺の答え…それがでる時に帰るのは…ここじゃないかもしれない…)
名残惜しそうに、ユウスケはそこから去ろうとする。その時、少女の声が耳に聞こえた。
「あれ?おかしいな…確かにここのはずなんだけれど…あ」
「ん…?」
少女は、光写真館の看板と手に持った紙を交互に見つめながら頭を掻く。一瞬ボーイッシュなその容姿から男子と間違えそうになるが、しかし声は女の子である。少女は眼鏡をかけ、きれいな黒髪を短くまとめ、両側にある髪のみが肩口にかかるほどの長さであるが、それが束ねられており、どうしてそうしているのかは分からないが、逆にそれが少しファッショナブルに見える。そんな少女は、光写真館の前で立ち尽くしているユウスケに気が付いて声をかけてきた。
「あの、ここって確か雑貨屋さんだったはずなんですけれど…」
「え?…あぁそう言うことか…」
ユウスケはそれで察した。おそらく、この写真館が来る前は、ここは雑貨屋だったのだろう。光写真館がこの場所に転移してきてしまったために、重なって、元々あった雑貨屋が消えてしまったのである。
「今はちょっとこの場所を貸してもらっているだけなんだ、しばらくしたら元に戻ると思うからさ」
「ふ~ん…まぁ急ぎの用事じゃないし、こんな時に営業している店のほうが少ないかもね…」
「…だね」
こんな状況、関東地方の半分が不思議な結界で閉ざされてしまったことだ。さらにそれに伴う形でSAOのモンスターまでも出現。それらの対処のために警察が動き出したそうだ。
「ありがとう、私は他を当たってみる。それじゃ」
「うん、俺は小野寺ユウスケ」
何故、そこで自己紹介をしたのか、ユウスケは分からなかった。だが、彼女に自分の名前を教えたほうがいいと、直感がそう告げた。そう思った。少女も少し疑問に思ったが、名乗られたのであるから、自分も名乗り返さなければと思いその名前を言った。
「私は、朝田詩乃よ。今度こそ、じゃあね」
「うん」
そして、ファーストコンタクトが終了し、詩乃は去っていった。ユウスケは、取りあえず行く当てもないがバイクにまたがり、エンジンを入れた。そんな彼女の後をつける影を見逃したことを知らずに。
A案、未来からオーロラを使って連れてくる。→ご都合主義過ぎる。却下。
B案、ユウスケとぶつかって「大丈夫?」「えぇ、私は大丈夫…」→ギャルゲーかい。却下
C案、光写真館があった場所の店を尋ねて偶然出会う。→うん、これが一番自然。採用。
戯れ言
アストロボーイ鉄腕アトム観てて、仮面ライダー4号にあったbgmっぽいのが聞こえてきたときは一瞬驚いた。テンポとか違うはずなのに何でそう感じたんだろう…。
なお、活動報告2つは…見ても見なくてもいい、というか見ないで貰うのが一番です。