「フッ!ハァッ!!うりゃ!!」
クウガは、いつものように格闘によってワームと戦う。あるワームには腹部に何度もパンチを入れた後顔にフックを入れて吹き飛ばし、またあるワームには右回し蹴りをくらわして上手く立ち回っていた。
一方その後ろにいるアニエスもまた、訓練の中で身に付けた格闘術を使いアンリエッタを守り、そしてアンリエッタは魔法でアニエスの事を援護する。しかし、それにも限界があった。ワームの攻撃の一つがアニエスに直撃し、うずくまる。
「クッ!」
「アニエス!」
「大丈夫です陛下、肩を少しかすめただけです」
そう言うと、アニエスは再び立ち上がる。だが、やはり剣がないと厳しいのだろうか。昨日のヴァリエール邸でのワームとの戦いの際、折られてしまった愛用の剣。いや、もしあれがあったとしても、ワームのその身は硬い。ちょっとやそっとの剣ではその身体に傷をつけることも不可能であろう。単発式の銃では守り切れるわけない。あと残っている武器は昨日の……。その時だ。赤い仮面ライダーが自分も目の前に現れる。
「おい、これを使え!」
「え?」
赤い仮面ライダードライブが渡してきたのは、おそらく剣であろう。だが、見たことのないような装飾がなされている。この鍔の所にある丸いものは何だろう。盾なのだろうか。いや、それにしても奇妙な形だ。中心から放射線状に伸びる三本の棒はあるが、それらの間はすっかりと抜けている。そこから剣で刺し貫かれた暁には、命なんて簡単に奪われてしまう。それにもう一つ危惧するべきことがあった。アンリエッタがアニエスの代わりに言う。
「しかし、それではあなたが……」
「大丈夫。ハンドル剣がなくても、これがあるからな。来い、ドア銃!」
「え?」
その声とともに、どこからか赤い物が飛んでくる。彼の言葉から察するにどうやら銃らしい。だが、あのような形の銃、見たこともない。やはり異世界という物は不思議なものだと彼女は思った。銃を構えると彼は言う。
「行くぜ!ベルトさん!」
『OK、進ノ介!』
そして、左腕に付けている物を三回折り曲げたり、元に戻す。そのたびに光りを放ち、そしてベルトさんという者が言う。
『SPEーSPEーSPEED!!』
瞬間、赤い残像を残して彼の動きが速くなり、そしてワームの目の前で残像が通り過ぎるたびにワームの身体に火花が散る。
「すごい……」
「私も……負けていられないなっ!」
アニエスは、ハンドル剣を握りなおすと、ワームの集団へと向かっていく。それにしても、ハンドルとは何なのだろうか。この剣の名称であるということ、そして異世界の剣だということは分かる。だから、このハンドルというのはかなり高名な名前なのかもしれない。あの仮面ライダーが持つ剣なのだから、そうに違いない。そう考えながら彼女はワームに向かう。
だが彼女は知らない、ハンドルとは自動車を運転する際に使う道具で、なんら高名な名前でもないということを。彼女は知らない、元々名前のなかったその剣に名前を付けたのはドライブの変身者泊進ノ介であるということを。彼女は知らない、泊進ノ介が壊滅的にネーミングセンスがないということを。そもそも、ドア銃の時点でおかしかったのだが、それに一切気が付かず彼女はその剣を使う。だが、取りあえず異世界の言葉にこんな言葉があるのは知ってもらいたい。『知らぬが仏』という言葉を。
「ハッ!ハァッ!!」
「フッ!ハァァ!!」
湖の近く、そこではキュアハートと仮面ライダーブレイド、そしてシャルロットとシルフィードの四人が戦っていた。キュアハートはクロックアップするワームを相手に対等に戦いっていた。マッハのカードを使ってほぼ等速に近い速さで戦うブレイドはともかく、動きを速める手段を持たないのに、いったいどうやっているのだろうか。答えは簡単、気配を察知し、そしてワームの行く先々に先回りして攻撃しているのだ。流石の彼女であっても最初は苦戦した。だが、目をつぶり、心を休め、耳を研ぎ澄まし、彼らワームの動きを察知する。最初はそれが出来ず攻撃を受けてばかりであったが、次第に上手く気配を探れるようになり、そして今は目を開けてでもクロックアップしたワームの攻撃を避け、そしてダメージを与えられるようになった。
「はぁぁッ!!!」
そして、最後のワームを彼方へと吹き飛ばした。これで、ハートとブレイドの周りのワームは全て倒した。
「ハート……」
「!」
いや、まだ一体だけ残っていた。シャルロットの言葉に振り返った先には、カトレアが擬態したワーム。キカークィルスワームがいた。
「カトレアさん……」
「違う。私はワーム。本物のカトレアはすぐそこにいるわ」
「……」
シャルロットは、その言葉になんだかデジャヴを感じた。今はもう違うが、自分が人形として、母にとっては暗殺者と思われていた。その時の自分と、先ほどまでの自分と似ている。ただ、彼女が違うのは、実際に彼女が偽物であるということ。ハートは言う。
「ううん、あなたは、確かにカトレアさんだよ。だって、カトレアさんの記憶や、思いも全部持っている。だからあなたは、ルイズちゃんの事を助けようとしてくれていたんだよね」
「……」
そう。事あるごとに彼女はルイズの事を助けようとしていた。ルイズを殺そうとしたときも、エレオノールに擬態したワームにいじめられていたときも、そして彼女をショッカーに誘う様に提案したのも彼女。それは、カトレアの記憶や性格も全てコピーしたからだ。だから、本音を言うと彼女はもう戦いたくなかった。だが、それはできない。なぜなら、彼女は怪物だから。
「だから……」
「それは、だめ……私は、ワーム。だから、あなたたちと戦わないと……」
「いや。私達は、貴方と戦いたくない……」
「どうして?」
「戦う必要なんてないのに、戦うなんてダメだよ」
「……」
ハートもまた、できれば戦いたくなかった。カトレアの気持ちを考えたら戦えない。そして、そう思うのはもう一人いた。
「怪物であったとしても、生きる道はあるはずだ」
ブレイドだ。
「俺もまだ運命と戦っている。今までも、これからも……俺なんかにできたことなんだから、君にもできるはずだ」
「ブレイド……」
「うん……例え怪物だったとしても、思いと心を持っているんだったら、それは間違いなく人間と変わらないはずだよ」
カトレアは知っている。ブレイドは、アンデットという怪物を封印する仮面ライダー。そして、それは生存競争。アンデットが勝つか、仮面ライダーが勝つか。それは、全てのアンデットを封印するまで続いた。そして最終的に、たった一体を残してすべてのアンデットを仮面ライダーたちは封印した。最後の一人となったことでブレイドの世界が崩壊し始めた。世界を救うには、最後のアンデットを封印するしかない。だが、最後の一体は、一緒に戦い続けてきた同じ仮面ライダーだった。仲間も救いたい、しかし世界も救わなければならない。そんなブレイドの選んだ道は、自らもアンデットとなることによって世界も、仲間も救うという道だった。だが、結果として彼の救った仮面ライダーも含めて一緒に戦い続けてきた数多くの仲間とも別れることとなった。今でも、彼は闘争本能と戦い、運命と戦い続けている。経緯も、順序も違うがしかし、彼もまたワームと同じ、怪人の姿と人間の姿の両方を持っているのだ。
ブレイドの言葉は、少なからず彼女に影響を与えていた。ルイズと一緒に生きる道、もう一人のカトレアとして、ルイズの成長を見守るという道。それもまたいいかもしれない。
「そんなの綺麗事ね」
「ッ……」
その時、森の中からもう一人のワームが現れる。エレオノールに擬態したグロリアンクトゥスワームだ。
「所詮私達はワーム。それが暴かれた今、人間の世界で生きるなんて不可能よ」
「……」
「そんなことない!あなたもエレオノールさんだったんなら分かるでしょ……」
「貴方に教えてあげるわ。綺麗事で終わらないこともあるってね」
そう言うと、エレオノールはワームに変化する。そして、カトレアはその隙にワームに変化すると、クロックアップして森の中に消えてしまった。ハートは、身構えると言う。
「綺麗事でもいい。それでも、それを現実にすることのできる可能性を持っているのが人間なんだから!」
彼女は行く。綺麗事を綺麗事で終わらせないために。
「デアッ!フッ!!」
≪KUUGA AGITO RYUKI φs BLADE HIBIKI KABUTO DEN-O KIVA W OOO FOURZE WIZARD GAIM DRIVE GHOST FINALKAMENRIDE DECADE≫
そして、サイトとルイズ、そしてコンプリートフォームになったディケイドの三人は、リオックワームと戦っていた。サイトが、デルフを上手く扱い、ガンダールヴの力も利用しながら立ち回っていた。大ぶりはだめだ。できるだけ小回りに、隙を与えることなく、相手にクロックアップをなるべくさせないように攻撃していくようにサイトはディケイドから言われている。その時、ディケイドが合流する。
「ハァッ!はぁ!!」
「フン!一度戦い実力差ははっきりと分かったはずだ。何故まだ戦おうとする!」
「分からないか!」
「なに!?」
それに答えるのはサイトだ。
「一度負けてもまた立ち上がる。それがヒーローってもんだろ!!」
「あぁ、そう言うことだ」
サイトにとって仮面ライダーは、自分が昔からあこがれていたヒーロー像その物だった。だからこそ、こうしてそのヒーローの隣で戦うのはまさに夢のような出来事なのである。
「サイト、士!下がって!!」
「あぁ!」
「はぁ!」
「エクスプロージョン!!」
「グオォ!!」
士とサイトが下がり、ルイズが呪文を唱えた瞬間、リオックワームに巨大な炎の爆発が襲い掛かる。これが、ルイズの虚無の魔法。その中でも文字通り大きな爆発力を誇る最大の魔法、『エクスプロージョン』だ。普通の敵であればこれ一つで簡単に消し炭に帰ることができる。
「やったの!」
「いや……」
普通の敵であればの話だ。
「フフフ……」
「無傷!?」
正確に言えば、その大きな腕で盾を作り、ルイズの魔法を軽減していたのだ。攻撃にも使えるその腕は、合わされば堅硬な盾となりどんな攻撃も受け付けないのだ。
「さて、どうする?」
「……やるしかねぇか」
「策があるのか?」
「あぁ……ルイズ!リーヴスラシルの力を使うぞ!」
「え!?でもサイト、リーヴスラシルは……」
リーヴスラシルは、サイトがティファニアとの使い魔の契約をした際に手に入れたもう一つの虚無の使い魔の力だ。ガンダールヴが使い魔自身の力を増幅させるものと言えるのに対して、リーヴスラシルの力は虚無の使い手自身の力を増幅させるものだ。これは、ティファニアもそうだが、契約の主が違うルイズ相手であっても効果がある。そのため、ルイズのエクスプロージョン等の魔法も増幅されるのだ。しかし、これにはデメリットがある。魔力を増幅するには、リーブスラシル、つまりサイトの魂を消費する。そして、その消費があまりにも大きい場合、サイトが死ぬ恐れがある。そのため使用する際は常に命の危険が生じる。以前エンシェントドラゴンが到来した際には、自身の命が危険にさらされるというのに、サイトを殺したくないために彼女が地球に送り返したこともある。だが、それでも彼は帰ってきた。なぜならそこに彼女が、ルイズがいたからだ。
「言ったろ!俺は、死なないってな!」
「サイト……」
「死ぬ可能性があるのか?」
「あぁ、リーヴスラシルは強力な力を使える代わりに、使い魔の魂を削る。もしかしたら相棒は……」
そうデルフが言った。しかし、サイトは決意を込めて言う。その時の彼の顔は、勇ましく思えた。
「けど、それでも俺は、あいつを守らなくちゃならないんだ」
「ゼロの使い魔だから……か」
「いや、一人の男としてだ!!」
「そうか……なら、お前も仮面ライダーだ」
「俺も?」
「あぁ、死ぬと知っていたとしても、人間の自由のため……愛する人のために戦うことができる奴。それが仮面ライダーだ」
「……そうか、なら仮面ライダーとしてやるべきことは分かり切っている!!」
サイトは叫ぶ。ルイズに、己の思いのたけを叫ぶ。
「ルイズ!もう一度約束する!俺は、絶対に死なない!!お前を……幸せにしないといけないから!!」
「サイト……」
ルイズは、目をつぶった。そして決意を込めた眼差しで目を開け、言う。
「分かった……やるわよ!サイト!!」
「あぁ!!」
「……エオルー・スーヌ・フィル」
ルイズは、目を閉じて呪文を唱え始める。
「始まったぜ!虚無の詠唱は時間がかかる!時間を稼げディケイド!!」
「なるほど、それが……」
「あぁ……俺たちガンダールヴの役割だ!!」
「大体わかった……はぁ!」
ガンダールヴは盾。それも、最強の攻撃する盾だ。彼らは進む。一人はガンダールヴ、一人はガンダールヴ代理、そして二人は、仮面ライダーとして。
ところでキュアハートにそんな能力があるのかって思う人がいるかもしれませんが。多分あの子ならできると思います。