東方ウィザード×スマブラⅩ 大乱闘!仮面幻想郷R【凍結中】 作:放仮ごdz
そんな愚痴は置いといて。今回は妖夢とメタナイトオンリー回。前回のリンクみたく最凶妖怪を最凶に書いてみたらこうなった回。何気にエインシャントさんも登場です。お楽しみください。
とある荒野
白玉楼を後にした妖夢とメタナイトは、冥界の入り口から降りたそこに広がる荒野を移動していた。…以前は森が広がっているはずだったのだが、そこはまあいい。些細な問題だ。問題は…
「内藤さん?」
「なんだ?妖夢殿」
「本当にこっちをハルバードが飛んで行ったのを見たんですよね?」
「うむ。だから我々はここにいる」
「じゃあなんで私達はこの人と戦うことになっているんですか?」
「妖夢殿のせいではないか!?」
妖夢は剣を交えながらメタナイトに尋ねてその問題に向き合う。今二人は、青い髪で優しそうな顔つきの青年「マルス」と戦っていた。彼がプリムと交戦中、割り込んだ際に間違えて剣を向けてしまい、こうして戦闘になっていた。妖夢の信条、「斬れば分かる」が裏目に出た訳である。
「はあっ!」
「はっ!」
彼の剣…神剣ファルシオンと妖夢の楼観剣がぶつかり、火花を散らす。二刀流に対して剣一本で互角以上に渡り合う彼の技量には感服する、特に突きが侮れず、妖夢は防戦一方に立たされていた。何故って自慢の速さ重視の斬撃が、事ごとくカウンターで斬り返されてしまうのだ。
「カウンターで返せぬ程の剣技で勝負です!剣技…!」
「潔いね、勝負に乗ろうかな!」
妖夢は二刀を背中と腰の鞘にしまい、まるで居合でもするかの様な構えを取ると目を閉じて精神統一。ギャラクシアで急降下斬りを仕掛けたメタナイトを斬り弾いたマルスはそれを見ると、まるで投げ槍の様にファルシオンを構えた。それは彼の得意技、「シールドブレイカー」という高威力の突きである必殺技の構え。
「いざ尋常に…参る!」
「シールドブレイカー…!」
そして、何処からともなく桜の花弁が風に吹かれて妖夢とマルスの周囲を舞い、目を開いた妖夢はそれを合図に一声叫ぶと姿を消す。しかしマルスはその速さを見切っていたのか迷いもせずにファルシオンで突き一閃。
「【
そして、一瞬でその目の前に移動した妖夢。桜の花が舞い散り、桜の花弁もろとも斬る様に二刀を同時に抜刀し振り上げた。
「この剣に…斬れぬものなど、あまりない!メタナイトさん!」
「チェストオオオオオオオオオオ!」
ガキンッと言う擬音と共に、妖夢はマルスの手に握られたファルシオンを交差した二刀で受け止めて上に打ち上げた。その隙を突いて妖夢が叫ぶと妖夢の背後にいて姿を隠していたメタナイトが割り込み、咄嗟に合気道の様な構えで妖夢の手を掴もうとしたマルスの首元にギャラクシアを突きつけた。
「…我々の勝ちだ。二対一だと罵る訳ではあるまい?」
「降参していただけませんか?」
「ああ、参った。君達はどうやら敵じゃないらしいしね」
マルスは手を上げ、柔らかな笑みを浮かべる。話を聞くと、マルスはある世界の王子で、この世界に呼ばれるとここに出て、ちょうど上空を通ったハルバードが落とした影虫が変化したプリム軍団に襲われたようだ。
「ところで何故私たちまで?」
「いや、アレ僕じゃなくても敵だと思うよ。そこのボール君もそう思うだろ?」
「確かに。あ、私にはメタナイトとい名前がある」
マルスの言葉にメタナイトはぷんぷん怒る。どうやらこの幻想郷に来てから誰も真面に名前を読んで呉れないばかりか、初対面の奴にもボール呼ばわりされるのは我慢ならないらしい。どう見ても仮面とマントを付けたボールにしか見えないのは自分も自覚しているが。何故か素顔もカービィに似ていたりするが、それは知らない。宇宙最強の剣士であり自身の最大の敵だったギャラクティックナイトも似た様な容姿だったから割り切っていたのだが、こうも言われればさすがに怒る。
それに気付いているのか居ないのか、笑みを浮かべていた妖夢がその時何かに気付き、一度しまった二刀を再び抜いて構え、それに気付いたメタナイトとマルスも愛剣を構える。
「あの…内藤さん、マルスさん。さっきから何か聞こえませんか?」
「…内藤って誰の事だい?」
「不本意ながら私だ。…だが、確かに何か聞こえるな」
一般人なら聞こえないであろう、その喧騒。二人も耳を澄ませると、確かに剣と何かがぶつかる音が聞こえた。また剣士か、とちょっとワクワクする妖夢は戦闘狂でも入っているのだろうか。
「誰かが戦っている?」
「でもこの気配は…」
しかしそれもつかの間、感じたその悪寒に妖夢は身震いする。その気配に身に覚えがあるのだ。それはメタナイト達も感じていた。間違いなく、戦ってはいけない気配。メタナイトで例えるならばつい最近戦ったマホロアソウルである。そう、狂気溢れる気配だ。
「なんだ?この行ってはいけない様な威圧感は」
「確かに。行ったら人生が終わるような気がするね」
「知り合いでこんな気配を持つ者は一人…まさか…とは思いますが…?」
若干震えだした妖夢は最悪の事態を想像し、一度逃げようと考えるが戦っている相手の事を思い出し、覚悟を決めてメタナイトとマルスに告げた。
「行きますよ!」
「心得た!」
「ああ!」
三人は持ち前のスピードで荒野を駆け、急いでその方向に向かう。するとそこにはマルスよりも濃い青色のツンツンした髪に巻いた緑の鉢巻き、赤いマントを羽織った緘黙そうな雰囲気を持つ青年「アイク」が、たった一人の女性に痛めつけられている光景があった。
長い緑色の髪を肩まで伸ばし、赤いチェックのシャツとスカートを着た、白い日傘と赤い瞳の映えるその幻想的な美しさを持つ女性の名は【四季のフラワーマスター】風見幽香。幻想郷でもトップクラスの実力を持つ最凶妖怪として、そして戦闘狂のドSとして恐れられている存在だ。
「まったく。威勢よくかかってきたと思ったらここまで弱いとはね」
「ぐあっ…」
幽香はそこまで言うと妖夢たちの存在に気付き、アイクの頭部を掴んだまま心底愉しそうに笑う。
「あら、半人半霊じゃない。こんなところに何の用かしら?」
「風見幽香…やはり貴女でしたか。貴女こそ何故ここに?」
「ああ、新しい土地を見付けたからね。花を植えられないかなーって。まあ結果は不毛の土地っぽいのだけど」
「妖夢殿。この女性は?」
友人と話すように笑う幽香に、対し警戒を隠そうともしない妖夢。事情を把握できないメタナイトが尋ねると、妖夢は警戒したまま答えた。
「彼女の名は風見幽香。この幻想郷の住人ではありますが、できれば一番敵に回したくない人物です。幽々子様以上に。…それで、貴女は今何をしていたんですか?」
「あら、この筋肉剣士が戦いを挑んできたからありがたく戦いを楽しんでいただけど。聞くまでも無いんじゃない?」
「「なっ?」」
「こういう人なんですよ。はあ…やるしかないですね」
妖夢の質問に嬉しそうに答える幽香にメタナイトとマルスは先程の台詞とのギャップに驚き、妖夢はため息をついて二刀を構え直す。すると幽香は口が裂ける勢いでにぃっと笑うとアイクを投げ捨て、閉じた日傘片手に突進、三人に急接近してきた。
「貴方たち、強いんでしょ?聞こえてたわよそっちの喧騒…」
「…耳、いいですね」
「だったら私を楽しませなさい!」
「「!?」」
「くっ!」
幽香の問いに妖夢が話題を変えようと試みるが、もはや幽香の頭の中は戦い一色に染まっている様で三人の目の前に知覚できない速度で詰め寄ると傘を振り上げ、妖夢は二刀を交差して受け止めようとするがあっさり弾かれ地面を叩き割り、たまらず三人は宙に逃れる。
「あれ、ほんとに傘か!?」
「もうただの鈍器だよね!?」
「ええ、私専用の鉛の棒を芯にした日傘よ。いいでしょ?」
「二人とも、やむをえません。戦いますよ。ただし勝つためではなく生きるためにです!仮面符【
≪Turn Up≫
妖夢はライダー少女ブレイドに変身、ブレイラウザーのカードケースから本来はブレイドの物ではないラウズカード、♦9「ジェミニゼブラ」をラウズする。
≪ジェミニ≫
すると妖夢は二人に分身、メタナイトとマルスがそれに驚いている間に幽香を狙い、両側面からブレイラウザー片手に襲い掛かるが
「あら、分身出来るのね。私もよ」
幽香も二人に分身してそれぞれ横にした日傘でブレイラウザーを受け止め、弾き返すと一人に戻り不敵に笑う。その視線の先には、メタナイトとマルスがいた。
「せい!マッハトルネイド!」
「はあっ、マーベラスコンビネーション!」
メタナイトは回転して突撃、マルスは怒涛の斬撃を連続で叩き込むが、メタナイトの突撃は広げた傘で防御されて空中に押し飛ばされ、マルスの斬撃は閉じた日傘をバットの様に横薙ぎに振るって腹部を打撃、「カキーン」と口で言って振り抜いて吹き飛ばした。
「がはっ!?」
「妖夢殿、マルス殿…おのれ!ディメンジョンマント!」
比較的無事にすんでいたメタナイトはマントで自分を隠して姿を消し、幽香の背後から奇襲。しかし幽香は振るわれたギャラクシアを振り返り様に日傘で弾き、オーバーヘッドキック。メタナイトはボールの様に蹴り飛ばされ、マルスの傍に転がる。何とか立ち上がる妖夢二人。しかし、最凶は容赦など知らない。
「「もう終わり?ならこちらから行くわよ!」」
再び分身した二人の幽香は手を繋ぎ、閉じた傘の先端でこちらを狙う。それだけで妖夢二人は何なのか気付き、二人で同じカードは共有できないので♥8「リフレクトモス」を片方が、♠7「メタルトリロバイト」♦7「ロックトータス」♠2「スラッシュリザード」をもう片方が連続でラウズしてコンボを発動。
≪リフレクト≫
「これで防いで…」
≪メタル・ロック・スラッシュ≫≪ディフェン・スラッシュ≫
「これで弾く!三刀流【剣蕾の型】!」
片方の妖夢は地面にブレイラウザーを突き刺して光の壁を形成、もう片方の妖夢は三刀流の構えを取り刀ごと肉体を鋼鉄&岩石化させて最大限の防御力を高めて受け止める体制でメタナイトとマルスを守る様に並び立ち、幽香は不敵に笑い傘の先端を輝かせた。
「「相手にとって不足なし!花符【マスタースパーク】」」
そして傘の先端から虹色の光線が発射され、妖夢達を飲み込み射線上にある荒野一帯を焦土と化す。これぞ元祖マスパ、魔理沙の技であるマスタースパークの元祖とも言える暴力と言う概念の根源である。
「くぅうううううっ!?」
「耐えてください、私!」
「妖夢殿!…マルス殿、どうにかならないのか!?」
「…これは?…喰らえ、必殺の…!」
何とか持ちこたえる妖夢二人であったが今にも防御の構えは崩れそうで、メタナイトは三刀流の方の妖夢を持ち応えさせようと飛んで背中を押すが何にもならない。すると一人、どうすればいいか考えていたマルスは砕けた荒野から飛び出して来たそれに気付き、咄嗟に握り潰すと七色の光に包まれる。そのまま妖夢と妖夢の間から飛び出してマスタースパークを突き破って幽香二人に急接近、強烈な斬撃…彼の「最後の切りふだ」、文字通りの「必殺の一撃」を叩き込んだ。
「一撃!」
「っ!?」
「甘いわ…よ!」
強烈な斬撃に、幽香の分身は斬り飛ばされて消滅。しかし本物の幽香は必殺の一撃を屈んで回避してマスタースパークを解除するとマルスの頭部を掴んでそのまま地面に叩き付けた。
「貴方達の利き腕はちゃんと見ているわ。先に攻撃が当たる方に分身を置いとくのは当然でしょ?」
「…かはっ」
「何だ…あの、化物は…」
マルスは気絶、メタナイトはその化物っぷりに恐れを感じ、無意識に後退してしまう。
「よくも…マルスさんを…」
「つい先程出会ったばかりですが…それでも他人じゃない、許しません!」
「せめて一矢報いるだけでも…!」
「覚悟しなさい、風見幽香ァ!」
マルスが倒されたことに激高した妖夢二人は、それぞれサンダーディアーラウズし合い、片方はキックローカストを、もう片方はスラッシュリザードを続けてラウズ。キックローカストをラウズした方はブレイラウザーを再度地面に突き刺し、跳躍。スラッシュリザードをラウズした方は蒼雷をブレイラウザーに集束して斬り付けるべく突進した。
≪キック・サンダー≫≪ライトニング・ブラスト!≫
「蹴符【ライトニングブラスト】!」
≪スラッシュ・サンダー≫≪ライトニング・スラッシュ!≫
「斬符【ライトニングスラッシュ】!」
そして、蒼雷を纏ったブレイラウザーで日傘を弾いて耐性が崩れた所に蒼き雷を纏った飛び蹴りが炸裂。続けざまにブレイラウザーによる袈裟斬りが叩き込まれ、幽香は何とか左腕を盾に蹴りだけでも耐えようとする。
「「ウェイヤアアアアアアアアアアアアアアア!!」」
「むっ!」
しかし力負けして、幽香は吹き飛ばされ近くにあった石柱に激突して罅を入れ、左腕が折れたのかだらんと垂らし、胸元に斜めに焦げた切り傷を付けた姿で一人に戻った妖夢を睨みつけた。
「あ~痛いわね。それが貴方のライダーの力かしら?カードの組み合わせで力を発揮するみたいだけど…この程度で勝てると思って?」
傷を受けて尚、余裕の幽香に対し妖夢は困惑の表情を浮かべる。
「その傷でそんなに余裕を保てるなんて…普通は激昂するはずでは?」
「お生憎。この傷で平常心を失った隙を突いて逃げようって企んだろうけど…貴方、私を嘗めてない?もしそうなら私も少し本気を出そうかしら?」
狂気を含んだ満面の笑みを浮かべる幽香に、妖夢がたじろぐと同時に草木一つなかった荒野にいきなり様々な花が揃った花畑が咲き乱れ始めた。いきなり現れた花畑に妖夢とメタナイトは狼狽え、マルスとアイクはそのまま花畑に倒れ伏していた。
「これが私の持つ「花を操る程度の能力」よ」
「…不味い」
「それがどうしたというのだ。花では武器にも…」
メタナイトがそうぼやくと、ズシャ!と言う擬音と共にいきなり目の前に茨のツタが伸び、それは90度垂直に曲がってメタナイトに襲いかかる。
「綺麗な花には、棘があるってね」
「ぬおっ!?」
「内藤さん!」
≪マッハ≫
咄嗟にマッハジャガーをラウズした妖夢が高速でメタナイトの前に移動、
≪メタル≫
さらに取り出したメタルトリロバイトをラウズし、鋼鉄化した自らの体で受け止めた。
「へえ…咄嗟の判断にしてはやるわね」
「妖夢殿!?」
「私は生きていますよ、安心してください内藤さん」
幽香は賞賛する様にほくそ笑み、メタナイトが驚いていると妖夢は苦しそうに呻いた。
「メタルを発動していなければアウトでした」
「ならもう一度喰らってみる?」
妖夢がぼやくと幽香は愉しそうに笑って蔦を地面に戻すと、妖夢とメタナイトの四方八方から新たに蔦が出現して襲いかかった。
≪マグネット≫
「遠慮します」
咄嗟に♠8「マグネットバッファロー」をラウズしてその攻撃を反発させて弾き返す妖夢。
「さっきの攻撃が効かないなら・・・」
≪ビート≫
「威力を上げるまで」
そのまま幽香に♠3「ビートライオン」をラウズして腕力が上がった拳を叩き込み、幽香は余裕の笑みを浮かべ自身の目の前に蔦の壁を出現させて防御するが、強化した拳の一撃で粉砕されてしまいさすがに驚愕する。
「あらら、単純な強化能力にしても怖いわね。…お返しにたっぷり虐めて上げるわ。花符【幻想郷の開花】」
空に逃れた幽香の周りから向日葵を形作るように緑と黄色の弾幕が放たれ、地面からは様々な植物の蔦が伸び妖夢達に襲い掛かった。弾幕と蔦、ついでに言えば花弁の嵐に妖夢は二刀を構え、メタナイトに告げた。
「内と…いえ、メタナイトさん。マルスさんとあの筋肉の方を連れて下がっていてください。これは私が全部斬り伏せます」
「…やっと名前で呼んでくれたな、妖夢殿。心得た!」
そんな会話を終えると妖夢は浮かび上がり、メタナイトは翼を出してマルスとアイクを回収。妖夢の背後、十分離れた所でギャラクシアを構えた。
「さあ勝負です、最凶妖怪殿。人はですね、背中に守るべき者がいるなら決して負けないんです。そして私も半分とはいえ人の端くれ…守って見せましょう。…この剣に、斬れるものなどあまりない!」
そう宣言すると妖夢は空を飛び、幽香の【幻想郷の開花】に挑む。
「ウェイ!」
妖夢は空中に置いても発揮できる持ち前のスピードで襲いくる蔦や弾幕を次々と斬り裂き消滅させる。元より弾幕ごっこは幻想郷の人間にとっては遊びなのだ。最も、この弾幕は殺しに来ている事は明確なのだが。
「まさか魔理沙や霊夢以外でこのスペルを退ける人間(?)がいるとはね。やるじゃない」
「まあ私は半人半霊なのですが…お褒め預かり、光栄です!」
ジャキィン!
襲い来る蔦の波を、妖夢は一瞬で細切れにすると突進。幽香に斬りかかるも、軽く避けられ次々と弾幕が扇状に発射され、慌てて後退した。
「妖夢殿!さっき使った、めたるとやらは使えぬのか!?」
「私のカードは二度までならいいんですが、先程コンボも合わせて二度使ってしまったので時間が経つまで使えないんです!ちょっと抑えきれません、そちらは任せます!」
「心得ている!だが、それではどうする…?」
「大丈夫です。上級のカードはアブソーバーを修理に出しているので今は使えませんが…」
妖夢はそう言って♠10「タイムスカラベ」を取り出し、左手に持ち後手にメタナイトに見せた。その間にも律儀に口の白楼剣と右手のブレイドラウザーで迎撃しているのはさすがというかなんというか。
「これをラウズできれば…多分、勝てます。ですがそんな隙さえ見えませんし…」
「ならば、彼女の気を数瞬でも引きつければいいのか?」
「はい。できますか?」
「私に任せろ」
そう言ってメタナイトは妖夢と幽香の真ん中に当たる地面へと走り、マントを外して手足を引っ込めた。その謎の行動に幽香は攻撃しながらも首を傾げてそちらに視線を向ける。これぐらいでは隙にはならないのであるが。
「何のつもりかしら?」
「少しな」
こちらに視線が向いたことを確認すると、メタナイトは「こほん」と咳払いしてからコロンと転がりドヤ顔で言った。
「…ボクボール、ボクハボールダヨ」
その場の空気が凍った。先程まで戦場と言った雰囲気を醸し出し、花畑のイメージががらり崩れる状態だったと言うのに、一気に氷河期でも来たのかというぐらいに凍った。幽香は思わず弾幕の手を止めて目が点となり、妖夢も(`≡△≡’)の表情で思わず困ってしまう。そして数秒後。
「ふざけんな!」
それを見てキレた幽香は傘の先端をメタナイトに向けレーザーを放つ。マスパには及ばないがそれでもボール一個を消し飛ばすには十分な威力。しかし、マントを外し仮面を付けた紺色のボールの様な見た目となった騎士はどや顔を止めず、さらに一言告げる。
「ボクハボールダヨ」
「黙らっしゃい!」
そう言ったメタナイトはコロコロと転がってレーザーを回避、幽香の苛立ちを強くさせレーザーの雨がメタナイトに降り注ぐがボールの回避率が可笑しいレベルでコロコロコロコロコロコロと猛速で転がり当たってくれず、さらに幽香はキレて花畑から蔦の檻を作り出して捕らえようとするも、その謎のスピードを捉える事が出来ずムキになって目から怪光線を放ってメタナイトを攻撃。しかし何故か当たらない。だが、妖夢にはそれで十分だった。
「ありがとうございます、メタナイトさん」
≪タイム≫
そして、時間が静止した。
「しまっ…!?」
一瞬後、幽香は何時の間にか弾き飛ばされて胸元に深い斬り傷を作って花畑に堕ち、気を失ったことを確認した妖夢はメタナイトの側に降り立ち変身を解除する。
「妖夢殿…今何を?」
「このカードの力で時間を止め、三刀流全力の袈裟斬りを叩き込んでやりました。侍として剣士としてあるまじき非道な手ですが、私は侍じゃありませんし今回は生き残るためでしたしモーマンタイです」
「それは…勝てぬな」
「それよりメタナイトさん、先ほどの「ボクボール」とはなんですか?」
「気にしないでくれ。故郷のプププランドの演芸会でしたネタだ。私の黒歴史なのだが…役に立てて良かった」
「全くですね、あんな挑発的な動きができるとは。ではマルスさんの所に急ぎましょう、内藤さん」
「普段はその呼び方か。まあいい」
メタナイトはマントを着用し、二刀を収めた妖夢と共にマルスの所に向かおうとすると、再び濃厚な殺気が二人を襲い、思わず振り返った。
「まだよ」
「「なっ!?」」
そこには、胸元の傷から血を垂れ流しにし幽鬼の様な表情を浮かべた幽香が、茨を巻いた傘を振り上げて立っていた。意地でも、負けは認めない。特にあんなふざけな要因で負けて堪るかという執念の結果だった。
「妖夢殿ぉ!」
メタナイトがギャラクシアを抜こうとするもそれは遅く、鈍器とも呼べなくなった凶器の傘が妖夢目掛けて振り下ろそうとされたその時。倒れていた青髪剣士二人のうち片方が立ち上がり、空に跳び出した。
「はああっ!」
その名はアイク。幽香の後方に飛び上がっており、その上空には彼の剣がくるくる回転している。
「天!」
そう叫んで剣を両手で掴んだアイクは剣身に蒼炎を纏わせさらに縦回転。
「空!」
残像が残るほどの急降下斬りを幽香に叩き込む。
「…悪いな、俺は負けず嫌いなんだ」
「きゃああああああああああああああああっ!?」
背中を縦に斬られた幽香は悲鳴を上げ、再び自らが咲かした花畑に俯せで倒れ込み、気を失ってその身がフィギュアになる。
「…え?」
メタナイトとアイク。そして起き上がって来たマルスは当然とばかりにそれを見詰めていたが、妖夢は信じられないとばかりに呆ける。当り前だ、幻想郷の人間は倒された事でフィギュアになったりなんかしない。まさか自分も倒されたらフィギュアになるのでは…と言い様も無い恐怖を感じる。これもまた、異変で間違いはないのだろう。
「どうした、妖夢殿?」
「…いえ、何でもありません」
心配するメタナイトにそう答えた妖夢はその問題は後で考える事に決め、剣を鞘に収めて幽香のフィギュアを回収するアイクに礼を言った。
「ありがとうございました。えっと…」
「…俺はアイクだ。こちらこそ助かった。礼を言うのはこちらだ」
「誰から聞いたんだ?」
メタナイトが訪ねると傷を押さえるマルスがやって来た。どういうマジックか顔には傷一つついてないが気にしない方がいいのだろうか?
「僕が教えたんだ。間に合ってよかった」
「ああ、助かったぞマルス殿。あのままでは妖夢殿の身が…むっ?」
メタナイトがマルスに礼を言うと、ちょうどその遥か上空をエインシャント卿が乗った円盤が通り過ぎてそれを視界に捉えた。それにはマリオ達と邂逅した際とは違い、二体のROBがくっ付いた漆黒の球体が吊られていた。
「アレは・・・?」
「彼奴は確か、空中スタジアムを襲った…」
「マルス殿、知っているのか?」
「ああ。情報を仕入れていてねアレが今回の黒幕かな?」
「ならば話が早い。…奴がハルバードを奪ったのならば」
「どうする?」
アイクがラグネルを肩に置いて尋ねるとメタナイトは翼を広げ、察した妖夢も浮かび上がった。
「力尽くで聞き出すのみ。行くぞ妖夢殿!」
「はい!」
「僕たちも?」
「分かりきったことを聞くな」
「だよね」
そしてメタナイトと妖夢は高速でエインシャント卿に接近。アイクとマルスも走り出し、その下を追いかける。
「…うん?今度は貴様等か。まったく、戦力を増やすためとはいえ邪魔者も増えるのは本末転倒だな」
それに気付いたエインシャント卿はビームを放つ。しかし弾幕ごっこが日常の妖夢にそれは悪手、メタナイトが降下するのと同時に擦れ違い様に円盤に斬撃を叩き込み、無理矢理高度を下げさせた。
「今です、皆さん!」
「嘗めるな!」
エインシャント卿はビームの雨を放つも、四人は避けるか斬り弾きながら突き進み、全く同時に跳躍。渾身の力でぶった斬った。ローブに切り傷ができ、エインシャント卿は苦しげに空に逃れる。
「ぐはっ…こうなれば」
そう言って黒い球体を円盤から切り離し、地面に落としたエインシャント卿は空中で円盤ごと回転して周囲にビームを放って牽制、その間に飛び去って行く。
「運が良ければまた会おう。…すまない、同胞よ」
落下すると同時に二体のROBが球体の端っこに自らの手を差し込み、球体は左右に広がる。そして内部にあるデジタルタイマーが一分を示した。…それを見たメタナイトは、ハルバードに似た様なのが付いている為に本能的に危険を察知する。
「不味い、逃げるぞ!」
「メタナイトさん?」
そう叫んだメタナイトはマルスとアイクの手を掴むと全速力で反対方向に羽ばたき飛翔、妖夢も戸惑いながらも後を追い、重そうなアイクを持つのを手伝った。
「どうしたんですか?」
「あれは不味い。私の直感がそう告げているのだ。とにかく全速力で逃げるぞ」
メタナイトがそこまで言ったその時、ちょうど一分が経った。
ドゴォオオオオオオオオォォォォォオオオオオオオオォォォォォォオオオオオオオオオンッッッッッッ!!!
球体「亜空爆弾」のタイマーが0:00を示してROB二体を巻き込んで大爆発を起こし、爆風ではなく黒い空間が妖夢達に迫る。それは、ピットが見たと言う空中スタジアムが消滅した際に起きた状況と全く同じ現象だったことを彼らは知らない。
「何ですかあれは!?」
「やはりか…急げ妖夢殿!」
「は、はい!捕まっていてください、アイクさんマルスさん!変身していないのが痛いですねこれは!」
二人は加速し、すぐそこに黒い空間が迫りながらも真っ直ぐ突き進む。そして一㎞ほど飛び続けると二人は止まり、後ろを見てみると黒い空間は10mぐらい後方で止まっていた。
「もう大丈夫みたいですね」
「む?助かったか」
「メタナイトさん、あれはなんだったんですか?」
「…生憎、機械関係は苦手でな」
「僕らの中だと君が一番詳しいんじゃないかな?」
妖夢は着地しアイクやマルスと共にメタナイトに問うと、心当たりがあるのか語り出した。
「恐らくだがな。私も噂話でしか聞いたことがないが、あれは亜空爆弾と言ってそこら一体の空間を『亜空』と呼ばれる空間に切り取ってしまうんだとか。おそらくハルバードを奪ったあ奴等…さしずめ、亜空軍の切札だろう」
「…まるで紫様の境界を操る程度の能力の様ですね」
「奴等の狙いはその亜空に切り離した空間と何か関係があるのか?」
「いや、あの彼も苦肉の策で僕達から逃れるために使った様だから…多分、他にもたくさんあるんだろうね」
空間を切り取る。妖夢からしてみたら幽々子レベルでないとできない芸当で自分もそれを目指してはいるが、爆弾を用いてそれを大量に行っている。許しがたい行為である。今度会ったらあの緑叩き斬る、そう妖夢は心に決めた。するとアイクとマルスはあまりの高スピードで飛んだためか酔った様で、気持ち悪そうに口元を押さえる。
「とりあえず、休むか」
「はい。そうしましょう」
それを見てメタナイトと妖夢は顔を見合わせ、四人はひとまず休息を取ることにした。
つえー。幽香さんマジつえー。それに勝っちゃう「ボクボール」の元ネタはメタナイト×東方の動画です。三年ぐらい前に観たので題名も忘れましたが。
あ、うちの妖夢は全てのラウズカード使えます。現在ラウズアブソーバーは持ってません。
では何時も通り簡単なキャラ紹介です。
・マルス
神剣ファルシオンの使い手であり未来の英雄王でもある王子。AUOではない。得意なのは突き全般。アイクとは違い剣技はスピードに特化している。のほほん枠。
正義感が強く、亜空軍を止める為に妖夢とメタナイトに協力するいい人。
・アイク
ラグネルの使い手であり蒼炎の勇者と呼ばれる衛兵。THE・緘黙。あと筋肉。得意技は「天空」マルスと違い剣技はパワー特化。好物は肉。マイペース。
幻想郷に迷い込んで直後出会った幽香を危険と判断して挑むも敗北。不意打ちでもないと勝てないぐらい、相性が最悪に悪かった。飛んでいる相手には真価を発揮する。
・風見幽香
最凶妖怪、フラワーマスターの異名を持つ「太陽の畑」の管理人。自分の花畑に足を踏み入れただけで怒るぐらいに本当は優しい性格なのだが、何故か子供ぐらいにしかそれを発揮できず、戦闘狂なために危険人物扱いされてちょっと寂しいと思っている人。寂しさを紛らわせるために戦っているらしいが大体快楽に飲まれている。
最強の味方であり、最凶の敵でもある厄介なお人。武器は日傘(鈍器)。ライダーの力を持たないでライダー少女達と張り合える幻想郷生粋の実力者。本当の意味で負けた事があるのは過去に一回だけ。その人物には特別な好意を持っているが…
こんな感じ。幽香さんは今回からフィギュア状態で妖夢とメタナイトが預かる事になりますので次の出番は当分先です。
次回、クッパ来襲と魔理沙side。またもや夢月達メイン主人公組の話となります。次回もお楽しみに!感想をいただけると励みになります!