映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に 作:牢吏川波実
巴マミに連れられ、つぼみ達は橋の下までやってきた。周りを見ると、鉄骨やドラム缶が置いてある当たり、工事現場なのだろうか。この時間、この場所にあまり人はいないそうだ。そういえば、ここに来るまでも人にあまり出会わなかったような気がする。会ったとしても、酔っぱらいばかりだ。さらに途中の道は本通りから外れた裏道を通っていたような気もする。それには、あるのっぴきならない理由があったのだが、つぼみ達はまだそれを知らない。
「それじゃまず、来海さんから始めましょうか」
「よし、えっとまずソウルジェムを出して…っと!」
マミに促され、えりかは魔法少女へと変身する。青色の光、さやかと似たような光を放った後現れたのは、キュアマリンの姿と全く変わらないものであった。違うのは髪の色が変身前と同じということぐらいであろうか。
「あれ?これってプリキュアの時と同じじゃない?」
「それは、服はそれぞれが考えている魔法少女のイメージを基に作られているからよ」
「えりかにとって魔法少女の服といったらプリキュアの時の衣装だから、服はそのままということですか?」
「あっ、なるほど」
マミの答えにコフレ、えりかは納得する。余談だが、まどかの服は先ほどマリンが見ていたノートの最初の方に書いてある絵が原点である。えりかは、気が付かなかったし、もし気がついても別段何でもないことであろう。しかし、もしそれが魔法少女でもなんでもなく、その辺にいる他人であったとしたら、恥ずかしさですぐに魔女となってしまうだろう。それぐらい自分の想像を現物にするというのは恥ずかしいことなのだ。恥ずかしいことなのだ。
「来海さん、次は武器を想像してみて」
「了解!うぅん………エイッ!…こんなん出ましたけど~」
どこの占い師だ。という突っ込みは、世代がまったく違うので出なかった。というかえりかが知っているのは何故だ。
「なにこれ、鉄の棒?」
「いえ、裁縫針では?」
さやかの考えになぎさがそう言う。さやかから見たら、下の方が尖って入るが、ただの鉄の棒に見える。しかし、なぎさがいる位置から見たら、針の上部に穴が開いているのが見えたため、そういう穴が開いている針は裁縫針であろうと思ったのだ。
「そういえばえりかちゃん、裁縫が趣味って言ってたよね」
それが理由なのかは憶測でしか言うことができなかった。が、おそらくそうだろうということとなった。マミには思うところがあるようだが。
「次は私ですね。服は…やっぱりプリキュアと同じですね」
つぼみもまた変身する。恰好はえりかと同じく、プリキュアの時と同じ。髪色と形が違うことも同じであった。つぼみにとってもあの衣装は気に入っていたので、内心安心していた。次に武器を出現させる。
「それで武器は…え?」
武器は…。
「ば、薔薇?」
「ばら…だよね」
「バラだね」
「ばらですね」
「きれいなバラです」
「ヨーヨーだろうと思ったけど違うんだね」
つぼみ、えりか、まどか、なぎさ、シプレの率直かつ簡単であり、適切な感想であった。最後のQBについてはよくわからないが。つぼみの手にあったのは葉のついていない薔薇の花が一輪。さすがにつぼみは困惑していた。
「ちょ、ちょっと待ってください!薔薇で一体どうやって戦うというんですか!?」
確かに
まどかは弓
さやかは剣
マミはマスケット銃
えりかは裁縫針と
えりかは微妙だが、他の魔法少女は見た目からして武器と言えるようなものだった。しかし、自分は薔薇である。それで一体どうしたらいいのだろうか。
「薔薇をダーツのようにして飛ばすとか?」
危うくさやかの意見に納得しかけるが、マミがそれに待ったをかける。
「もしかして…ねぇ花咲さん、その薔薇を向こうに向けて振ってみて」
「え?は、はい分かりました」
マミが指さしたのは誰もいない場所にポツンと置かれたドラム缶であった。マミの言う通りに花の方を向けて上からしたに振り下ろす。するとどうだろう、ドラム缶は真っ二つに分かれたのだ。無論それを成したのはつぼみの薔薇。茎が伸び、ドラム缶を切り裂いたのだ。さらに、バラの花が周りを舞うというオプション付きである。
「すごッ!」
「バラの花も舞ってきれいです!!」
そして数秒後、薔薇は縮み元の大きさとなった。花はついていないが。
「マミさんはどうして使い方が分かったのですか?」
「願いが…似ているからよ」
「え?」
そう言うとマミは、手にリボンを取り出す。
「みんな勘違いしているかもしれないけど、私の本来の魔法は銃じゃなくてこのリボンなのよ」
「え、そうだったんですか!?」
つぼみだけでなく、まどかやさやかも驚きだった。一週間共に戦ってきて、たしかにリボンを使ってはいたが、いつも使っていたマスケット銃の方が武器であると思っていたからだ。おそらくそういうイメージがついたのは『ティロ・フィナーレ』も要因に挙がるだろうが。
「そう、私前に話したでしょ?私がQBに願ったこと…」
「確か、『自分を助けて』…だっけ?」
山に行って、事故に巻き込まれて、QBに願ったのがそれだと学校で話していた。つまり『命をつなぎとめる』ということだ。命と身体をつなぐ、これに代表されるものとしてリボンが彼女の本来の魔法であるという。まぁその魔法少女となって魂と身体が離れているのは皮肉なことであろうが。
「あっ、私の願いは『ふたばを助けて』だから…」
つぼみの願いを簡単に説明するとそうなる。つまりマミとつぼみの願いはほぼ同じであるのだ。おそらくつぼみの薔薇にも敵を拘束する力があるのだろう。だが、違うのはそれが自分であるのか、他人であるのか。マミが変えたのは自分の人生。しかし、つぼみが変えたのはふたばという他人の人生であった。その差が、リボンと薔薇という違いを生んだのだと思われる。因みに、えりかの願いも結果的になぎさの命を救っているのだから武器も同じようなものであるはずだ。しかし、えりかの場合は間接的に救ったと言えるものなので、物と物を結ぶ糸でなく、その糸を布に縫い付ける道具である裁縫針が選ばれたのだろうと思われる。
「そういえばさ、まだなぎさの武器見ていなかったよね」
さやかが思い出したようにそう言う。
「なぎさですか?なぎさの武器はこのラッパです」
そういうなぎさの手には確かに小さなラッパが握られていた。というか、ラッパ?
「ラッパって、それ本当に武器なの?」
「失敬なっ!これでもなぎさは魔法少女の先輩なんですよっ!」
そういうとなぎさは頬を膨らませてそっぽを向いてしまった。そういえばなぎさは5年前に数か月間魔法少女として活動していたわけだから、つぼみやえりかどころか、一週間前に魔法少女になったばかりのまどかやさやかよりも先輩ということになる。
「ごめんごめん、じゃあこれからもご指導よろしくお願いします先輩!」
「はい!ビシバシ鍛えますよ!!」
「あ、機嫌なおった」
というわけで、戦い方の講習は続いていった。一時間がたった頃、マミが言う。
「それじゃ、実践訓練と行きましょうか。二組に分かれて私、美樹さん、来海さんがAチーム。なぎさちゃん、鹿目さん、花咲さんがBチームで行きましょう」
「どうしてです?」
「みんなで戦った方が勝率とか上がるじゃん」
「大勢で動くよりも、捜索範囲が広がって魔女を探しやすくなるのよ。それに…」
そこまで言ってマミは黙ってしまった。
「それに?」
つぼみがそれの続きを聞く。
「…補導される確率が低くなるし………」
「…」
「…」
「…」
空気が死んだ。確かに、自分たちは魔法少女といっても子供である。そりゃ夜中に歩いていると補導もされる。現にマミは魔法少女になってから何回も補導されていたらしい。その時、全員が『だからか』と思った。何にといわれると、この場所に来るまでの順路である。時に大通りを歩いたりしていたが、裏通りを歩いたり、街灯もない暗い道を歩いたりと、まるでスニーキングミッションのようにこそこそと動いていたのはそういうトラウマがあったから。経験豊富な人生経験が結果的にそういう嗅覚を研ぎ澄ませたのだろう。きまずい雰囲気が周囲を覆う中、つぼみがそれを振り払うように言う。
「と、取りあえず行きましょう。シプレは私についてきてください」
「ハイです!」
「じゃ、じゃあコフレは私達のチームだね」
「了解です!」
そうして何とか立ち直ったマミも連れて二手に分かれて魔女を探しに行く。因みにQBは特訓の途中に何処かへ行ってしまったようだ。その時、つぼみが何かに気が付いたように後ろを見る。そこには自分の武器の薔薇から発生した花びらが下に落ちていた。そしてつぼみは手に持った葉のない茎をみて顔を曇らせる。シプレに呼ばれたつぼみは先に行ったまどかについていく。彼女の顔が曇った理由はおそらく…。
『あなたの不快さが私を悩ませる』
と
『希望がある』
がないということからだろう。
感想に書かれたエネルギーうんぬんという話をみて、自分の思っていた設定と違うのかなと思いました。僕はQBは魔法少女の絶望や悲しみといった負のエネルギーを変換させていてそれでしかエネルギーがとれないと思っていましたが、それ以外のエネルギーでも良いということなのだろうか?
良ければ活動報告もご覧になってください。