映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

16 / 82
今回の魔女は、基本ゲームを踏まえたオリジナル設定が満載です。その他『この設定おかしくない?』というものがあったら感想に。ネタバレにならない程度の答えをだします。


よかった…私生きてるんだ……

つぼみたちBチームと別れたマミたちAチームの面々は見滝原駅の近くまでやってきていた。すでに終電は過ぎているので人影はあまりないが、まだ夜行バスを待つ人などが何人かいるため、やはり誰にも見つからないように動いていた。

 

「この駅、少し前までよく使っていたのよね…」

「どこか遠くへ行く用事でもあったんですか?」

 

ソウルジェムを手の平に載せたマミが、ふと思い出したようにそう言った。その言葉にコフレが聞く。

 

「そうね、バスを使って隣の町にね…」

「隣の町?」

「えぇ、風見野よ」

 

さやかに聞かれたマミはそう答える。見滝原は3つの町と隣り合っている。『風見野』、『あすなろ』そして『ホオズキ』である。余談だがマミ曰く、ホオズキにいたらこうして夜中に出歩くことは難しいそうだ。この頃ホオズキでは女子中学生を狙った通り魔が出現しており、厳戒体制が敷かれているそうだ。現在多数の警察や特務エスパーがホオズキに常駐してほぼ毎日見回りがなされているため、外に出るのは容易ではないらしい。

 

「風見野に用でもあったんですか?」

「えぇ…あの町には私の…!」

 

そこまで言ったところで、マミのソウジルジェムが淡い光を放ち始めた。

 

「マミさん、これって…」

「近くに魔女がいるわね…こっちよ!」

 

さやかとえりかはマミについていき、高架下のトンネルの中へと入っていく。するとその中ほどに、おおきな紋章のようなものが現れる。そこは壁であるはずなのだが、どこか遠くまでつながっているような印象が与えられた。それはまさしく、魔女の結界の入口であった。

 

「ここが…」

「行くわよ、二人とも」

「はい!」

 

そうして3人と一匹は結界の中に入っていった。その様子をトンネルの入り口から見つめる少女がいるとも知らずに。

 

嬉しい、楽しい、面白い。もっともっと絵を描きたい、もっときれいな絵を描きたい。クレヨンだけじゃ物足りない。絵の具がほしい。もっとたくさんの色がほしい。でも色がない。赤い色がない。そうだ、あるじゃないか赤い色。それは血の色、人間の中にある水の集まり。ほら見て、もうなくなった。だから集めよう赤い色。きっともっといい絵になるよ。

 

結界の中に入ると、そこはまるで子供の落書きのような絵が大量に張り付けられていた。どうやらクレヨンで書かれているらしい。えりかの身長の2倍はあろうかというクレヨンが所狭しと地面に刺さっていたり、おもちゃのようなものが刺さっていることからすると、この魔女の元となった魔法少女はまだ幼かったのだろうか。

 

「これって…」

「この子は、絵が大好きだったのかしら…」

「マミさん…」

 

たくさんある絵の中には幼稚園くらいの子供が書かれている絵があった。親とみられる二人と手をつないでいる絵もあった。たくさんの子供が書かれている絵、滑り台やブランコであろうものが書かれた絵、中にはぐちゃぐちゃな線にしか見えないような絵もある。どこかの公園でかくれんぼをしているであろう絵もある。そして怪物に立ち向かっている子供の絵もあった。それは、まるで人間だったころの思い出を書き連ねたかのように貼りつけられていた。ただ、ある部分が不気味さを感じさせる。子供の顔のほとんどが黒く塗りつぶされているのだ。おそらく本人であろう一人以外、すべての子供の顔が塗りつぶされている。そういえば、かくれんぼをしている絵、これには公園に女の子一人しか書かれていないがこれが意味することは…。

 

「…ううん、私はためらわない…いくわよ来海さん、美樹さん」

「…はい!」

「やるっしゅ!」

「みんな気を付けるです!」

 

マミは自分に言い聞かせるように言うと、結界を進んでいく。途中、使い魔が出てきたもしたが、あまり苦戦もせず奥へと進んでいく。要因となったのは、彼女達のそれぞれの武器のバランスがよいことからだ。マミは遠距離、さやかは中・近距離、そしてえりかは近距離とそれぞれが役割分担がきちんとなされているために、どのような事態にも対応できていた。結果、十分もしないうちに結界の奥の扉にたどり着いた。

 

「この先に魔女がいるわ、二人とも準備はいい?」

「はい!」

「もちろん!」

「コフレちゃんは中に入ったら私が結界を作るから、その中にいて」

「はいです!」

 

了承を取ったマミは重そうな扉を外開きに開いていく。

中に入ると、やはり同じようにクレヨンやおもちゃが地面に突き刺さったりしている。乱雑に置かれたそこはまるでおもちゃ箱のように思えた。ふと、中心に何か動くものが見えた。地面に寝転がってクレヨンで絵を描いているようだ。一瞬子供であろうかとも思ったが、それが違うとすぐにわかる。体格が子供のそれと全く違うのだ。魔女である。

 

「あれが、ここの魔女…」

「そのようね」

 

シフレの周りに結界を作ったマミはまず手始めに弾を一発撃ってみる。しかし、それは魔女に当たらずに何か、壁のようなものに当たって落ちていった。

 

「バリア!?」

「これは手こずるかもしれないわ…」

 

魔女はその一撃でマミ達の存在に気付いたようだ。部屋のいたるところから使い魔が現れる。それを見たマミはすぐさま指示をだす。

 

「美樹さん、来海さん。魔女がどのような攻撃手段を持っているか分からないわ。だからなるべく魔女から離れた位置で戦って。私は、遠距離から魔女の出方を探ってみる」

「「了解!!」」

 

マミの指示通り、さやかは魔女から離れた場所で使い魔を迎え撃つ。えりかはマミが結界で守っているとはいえ、やはり心配しているのかコフレの近くで迎え撃つ。

 

「こんのぉ!」

 

さやかは両手に剣を持って四方からくる使い魔に何とか対応している。しかし、問題はえりかである。

 

「ハッ!うわぁ!?」

 

魔法少女として初めての実戦で、プリキュアのような戦い方ができないのは、不利以外の何物でもなかった。プリキュアは光の力で力を補うことで敵を吹き飛ばしたり、攻撃を受けても致命傷といわれるほどの傷を受けることはなかった。しかし、魔法少女となってしまいその恩恵受けれなくなってしまった。実際魔法少女であっても、魔力を上手く扱えれば、筋力の補強などができるのだが、まだえりかはその技術がなかった。

 

「ハァッ!!大丈夫、えりか!?」

「うん、なんとか…」

 

だがそんなえりかでもさやかが救援に入ることによってなんとか持ち直し、次第に状況を有利に持っていくことに成功した。一方マミは敵のバリアを攻略法を模索していた。リボンを使って空中を移動しながら、銃を並べて一斉に撃ったり、時間差で発砲したりした。しかしバリアは意外に固く、どの攻撃も通っている様子はなかった。マミは魔女の目の前に降り立つ。もしこの至近距離で攻撃されたら避けれないであろうが、どうやら魔女自身には攻撃する手段がないとマミは予測していた。

 

「これは一撃で決めるしかないわね…」

 

そういうと、マミはリボンを一つ取り出し、砲台を作る。

 

「ティロ…」

 

その時である。

 

「え?」

「なに、この音…」

 

突然聞こえてきたのは金切り声のような音。あまりにも突然なり始めたその音に、マミは必殺技を撃とうとする手を止めた。

 

「みんな、魔女を見るです!!」

 

コフレに言われて全員が魔女を見る。そこにあったのは。

 

「魔女が…泣いている?」

 

目から大粒の涙を規則的にポツポツと流している魔女の姿であった。

 

「魔女が、泣くだなんて…」

 

マミは今まで多くの魔女と戦ってきた。だが、泣いた魔女というのは初めてであった。それがその魔女の特性だと言ってしまえばそれまでだ。しかし、今のマミにはそのことまで考えるほどの心の余裕はなかった。

 

「あの子も元は私たちと同じ…何も知らない女の子だった…それを……」

 

もしかしたらまだ人としての心を持っているのかもしれない。もしかしたらなぎさのように助けられるかもしれない。マミの意識はどこか別のところに行ってしまった。はっきり言って、戦場で棒立ちになるのは。

 

「マミさん!!」

「!」

 

命取りである。

 

「クッ!!」

 

えりかの一声に飛び退いたマミであったが、左肩に使い魔の攻撃を受けてしまった。致命傷ではないものの、傷口から血が出ているのは変わらない。すぐに回復しなければならないが、使い魔は大群をなしてマミのもとに向かってきている。回復している暇もなく、右手一本、銃一本ずつで戦うしかないが、それではいづれは押し切られてしまうだろう。

 

「マミさん!!ッ邪魔!」

「あんたたちにかまっている暇ないんだから!!」

 

えりかとさやかはマミの救援に向かおうとするのだが、やはりこちらも使い魔の大群が邪魔をして思うように動けないでいた。その内、使い魔の大群はマミの目の前にまで来ていた。

 

「ハァ…ハァ…くッ!!」

 

マミはまた銃を出して応戦しようとするが、銃自体を攻撃されて空を舞う。新しい銃を作り出す時間も、発砲する時間もなかった。

 

「あっ…」

「マミさん!」

「逃げるです!!」

 

マミにはその声が聞こえていなかった。耳が外の音を拾う余裕もなく、ただ自分の心臓の鼓動を聞くだけであった。

 

(よかった…私生きてるんだ……)

 

全てがスローモーションに見える中、マミはそんなことを考えていた。魂が身体から抜け出し、抜け殻である自分は本当に生きていると言えるのか、ずっと考えていた。しかし、これで確信が持てた。自分は生きている。そして生きたいと思っている。だが、それもできなさそうだと彼女は思った。けど、それでいいかとも思う。なぜなら、彼女は一人じゃなかったから。たぶん自分が死んだらえりかたちは泣いてくれるだろう。そして自分の事をいつまでも忘れないだろう。やるべきことはやった。教えられることは最低限教えた。きっと、自分の意思を継いでくれる。自分の分まで生きてくれる。その時の彼女は確かに死を受け入れていた。




活動報告に書いていた作品の明確なワードを出しました。腹をくくりました。元々世に出るはずのなかった物語です。思うところはあると思いますが、誠心誠意頑張りますのでこれからも応援よろしくお願いします。因みにタイトル詐偽にならないために、戦闘するのは概ねプリキュアとまどマギ系キャラだけで、出すにしてもそれ以外はほとんど幕間や外伝的な物にしか出しません。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。