映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に 作:牢吏川波実
つぼみ達Bチームはマミ達と別れて、繁華街の裏道に来ていた。こちらのチームはなかなか魔女に出会わなく、場所を変えようかと話し始めていた。
「それじゃ、国道の方に行ってみよっか?」
「公園や病院の近くに行くのもいいですね」
とはいえ、この街にずっと住んでいるまどかと、魔法少女経験からどこに魔女が出やすいか知っているなぎさはともかく。つぼみやシフレは、病院と学校の往復しかしていないためにこの街のことが把握できていないため、この時点では戦力外であった。とりあえず、一度河川敷の方に戻ることとなった。
「それにしても…」
と言い出したのはまどかである。
「魔法少女になって初めてだな、ここまで歩いて魔女に遭遇しないのは…」
「まぁ、でも魔女はそんなに多くないですし、遭遇率もそれほどでは…」
となぎさは言うがしかし、まどかはそれに反論する。
「ううん、マミさんがこのごろ魔女が増えてきたって言ってたよ?」
「え、そうなんですか?」
「そういえばそんなこと言ってたです」
マミが言うにはこの1年から2年の間に魔女の発生率が大きく増えたということらしい。なぎさが最期に魔法少女をしていたのが5年前なので、知らないのも当たり前だ。
「でも…魔女が増えたっていうことは…」
「はい、魔女となった魔法少女が増えたということですね」
この1年2年の間に魔法少女を絶望させるようなことが起こったということなのだろうか、しかし一体何が起こったというのだろう。幾人もの魔法少女を絶望させたもの、それは…。
「魔法少女のみんなが絶望した原因…何なのかな?」
「教えてあげようか?」
「え?」
その時、言葉が聴こえた。
「だ、だれ?」
「いったいどこに…!」
まどかは何かが刺さった音を聞く。すぐ下を見ると、そこには見慣れた宝石。グリーフシードが地面に刺さっていた。そしてそれは…。
「これって…グリーフシード!」
つぼみの足元にも存在していた。
「こんなこと…自然にグリーフシードが複数個現れるなんて…誰かが人為的にッ!」
まどか達にはその言葉が途中で終わってしまったように感じられた。なぜなら彼女の話が終わらないうちに、光が彼女たちを包んでしまったのだから。次の瞬間にはその場に静寂が戻り、あたかも何もなかったかのように静かに時が過ぎていた。
突然の光にとっさに目を閉じたまどかであったが、もう一度目を開くと、そこは先ほどまでの路地裏ではなかった。コラージュ写真のような世界、紛れもなくそこは魔女の結界の中であった。
「まどか!」
「なぎさちゃん、大丈夫?」
「はいです…でもつぼみとシフレが見当たらないんです」
「え?」
なぎさの言葉通り、周りを見ても二人の姿が見えなかった。結界の奥に行ったのだろうか。しかし、彼女は見た。つぼみの足元に別のグリーフシードがあったのを。
「もしかして、もう一つの結界にいったのかも…」
「え!?」
もしそうなら大変危険である。特訓したとはいえ、彼女はまだ魔法少女初心者である。一人で戦うのはまだ早すぎるであろう。急いで駆け付けなければいけないが、この結界の魔女を野放しにすることなどもできない。何か対策を考えなければ。そう思った彼女たちの耳に入ったのは、先ほど聞いた声と同じ声であった。
「そう、でも君たちが心配する必要はないよ」
「誰!?」
その声がした方向。それは、少しだけ段差ができており、高低の差ができていた。その段差の高い場所に立っている黒い服を着た少女、おそらくそれが先ほどからまどか達に話しかけている少女であろう。
「あなたも…魔法少女?」
「そうだよ初めまして、鹿目まどか…そこのチビは誰?」
「なッ、失礼です!私は百江なぎさです!!チビじゃないんですから!!」
「ねぇ、心配する必要はないって…どういうこと?」
「言葉の通りだよ。彼女たちの方には仲間の魔法少女が行っているということさ」
「ホントッ!よかった…」
その言葉にまどかは胸をなでおろす。しかし、なぎさはそうはいかなかった。
「安心するのはまだ早いですよまどか…」
「なぎさちゃん?」
なぎさはある疑念があった。それは二つのグリーフシードの存在。グリーフシードが、それも二つも同時に突然出現するわけがない。だれかが人為的に置いたと考えることが妥当であろう。そしてそれを成すことができるのは…。
「この結界の中に私達を引きずり込んで…いったいどうするつもりですか?」
「え?」
「ふ~ん…チビのくせに頭は良く回るんだね」
「え…」
まどかは二人のやり取りをただただ傍観するしかなかった。
「あのグリーフシードがはあなたが設置したもの…2つ用意したのはおそらく…私たちを分断するため」
「ご名答…ほめてあげるよ、少ない情報でその答えにたどり着くだなんてね」
「伊達に魔法少女を5年もやっていませんから」
「え、え、ちょっと待って!!」
どんどんと2人だけの世界を作り上げようとするなぎさと謎の魔法少女の間にまどかは割って入る。
「キリカちゃん!つぼみちゃんはまだ魔法少女になって間もないんだよ!それなのに…」
「そう、だけど彼女はプリキュアだった…だろ?」
「!どうしてそれを…」
つぼみがプリキュアであるという情報はごくごく少数しか知らないことである。なぜキリカがそれを知っていたのだろうかと、まどかは頭の中で考える。しかし、明確な答えが出るはずもなく、ただただ困惑するばかりであった。その時、なぎさは発言する。
「これはただ事ではないようです…すぐにつぼみのところに行かなければ…」
「そうは…させない!」
「!」
キリカはそういうと、高台から飛び降りてその手に生える爪でまどか達を切り裂かんとしてくる。まどかとなぎさはそれを飛んで避ける。
「私の役目は君たちの足止めだよ」
「出口が塞がれちゃった…」
「…」
まどかとなぎさは飛び退いたが、それは出口とは反対方向である。外に出るには、キリカの横をすり抜けていくか、キリカを倒さなければならない。しかし、どちらにしても時間がかかるだろう。こうしている間にもつぼみの命が危険にさらされているかもしれず、早く突破口を見つけ出さなければならない。
「まどか、ここはなぎさに任せてください」
「え?」
なぎさはそう言うと、キリカに向かって走っていく。
「なに、突撃?おもしろくなッ」
キリカは無論応戦してくるが、キリカの爪が届くか届かないかあたりでなぎさは突然後ろに跳ぶ。そしてそれと同時に手に持ったラッパを吹く。するとラッパの口から現れたのは大量の泡である。それが、キリカの周りをまんべんなく、囲んでいった。
「なんだい…これ?」
「動かない方がいいです。触れると爆発しますよ」
これが彼女、百江なぎさの武器である。彼女のラッパから出現する泡は起爆性を持っており、何かに触れると爆発する。しかも、それが、まんべんなくあるということは、ひとつに触れると誘爆し、次々と爆発が起こるというらしい。
「ふ~ん、そっかやるね」
「まどか、ここはなぎさに任せて今のうちに!」
「うん!気を付けてなぎさちゃん!」
「はい!」
まどかはなぎさとキリカの横を抜けて出口へと向かう。その様子をキリカは横目で見て言う。
「はぁ~まったく、怒られるの私なんだけれどな…」
「さっき言っていた仲間にですか?」
「そう…でもまとりあえず今は…」
キリカは横一閃に空を切る。するとやはりなぎさの言った通り、次々と泡が爆発しキリカの身体は煙に隠れてしまった。
「クッ…!」
それに思わずなぎさは顔を保護するために顔の前に腕を上げる。その瞬間、黒い煙を切り裂いて、中から傷だらけのキリカが颯の如く出現する。
「君からだ」
「!」
その顔は、まるで鬼のようであった。
「無事でいて…つぼみちゃん、シプレちゃん…」
まどかは、結界を抜け出し念話をマミたちに送った後すぐにつぼみたちのいるであろう結界の中へと入っていった。迷路状になっている結界は、扉も多く、途中の使い魔を倒しながら進んでいるのでかなりの時間が経ってしまった。その時、近くでなにかが爆発した音と、爆風がまどかを襲う。その少し先に見つけた人影にまどかはとっさに名前を呼んだ。
「つぼみちゃん!」
その時、破裂音。それは、いつも聞いているマミが銃を撃った時の音と同じ音。そして、まどかは見つけた。
「ッ!」
全身傷だらけで片膝をつき、左胸を押さえ、口から血を流している満身創痍つぼみと…。
「まどか!」
「シプレちゃん!」
結界の中にいるシプレ…。
「え?」
そして…
「ほむら…ちゃん?」
「…」
燃え盛る茨を背に、冷ややかな目でこちらを見る、暁美ほむらを。
彼女を敵としてだすと、能力的な理由で一瞬のうちに終わりかねないから盛り上げるのがすごく大変。