映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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 久々の本編投稿。この小説内でのえりかのキャラ崩壊がはなはだしくなって…いや、全キャラに言えることか。


私は、手を出さないわ

「それで、私たちはどっちに行くんでしたっけ?」

「来海さん忘れたの?オフィス街に行くって言ってたじゃない」

「あ、そうでした」

 

 ということで2人はオフィス街に間違いなく進んでいた。今のところ、魔女の気配は一切しない。見滝原には数多くのビルがあり、本来なら退社時間となっている会社がほとんどである。しかし見ると、いまだに電気のついているビルが多数あり、まだ社員が帰っていないということが分かる。

 

「こんな時間まで、熱心な人がいるんもんですな」

「…そういうわけじゃない人もいるんじゃないかしら?」

 

 ブラック企業、という言葉を知っているだろうか。その言葉の意味は多数あるが、いうなれば従業員に対して劣悪な環境での労働を強いる企業の事である。今も、こうして残業を続けている人たちの中で、何人がサービス残業という名の無賃金労働を課せられている者がいるのだろう。上司のパワハラ、セクハラに悩んでいる者が何人いるのだろう。以前、ほむらが最近魔女が増えたという理由にプリキュアを挙げていた。しかし、それだけではないのかもしれない。バブル崩壊とともに起こった大不況、人と人との関係が気薄になったことによる孤立化、そして幾度となく起こった震災、戦争。暴動、虐殺、いじめ、虐待、差別、魔女が増えた理由は、プリキュアだけではないのではないだろうか。退化していくソレに一切気が付かないで進化しているつもりの人類が増幅したことによって発生する数多くの嘆き、苦しみ、そして悲劇。それは魔法少女にも、ましてやプリキュアにもなんともすることのできないものなのである。

 

「!」

「光った…こっちね」

 

 二人が、その気配を追っていくとたどり着いたのは路地裏であった。そこにあったのは一つの結界とグリーフシード。どうやら、すでに魔女が生まれているようだ。二人がその結界に突入しようとしたとき、結界に迫ってくる人が現れた。それも、何人もいる。十数人、と言ったところだろうか。誰もかれもくたびれたスーツを着ている。いや、中にはYシャツ姿の人間もいた。果たしてこれはなんなのか。えりかは分からなかった。が、マミには容易に想像ができた。

 

「この人たちは?」

「あれは…来海さん、あの人たちの首筋をみて」

「え?」

 

 マミに促されて、えりかは首筋を見る。そこには、なにかの刺青のようなものがあった。あれは、何なのだろうか。

 

「あれは、魔女の口づけ…魔女のターゲットとなった人に出現するものよ」

「え、それじゃ…」

「この人たちを放っておくと、自殺…最悪魔女の結界の中に入っていって、魔女の餌にされてしまう…」

「そんな!」

 

 どちらにしても命はない。だが、マミが魔女の結界の中に入るということを『最悪』と表現した理由は、その亡骸の処遇に関してだと考えられる。自殺の場合は、多くの場合飛び降り自殺や練炭自殺等で9割がたの確率で遺体は残る。しかし、もしも魔女の結界の中に入って、そして死んでしまえば、残るものは何もない。そこで死んでしまった人は行方不明扱いとなり、失踪宣告を受けるまで7年間も自分が死んだということが認められないまま時が流れてしまう。マミや杏子が、両親の死を受け入れられたのは、そこにちゃんとした証拠、遺体があったからである。と言っても、杏子の場合はまだ妹の死体の一部すら見つかっていないのではあるが。だが、行方不明になってしまえば、それも見つかることのない行方不明は、家族の心を蝕み、そして崩壊させてしまう一因となってしまう。それだけは、防がなければならない。マミは、リボンを編み込み状に利用して、魔女の結界のある道をふさぎ、念のために彼、彼女らが来た道もふさぐ。

 

「これで、なんとか…」

「まだよ」

「へ?」

 

 マミにそう言われて上を見ると、そこには今にも飛び降りをしそうな人が何人もいた。

 

「嘘ッ!」

「まずいわね…こうなったら……」

 

 マミは魔法少女に変身し、リボンを出現させる。

 

「来海さん、私は外で自殺する人たちを助けるから、魔女の方をお願い」

「え、私一人でですか!?」

「えぇ、リボンを置いていくから、上手く使って」

 

 そう言うと、マミは何メートルかのリボンをえりかに手渡し、空中へと跳びあがっていった。そこには、えりかと、行き場を失った何人もの会社員が残された。えりかは、意を決したように結界へと進む。その時、念話が聞こえる。

 

『来海さん、ひとつだけいいかしら』

『?どうしたんですか?』

『今回、私とあなたで偶然コンビを組めたわけなんだけれど、本当はこんな事がなくても、私はあなたに一人で魔女を倒してもらいたかったの』

『え?』

 

 こんな事、自殺阻止の話であろうが、マミは何故そんなことを考えていたのだろうか。続いてマミは、ビルとビルの間を跳びながら言う。

 

『以前、あなたはこう言ったはずよ。花咲さんがふたばちゃんと一緒にいる時間を作るって』

『え、はい』

『今は魔法少女が何人もいるから、大丈夫だけれど、あなたが元の学校に帰ったその時、あなたは一人で魔女退治できるかしら?』

「…」

 

 それもそうだ。今自分とつぼみは交換留学ということで見滝原に来ている物の、実際には希望ヶ花市、明堂学園中等部所属なのである。あの街に帰った後、魔法少女は二人だけ、いや、現役のプリキュアが二人いる、しかしあの二人を巻き込むのは嫌だった。それはつぼみとの共通認識であるといっても過言ではない。と、いうことはつぼみの時間を作るために、えりかは一人での戦いを強いられることとなるのは必然であるといえよう。

 

『そう、ですね…』

『だからあなたは、一人で戦うということにも慣れないといけないわ。私は、安全が確認されれば結界に行くけれど、よっぽどのことがない限り私は、手を出さないわ』

「…」

 

 一人ぼっちの戦い。プリキュア時代にも2、3回ぐらいしかなかったのではないだろうか。その場合でも、ほとんどの場合は後から仲間が手助けに来てくれた。実績として、彼女は砂漠の使途の幹部を一人で倒したこともあったが、あの時は妖精のコフレが一緒にいてくれ、えりかは本当の意味での孤独な戦いを迫られることとなった。だが、えりかは言う。

 

『それができないと、つぼみを守れないんですね…』

『そういうことね』

『…よっし、頑張ってみますか!』

『それじゃ、私は行くわね…どうやら、魔女の口づけを受けた人は、かなり多いみたいだから』

『来なくても大丈夫ですよ。14歳の美少女の力見せてあげます!!』

 

 こうして、えりかは結界の中に、マミは摩天楼の中へと消えていった。




 今回、ニャル子さん見ながら執筆していたからか、えりかのセリフが若干ニャル子さん寄りになってる?ニャル子の声でえりかの声を再生しても違和感が…あれ?そもそもえりかの声ってどんなんだっけ?最近、聞いてないから思い出せなくなってきた。
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