映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に 作:牢吏川波実
仁美と別れた三人は裁縫店がある駅の方に足を向け、三人は歩幅を合わせて歩いていく。その時、えりかがあることに気が付く。
「この街ってなんだかヨーロッパみたい」
「だよね…ってヨーロッパに行ったことあるの?」
「うん、パリに一回だけ、ファッションショーを見に」
えりかは母の付添でつぼみなどあるおなじ秘密を持つ者と共にでパリに旅行に行ったことがる。パリといえば花の都、パリコレ、アコーディオン、と様々なイメージを持つだろう。嗚呼あこがれのパリ、おしゃれであ、優雅で、気品にあふれてまさに文化の発信源である。
「へぇ~いいな、パリ」
「パリか…恭介も将来パリで演奏会するのかな?」
「演奏会、というか恭介って?」
「あ、そうか恭介はね私の幼馴染で」
「バイオリンも弾けるんだ。すっごく上手なんだよ!」
「へぇ~一度聞いてみたいな~」
「うん!今度復帰公演みたいな感じで学校で演奏するの!」
「復帰公演?」
「うん、実は恭介君は…!」
と、その時周りの雰囲気が一変した。周りが英字新聞を切り貼りしたかのように、コラージュのように彩られていく。そして地面もまた煉瓦から別の物質へと変貌していく。
「え?何これ…」
「さやかちゃん…」
「うん…これって……」
すると奥からゾンビのような細身の女性とも男性ともつかないモノが何体も現れる。その異様な様相にえりかはパニックとなる。
「うわ!なにこれ!?」
「落ち着いてえりかちゃん」
(どうしよう…コフレはつぼみと一緒にいるしな…ん?)
彼女の秘密であるそれには、コフレというパートナーが必要であった。しかしそれは今、つぼみと共に病院に行っているのだ。と、そこであることに気が付く。まどかとさやかが異様に落ち着いているのだ。このように不可思議な状況にはえりかも陥ったことが何度かある。しかし、そうではないはずのふたりがこうも落ち着いているのが何やら不思議であったのだ。
「ちょっと待って…こいつらが何か知ってるの?」
しかし、まどかがえりかたちの秘密を知らないのと同じく、えりかもまたまどかたちの秘密を知らないだけだ。
「まぁね、とりあえず私たちについていれば大丈夫だから…」
そういうとまどかは、左手を前にだす。そういえば今まで気が付かなかったが、その指には何やら指輪がはまっているではないか。手のひらを上に向けると、指輪が別の物に代わっていく。さやかも同じように指輪を別の物に変える。唯違うのはまどかがピンク色でさやかは青色であると言うことぐらいだ。そして指輪は完全に別物へと変容した。えりかはそれが宝石に見えた。それもかなり昔、ある映画でみた、インペリアル・イースター・エッグという物に似ているなと思った。
「行くよ、さやかちゃん!」
「オッケー、まどか!!」
そういうと、二色の光が彼女たちを包んでいく。そして現れのは胸にピンクの宝石をつけ、ヒラヒラの衣装を身につけたまどかと、臍に青色の宝石をつけ、これまたヒラヒラの衣装をつけたさやかであった。ただ宝石はさっき程のタマゴ型とは違い、また、別の宝石のようであった。
「え、えぇーーー!!」
「いきなり正体ばれちゃったね!」
まどかはそう言いながら笑顔でえりかに振り替える。その姿をみて、えりかは当然のようにある反応を返す。
「あんた達もしかしてプリキュア!?」
そう、この世界で生きる者にとってその姿はまるでプリキュアのようであった。だが、彼女たちは否定する。
「チッ、チッ、チッ、違うんだな~これが」
「私達は魔法少女…えっと、その辺の話は後程ってことで…」
言いながらもまどかはその手に持った弓の弦を引き絞っていく。
「クラスのみんなには内緒だよ!」
その瞬間桃色の矢が一閃、ソレに轟音を立てて向かっていく。
「ハァッ!」
それに続いてさやかもまたその手にもつ剣でソレを切り裂いていく。ときには一本で、時には二刀流で、瞬く間にソレは数を減らしていく。
「す、すごい…」
(プリキュアとは違う、あんなに武器を使うなんて…)
プリキュアは基本肉弾戦である。そのためここまで武器を使うことなど、必殺技を繰り出す時ぐらいである。なぜそれを彼女が知っているか。もうここまで書いて分かる通り、彼女はプリキュアである。が、今はそれはさほど重要ではない。
「えりか!私たちについて来て!」
「う、うん!」
一通りソレが片付いたところを見て、さやかとまどかはえりかと共に先へと進んでいく。それはまるで迷路のようであった。しかし、3人は迷わず猪突猛進で進んでいく。そしてある装飾がなされたドアの前に来た。
「ここだね」
「うん、開けるよ!」
「よーいしょ!」
中に入るとそこには凱旋門があった。いや、本当に凱旋門であった。その周辺には何やら花が刺さっており、この世の物とは思えない物であった。えりかはある事情から数多くの花を見てきたが、今自分が見ているような花を見たことがなかった。
「へ、何あれ?」
「あれは魔女だよ」
「魔女?」
魔女といえば箒に乗って鼻が高く、変な色をした液体の入ったなべの前でヒヒヒとかいっているのを思い浮かべるが、それとはまったくというほど似ても似つかないものであった。
「そっ私たち魔法少女はあの魔女を倒すのが仕事なの」
「へぇ~」
「いくよまどか、私が前に出る!」
「了解!」
「いくよ、さやかちゃんの大活劇!!」
そういうと、少し高台になっている場所から凱旋門の前に降り立つ。そして、つかさずマントを翻し、自分の周りに剣を大量に出現させる。
「はっ!ハァァ!」
さやかはその剣を次々と凱旋門に投げていく。其れに黙ってやられるわけがないのが凱旋門である。凱旋門はバリアーを貼り、攻撃を防ごうとして来る。さらにソレは右から攻撃を加えようとする。先ほど説明した謎の花であった。それがまるで茨のように結合しながらさやかへと向かっていく。
「まどか、右!」
「大丈夫!」
そういうと、茨はまどかのピンクの矢が薙ぎ払う。その際、一緒に凱旋門が纏っていたバリアーが吹き飛んでいく。それをさやかは好機とみて、飛び込んでいく。
「これで、トドメだー!!!!」
その瞬間さやかの剣は無数の剣閃を持ち、薙ぎ払っていく。その攻撃の名は
「スクワルタトーレ!!」
凱旋門はその一撃に倒れ、その場に黒い宝石を落として消えた。すると周りの景色がコラージュからまた元の暗い夜道の景色へと戻っていく。
「あ、戻った…」
「ふぅ…これで終わりっと…」
さやかは変身を解き、足もとにあった宝石を拾い上げて自分の宝石に近づける。すると、蒼い宝石の中から汚れが出てき、黒い宝石へと吸い込まれていく。すべてが終わったと確信したえりかはさやかとまどかに小走りに近寄っていく。
「すごいじゃん、さやかにまどか!かっこよかったよ!!」
「ウェヒヒやっぱりこういうの恥ずかしいかな?」
「まっさやかちゃんに任せればこんなもんよ!あっまどかグリーフシード、まだ一回くらいは使えるはずだよ」
「うん、ありがとう」
そう言うとまどかは変身を解き、さやかからグリーフシードと呼ばれた宝石を受け取り、自分の宝石に近づける。すると、またも中から汚れが出現し、黒い方へと移っていった。と、一通りのことが終わったころ、えりかが当然のように質問する。
「でも、魔法少女ってなに?」
「それは…」
まどかが口を開こうとした瞬間夜道の奥、街灯の明かりに照らされながら髪がロール状になっている豊満な胸を持つ女性が現れた。
「私から説明するわ」
「あっマミさん!」
「やっぱり私が来るまでもなかったわね」
「だれ?」
「この人は巴マミさん。見滝原中学校の3年生だよ」
「あ、それじゃ先輩なんだ。えっと、私は来海えりか、しばらく見滝原中学校でお世話になります」
流石にえりかにも先輩を敬うという事は知っていたようだ。
「ええ、よろしくね」
「さて、それじゃあ私の家に行きましょうか」
「あっ、でも私この後病院にも行かないと…」
「けどもう面会時間過ぎてるよ?」
「え?そうなの!?」
「そういうのはちゃんと調べた方がいいわよ」
さやかは少し前まで病院に幼馴染のお見舞いのために通っていたため、そういう時間はよく知っていた。が、やはりそれを忘れて何回もお見舞いし損ねたことが2、3回ほど…。
「というか裁縫はどうしたのよ」
「あっ!それも忘れてた!」
と、えりかはいろいろなことをすっかり忘れていた。このあたりまで来て、まどかが痛烈な一言。
「なんだかさやかちゃんみたい」
「「まどか、どういう意味?」」
えりかとさやかその声は二つ重なって逆にきれいに聞こえたそうだ。
「い、いやティヒヒヒヒ…」
(ところで何なのあの笑い声?)
そんな彼女たちの様子をやはり見つめる目が一組、そして…。
病院、消灯時間はまだであるが、面会時間も通院の時間も過ぎていたため、そこにいる人影は限られていた。そして、最後に入口に現れたのはつぼみとその母親であった。
「一人で帰れる?」
「はい、道順は覚えてますし、基本的に明るい道でしたから」
「そう、それならいいわ、私は先生に少し話があるから一緒に帰れないけれど…」
「大丈夫ですから、お母さんは少しでもふたばのそばにいてあげてください」
「つぼみ…」
そんな感じで二人は別れ、つぼみは学校が用意してくれた寮へと帰っていく。だが一人ではなかった。
「つぼみ大丈夫ですか?」
「えぇ、平気ですよシプレ…」
「でも、目の下にクマができてるです」
「心配なんていりませんよコフレ…私はまだ大丈夫ですから…」
空に浮かぶ妖精との不思議な会話。それを見つめるのは赤い一組の目玉であった。
と、言うわけですでに二人とも魔法少女になっています。
というか、凱旋門の魔女だったらまどか一人でよかったかも…。