映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に 作:牢吏川波実
外伝(みゆき編):絶体絶命!?迷子と迷子の女の子!!
昔々あるところに
小さな村がありました
ある時村に人に化けた狼がやってきました
狼は夜になると毎日のように村の人たちを襲っていました
森に棲む心優しい魔女は村人たちをかわいそうに思い
魔法で狼をやっつけてあげました
村は平和になりましたが自分が襲われるのを恐れた村人たちは
今までのことを魔女の仕業にして
村から追い出してしまいました
「わ…私、星空みゆき。絵本が大好きな中学2年生!」
「そう、私はスズネ…好きなものはないわ」
と、自己紹介をしている二人がいた。ピンク色の髪を持って寝巻に体を包んでいるのがみゆき。白、または銀色の髪を持つ少女がすずねである。
「よろしくねすずねちゃん!…あのところで」
「なに?」
ふと見ただけではただ自己紹介をしている中務づましい中学生に見える。
「コレ…もうそろそろしまってくれないかな?」
「…」
真夜中で、どこかの路地裏で、みゆきの後ろから首筋に刃を立てた女の子との会話でなければの話ではあるが。
「心配しないで、苦しまないで殺してあげるから」
と、言うのはスズネである。首に向かって直角に剣の刃を立てている彼女のその声色は、冗談を言っているようには思えなかった。
「えっと…それ以外の選択肢はないのでしょうか?」
「ないわ」
「えぇー…」
そんな情けない声を挙げてしまったみゆきの手にはピンク色に輝く宝石があった。なぜ、こんなことになってしまったのかというと、話は数十分前にさかのぼる。
「あれ、おかしいな…」
その声を発したのは星空みゆきであった。時刻は10時を少し回ったあたり、お風呂にも入ってきてもうそろそろ寝ようかと思ったとき、明日宿題を提出しなければならないということを思い出して通学カバンの中を探っていた。中身も全て出して探したが、どうにもノートが見当たらなかった。いったいどこに行ったのか、取りあえず今日の行動を思い出してみる。
「あっ、そう言えば今日帰った後に…」
と、みゆきが思い出したのは帰ってから絵本を探しに行った図書館の事だ。そういえばあそこにカバンも持って行っていた。…あと転んで中身をぶちまけたりしていた。きっとあの時持ち帰り忘れたに違いないと思った。
「あの時落っことしたのか…よし!」
ということでみゆきは部屋の本棚に向かう。何故、部屋の入口に向かわないのかというと、答えは簡単、その図書館への入口はその本棚なのだ。いや、正確に言うと本棚全てといった方が正しいのかもしれない。
「ふしぎ図書館へレッツゴー!」
…とは別に言わなくてもいいのだが何となく言ってみた。因みに現在部屋には彼女一人である。本来はここにもう一体いるのだが、今日は兄のところに行っているためいなかった。そのため彼女を止めるものは何もなかった。みゆきは目線の少し下にある段の本を右に、その下の段にある本を左にずらす。最後に元の段にある本を左右に開くようにずらす。すると、本棚から光が漏れ彼女の姿を消していく。次の瞬間あら不思議…。
「あ…あれ?」
見たことのない空間が目の前にあった。
「ここ…どこ?」
誰が読んだ本の虫。
皆が読んだ本の虫。
私は言う本が好き。
皆は言う変わり者。
私はそれでも本が好き。
だから私はここに来た。
だれにも邪魔されない場所に来た。
あぁ、でも私の邪魔をする。
私を変人扱いする人たち。
だから私は黙らせた。やっと静かな時間ができた。だけれどどうして結末がないの?読んでも読んでも見つからない。ハッピーエンドが見つからない。あの子は幸せにならなきゃいけないのに。悪者はひどい目に合わなければならないのに。
私は幸せにならなきゃいけないのに
ほら、また悪者がやってきた。私の物語にやってきた。だから早く倒しちゃおう。
だって私が主人公だから。
みゆきは周りを見渡す。所々に本棚が点在しているが、置かれている本の数は少ない。何冊か本が落ちているのも見える。後ろには、自分が出てきたであろう本棚があった。しかし、そこには本がない。上を見ると、何かが飛んでいた。箒にまたがっているところを見ると魔女のようにも見える。
「なんでこんなところに…私、ちゃんとふしぎ図書館を思い浮かべていたのに…」
みゆきが言っているのは、移動する際に他の物に気を取られると、目的地とは異なる場所へとたどり着いてしまうというふしぎ図書館の欠点であった。かつてまだそのことについて知らなかったみゆきは、移動の際にペンギンを思い浮かべて南極に行って凍え死にそうになったこともある。しかし今回みゆきはふしぎ図書館を思い浮かべたはずだった。そもそも絶対というわけではないが、あの移動方法でべつの目的地へ行くのはふしぎ図書館からがほとんどだったはずだ。
「はっぷっぷー…とにかく早く帰らないと…ん?」
取りあえずすぐ後ろの本棚には本はなく、さらに周りの本棚にもほとんど本がないのでそれ相応に本が詰まっている本棚を探すことにした。が、その時上から『ヒュ~』という音が聴こえてくる。
「なに、この音?」
みゆきは上を見てみる。するとそこにいたのは先ほど見つけた魔女と、なにか小さい物がひとつ落ちてくる様子だった。ソレはみゆきの後ろの本棚の向こう側に落ちる。その落ちる瞬間みゆきの目に見えたのは彼女がよく知る果物だった。
「リンゴ?」
よく童話などで登場するメジャーな果物である。何故そのようなものが降ってきたのか、よくわからなかったが好奇心からか、リンゴを拾いに行こうとする。その時、本棚の向こうに閃光が走った。
「へ?…うわぁ!!?」
その瞬間、本棚の横から突風と煙がみゆきを襲った。幸い遮蔽するものがあったためにそれが直接彼女に当たることはなかったが、少しだけ飛ばされてしまった。
「痛たたたた…」
取りあえず起き上がったみゆきであるが、しかし、上からは先ほどのリンゴが大量に落ちてくる。どうやら魔女が投げ込んでいるらしい、などと冷静に分析している暇など彼女にはなかった。
「嘘ぉ!?」
みゆきはその爆風から逃げなければならなかった。一応彼女はチア部に入っている。そのためそれ相応に体力はある方だ。とはいえ、体力があるのと走力は比例しているわけではない。文字通り死ぬ気で走りに走る。と、その内あることに気が付いた。
「あっそうだ、これなら!」
そういうと、ポケットに入っていたコンパクトを取り出す。(寝る気でいたのになぜそんなところにソレを入れていたかについては突っ込んではいけない)
みゆきはコンパクト、スマイルパクトのふたを開く。中には下半分に右から黄色、オレンジ、赤、ピンク、紫、青そして緑の小さな宝石が円状に並んでおり、上半分には何かをはめられる場所があった。みゆきはそこにリボンの形をしたアクセサリーをはめ込む。すると、コンパクトから電子音のような声が響く。
≪Ready?≫
そして彼女はそれにこたえるように一つの言葉を放つ。
「プリキュア!スマイルチャージ!!」
その時、コンパクトの方に意識が持っていかれた彼女の周りにリンゴ爆弾が次々と落ちていく。やがて大きな煙が視界を遮り、魔女…否魔女の使い魔からは見えなくなってしまった。使い魔は、これで終わっただろうと考えたことだろう。しかし、無論そんなことはなかった。彼女は使い魔の見えないところでピンク色のバリアによって守られていた。
≪go!go go! let’s go HAPPY!≫
その電子音と共にスマイルパクトからパフ、女性がファンデーションを塗るときに使うスポンジのようなものが現れる。みゆきはそれを右手に付けて、左手、左足、右足、左肩、右肩、腹部と叩いていく。すると叩かれた場所から順に服へと変わり、最後に髪の色がより鮮やかとなり、長髪となって変身が完了する。
「キラキラ輝く、未来の光!!キュアハッピー!!」
瞬間、みゆき改めキュアハッピーを中心に光が放出され、彼女の周りを覆っていた煙が吹き飛ぶ。使い魔は彼女の姿を確認したのち、リンゴ爆弾を投入する。ハッピーはしかし、それを軽々とよけながらその内一つを取る。
「はぁぁ!!!」
それを投げ返すと、集団の中心でおおきな爆発が起こる。その結果、使い魔の半分を倒すことに成功した。しかし、まだまだ敵は多い。かつての彼女であれば、ここで全部殲滅するために必殺技を放っていた。しかし、彼女たちスマイルプリキュアの必殺技は使用制限があり、ほとんどの場合一度の変身で一度しか出すことができない。そのため、こういった、いわゆる雑魚敵に出すようなものではない…と彼女達は一年間戦ってようやく気が付いたらしい。実際彼女たちはバッドエンド王国と戦っていた中で、すこぶるどうでもいい場面や、効果がないと分かっているのに無駄打ちしてピンチになったことが一度や二度じゃない。バッドエンド王国を倒し、先輩や後輩のプリキュアたちと交流を重ねていった結果、ようやく自分たちの戦い方を学ぶことができたのだ。…あまりに遅すぎるだろ。
「よしっ、ここはコレで!」
といって彼女が取り出したのは蝶々型のアクセサリーである。ハッピーはそれをスマイルパクトに装填する。
≪let’s go!tyoutyo!!≫
その音と共に、彼女の背中に金色の光がぶつかる。一瞬白い光に包まれたあと、彼女の背中に蝶々のような羽が現れる。彼女が使った蝶々デコルは、プリキュアに空を飛翔する能力を付加することができる。ハッピーは魔女を見据えて跳びあがる。
「ハァ!ハァァ!!!」
ハッピーは大雑把に、しかし着々と使い魔を倒していく。ある時はキックで、ある時はパンチで、ある時は突っ込んでくる使い魔を容易に避け箒を掴み、ジャイアントスイングの要領で回転し、他の使い魔も巻き込んで倒していった。数分後、全ての使い魔を倒したことを確認すると、今度は出口を探しに行く。しかし、彼女は出口を探しに行くつもりが、じつは結界の奥に来てしまっていたことには気がつかなかった。
スマイルプリキュアの必殺技は、最終回で何発も撃っていた気もしますが、スルーの方向で。
あと、久々にプリキュアっぽいサブタイトルを付けました。というか、付けれる雰囲気だと思ったからです。具体的に言えば、若干ダークな雰囲気だとまどか風に文中の台詞でサブタイトルを作って、プリキュアのような雰囲気だと思ったらプリキュアのサブタイトルっぽく作っています。…つまり勝手なさじ加減である。