映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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一番最後の文章は、なんとなく見たことのある文字を並べてみた。


外伝(ありす編):弱肉強食!攻撃は最大の防御!!

 戦闘が始まって十分足らず、戦いを優位に運んでいたのは主に怪物(魔女)であった。

 

「カッチカチの、ロゼッタウォール!!」

 

 キュアロゼッタは両の手に四つ葉のクローバー型の障壁を出現させ、何とか怪物の攻撃を防いでいた。だが、そこから攻撃に繋がらない。これは、キュアロゼッタの戦闘スタイルに関係する。そもそもキュアロゼッタはドキドキプリキュア5人の中では主に防御担当である。そのため、彼女の必殺技は現在使っているロゼッタウォールを含めてほとんどが防御技。唯一ロゼッタバルーンという必殺技が敵を倒す可能性がある。なぜなら、出てくるものはランダムであるため、攻撃に使えるものが出る可能性もあれば、訳も分からない物が出てくる場合もある。つまり、ロゼッタ一人で敵を倒せるかと聞かれれば、難しいと言わざるを得ない。その時、油を刺していないような機械音を盾ながら、怪物は大剣を振り上げる。

 

「今しかない!はぁ!!」

 

 ロゼッタは、その隙を見逃さず、正面から突撃する。先ほど、ロゼッタには攻撃する手段がないといったが、それは通常使用の必殺技という意味である。正確に言えば、打撃技、蹴る殴るといったほとんどのプリキュアが使用している通常攻撃技を使うことができる。それも、彼女は素の変身していない状態でかなり強い。具体的に言えば、空手、柔道、剣道、合気道を会得しており、小学生の頃に友達の六花を侮辱した図体のでかい小学生2人と中学生1人を相手にパーフェクトゲームで完膚なきまでにぶち倒したという過去を持っているほど。それでもまだわからないのであれば、彼女を示唆する言葉の中で最も理にかなっている言葉を教えよう。

 

「ハァッ!!!」

「!!!」

 

 打てば必中。

 

「フッ!」

 

 守りは固く。

 

「ッ!」

 

 進む姿は乱れ無し。

 

「タァ!!」

 

 鉄の掟、鋼の心。それが…。

 

「これで終わりです!!」

 

 というのは彼女の知り合いの名家の格言である。それはともかくとして、激しい打撃の連続技によって、敵に反撃の機会を与えないままに一方的な攻撃が続いていく。先ほど、彼女は防御担当と言ったが、それは役割の上であり、必殺技も防御型の物に偏っているというのは、理論上の物である。彼女の恐ろしいところは、それらの必殺技を応用させる、というか応用技がかなり多く、また強力であるということだ。ある時には半分になった盾を扇子のような形にして敵を攻撃したり、ブーメランのように投げたりと、それらを有効に活用しているのである。

 

「ラブハートアロー!!」

 

 ロゼッタがその言葉を発したと同時に、黄色い光が拡散して、ピンク色のハートの形をしたモノが出現する。ロゼッタの言葉から察するにそれは弓なのだろうが、ボウガンのようにも見える。ロゼッタは、ソレのハート型のアクセサリー部分に、変身した時に使った小道具に少し似た物を乗せ、柄の部分に4つ直列に並んだ4色のハートをなぞる。すると、弓の先についていた宝石がまばゆい黄色の光を放ち始める。

 

「プリキュア!ロゼッタリフレクション!!」

 

 ロゼッタは、ラブハートアローの突き出ている赤い部分を差し込む。そして、腕を目の前で自分から見て反時計回りに回して円を作る。それは、ただの輪っかであったが、次の瞬間光が満ちて、四葉のクローバーの形となる。それは先ほどのロゼッタウォールの強化版のような物。つまり、防御技だ。だが、ここからである。ロゼッタは、出現したその盾の大きさを自分の手より少し大きいサイズに二つに分割し、跳びあがる。そして、敵の斜め上に到達すると、大きく両の腕を広げる。

 

「ロゼッタリフレクション!ダブルクラッシュ!!」

 

 瞬間、シンバルを叩くように二つのロゼッタリフレクションで敵を挟みこんだ。防御においてかなりの硬度を誇るその技。それで相手を挟み込んだのだから、この一撃は重いものとなった。ところで、ひとつ疑問が残る。確かにこの技や、ロゼッタの応用技はかなり強い。しかし、彼女は防御特化なはずである。防御もさることながら、何故このように攻撃も強いのであろうか。西洋には、このようなことわざがある。答えは、それに集約されていると言えよう。

 

≪Attack is the best form of defense.≫

 

 又は

 

≪The best defense is a good offense.≫

 

 日本語に訳せばこうなる。

 

『攻撃は最大の防御』

 

 

「はぁ、はぁ、はぁ…」

 

 怪物は、その衝撃によって押しつぶされ、頭の部分だけが取り残される。それで終わったのか、周囲の景色が元に戻っていく。元の応接室の様子が帰ってきた。だが、そこには先ほど部屋に入った時とは違う物があった。置物ののようになった怪物の頭、そして黒い宝石。

 

「ふぅ…どうやら終わったようだな」

 

 と、現れたのは賢木である。今まで逃げ回っていたためか、先ほどまでは整っていた髪も乱れてしまっている。

 

「えぇ…いったい、何だったんでしょうか…」

「さぁな…この宝石はなんだ?」

「さっきの怪物が落としていったでランス~」

 

 賢木は、それを帰ってから調べようと考え、ポケットの中へと忍び込ませる。変身を解いたありすは、怪物の頭を見て、庭に飾ったら恰好が付くだろうか、と思っていた。それはともかく。

 

「では、調査を続けましょう…」

「あぁ、ここなら何か掴めるかもしれないな…」

 

 その部屋は、他の部屋と違って荒らされていない。と、いうことは情報も新鮮なものとなるはず。賢木はソファーに触れて超能力を使用する。

 

「…」

「どうですか?」

「ちょっと待て…大丈夫だ、かなり古いところまで潜れる…」

 

 ビンゴ、というものだ。今までは、子供が怖がっている映像や雑言のためにほとんど読むことができていなかった。しかし、ここはそういうことはなく、先ほどまでとは違って、美国議員が自殺する以前の映像まで見れるようであった。そのビジョンの中で、一人の男が室内に入ってきた。

 

≪あれは…美国議員…≫

 

 自画像にある顔、ニュースでも報告書でも何回も見たことのある美国議員の顔である。忘れるわけがない。美国議員は、一度窓の方まで歩いていき、カーテンを引いた。そして周囲を見渡す。どこかからの視線を気にしている?そして美国議員は、自分の自画像の元へと向かう。そして…。

 

≪なんだ…まさか隠し金庫?≫

 

 彼の背中に隠れてよく見えないが、絵の後ろにはなにかがあるようだ。ベタな展開からすれば、確実に金庫であろう。しかし気になることがある。物に直接的に触れていないため思考諸々が読めないのは分かるが、絵の後ろは映像ぼやけていてよくわからない。そのため、番号を読み取ることもできない。直接金庫に触れれば分かるだろうか。それは置いといて。映像は次に切り替わる。

 

≪あれは、美国の嬢ちゃんと…誰だ?≫

 

 次に映ったのは美国織莉子と一人の少女が抱き合っている映像である。そして黒髪の少女が見えた。着ている服は制服だろう。美国織莉子は白いドレスを着て顔を覆って何かを考えているようだ。なんだか、奇妙な組み合わせだ。そして、これらの映像は比較的新しいものであるため、会話も聞こえる。

 

『一体…どうすればいいの…』

 

 何か悩んでいるようだ。だが、これまた奇妙だ。今度は、ソファーに直接座っている…いや座っていた彼女の思考を読もうとしているというのに、先ほどと同じく、全く読むことができない。

 

『織莉子…』

『キリカ…』

 

 黒髪の少女はキリカという名前らしい。

 

『なんでも言ってくれ織莉子、私は織莉子の為なら、何だってする』

『キリカ、でも…いえ、これしかない…』

『織莉子?』

 

 そう言うと、織莉子は立ち上がって、何かのメモを書いてキリカに渡した。

 

『キリカ、今すぐこの子を連れてきて』

『誰だい?』

『これは賭けでしかない…でもこの世界を救うためには、この子たちの力を借りるしかない…』

『…織莉子が言うんなら…分かった』

『ありがとう…』

 

 この世界を救う。一体どういう意味だろうか。

 

『さぁ、早く行動に移しましょう…期限はあと2日…それを過ぎると本当に全てが終わるわ』

『…分かった、行ってくる』

『お願い…』

 

 そして、キリカと言われた少女はドアを開けて外に出ていく。織莉子は一人、部屋に残って、肖像画を見つめている。すると周囲をまばゆい光が襲う。

 

≪なに!?≫

 

 それを見ていた賢木は、過去の映像を見ていることも忘れ、思わず手を目の前に持ってくる。そして、次の瞬間。

 

『…』

 

 織莉子はドレス姿から、普通の服へと変化していた。いったいどうやって、テレポーター?いや、美国織莉子はノーマルだったはず、それに光の正体はなんだ?謎が増えるばかりである。

 

『お父様見ましたか…あの子は、キリカは私の世田話とでも思うしかない話も、ちゃんと受け入れてくれました…』

 

 世田話、先ほどの話の中にはそのようなものと考えられるものはなかった。では、この部屋に来るまでに話をしていたのだろうか。やはりほかの部屋が荒らされていたのはまずかった。もっととれたであろう情報が、一切取れないために、話が断片的にしか聞くことができない。だが、ないよりはまし、と思った方が気が楽であろうか。

 

『私は…あなたを許さない…』

 

 その後、誰かが入ってくるという様子はたまに見られるが、しかし入ってきた後の映像が一切ない。と言うことが続いて、そのビジョンは終わった。

 

「…謎が増えただけか…」

「賢木さん」

「ん?あぁ、なんだ」

 

 その時、後ろからありすが声をかけてきた。

 

「申し訳ありません、先ほどセバスチャンから連絡があって、家の方に来客が来たということなので…」

「使えるようになったのか…そうか分かった、この家には俺の方から封鎖を頼んでおく」

「ありがとうございます…では」

 

 そして、ありすはその場から去っていった。そして賢木はポケットから携帯を取り出しアンテナが立っているのを確認すると、B.A.B.E.L.の本部に連絡を入れて、警察には内密に美国邸の封鎖を頼む。警察であれば、何らかの圧力によってもみ消しが行われる可能性があるが、B.A.B.E.L.は局長が局長なので、一切の政治的圧力に屈しない。そのため、今回のように政治がかかわっているような事件では、B.A.B.E.L.が封鎖をした方がいいのだ。そして、電話を終えた賢木は、増援が到着するまでにやるべき事をする。

 

「この後ろ…覗いてみるか」

 

 先ほどのビジョンの内容からすると、彼の自画像の後ろに美国久臣は何かを隠していた。賢木は、そこを調べようと絵を持ち上げようとする。しかし、絵は微動だにしない。

 

「ん、なんでだ?」

 

 おそらく、何か仕掛けがあるのだろう。そこで、賢木は再び能力を使用するが、探ることはできず、ぼやけてしまう。超能力の使い過ぎで疲れているのだろうか。いや、違う。

 

「ECM…か」

 

 ECM、それは超能力対抗措置の英語名、Esp Counter Measureの頭文字を取ったものである。その装置ならば超度7のエスパーであっても、能力を奪うことができる。この部屋以外ではそれほど力に制限がかかっていなかったことから見て、小型の物であろうか。ともかくECCM、ECMを無効化する装置がなければ話にならない。彼はもう一度本部に連絡を入れた。

 

 

 

「はぁ…」

「ありす、少し疲れてるでランス?」

 

 一方ありすは、執事のセバスチャンの運転する車にて、屋敷への帰路についていた。賢木とあっていた時と違い、その顔には疲れがたまっているようにも見える。

 

「えぇでも大丈夫…それよりセバスチャン、来客は彼女で間違いないのですね」

「はい、おそらくあの件についてかと…」

「この時期とタイミングからすると、間違いありませんね…」

 

 数週間前、ある学校の廃校、並びに町の廃艦が決まった。それはずっと前に決まっていたことだったしかし、その学校に属している少女たちはそれを許さなかった。皆で戦って、みんなでつかみ取った平穏、絆でつかみ取った学校の存続、のはずだった。しかし、政府はすでに決まったことであるということで、結局学校の取り壊しを防ぐことはできなかった。その学校には、自分の友達がいる。彼女から、そのことについての連絡を受けた後、すぐに総理大臣に事情を聴きに行くと、確かに学園艦の廃艦についてが審議されていたという。だが、例え総理大臣であったとしても、一役人と一生徒会長の間で交わされた口約束など何の効果もなく、運航費や維持費、その他、生徒数の減少などが原因として学園艦の廃艦を止めることはできなかったそうだ。学園艦、についての説明は細かくしないが、ともかく、軍艦の上に街があると思ってもらった方が簡単である。

 

「自分たちが戦ってきた意味、それを無駄にしないために立ち向かいたいあの人の気持ちはわかります…」

「とはいえ、このまま無理が続くのなら一度…」

「いえ、こんな時だからこそ、休んではいられません…動けるのは、私しか…」

 

 と、言うのもドキドキプリキュアの他のメンバー4人とも、それぞれがそれぞれの役割や仕事があるため、現在動くことができるのはありすだけであるとしか言いようがない。また、ありすが動いている主な理由は個人的なものであるため、他のプリキュアたちに頼むのもはばかられる。とはいえ、先から見ている通り、アリス自身も他の仕事と平行しての事であるので、忙しい合間を縫って行動しているため、この頃の睡眠時間が3時間を切る日がざらにあるのが現状だ。

 

「その件なのですが、お嬢様」

「え?」

「本当に4人なのでしょうか…」

「え、何を言っているのですセバスチャン?」

 

 ありすは、セバスチャンの質問に聞き返す。ドキドキプリキュアは六花、真琴、亜久里、そしてレジーナの4人と、自分、の、5人…のはず。

 

「いえ…実はここ最近、何か大事なことを忘れているような気がしてならないのです」

「大事な…こと……」

「…そういえば、胸にポッカリ穴が開いた感じでランス~」

 

 確かに自分の心の中にはモヤっとした感情があった。何かを忘れているからなのか。だが、なにを。待て、そういえば自分は何故誰かのためにこうまでして頑張っている。他人じゃないか、いやだけど友達だ。ただそれで十分じゃないか。どうして、そんな当たり前のことを…。当たり前?なんで?それになんだろう、自分の頬を伝っている物は、この暖かいものは…。

 

「ありす?」

「お嬢様?」

「え…ご、ごめんなさい…なぜか、涙が…」

 

 なんだ、今一瞬誰かの名前が見えた気がする。

 忘れちゃだめな人

 忘れたくない人。

 忘れたくなかった人。

 

 

 

 

貴方の名前は。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  …名前は。




 最初、ロゼッタを苦戦させて賢木に活躍の場を作ってあげようと思ったけど、よく考えたらあの子が苦戦するはずないなと直感で感じたため、戦闘はあっさりしたものとなりました。

 それと、あの最終回はちょっとまずい気がする…。修正できるかな…。

 あとこの物語における核爆弾級の矛盾の解決方法…この程度しか打つ手がない私を許してください。そして、そのためにもしかしたらこの小説の≪本編≫の進み具合が遅くなる恐れがあることも許してください。
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