映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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 今回、かずみ☆マギカのネタバレをしているので、注意してください。っていうの注意したほうがいいのかな?
 というか、雑のため、2連投しましたが、誤魔化し切れません…。
 なんか、かずみのキャラが違う気がする…。
 まずい、このままじゃマギカ勢下げというかマギカ勢を踏み台にしてしまう…。どうすればいい…。


外伝(みゆき編):日記と共に!つながり行く思い!

「かずみちゃん…」

「薫子さん、私…一つ嘘つきました」

「え?」

 

 ソウルジェム、その反応から見て魔法少女の関係者だと知られてしまったかずみは、それに伴う形で自身の正体について話す決意をした。

 

「私、グランマとすごした記憶…ないんです…」

「…」

「グランマと一緒に暮らしていたのは和沙ミチル…私のオリジナルの女の子なんです」

「オリジナル?」

「…」

 

 和美はカバンの中から一つの本を取り出した。diario、スペイン語で日記と書かれたもの。その下にはイニシャルだろうか。M・Kという文字。先ほどかずみが言っていた女の子の名前は和沙ミチル、イニシャルはM・K。

 

「これは、日記?」

「うん、和沙ミチルの日記…」

「読んでもいいかしら?」

「うん…」

 

 薫子がその本を開いて、周りのみゆきたちがそれを後ろから覗き見る。まず最初のページに書かれているのは、グランマと言う人、つまりマイアのイチゴリゾットの作り方だった。そこには写真があって、映っているのは紛れもなくマイアであり、一緒に写ってるのは和美によく似た女の子。この子がミチルなのだろう。日記を開いていく。ある日のページを開く。

 

 〇月×日、グランマが危篤になったという知らせを受けて、私はすぐに日本へと帰った。

 〇月△日、空港についてすぐに、私はグランマの家へと向かった。その途中で、私は不思議な体験をした。気が付いたら、変な空間へと紛れ込んでいた。

 

「変な空間…私と同じだ…」

「…」

「そこにはよくわからない…」

 

 よくわからない置物があって、それに気を取られていたら後ろから何かに襲われた。何が何だか分からなかったけれど、ひとつわかっていたことは、このままじゃ死んでしまうということだった。もうだめだ、そう思ったその時黄色いお姉さんが現れた。猫のような生き物を連れたお姉さんは、魔法少女だと言っていた。

 

「魔法少女…」

 

 魔法少女のお姉さんはすぐに怪物を倒して、帰っていった。その時のお姉さんの『ティロ・フィナーレ』という言葉は、今こうして日記を書いている時にも忘れない。お姉さんのおかげで助かった私は、何とかグランマの元へとたどり着いた。けど、グランマの主治医の方は、もってあと数日だって言われた。人工呼吸器を使用することによる延命治療を勧められたが、私はそれを選択しなかった。それが、グランマの意志だったから。

 

「尊厳死…というものですね」

「…」

 

 けど、それでもまだまだ教えてもらいたいことがあった。まだグランマのイチゴリゾットが食べたかった。もう一度だけでいいから目を開けてもらいたい。そう私はグランマの眠るベッドの横で言ったその時、声が聞こえた。

 

『ボクなら、キミの願いを叶えることができるよ。だからボクと契約して、魔法少女になってよ!』

 

 その言葉を発したのは、あの魔法少女のお姉さんの足元にいた猫のような動物だ。

 

「猫のような動物?」

「妖精かな?」

「だったら何倍ましだったかな…」

 

 かずみは、そんな彼女たちの言葉に薄っすらと笑みをこぼす。それはまるで自傷したかのような笑みだった。続けて、日記を読む。

 

 その子は、キュゥべえというらしい。キュゥべえが言うには、願いを一つだけ叶えてくれるそうだが、その代わりあの怪物と戦わなければいけないそうだ。けど、私はそれでもよかった。私は、キュゥべえに言った。

 

『それでもいい、わたし魔法少女になる。グランマの命が尽きるまででいいからグランマを元のグランマに戻して』

 

 って、キュゥべえは、病気も治せるのにそれでいいのかと言われたが、それはグランマの生き方を踏みにじることになるから。だから…。そして、私は魔法少女という物になったらしい。そして、グランマの目が覚めた。グランマは、それが夢だと思っていた。私は、グランマが天国に行くまでに見る、最後の夢だと、そして、グランマにイチゴリゾットの作り方を教えてもらった。一人になっても、ずっと食べられるように。…。ここからは3日後、ようやく落ち着いてきたから書く。グランマは、その後私にイチゴリゾットの作り方を教えてくれた。あと数日でグランマの声が聴けなくなってしまう。こうして、側に寄り添うこともできなくなる。私は、思わずグランマに抱き着いた。グランマは、そんな私にこう言ってくれた。

 

『辛いことがあって、どうしていいか分からない時はおなかに聞きなさい。おなかが減って食べたいと感じたら』

 

『あなたは、まだ生きたいと思っているわ』

 

『ご飯を食べたら、あなたが食べた命のぶん頑張って生きなさい。それが希望になる。大丈夫、ヒトは決して絶望なんかしないわ。』

 

 そして、私にピアスをくれた。

 

 次の日、グランマは天国に行った。

 

「グス…」

「みゆき、泣いたらあかんって」

「でも、でも…グランマさんは…」

「こうして、誰かの思いはまた誰かへとつながれていくのですね…」

「うん…」

 

 この日記に、スマイルプリキュアの面々は、完全に涙に溺れていた。ゆり、そして薫子は冷静に日記を読み進めていく。それから書かれているのは、魔法少女としてのミチルの姿だった。そして、魔法少女をしているおかげで、大切な仲間に出会えたことも、その仲間に話せない秘密を抱えてしまったことも書かれていた。

 

「これは…」

「どうしたの?」

「これを見て…」

「?…え」

「…」

 

 そこに書かれていたのは、紛れもなく苦しみぬいて書いたであろう言葉。そのためか、読めなくなっている部分もある。

 

信じられない信じたくない

魔法少女が魔女になるなんて

知ってたらみんなが魔法少女にな……

喜んだりなんかしなかった

グランマ、わたしどうしたらいい……

こんなことだれにも相談でき…

 

 

 

 

みんな

ごめんなさ…

 

「魔法少女が、魔女に…?」

「魔女って…確かあの怪物の事なんやろ!?」

「そんな…」

「そこから先は、日記は何も書かれてないわね…」

「かずみちゃん、ミチルちゃんはその後…」

「…魔女になって、仲間に倒されたって…」

「そんな…」

「私は、そんなミチルの…和沙ミチルのクローン…」

「クローン?」

「ミチルの仲間はね…みんなミチルに助けられた子供達なの…みんなミチルが大好きだった…だから、私を魔女の肉と心臓で作った…13人目の私が、昴かずみなの…」

 

 その告白に、誰もが黙ってしまう。次に発せられる言葉に耳を澄まして。

 

「私は…そもそも人間じゃなかったんです。そして、友達がみんな、ミチルのために、たくさんの罪を犯して…6人、ううん7人いた友達も5人が死んじゃった…」

「…」

「そして、私はキュゥべえにかずみとしての願いを…『人間にして』って願いをかなえてもらって…昴かずみという魔法少女になったの…」

 

 かずみは、手にあった指輪をソウルジェムに変える。薄紫色のソレは、色は違えどテーブルの上にあるそれと瓜二つであった。

 

「私には、和沙ミチルの記憶がない。グランマと一緒に暮らした記憶も、仲間を助けた記憶も、グランマが作ってくれたイチゴリゾットの味も…だから、私はミチルじゃない…」

「かずみちゃん…」

「薫子さん、ごめんなさいダマして…さようなら!」

 

 かずみは、それだけを言って、入口の方へと走り出した。逃げ出した、といってもいいのかもしれない。だが、それを許さなかった少女がいることも確かだ。

 

「待って、かずみちゃん!」

 

 みゆきの言葉に、かずみの足が止まった。

 

「かずみちゃんは、嘘ついてないよ…」

「え、でも…」

「ちゃんと、ミチルちゃんを連れてきてくれたじゃん」

「あっ…」

 

 彼女が指したのは、日記だった。彼女の言う通り、そこに和沙ミチルの思い出も、記憶もある。そこに、嘘はない。

 

「それに、かずみちゃんもグランマさんの思い出の味、ミチルちゃんから引き継いでるじゃん」

「えぇ、マイアと一緒に暮らしていたミチルちゃんはもういないかもしれないけれど…それをもらったかずみちゃんと言うあなたは、ちゃんとここにいるわ」

「薫子さん…」

 

 記憶がない、そんなことはどうでもよかった。自分はかずみなのだから、ミチルじゃないのだから。でも、そんなことよりも、自分は薫子に、グランマの友達に嘘をついてしまった。そのことが辛く感じていたのかもしれない。でも、嘘をついてでもいいから、薫子にグランマが亡くなったことについて知らせなければと思っていた。でも、そんな必要はなかった。かずみとして、グランマの、ミチルの思いが詰まった日記を持ってくるだけでよかった。それが、グランマと一緒に暮らしたミチルを連れてくることになった。グランマの思いはミチルに、ミチルの思いは、プレイアデスという魔法少女の集まりに、そして、プレイアデスの仲間たちがかずみに伝えてくれた。思いは、想いは、そうしてつながり、後世まで残っていく。途切れることのない、蜘蛛の糸なのである。薫子は、ミチルの日記を持って、かずみに近づく。そして、かずみに手渡す。

 

「かずみちゃん…ミチルちゃんとマイアの思い出はいつもあなたと一緒にいる。もう一度言うわ、マイアと…ミチルちゃんのことも、忘れないであげてね」

「…はい」

 

 嘘で絡めた言葉の後じゃない、真実の後のその言葉は、心地いいものとしてある。こうして、薫子の思いもまた繋がっていくこととなった。




 あれだ、なんでかずみのキャラ設定があいまいなのか理由が分かった。自分あれ、全巻持ってるのに一度しか見てないんだった。なんか、読んでて恥ずかしくなって…。共感性羞恥だっけ…。で、耐えて耐えて読んでいたら、かずみのキャラ捉え間違えたかと…。
 かずみは別に、ミチルの記憶がないことについてどうこうというわけではありません。今回は文中にもある通り、薫子に嘘をついていたということについて動揺と言うか、罪悪感を感じているだけです。
 キャラの一人歩きを羽交い締めで止めているのですが、オリキャラが出てきたら放牧したなと思ってください。みゆきをどう止めよう…。えりかと同じことやりそうだしな…。

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