映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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今回も短い。あと今回あたりから精神状態の変化から文章が変わっていきます。
それから、ある作者からまだほとんどハートキャッチプリキュアしか出てないのにオールスターズでいいのか?と言われましたが長い目で見てもらいたいです。


ゆまは、千歳ゆま

幻想を照らす光、それは決して華やかなものだけとは限らない。確かに鮮やかで、煌びやかで、風光明媚という言葉は違うかもしれない。その景色だけはきれいだとは思っていけない物だった。血しぶきが舞い散るその景色だけは。

 

「あ、あぁ………」

 

先ほどまで自分のことを殴ったり蹴ったりしていた母親、先ほどまで自分の隣でお酒を飲んでいた父親。体が痛く、あざができることもあった。だが、彼女にとってそれが愛情だと思っていた。そしていい子にしていたら父も母も自分を殴らない、蹴らない、叱らない。それが愛だと思っていた。それが間違った愛だとは知らなかった。それが日常だった。先ほどまでその日常があったはずなのに、それが塗りつぶされた。目の前の母だったものは顔がなくなり、父だったものは上下二つに分かれていた。『怪物』を彼女は初めて見た。それは自分が今まで見たことのない姿形だった。ただただ怖く、恐ろしい物が目の前にまで来た。だが、彼女は逃げることができなかった。恐怖に体がまったく動かず、彼女にできることは何もなかった。

 

「あっ…」

 

彼女のその小さい命の灯が消えようとしていた。

 

しかし、赤い閃光が目の前を走った。

 

「…」

 

その閃光は彼女の目の前で大きく口を開けた異形物を一瞬で遠くに吹き飛ばす。彼女が見たその閃光の姿は、赤く槍を持った少女に代わっていった。

 

「えっ?」

 

その時、遠くまで吹き飛ばされた怪物がまた恐ろしい表情を浮かべながら向かってくる。こちらを向いていた赤い少女の顔はまた、怪物に向かう。

 

「チッ、しぶとい!!」

 

怪物の目と鼻の先まで走った彼女は突然飛び上がり、手に持った槍を投擲する。その槍は怪物を突き抜き、刃が地面に突き刺さった。そして、垂直になった槍の持ち手の先に鳥が止まり木に休むかのようにゆったりと降りて行った。

 

「キレイ…」

 

幼い少女である千歳ゆまにとってはそれは女神にもそして天使にも見えた。数舜の後、突然の轟音と共に怪物は四方に吹き飛び、何か小さい物体をその場に落とした。赤い少女も槍から降り、怪物が落とした小物を拾うと、ゆまの方に向かってくる。

 

「おい、大丈夫か?」

「うん、ゆまは平気、でも…」

 

そういうと、ゆまはある方向を見た。その先には血にまみれた遺体が二組。少女、佐倉杏子はそのさまを見てすぐに感づいた。

 

「お前の親か?」

「うん…」

 

杏子はそれを聞くと、手を十字に切った後腕を胸の前で組んで祈るように目をつぶった。そして目を開けたときにはどうやら周りの景色がもとに戻ろうとしているようだった。異形の怪物、魔女の結界はその主を失ったことによって消滅していくのだ。この際、結界の中に放り込まれた無機物は消滅する。故に…。

 

「あっ…」

 

ゆまの両親の遺体もまた、無機物と成り下がってしまったため結界と共に消滅した。

 

「ゆま、一人ぼっちになっちゃった…」

「…」

 

杏子は背中越しに少女の寂しそうな声を聴く。どれだけひどい虐待にあったとしてもゆまにとって親は親であった。だから、その親がいなくなったことは一般の人間には想像にしがたい。だが、杏子には痛いほど身に染みた。ゆまの心の内が。彼女はその昔、父を母をそして妹を亡くしている。家族を失った佐倉杏子と千歳ゆま、この二人が出会う事は必然であったのだろうか。

 

「お前、名前は?」

「…ゆまは、千歳ゆま」

「そっ、あたしは佐倉杏子…一緒に行くかい?当てはないんだろ?」

 

いや、偶然であるわけない。これが二人の最初の出会いであり、二人の一人ぼっちになってしまった少女たちの旅の始まりであった。

 

 




おりこ☆マギカ全巻持っていますしどんな出会いだったのかも知っていますけれど、あえて台詞回りを変えてみようかなと。(書いた当時紛失していたのはナイショである)
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