映画 プリキュアオールスターズVS魔法少女まどか☆マギカ 悠久の絶望は永久の希望に   作:牢吏川波実

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今回、あるアニメの影響で最後の方にあるキャラが変なセリフを口走ります。
…転載じゃないから大丈夫だよな……。


プリキュアみたいに…なりたいって

えりかが魔法少女に出会った次の日の昼休み。少女たちは屋上に集まっていた。通常学校の屋上というのは安全面の確保のため解放されていないのだが、この学校の屋上は柵が高く、点検もしっかりとされているため、そんなことはない。ちゃんとベンチも置かれており、あたりの装飾も煌びやかとしているため、一目見ただけでは学校の屋上だとは誰も思わないだろう。

 

「卵焼きもらった!!」

「あっ、ちょっとさやかちゃん!!」

 

そこには、まどか、さやか、えりか、つぼみ、そしてつぼみとは初対面になる、巴マミの五人が集まっていた。昨日念話で話は大まかに聞いたのだが、面と向かって話をしたいと言うつぼみの意向によって集まっていた。それは一見、唯の中学生の集まりのようにも見える。だが、その裏では日夜激しい戦いを繰り広げ、命がけで戦っている戦士などだといったい誰が信じるだろうか。

 

「それで、花咲さんだったわね、何を聞きたいの?」

「はい、魔法少女についてもっと詳しくお願いします。昨日はちょっと驚いて、詳しく聞けませんでしたから…」

「そうね、あっ来海さんグリーフシードは?」

「はいはい」

 

そういうとえりかはポケットからグリーフシードを取り出し、マミに手渡す。

 

「ありがとう、そして…」

 

マミが右手を翻すと、その手のひらに宝石が出現する。

 

「これがソウルジェム、これにグリーフシードを近づけると…」

 

そういいながらマミがグリーフシードをソウルジェムと言われた宝石に近づけるとソウルジェムの中から黒い霧のようなものが現れ、グリーフシードに移っていく。

 

「ほら、これでさっきよりきれいになったでしょ?」

「ホントですね…」

 

確かにさっき見た時よりももっとソウルジェムは黄色の輝きを放っていた。

 

「ソウルジェムは魔力を使うと、どんどん濁っていくの。だから魔女の卵であるグリーフシードで穢れを取らないと、濁りきって魔法を使えなくなってしまうの」

「へぇ~、なんだか面倒な作業…ってあっ!!さやか!私のウィンナー!!」

「へっへ~い、も~らった!!」

「コラまてぃ!!」

 

という感じでえりかとさやかの追いかけっこが始まった。そんな二人を放っておいて、マミ、つぼみ、そしてまどかは話を続ける。

 

「と、ところで願い事はなんでもいいんですか?」

「そうね…素質にもよるけれど、たいていのことはかなうはずよ」

「そうですか…」

 

いざとなったらQBに願いをかなえてもらおう。そう思っている彼女だが、もし自分に素質があまりなかったとしたら、と考えてしまった。そんな様子をみてまどかは声をかける。

 

「つぼみちゃんは…何かかなえてもらいたいことでもあるの?」

「あ、はい…」

「そう、でもそういうのはよく考えてからにした方がいいわよ」

「マミさんは…何を願ったんですか?」

「私は…考える時間もなかったから…」

 

そう言いながらマミはうつむく。そのことにまさか聞いてはいけないことを聞いてしまったのではないかとつぼみは恐る恐る聞いてみる。

 

「もしかして…あの……」

「大丈夫よ、私はもう…そうね、いい機会だから今のうちに話しておいた方がいいかもしれないわね…」

 

それはまだマミが小学校低学年であった時のことである。家族で山に旅行に出かけたその帰り道のことであった。燃えるように真っ赤になった山々を見て、写真も撮って、十分に楽しんだその帰り道、マミは疲れて眠っていたためあまり詳しいことは覚えていなかったが、突然車が何かに激突するような感覚に襲われたのだ。

 

交通事故である。

 

その際、マミの両親は即死、まだ幼かったマミは偶然車のシートの下に埋もれたため、即死は逃れたが、動けないでいた。このままでは自分もまた死んでしまう。そんな時、やって来たのが彼だった。『自分を助けてほしい』そう願った彼女はその事故唯一の生存者となった。それから彼女の魔法少女としての日常が始まったのだ。

 

「そうだったんですか…そんなつらい経験を…」

「そう…でももう昔の話よ。だからそんな顔をしないで」

「…はい」

「ふ~ん、ねぇさやかとまどかは何を願ったのか聞かせてよ!」

「え、私達?」

 

そこにいつの間にやら戻って来たえりかが二人にそう聞いた。因みに先ほどの追いかけっこはえりかの方に軍配が上がったようだ。

 

「そうだなぁ…クラスに一人、席が空いているのがいたでしょ?」

「?…あぁそういえば…」

 

そう、えりかとつぼみが教室を見回したとき、一か所だけ机がない席があったのだ。なぜかこの学校では休むと机が取り除かれ、休みという画面が出ると言う。なんだその無駄なハイテクというしかないものが現れていた。そのため、二人にはその場所が印象に残っていたのだ。

 

「あの席に、上条っていう男子がいるんだけど…そいつ事故で右手と左足が満足に動かせなくて…足の方は何とかなるって言われたらしいんだけれど…腕がね……」

 

話を聞くにその少年はバイオリンのコンクールに出るほどの実力があったそうで、もう手が動かないかもしれないと言われた時には鬱に陥ったと言う。それは下手をすれば自殺してしまうほどに…。

 

「そいつと私…幼馴染でさ…そいつのバイオリニストになりたいって夢知っていたから……」

「だからその子のために?」

「そっ、いまはリハビリ中で近々に戻ってくるってさ…で」

「あっ、私は…その……」

「?」

 

という事で次はまどかなのだが、口ごもって話そうとしない。

 

「ほらほらどうせ後で分かっちゃうことなんだからYOU言っちゃいなよ!」

「う、うん…えっと笑わないでね?」

 

と、さやかにどこかの事務所の社長のようなことを言いはる。一応笑わないという事に二人ともうなずき、まどかは重い口を開ける。

 

「プ…」

「プ?」

「プリキュアみたいに…なりたいって……」

「えっ!?」

 

プリキュアが世界的に有名になってから早行年、というよりほぼほぼこの一年の間なのだが、彼女たちの存在は一人の少女の夢になるぐらいに著名になっていた。

 

「そ、そうなんですか…」

 

とりあえず二人はそのプリキュアのため、まぁ何とも言えない。

 

「ていうかそんなんでもかなうもんなんだ…」

「そうね、鹿目さんは十分素質があったもの」

「そうなんですか…」

 

そして話は続いていく。裏で聞き耳を立てている者がいるなど知らずに。

 

「プリキュア……」

 

一瞬の後その少女の姿は消え、あたりには風が吹くだけであった。

 

そして放課後、二人は魔法少女体験コースに誘われたのだが、病院に行かなければならないと断った。本日は昨日と違い、えりかもまたふたばの見舞いに行きたかったからだ。病院についてしばらくし、ふたばのいるところまで案内された二人はしかし、つぼみはその様子の変わりように唖然とし、えりかはふたばが自分の想像以上に悪くなっていたことを知り言葉が出なかった。ふたばはPICU、つまり小児集中治療室という部屋の中にいたのだ。様々な機械に囲まれた彼女は、その小さな体がもっと小さく見え、今まさに命の炎が消えそうであった。そこにつぼみの母親みずきが扉の向こうから現れる。その足取りは重い足かせを付けられたようにゆっくりと重厚であった。

 

「つぼみ、えりかちゃん」

「つぼみのお母さん…」

「あの、ふたばは…ふたばは大丈夫なんですか?」

「…」

 

その時、みずきの顔は明らかに沈んだ。先ほどから浮かない顔をしていたのだが、それがより一層深みをまし、その表情を見るだけえ、つぼみとえりかにはふたばの容体が理解できてしまった。

 

「そんな…」

「もしかしたら…今夜にも……」

「うそ…うそですよそんなの…だって……だって…」

 

否定したかった。彼女はそんなことになっている今を否定したかった。ふたばが病気であるという事を否定したかった。全てを否定したかった。だが、そこにあるのは紛れもない現実である。理不尽で、勝手に時が進み、瞬く間に過ぎてゆく、普遍的なものであった。それが絶望であった。

 

「…」

 

それからどれだけの時間がたったのだろうか、彼女の意識がこちらの世界に引き戻された時、PICUのガラス、親族や見舞客が子供の様子を見るために設置されているガラスの前のベンチに座っていた。そしてその肩を抱いてくれていたのは、いつもと同じ、いつもそばにいてくれた、うれしい時も悲しい時もいつも一緒にいてくれた親友のえりかであった。そばにある時計を見て見ると、先ほどからこれっぽちしか時間が進んでいない。だが、彼女にはそれが何時間にも何年にも感じられる時であった。

 

「ねぇ、ちょっと外に出よっか」

「でも…その間にふたばが…」

 

このままではつぼみの方が病気になってしまう。だから、えりかは気分転換のために散歩に誘おうとしたのだが、つぼみの言う事も一理ある。もしかしたら自分が席をはずしているときに容体が悪くなるかもしれない。もしかしたら自分が目を離しているときに急変するかもしれない。もしかしたら今、この時にも…そう考えるとどうしてもその場所から離れる勇気はなかった。

 

「つぼみ、私も一度リフレッシュした方がいいと思うわ。急にあんなこと言われたら、誰だってそうなるもの」

「だから、ちょっとそのへんを歩いてらっしゃい。何かあったら看護師さんに呼びに行ってもらうから」

「…はい」

 

そこまで母に言われて反対する気力も反抗する気力もつぼみにはなかった。できるならその何かなどなくていいと思いながら、病院の外にえりかと一緒にでる。そして彼女たちは故意か偶然か駐輪場にまで来た。そこは、物語の分岐点ともいえる場所、彼女たちがそれを知っていたはずがない。

 

「あのさ、つぼみ…」

「…」

「つぼみ、元気出してくださいです!きっと、きっとふたばは…」

「…」

 

えりかやシフレたちがどれだけ励まそうと、彼女の心が癒えることはなかった。もし、いまだに砂漠の使徒がこの世界に残っていたら、真っ先に狙われてたであろう。確かに彼女の心の花は枯れきっていた。

 

「…つぼみ、魔法少女になるときは私も一緒だからね」

「えりか?」

「そりゃあさ、友達と遊ぶ時間も無くなるとか、勉強の時間も無くなるとか、寝る時間も無くなるとか言われちゃうとちょっと戸惑っちゃうけれど…。でも、今までと同じ。つぼみが一緒だったら、どんな困難でも乗り越えられる」

「えりか…」

「どう、少しは気が楽になった?」

「…はい」

「それじゃあ戻ろ…?」

 

その時、彼女たちの後ろで何かが刺さったような音がした。振り向いたその先に彼女たちが見た物、それは確かに見覚えのある物。

 

「あれって…!!」

「グリーフシードです!!」

「そんな、さっきまではなかったのに!」

「速くマミたちに連絡…」

 

コフレのその言葉はしかし、突然の光に遮られる。その光を外から見ていた影が二つ。

 

「フフフ…」

「どういうことかしら呉キリカ…」

「やぁ、お初にお目にかかるよ暁美ほむら」

 

黒き魔法少女が二人、一人は手に鋭い爪を持ち、一人は左手に不釣り合いな盾を持つ魔法少女。暁美ほむらと呼ばれた人物は確かに昨日見滝原に転校してきた少女そのものであった。

 

「あの二人を狙う理由はなに?あなたたちの目的は鹿目まどかだったはず」

「ふ~ん…織莉子の言う通り、なんでもご存じなんだね。けど何でもかんでも話すとは思わないことだね」

「なら…肉体言語で教えてもらいましょうか?」

 

一瞬、いや突然暁美ほむらの手に現れたのは拳銃であった。よく任侠映画で見る、トカレフと言われるあれである。

 

「ククク、そのリリカルなトカレフで私をキルゼムオールするつもりかい?」

「あなたはいったい何を言っているの?」

「…知らなかったか、残念だ」

 

肉体言語と、トカレフという組み合わせからキリカはほむらがボケに回ったのだと思ったらしい。どんな思考でそうなった。というかどうしてそれを知っていると思った。あとなんで銃を見ただけでトカレフと分る。本題に戻る。

 

「まっ、遊んでもいいんだけれどさ、こんなところで君を殺したら証拠が残っちゃうだろ?」

「やはり、この世界でもやっていたのね、魔法少女狩りを…」

「そうだね…ただ、君の行った世界がどんなのかは分からないけど、私たちは魔法少女の淘汰をしているんだよ。そうじゃなきゃすぐにグリーフシードが枯渇しちゃうからね…」

「なんですって?」

 

暁美ほむらは、呉キリカの存在を知っていた。そしてそのバックに三国織莉子という存在があることも知っていた。だが、その行動内容がいささかおかしい。今までのパターンであれば、魔法少女狩りの理由は世界の終焉を引き起こす魔女になりうる原因をQBの目から逸らすこと。だが、今回の場合、それをQBはすでに見つけているし、キリカははっきりと魔法少女の淘汰と、数を減らすことに重点を置いているのだ。

 

「君は知らないだろう、この一年で魔法少女の数が大幅に増えたという事に…」

「…」

「そしてその魔法少女はたいていは魔女になるか一度目、または二度目の戦闘で死んでしまうんだ…そんなのにグリーフシードを使われるのはもったいないと思わないかい?」

「…あなたは一体何様のつもり?」

「分からないの?」

 

キリカはそう言いながら遠くを見つめる。そこにはこちらに向かってくる3つの影があった。魔女の反応を受けて駆け付ける魔法少女、この街であったらきっと彼女達であろう。その3人を視界にとらえながら。誇らしげに、そしてほむらにとっては奇妙に笑いながら言った。

 

「この世界の救世主だよ」




思ったが、えりかの性格がなんか変。
もしかしたら自分の思っているえりかと実際のえりかの性格と違うのかも…。
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