リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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ちょっと地の文多め


会合と一誠の怒り

 

あれからサイラオーグ・バアルとシーグヴァイラ・アガレスと話していた。俺の立場は中立だから若手悪魔のレーティングゲームに参加できないし、しない。前情報ではあるが、サイラオーグは若手悪魔の中では最高峰の実力の保有者だ。実物を見るとその評価も納得できるというものだ。そして途中から全身にタトゥーを刻んでいるゼファードル・グラシャラボラスが入ってきた。何か言っているが聞く耳を持つほどの価値もない。

 

俺が無視していると、シーグヴァイラ・アガレスの方に飛び火した。サイラオーグはすでに部屋から出ていっていた。争いが激化していく中、グレモリー眷属とサイラオーグが見えた。そろそろ止めるかと思ったら、なにやら寝言が聞こえた。

 

「これだから次期当主様は処女くさくてかなわないな!俺がちょいと貫通式でもしてやろうかって言ってんのによ!なんならそこの人間の女どもも一緒にやってやろう、か!?」

 

 

「願い下げだね。この程度の速度も認識できない相手と肌を合わせるなんて御免だよ。もうちょっとマシになってから言うんだね。そういう事は」

 

 

耐えきれなくなったのか、祐樹が聖剣を創り出して喉元に突きつけた。悪魔にとって弱点の一つである聖剣を突きつけられているのだから、冷汗の一つも流すだろう。とはいえ、会合前の話し合いで暴れられても困る。面倒だが、介入するか。

 

「引け、祐樹。……ゼファードル殿、俺の連れが迷惑をかけたね。素直に謝罪しておこう。だが、君もやりすぎだ。俺もこんな場所で実力行使するつもりなんてないんだよ。おとなしく座ってくれないか?」

 

「……はっ!誰が人間如きの言うことなんて従うかよ!それよりも迷惑かけたならそれなりの誠意ってもんがあるじゃねえのか?」

 

「そう……残念だね」

 

気を足に纏わせて軽く蹴る要領で飛ばした。まあ、さっきの祐樹の速度に反応できなかったんだからしょうがないが、無様にくらって吹っ飛んでいった。後ろにいた眷属たちを巻き込みながら地面に激突した。

 

「若手悪魔がどうした?次期当主かどうした?俺からすれば全員、本当の意味での戦場を知らぬ若輩者だ。黙っていればごちゃごちゃと……やかましいんだよ。女性に対する誠意でも磨き直していろ」

 

「貴様っ!高々人間風情が偉そうに」

 

「は?程度を知らぬ悪魔がどの口でほざいちゃってるのか、ちゃんと理解してる?お前ら如きが俺に勝てると思っているなら……お笑い草だな。さっさと主の介抱でもしているんだな。アガレス嬢は化粧しなおした方が良いぞ。そんな冷たいオーラを纏ったまま顔合わせするわけにはいけないからね」

 

スタッフに修理を頼み、俺は元の席に座った。そして目を閉じようとしたところでサイラオーグに話しかけられた。

 

「さすがは赤龍帝といったところか。ゼファードルもまったく弱いわけではないのだが……ああもあっさりと倒してしまうとはな」

 

「お褒めの御言葉どうも。本来の実力の一割も使ってないのに、そんな評価されてもね。あんなのはただの口先だけのアホだ。あんなのが次期当主だなんて……グラシャラボラス家は終わったんじゃないか?」

 

「ほう……あれで一割も使っていないと言ったか?是非一度でいいから手合わせ願いたいものだな。俺の拳は一体どれほど通用するのか、知りたくもある。それに貴様ほどの逸材と俺は未だに戦ったことがないしな」

 

「……このバトルジャンキーめ。戦うこと自体は構わんがね。俺はこれでも君を高く評価している。俺の期待を裏切るような真似だけはしてくれるなよ。もし手を抜かれたりなんかしたら……俺は君を殺しかねない」

 

「それは嬉しいな。こちらも全身全霊の精神で挑ませてもらう。さて、それでは」

 

それから目を閉じて始まるまでの時間を眠っていた。正直、面倒くさくなってきた。さっきのゼファードルとやらのせいか、俺の若手悪魔たちに対する評価は下がっていっている。無論、全員が全員そうでないことは理解しているがそう思わずにはいられないのだ。個人的には、サイラオーグもシーグヴァイラ嬢もリアスさんもソーナさんも評価しているが、どうもあのディオドラとかいう男はきな臭い。

 

俺は基本的に黙して聞く側に徹するため、話し合いには介入しないつもりだ。っていうか、この状態どうにかならんかな。ちょいと首が痛いんだがな。なんでこんなに高低差が激しいんだよ。そんなことはさておき、若手悪魔たちの夢を聞くことになった。

 

「俺の夢は魔王になることです」

 

その夢に驚きはしたが、なんとなく納得もしていた。確かにああいう質実剛健といった男に魔王になってほしいという気持ちはわからんでもない。むしろ途轍もないレベルの夢を実現しようとしているところが高評価だった。

 

「私の夢はレーティングゲームでトップ10内に入ることです」

 

リアスさんの夢も良いんだけど、そこはトップを目指すと言ってほしいところだが、さすがにそんな事を言うのは酷というものか。トップ10内に入ることだって難しいことだもんな。歴戦の猛者揃いだからな、あそこは。

 

「私の夢はレーティングゲームの学校を作ることです」

 

「レーティングゲームの学校ならすでにあるだろう?」

 

「下級悪魔や中級悪魔であっても学べる場所を作りたいのです」

 

正直、サイラオーグと同じレベルの夢だったことに驚いた。これの実現には苦難が多すぎるほどだろう。それでも挑もうとするその気概と、後進の者達にも知識を教えこもうとする度量の広さもまた素晴らしい。拍手喝采を浴びてもおかしくはないくらいの物だ。それを上役たちは嗤っていた。嘲っていた。ふざけるな、お前らに彼女を嗤う資格なんてないんだよ。気づくと目の前にあった机を粉砕していた。

 

「……四大魔王の方々。これがあなた達が俺に見せたかった物なのか?俺はソーナ・シトリーの夢を素晴らしいと思った。だが上役の連中はそれを嘲った。あなた達は見守るべき大人が若者の夢を嗤う姿を見せるために、俺を呼んだとでも言うつもりか?舐めるのも……大概にしろ!」

 

俺の怒りに反応して魔力が荒れ狂うように流れ始めた。上役の者はその圧倒的なまでの魔力量に驚きの表情を浮かべ、四大魔王の方々はファルビウムを含めその魔力に宿っている天使の力(テレズマ)と俺が怒っているというその事実に冷や汗を流していた。

 

「……俺は他人が夢を語る姿が好きだ。その夢のために懸命に努力する姿を見るのが好きだ。だからこそーーーー他人の夢を嗤う奴は、嘲る奴は絶対に許さない。お前らなんかに、他人の夢を嗤う資格なんてないんだよ!」

 

「……確かに君の言うとおりだ。だが、ソーナ・シトリーの夢が叶えるには厳しいのも事実だ。サーゼクス、ここは一つあれをやった方が良いんじゃないか?」

 

「そうだね。ソーナにリアス。ここは2人がレーティングゲームをしてみるというのはどうだろうか?」

 

「「え?」」

 

荒れ狂う魔力を抑えつつ、しかし威圧は解くことはなく四大魔王の席を睨みつけた。サーゼクスはこの時、彼を怒らせた上に敵にまわした際の危険性を理解した。基本的に一誠は話が通じる相手だ。そこはサーゼクス自身も納得しているし、理解もしている。

 

そもそも、一誠が怒るということはそれなりに信頼しているか完全に敵意を持っているかの2択である。故にドライグが下手な事を言った時も軽くだが怒ったし、今も四大魔王を理不尽な理由で夢を嗤われたソーナ・シトリーのために怒った。下手をすればこの場にいるすべての上役たちを全滅させかねない。それも一瞬で、だ。

 

だからこそ四大魔王は妥協点の代わりとしてレーティングゲームを使ったのだ。魔王の妹と呼ばれる2人をぶつける事で、リアスは目標の第一歩に。ソーナは夢を叶えるための足がかりでありその夢を認めさせるために。それが分かったからこそ、一誠は矛を納めた。だが、今回の一件で一誠が悪魔に対して良い感情を見出せなかったのもまた事実。

 

彼の機嫌を損ねれば一つの神話体系を破壊する事すら容易いのだ。これは昔、一誠がまだ世界最強を襲名しておらず未だ挑戦者だった時のことだ。とあるもう無名にほど近い神話体系が一誠を挑発し、滅ぼされた。その当時は元々滅んでいたと考えられていたために噂にすらならなかった。しかし、彼が世界最強を襲名するとその話は瞬く間に世界中に広まった。

 

世界最強を襲名した後も、一誠は各神話体系の主神や軍神と呼ばれる者たちと戦った。そして戦った者たちーーーーゼウス然り、ハーデス然り、オーディン然り、トール然りその他諸々の神々たちは相対した瞬間に理解した。この者は神をも躊躇いなく殺すのだと。この者に敵対することはその神話体系の滅びのカウントダウンなのだと。

 

それを今、サーゼクスたちは実感し理解した。信頼されているからこそ、彼は今何もしようとしないのだろう。実際、彼を敵にまわせば悪魔は滅びる。超越者であるサーゼクスの滅びの魔力も、アジュカの覇軍の方程式(カンカラー・フォーミュラ)も、セラフォルーの氷も、ファルビウムの軍を統率する力も、一切が一誠には届かない。届いても気にされない。

 

三大勢力が結集しようともなお足りず、全世界が結集してもまだ届かない。数の差ではない。グレートレッドもオーフィスも一にして全である。ならばそのグレートレッドの肉体から体を創り、力を増大化させ続ける事を可能とする赤龍帝に一体誰が勝てると言うのだろうか?

 

数多ある神話や物語の中で数多く語り継がれる龍という存在。それは最強である。幻想に生きる者たちの中で神を除き頂点に立つ者たちなのだ。実際、世界の頂点に君臨しているのは龍なのだ。抗えない、否抗わせない。抵抗など許さないし、認めない。己がありように否などいう言は認めない。ただ従えば良い。怒らせてはならぬ。怒らせてはならぬ。

 

それは数多くの神話で語られる終末ーーーー怒りの日の始まりとなるのだから。




どもども、Dies iraeに絶賛嵌り中のシュトレンベルクです。この作品に多大なる影響を及ぼし、なおかつvivid編ではない新作の方にも影響与えまくりです。

最後の部分に関するツッコミは辞めてください。作者自身もやりすぎた感はありますので、どうかご容赦いただきたい。D×D編のラストとstrikers編のラストは出来ているという不思議な状態。

今の悩みは英雄派の扱いです。壊滅ルートと救済ルートの二つがあり、そのどちらかによってstrikers編でも多少の差異があるという……ギャルゲーか!

まあ、それはおいといてこの作品は楽しめてもらえているでしょうか?楽しめてもらえるなら幸いです。それではまた次回!
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