おっす、高神創生だ。リアス・グレモリー部長の『
さっきから誰かは分からないけど、聞き覚えのある声が頭の中に響いてくる。その声に従って歩いていると、ちょっとした広場に出てきた。そこには1人の人間の女子が座っていた。木の影のせいで顔は見えないけど。こちらに気づいたのか、俺の方を向くとすごく妖艶という言葉が似合いそうな微笑を浮かべていた。でも、直感的に理解していた……この女は危険だ。
「クスクス……そこまで警戒しなくったって食べたりなんてしないわよ?そういうところは変わってるみたいね。この業界で生きる以上は必須のスキルだから、良い事ね」
「そんな……どうして、どうしてお前が此処にいるんだよ!お前はあの時確かに!」
冥界に浮かぶ月が徐々に女子の顔を照らしていく。その顔は本来この場にいる筈のない……否、
「なんで、お前が此処にいるんだよ……!お前が亡くなった時の姿を俺はまだ覚えてるんだ!あいつの死を侮辱するような真似は辞めてくれよ!その……加那の姿でいるなんて!」
「私が死んでもう二年ぐらいかな?まだ覚えていてくれたんだ。嬉しいよ、ソーセー。でもこの場にいる私は幻想じゃないし、あなたを惑わそうと思ってしてる訳じゃないんだよ」
「どういう事だよ……!」
「……はぁ。そういう鈍いところはまだ治ってないみたいね。まあいいわ。あなたを呼んだのは他でもない……ソーセーをこちら側に招き入れるためなの。
「なっ……!?」
創生があまりの急展開に思考が追いつかなくなってきていた。目の前にいる女子の名前は天道加那。近所に住んでいた創生の幼馴染であり、二年前に父親から暴行を受けて
『困りますね。まだ時ではないのだから、余計な事はしないでいただきたいものです。器を誘惑するのは止めて下さい。我々の盟約を忘れましたか?リューベンス』
『そんな筈がないだろう。しかし貴様とて忘れた訳ではあるまい。我々を宿した者は、互いに惹かれ合う。どこまでも対極であるがゆえにな。光と闇。創生と破壊。男と女。合わせ鏡のような存在であるが故に。たとえ本当の継承者ではなくともその効果は現れるようだな』
「そんなのどうでも良いよ。この感情は私自身の物だ。運命なんて物じゃなくて、この私が!掴んだ物なんだ。創生を私の物にする。それだけだよ。……そう言えば創生、なんで私が生きてるのかって聞いたよね?」
「それがどうしたんだよ!お前は一体何がしたいんだ!お前らは一体何が望みなんだよ!俺だって関わってるんなら蚊帳の外になんて置くんじゃねぇよ!」
『なんだ、フィーエルガ。説明していないのか?我々の役割を。……まあ、貴様は昔から優しすぎたからな。そんな事を言えるわけがない.、か……。おい、小僧。確か高神創生とか言ったな?貴様は知りたいか?己の宿す神器と我の役割を。必ず聞いた事を後悔する事になる。それでも聞きたいか?』
「当たり前だろ!大体後悔するかしないかなんてのはな!俺が決めるんだよ!勝手に納得して勝手に結論付けするんじゃねぇよ!」
『フッ。面白い宿主だな。それなら説明してやろう……と、言いたいところだが。邪魔な観客が多すぎるな。隠れていても無駄だ。加那の仙術によってバレバレだ。貴様も出てきたらどうだ?小猿よ』
「ありゃりゃ、バレちまってたのかよ。敏いねぇ」
加那の後ろから現れたのは闘戦勝仏ーーーー斉天大聖の初代孫悟空の血族である美猴がいた。加那はそれを忌々しそうな表情で見つめていた。美猴もそんな加那を見て苦笑いをしていた。そのまま視線を創生から見て左後ろの方に向けた。
「もうバレちまってんだがら出てきたらどうなんだい?どっちにしても、俺っち達は仙術で分かるから隠れたって不意打ちなんて出来ないぜぃ?」
ガサガサと音をたてながら出てきたのは、『王』リアス・グレモリーと『騎士』木場祐斗。2人の出現に創生は驚いていたが、来客はそれだけではなかった。上空から何かが羽ばたいているような音が聞こえた。上に視線を向けるとそこにいたのはーーーー最上級悪魔『
「うっわ!こりゃもう戦う他ねえわ。こいつを下がらせるのが目的だったんだが……そんな余裕もねえな」
「……どいつもこいつも私の邪魔ばかりして。許さない。美猴、あんたはタンニーンをやりなさい。そこの悪魔どもは私がやる。私と対極の力を持つソーセーを連れて戻れば少なくともオーフィスは何も言わないでしょう。リューベンス、いけるわね?」
『勿論だとも。貴様は継承者ではないが、その有り様は嬉しく思うぞ。さあ、存分に力を振るうが良い!』
「ーーーー
『Destruction Dragon Balance Breaker!!』
加那から黒い球場の魔力が広がり、すっぽりと呑み込んだ。その球場の魔力が消えるとそこにいたのは、
美猴も心置きなく暴れるために結界を張った。怒りを抑えきれない状態ではあったが、加那もサポートに周り結界を強化した。その結果、並大抵の事では破れないほどの強度だ。これを破れるとすればタンニーンが最大火力で攻撃した時だろうが、そんな事をすればリアスたちはタダでは済まない。
「……邪魔だからさ。私的にはどいていてくれると有難いんだよね。ソーセーを助けてくれたこと自体は感謝してたけど、貴女の側にいた所為でそれ以上に傷ついてしまった。これじゃあ本末転倒も良いところだよ。そういう点で、私は赤龍帝に感謝してる。彼は恩人みたいなものだからね。でも、貴女は違う」
「ソーセーは私の……リアス・グレモリーの眷属よ。貴女みたいなテロリストに渡したりなんてしないわ」
「そう……なら死ねばいいよ。貴女を殺して、ソーセーを取り返すことぐらい簡単なんだから。間違っても貴女が私に勝てるなんて思わない方がいいよ?たかが上級悪魔に負けるほど、私は弱くはないんだからね」
加那の神器『
万象一切壊れ果てろという破壊龍の本質を取り込んでいるのだ。ただの神器の状態でも一度倍加するだけでヴァーリの
しかしながらそれでもグレートレッドとオーフィス、それに一誠には傷を負わせるどころか意図も容易く相殺されるだろう。前者2人にはそもそも破壊という概念が存在せず、一誠に至っては加那の破壊力を上回る速度で倍加してくる事でそもそも触れさせない。ヴァーリも高速で半減させれば致命傷を負う事は避けられるだろう。しかし根本的に難しい事がある。それはあくまでも倍加するのが破壊力だけだという事。加那の身体能力だけで命中させなくてはならない、という事だ。幾ら威力を上昇させても当たらなければ意味がない。無論、当たればたとえ神格であろうとも致命傷を負わせる事が出来るのだ。
「ーーーーッ!なんて速さだ。これだけの加速をすれば、身体がGで押し潰されてしまってもおかしくないはずなのに……本当に彼女は人間なのか!?」
そこで加那が導きだした答えは、奇しくも一誠と同じ方法ーーーーつまり身体中に加速術式の魔法陣を刻みこむ事で圧倒的な速度を手にいれたのだ。その速さは、グレモリー眷属の中で随一の反応速度を誇る木場ですらも一瞬一瞬しか捉えきれないほどだった。だがそれだけの加速をすれば身体が粉々になってしまう筈なのだ。
「急加速による反動を破壊したから、私にはそんなにハイリスクじゃないんだよね。創生の対をなす破壊の力。これを使って潰してあげる!」
鎧を纏っている範囲が、加那の破壊出来る範囲。つまり、急加速によって彼女を襲う筈のGを神器の能力を使って破壊する事で、彼女は反則的な力を手に入れたのだ。
リアスを戦わせてはいけない。木場を戦わせてはいけない。加那は本気だ。本気で2人を殺す気だ。そんな事を許してはいけないのだ。リアスには夢がある。その為に努力してきたのだ。それを潰してはいけないのだ。だが、自分には何もできない。それは何故か?単純だ。力がないからだ。自分の思いを突き通す力、どんな理不尽でも跳ね返せるほどの力。
ああ、故に欲する。どんなモノにも負けない力が欲しい。今、自分は此処にいる誰よりも望み欲している。神器が所有者の強い思いに応えると言うのなら、この理不尽を覆す力を俺に寄越せ。今この時ほど負けてはならない戦いはないのだ。世界最強はこの場にはいない。己の手で成さねばならないんだからーーーー
「絶望を覆し、希望を繋ぐ力を俺に寄越せ!今この時じゃなきゃ意味ないんだよ!俺の主を、仲間を死なせない理不尽を覆す力が欲しいんだよ!こんな場所で未来を途切れさせちゃいけないんだ!それこそが……」
『あまり美しいとは言えませんが……それでも確かに受け止めました。それに私としてもあれを認めるわけにはまいりません。受け取りなさい。そしてその輝きを、光を示してみなさい。それこそが……』
「『可能性という名の未来を繋ぐ希望になるということなんだから(ですから)!』」
『Creation Dragon Balance Breaker!!』
その音声と同時に創生の背中の翼から銀色の輝きが放たれ、鎧を纏い始めた。その姿は白龍皇の鎧のようであり、しかし所々から様々な光彩が放たれていた。例えるならーーーー虹のような色彩に。その輝きの気高さに、荘厳さに、神々しさに誰もが動きを止めて見ほれていた。
大切な仲間を守りたい、その渇望が創生を
「これが俺の
創生は背中の翼から虹色の光彩を放ちながら、手に一本の剣を創造して加那に向けて飛翔し真っ向からぶつかり合った。
どもども、シュトレンベルクです。ついに創生もバランス・ブレイク!そして初めて登場したオリキャラもバランス・ブレイク!
能力解説は次回にまわします。話には出し忘れていましたが、創生の神器はすでに神滅具指定を受けています。とはいえ、まだまだ使いこなせてはいませんが。ランクとしては上の下か中の上と言った具合です。この作品でのランクとは素の神器の段階での影響力を指しています。
だんだんと盛り上がってきました。これからも頑張りますので、よろしくお願いします。それではまた次回!