創生の剣戟と破壊の拳がぶつかり合う。何度も何度も火花を散らしている2人の姿を唯一知覚出来ていたのはタンニーンだけだった。しかし謎がある。創生の持っている剣は見る限り何の変哲もないただの剣だ。しかし加那の拳はくらえば今のタンニーンでも致命傷は避けられない。ならば何故、
「概念付加した上での創造……!絶対に壊れないという概念を付加した上で創り上げた剣、それがその剣の正体でしょう!」
「ご明察、ってな!いくらお前の力が破壊に特化していようが、概念まで破壊する事は出来ないだろうって思ったんだが……やっぱり当たってたな!」
これが創生の神器
しかし
「戦いのさなかで成長する、ね。素晴らしい事ではあるけど……今のソーセーに試行錯誤なんてしていられるほどの余裕があるのかしら?それに概念までは破壊出来ないと考えたみたいだけど……」
加那の拳が剣の腹の部分に直撃すると、ソーセーの剣が粉々に砕け散った。その事態に驚いていた創生は思いっきり蹴り飛ばされた。同時に腹部の鎧が粉々にされながら後ろに吹き飛ばされ木に激突した。今の創生の弱点、それは
さらに今、加那が剣を破壊出来た理由。それは腹の部分を殴る際に遠当ての要領で『破壊されない』という理を殴って破壊したのだ。あくまでも概念が守っているのは剣であってその理自体は無防備なのだ。とはいえ、普通は一撃で理を破壊するなどという事は出来ないが破壊龍はそれを可能にした。
「私としてもソーセーを傷つけるのは嫌なんだよね。でも、今のソーセーじゃ私に勝てない。かと言ってそこの悪魔たちじゃそもそも話にならない。選ぶ道は自ずと決まってくるんじゃない?」
「カハッ!……傷つけるのは嫌なんじゃないのかよ。矛盾してるんじゃねえの?」
「でもこうでもしないとソーセーは向かってくるでしょう?いくらソーセーが急成長しても、まだ私に届くほどの物じゃないんだよ。主と仲間を守りたいのなら、尚更賢い選択をした方が良いんじゃないの?今は邪魔してないから何もしてないけど、私の邪魔をするようなら一切の躊躇もなく殺せるからね」
「くっ……」
『まあ、致し方ありません。キャリアの差ですから。……しかしここで諦めてしまえば真の継承者の下に戻るのに時間がかかる。それだけは避けねばならない。そうなると……やはり、こうせねばなりませんか』
フィーエルガがそう呟いたのと同時に、創生の意識は遠くなった。加那は急に創生の気配が様変わりしたのを警戒した物の、この鎧に触れれば形ある物は皆悉く破壊される。その絶対の防御性能に信を置いていたからこそ、今起こった事が信じられなかった。
「まったく……この程度で驚かれては困りますね。瞬間的に魔力を放出して投げ飛ばしただけではありませんか。何をそんなに驚くのです?」
「まさか……貴様!所詮封印された神器の分際で所有者の身体を乗っ取ったのか!ソーセーの身体を使うなんて、ふざけるな!」
「私としてもこのような事はしたくないのです。貴女が諦めてくれれば私も神器の中に戻ります。まだ魂が覚醒していない状態ではありますが、私は継承者を見つけました。それはあなたも同じ事でしょう、リューベンス」
『まあな。貴様の継承者は赤だろう?我としては引き離すといのは望むところではないが、我の現在の所有者はこの娘なのだ。我が何か出来るわけでもあるまいよ』
「あなたは面倒なだけでしょう。我々の盟約は絶対に破ってはならない物です。まだ聖書の神と旧魔王が生きていた頃に結ばれ世界の因果に刻まれた契約。それを高々十数年しか生きていないような小娘に阻まれるわけにはいかないのです」
「そんなの私とソーセーには関係ないでしょう!?あなた達の問題に私たちを巻き込まないで!たとえ本当の継承者じゃなくても、今力を使っているのは私だ!あなたなんかに、邪魔される謂れはない!古代の遺物に私たちの道を阻む権利はない!」
「貴女に邪魔される謂れもまたないのですよ。この契約は必ず果たされなければならない。それが我々に課せられた使命なのですから。この器を渡すわけにはいかないのです。少なくとも儀が終わるまでは、ね」
「そんなーーーー」
爆発音と同時に美猴が飛んできた。そして加那の背後の空間が割れ、そこから1人の青年が出てきた。その手に一本の聖剣を持ち、さらに腰にもう一本聖剣を携えていた。タンニーンの制止の声をかけたが、フィーエルガはその声を無視して加那と視線をぶつけ合っていた。ちなみに張られていた結界はその青年が空間を引き裂いた時に破壊された。
「聖皇剣コールブランドですか。懐かしいですね。それを持っているという事は、あなたはペンドラゴンの末裔ですか?」
「ええ。アーサー・ペンドラゴンと申します。あなたは一体何者ですか?その気配は明らかに人間の物でも、ましてや悪魔の物でもない」
「創生龍のフィーエルガと申します。今は宿主の身体を借りている身ですがね。連れ帰りに来たと言うなら是非もない。早急にそこの2人を連れて出て行って戴きたい。これ以上何かするようなら、私も黙ってはいられませんから。もっともーーーー」
「ッ!」
「あの御仁はまったく容赦する気はないようですが」
3人に向けて特大の魔力弾が飛んできた。まともにくらえば肉体を粉砕するような一撃。しかし、加那が能力を使って破壊することでなんとか事なきを得た。その代わり破壊した時の衝撃は抑えきれず少なく見積もっても、後方百メートルほどは木を粉砕しながら吹き飛ばされた。美猴とアーサーは急いで助けに行った。
無論、こんな滅茶苦茶な事をするのは1人だけだろう。問題なのは味方がいるにもかかわらず攻撃してきた事ではなく、タンニーンの首の角度だけで敵のいる大まかな位置を察知した上に攻撃してきたその精密性だろう。しかも今の攻撃は窓から放ったーーーーつまり一切相手の姿は見えていないのだ。末恐ろしいことこの上ないだろう。
今の攻撃で加那の
そしてこの襲撃が上層部に伝わった際にタンニーンが一誠にあんな危険な真似をするんじゃない、と言うと一誠は無事だったんだから良いじゃん。気にするなと言い返したらしい。その時タンニーンは非常に頭が痛かったとか。