そしてさらに数日の月日が経ち、レーディング・ゲーム当日。VIPルームには他の神話体系の者も訪れていた。オーディンの爺ちゃん、帝釈天、ゼウスとまあ表だった神格たちだ。とは言え、帝釈天はアロハシャツなんて着てるし、ゼウスの爺さんはなんと言うか暑苦しいんだよな。
「よお、兵藤!久しいじゃねえかYO!」
「そうだな。あと何度も言ってるけど、その似非アメリカ人みたいな口調をやめろ。……それと、何回誘われても俺はシヴァを倒すのには協力しないから」
「HAHAHA!分かってるっての。仏の顔も三度まで。お前、四回目に言った時には問答無用で殴ってきたの忘れたのか?」
「……ああ、あったな。理由は忘れたけど、なんかの理由で苛々してた時に言われたからな。それの所為もあったな」
マジで腹に一物も二物も抱えているような奴だからな。まったく安心できんがな。その点で言えばギリシャ神話の冥府神ことハーデスもまったく信用ならん。ゼウスも弟のポセイドンも良くも悪くも裏表がないと言うか……イメージ的にはやたら元気な近所のおっさんと言った感じだ。
「って言うか、よく来る気になったな。今回のレーディング・ゲームはほぼ間違いなく襲撃されるぞ?……まあ、あの程度の雑魚にやられるほど弱くはないんだろうがな」
「こっちとしても色々と迷惑かけられてんだ。それ位は問題にすらならねえ。大体、それを言うならお前さんも何で来たんだよ。お前の方がよっぽど関係ないだろ?」
「……ちょっと気になる事があってな。野暮用みたいなもんだ。どうせあんたの関係ないところで解決する事だから、気にする必要はない」
「おいおい、つれない事を言ってくれるじゃねえかよ。まあ、良いけどよ。お前、噂の眷属たちはいないのか?美人でめちゃくちゃ強いって噂の眷属たちはよ」
「それこそちょっとした野暮用だよ。俺ならどうとでもなるが、あいつらに関しては経験がない。今回みたいに経験を積ませておく事も必要だろうさ」
そんなこんなでゲーム開始時間が迫ってきた。皆どっしりと座っている。実力が隔絶しすぎて恐れるほどではないからだ。いくら数が来ようが負けるなどあり得ない。有象無象如きでは指がかする程度でしかない。手がこすすぎて何も言う気にならないほど稚拙で甘い。所詮旧体制に縋っている連中なのだから当たり前と言えば当たり前なのだが。
そしてゲーム開始と同時に多数の魔法陣が展開された。俺の目の前に悪魔が現れると同時に天使の翼を使って貫いた。画面を見てみると、あっちもまるでゴミみたいに悪魔がいた。オーディンの爺ちゃんと協力してフィールドの結界を突破した。その際にアザゼルから通信機を人数分渡すように頼まれた。
フィールドの中では八舞たちがグレモリー眷属と協力しながら、悪魔を倒していた。そこに爺ちゃんがセクハラしつつ近づいた。俺は天使の使う光の槍と同じ構成の魔法で次々と悪魔を殺していった。そして相手が一度退いたところで通信機を渡した。アザゼルと何度か話し合ったあとに急にこちらに振り向いた。
「兵藤くん、私たちはアーシア救出に向かうわ。ディオドラも捕まえれば文句はないわよね?」
「まあ、あなた達には三大勢力陣営で不審な行為をする者がいれば実力行使出来る権限がありますし、そもそも俺に文句なんてありませんけど……アーシアさんを救出するだけならうちの眷属たちで十分できますよ。アザゼルにも止められたんでしょう?」
「それでもあの子は私の眷属なの。それにディオドラとは決着をつけないと気が済まないわ。私は眷属を奪われて『はい、そうですか』と納得する事なんてできない女だから」
「ハハハッ。……いや、失敬。なるほど、それならば好きにされれば宜しいかと。まあ、その代わりこちらも安全策を打たせて戴きます。シエナ、祐樹、ゼノヴィア、イリナ!お前達はディオドラとその眷属の身柄の確保といざという時にグレモリー眷属の手助けをしろ。だが基本的に手は出すな。分かったな?」
「畏まりました。ご命令、謹んでお受けいたします。……行くよ、三人とも。私もあの男を許せないと思う気持ちはあるんだから」
「それではリアスさん、ご武運をお祈り致しております。俺と八舞とアイリスはオーディンの爺ちゃんと共に周辺にいる悪魔の殲滅に移りますゆえ、これにて失礼します」
足元に魔法陣を展開してその場を立ち去った。すでにオーディンの爺ちゃんも別の場所に移動しているが、俺の向かう場所はそこではない。そもそも手伝いなど必要ないのだ。爺ちゃんの左目はその昔ミーミルの泉でこの世のありとあらゆる魔法の智慧を授ける義眼に変わっているのだ。たかが魔力如きでは届かない、と言うよりはこと魔力を使った物では勝ち目がないと言った方が妥当だろう。
だがほんの数パーセント程度ではあるが、危険なのもまた事実。そんな状況下で爺ちゃんを放置してまで俺が向かった先にはーーーー
「よお。久しぶりだな、オーフィス。一体何年ぶりだ?」
「久しぶり、イッセー」
無限の龍神ことオーフィスがいたのでした。