サーゼクスさんがクルゼレイ・アスモデウスを消し飛ばして少し経った時、突如懐かしくもある力の波動を感じた。いや、でもしかしこんなところにあいつが来るわけがない。だけどこれはーーーー
「……間違いない。こいつは
『我、目覚めるは定められし盟約に従いし創生龍なりーーーー』
『無限の永劫を創造し、夢幻の夢想を溢れ出させるーーーー』
『輝ける未来を創生せし神なる創生龍となりてーーーー』
『汝に輝ける黎明の輝きを見せつけようーーーー』
『Twilight Creation Dragonic Driver!!』
爆発的なまでの感情ーーーー何もできない、何も救えない自分に対する不甲斐なさ。そして自分の大切な者を簡単に奪っていた男に対する圧倒的なまでの敵意と殺意。我が創るのは黄昏だ。ただその場所は新たな世界の黎明を創り出すための場所。そのために邪魔な消し尽くそう。覇の理を唱え、新たな世界の幕開けとしよう。そうであるが故に、すべてをーーーー塗りつぶせ。
その感情ーーーー高神くんの想いを理解した瞬間、俺は鎧をまとって駆け出した。あれを動かしてはいけない。あれが思うがままに暴れれば碌な結果にはならない。怒りの日が、終末の時が始まってしまう。世界に終わりを告げる福音の鐘を鳴らしてしまう。そうなればもう止められない。それを理屈ではなく本能的に理解してしまった。ならばーーーー行かねばならない。どんな事になっても。
2人を置き去りにして神殿の内部を駆け抜けた。広い場所に出る度に眷属たちが気絶しているのを見つけたが、放置した。今はそれどころではない。そして1番広い場所に出ると、両腕をもがれた無様な悪魔と生体的なフォルムの鎧をまとった高神くんがトドメを刺そうとしているところだった。しかもあれはまさか……ロンギヌス・スマッシャーか!?
グレモリー眷属はシエナたちが守っていたが、あの程度では防ぎきれないと判断した。倍加しつつ前に立って魔法陣を展開した。ついでに遠隔操作でディオドラの眷属たちは神殿から避難させた。
「マスター!?どうして此処に!?」
「黙ってろ!低姿勢になって障壁を張れ!大部分は俺が防ぐけど、それの余波だっていくらな物になるのか、見当もつかん!死にたくなければさっさとしろ!……ドライグ!」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
そしてこちらが何とか防御姿勢を整えた段階で得てはならない外法ーーーー神すらも跡形もなく吹き飛ばす威力を持った最大火力、ロンギヌス・スマッシャーが放たれた。
『
「バ、バカな……真なる魔王の血筋であるこの私が!ヴァーリに一泡吹かせてすらいないのだぞ!?ベルゼブブはルシファーよりも偉大なのだ!おのれ、ドラゴン風情がぁぁぁぁぁぁぁっ!」
銀色の閃光に包まれ、一欠片も残さず死んだ……かのように見えたがあれは違うな。誰かしらの手引きで逃げたか。まあ、今はそんな事はどうでもいい。元々死にかけだったんだ。これ以上何かが出来るわけもあるまい。それよりも問題はーーーー
「GYAAAAAAAAAAA!!」
「チッ。やっぱり自我は飛んでやがる。まぁ、何にせよ……しゃらくせえんだよ!」
俺の拳と高神くんの拳がぶつかり合う。荒々しい気だ。軽く吹き飛ばして追撃した。ハイキックを当てようとした瞬間に若干だが動きが鈍くなり、その所為で躱された。あの感覚は……ギャスパーくんの
「今の攻防で概念を読み取ったのか?これは中々面倒な相手だな。……しゃあないか。ドライグ、
『俺は構わないが……問題は相棒の方だろう?負担はすべてそちらに行くんだからな。それにそんなに無理をしなくても良いだろう?はっきり言って、あの男が死のうが死ぬまいがそれはあの男の事であって、相棒の事ではあるまい』
「そりゃそうなんだがね。……俺は賭けてみたいのかもしれない。彼の持つ可能性に」
俺を中心に吹き荒ぶ様な魔力の嵐が放出されている。ただただ高みへ。それだけを目標としていた俺がまだ幼かった頃のルール。その創造を、再び再現する。身体の損害を無視して創った所為で身体の負担は計り知れないが……まぁ、今なら何とかなるだろう。
「
俺がまだ幼かった頃、グレートレッドとオーフィスに挑みかかった時に使った覇道よりの求道型の創造。あの時よりははるかにマシなのだが、やはり辛い。この創造はある意味で白龍皇の力と同じだ。
接触した相手から無制限に力を奪う覇道の力、己が身を一つの魔力とすることで身体能力などその他諸々の力を一気に激増させる求道の力。人間としての身体が枷となるのなら、そもそも身体など必要ない。そういうルールによって創られた物なのだ。
まあ、グレートレッドと戦った時はほぼ一撃で破壊されたんだが。その所為で
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!』
「君と俺では戦いに対する年季が違う。たとえその
「ナメ、ルナァァァァァァァァァッ!オレハ、ダレニモマケナイ!コワレロ……ヒトシクスベテ、キエハテロォォォォォォォォッ!」
「完全に破壊衝動に呑まれてやがる……こりゃ最悪の場合も視野に入れた方がいいかな?」
高神くんの拳が一回飛んでくる間に俺は五回以上殴っていた。その度に鎧を構成する魔力を奪い取って防御力を紙以下にして本体に攻撃を当て続ける。はっきり言ってこの創造位階ではどんな攻撃も通らない。あえて言うなら、俺が奪い取っても身体を魔力化させても耐えきれない一撃でのみこの状態は解除される。だがそんな事が出来るのはグレートレッドかオーフィスのみ。
「ぐぎゅああああああああ!」
「いい加減うるさい。君にとって大切なものはまだ失われてなどいない。君にはまだ、守るべき者たちがいるだろうが!甘っちょろいガキが!いつまでも寝ぼけてんじゃねぇよ!」
「ッ!?……アー、シア?ぐっ、がぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!」
高神くんの身体から銀色の電気が流れ出ていた。まるで逃がしはしないと、貴様は黄昏を創る者なのだから最後まで義務を果たせと言っているかのような……今は深く考えても仕方がない。ただ救うために、全力を尽くそう。左手を前に右手を拳の形にして後ろに、さらに腰をひねりまるで弓矢を放つかのような姿勢を取りーーーータイミングを見計らい一気に加速!
そして俺の拳が高神くんの鎧に触れた瞬間、溜め込んだ魔力で一気に電撃を吹き飛ばした。その瞬間に