季節は秋に近づき、修学旅行が近づいて来た事もありうちの四人娘は結構騒いでいた。さらに言うと、この間三大勢力で運動会をやったらしい。俺は参加してないから知らないが、参加したイリナ曰く『ハルマゲドンってあんな感じなのかな?』どんな運動会だよ。もうそれは運動会じゃないだろうに。
この間の
まあ、そんな事はさておき久しぶりに街に繰り出してみると姫島さんと高神くんがデートをしていた。それ自体は別に構わないんだが……後ろの方にいる変な格好をしている集団を見た瞬間に萎えたと言うか、『何してんの?この人たち』と思ってしまった。俺が近づくと木場くんが苦笑しながらこちらを振り向いた。
「何してんの?」
「いえ、ソーセーくんと朱乃先輩がデートをする事になって変な事をしないように監視してるんですよ」
「……馬鹿じゃねえの?デートなら好きにやらせてやれば良いだろう。それに尾行のつもりなら、それ完全に失敗してるから。こんなカラフル集団がバレない訳ないから。明らかに向こうの意識こっちに向いてるから。あんまりしつこいとそれこそ逃げられるぞ」
「それは部長たちに言ってください……っと、2人が移動するみたいなので僕はこれで」
そう言って走り出した2人を追いかけていったリアスさん達を追いかけ始めた。まったくもって馬鹿だなぁ、と思わざるを得ない光景だった。ぶっちゃけリアスさんは高神くんに執着しすぎだと思う。そりゃ好きなんだろうし、自分とは違う女性とデートしてる姿を見れば気に入らないだろう。でも、邪魔する……監視するって言うのはちょっと違うんじゃないかと思うんだよな。
それはひいては信用してないって言うのと同じだと思うから。前々から独占欲が強いとは聞いていたけど、ここまで行くともう違うんじゃないかと思う。好きだからこそ、愛しているからこそ、相手を信じて相手の幸せを願う。その上で、相手の傍にいたいと努力する事が重要なんであって、足を引っ張るというのはちょっと違うと思う。
もちろん自分の言ってる事が甘いって事ぐらいは自覚している。それでも、少なくとも俺はそんな事をしたいとは思わない。たとえそいつの隣に俺がいなくても、幸せだと言えるのならそれでいい。そう思ってしまう。……我ながら歪んでるな。ああ、理解している。俺の言ってる事は夢物語で、俺の思想は歪んでるって事はな。
この陽だまりのような刹那を堪らなく愛おしく思ってしまう。刹那は一瞬だからこそ愛おしいのに、ずっと続いてほしいと願う。願ってしまう。未来には悲しい事が待っているかもしれない。現実という獣は何時だってその爪牙を構えているのだから。
「師匠〜!こんなところで何してるんですか?」
「ああ、シエナか。久しぶりに街を歩き回ろうかと思っただけさ。そういうお前こそ一体何してるんだよ?」
「えーっと、買い物ですよ?なんだかんだで最近忙しかったですしね……そうだ!暇なら一緒に行きましょうよ!」
「ええ〜……明らかに荷物持ちさせる気じゃん。なんで俺が自分の買い物でもないのに荷物持ちなんてしなくちゃいけないんだよ?」
既にシエナの両手には二つの買い物袋があった。ちなみにシエナの格好はいわゆる白いワンピース。俺は青のジーンズに黒いワイシャツだ。基本的に格好に関して感心を持たない俺はその辺は適当だ。そしてその度に女性陣の誰かに何かしらの小言を言われる。着れれば正直なんでもいいと思っているからな。基本的にそこらへんはズボラだと認識している。まったく直す気はないが。
格好云々を除いたとしても一誠の外見は目立つ。そこそこ背は高く肩まで伸ばしている紅い髪に金色のメッシュ、さらに瞳は紅と金のアイドット。瞳の事を抜きにしても髪の段階ですぐに目立つのだ。逆ナンされた事も一度や二度ではない。さらに言うと、芸能事務所からスカウトされた事すらある。それだけ一誠の外見は万人受けするのだ。
「どうせ暇を持て余してるんでしょう?それにデートだと思って楽しみましょうよ!ほら、早く!」
「分かった分かった。分かってるから腕を引くな。それじゃあ、下手ながらエスコートさせて戴きますよ、お嬢様?」
それからウインドウショッピングに繰り出す事になった。途中でアザゼルから連絡が来たが、八舞に頼んでおいた。さすがにあんなに楽しそうにしているシエナを害させる訳にはいかないからな。それに俺としても、このつかの間の平穏は最後までちゃんと味わいたいしな。
さすがに時間も時間なので、帰路についた。途中でクレープ屋を見つけたシエナは駆け寄っていった。ちなみに俺の両手は荷物でふさがっている。美味しそうに食べているその姿には微笑ましい物を感じずにはいられない。急にクレープを突きつけられた時は正直よくわからなかったが、シエナの頬に軽く赤くなっていたので少しだけ分けてもらった。まだ頬が赤くなっているシエナの頬に軽くキスをすると俺はさっさと帰路についた。後からシエナも追いかけてきたが。
それから数時間後ーーーー
「オーディンの爺ちゃんの護衛?なんで北欧神話の主神がこの国に来るんだよ?」
「なんでも日本神話の文化について興味があるとか。しかし北欧神話の方でも認めない者がいるらしく、その護衛をしてほしいとの事ですが……どうなさいますか?」
「北欧のいざこざ……間違いないな。それの中核はロキか?という事は
「マスター?どうかなさいましたか?」
「いや。その依頼は受領する。相手が誰か詳しい事は分かっていない以上、万全を期す事は重要な事だからな。それに個人的にもオーディンの爺ちゃんを死なせたいとは思わんからな。それに……」
袂を別ったとはいえ、日本神話に属するーーーー三大神は自分にとっては家族に等しい存在。対談に来たオーディンを殺すという事はあの人たちに危害が及ぶ可能性があるという事だ。そんな事は認めない、許さない。どのような手を使っても阻止する。大切な人たちを守るためにこの力を使うと、自分の魂に誓ったのだから。