リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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温泉2

旅行をしたのが久しぶり過ぎて、何をするのか思い浮かばない。ジュエルシードの感覚はするのだが、今は全く動く気がしない。無論、動きがあれば封印はするが。

 

「暇だな〜」

 

「忙しいよりは良いんじゃないか?暇って事はそれだけ余裕が有るという事だからな」

 

「そりゃあね。でもする事が無いっていうのも暇じゃないか。かといって趣味らしい趣味なんてないしな」

 

「そんなのがあったら驚きね。なんせ一心同体に近い私たちが知らないんだから」

 

「まあまあ。はい、お茶。……それでも休める時には休んでおいた方が良いのは事実よ。今の内に英気を養っておくのね」

 

「それはそうかもしれないけど……でも暇な物は暇なんだよ。なんかする事って無いのか?」

 

「う〜ん……無いかな。というか、そんな事を僕たちに訊かれてもどうしようも無いよ。大体休むのが目的なんだから、それでいいじゃん」

 

「……っていうか、さっきから何やってんの?」

 

さっきからこの五人、俺の相手をしつつトランプに興じていた。何か賭けでもしてるみたいだが……一体何を賭けてるんだ?

 

「ん?いや、別に構わんだろう?(言えるわけがない……お前の膝枕権を賭けてるなんて)」

 

「私たちも暇なのよ。ちょっと遊びに興じるくらい構わないでしょう?(貴方を巻き込んだら勝負の意味が無いから誘わなかったのだけど……)」

 

「マスターは運が良すぎるから誘わなかったのよ。ゴメンなさいね」

 

「そっか……。なんかスマン」

 

実は今回の旅行然り、俺は運が良い。でもそれにはちゃんとした理由が存在する。俺の天使化(エンジェリック)は異世界から未知の力を大量に取り込む。その所為で俺の魂は天使に近い代物になった。そして俺はこの力の事を『天使の力(テレズマ)』と呼んでいる。まあ、近いだけでそのものではないんだが……寧ろ実在の天使よりもたちが悪い。

 

最高位のミカエルの力を使えばもはや奇跡を起こす事だって出来る。これは聖書のミカエルが万能神である聖書の神に及ばずとも、それに続く力を持っているからだ。あのイエス・キリストも死者を蘇らせたというし、不可能では無いんだろうが……。

 

まあ、その代償として天使化している間はその天使が属する属性の魔術しか使えない上にセラフ以下の天使になると完全に魔術が使えなくなる。ミカエルなら火、ガブリエルなら水、ウリエルなら風、ラファエルなら土の魔術だ。

 

話が逸れたか。とにかく天使の力を取り込んでいる所為なのか。賭け事の類では負けた事が無い。ポーカーならまずブタになった事がないし、大富豪なら貧民にもなったことがない。

 

「仕方ないとはいえ、流石に強すぎるもんね」

 

「俺自身の意思じゃどうしようもないからな。ところで、そろそろ夕食の時間じゃなかったっけ?」

 

「え?ああ、もうそんな時間か。行こうか」

 

「おい待て、サーシャ。まだ勝負の決着がついてないぞ」

 

「本当に負けず嫌いだよね。エレン、これ以上やってもしょうがないじゃん」

 

どうやら勝負はサーシャが優勢でエレンがそれを追いかけているらしい。そんな二人をおいて俺とミラとソフィーは食堂に向かった。美味しかったです。

 

そしてもう夜も遅くなり、大概の人が眠りにつく時間帯。ジュエルシードが覚醒した。

 

「……ちっ。空気読めよ」

 

「やっぱり行くのか?別にあの子供だっているんだろう?お前が動く必要はないんじゃないのか?」

 

「そりゃそうだね。そもそもこの件で俺が色々と関わる必要性は無い」

 

「だったら……」

 

 

「俺は動かずに後悔する位なら動いて後悔したいのさ」

 

 

「……ハァ。お前らしいな。甘いのやら厳しいのやら。やはりお前は私たちのマスターだよ」

 

「悪いな。それじゃあ、行ってくる」

 

俺は窓枠に脚を掛けると、一気に飛びだした。もちろん禁手化も忘れずに。

 

「ドライグ、暇だったか?」

 

『久しぶりの休みだと思えばなんでもないさ。ところで相棒、いちいち禁手化(バランス・ブレイク)する必要は無いと思うのだが』

 

「保険だよ。予想外の事態があっても対応出来るようにな。備えはあるに越した事はないだろ?」

 

『そりゃそうだろうが……。相棒、この状態になるのだって一応負担があるんだぞ?』

 

「分かってるさ。別にちゃんと休んでいるし、問題はないだろ」

 

『相棒がそう言うなら構わないが……』

 

本来はこんなに禁手化(バランス・ブレイク)を繰り返すのはいい事では無い。やはり負担が重いんだ。いくらする度に身体を成長させてると言っても、いやそれも拍車して精神に負担を掛けている。

 

しかしそんな事を言っている暇は無い。

 

「被害がでる前にこの一件に決着をつける。その為なら……」

 

ドカァァァァンッ!!視線を向けてみると、ピンク色の砲撃をかましていた。あそこ迄いくと最早魔法じゃなくて魔砲だな。

 

とはいえ、相手の金髪娘はスピードで勝負する近接タイプ。当たるわけがない。案の定、躱された上に鎌を突きつけられた。

 

どうやらジュエルシードを賭けていたらしく、高町なのはのデバイスから一個排出されていた。そして去ろうとした金髪娘が此方に気付いた。

 

「ヘェ〜あんたがこの間フェイトを傷付けたって奴かい?」

 

「…………」

 

「なんとか言ったらどうなんだい!?」

 

 

「うるさいな。たかが狼風情が喚くんじゃねぇよ。ぶっ殺すぞ?」

 

 

「ッ!!」

 

常人なら狂いそうになる位強烈な殺気を叩きつけた。やはり身体が震えていた。……その程度か。

 

「さて、フェイトとか言ったか?お前に一つ問いたい事がある」

 

「……何?」

 

 

「お前があの街で他人に被害を与えるのか否か、という事だ」

 

 

「……私はジュエルシードを集めたいだけ。他の人に危害を加えるつもりなんてない。それよりもどうして貴方はジュエルシードを集めるの?」

 

「決まっているだろう。危険だからだ。そしてここは俺の管理する土地だ。だから危険な物を俺の手で封印しているにすぎない」

 

「なら私がジュエルシードを全部集めたら、私に貴方の持っているジュエルシードを渡して」

 

「それは出来ない。もしお前の母親とやらがこれの所為で何かをしたら此方に飛び火する可能性が有るからな。……サッサとそれを持っていけ。俺はこれで失礼させてもらうからな」

 

「……待って。貴方の名前は何?」

 

 

「……ドライグだ。二天龍が一体、赤龍帝ドライグだ。じゃあな」

 

俺はそれだけ言うと、サッサと去った。しっかし、俺の名前をわざわざ聞いてくるなんて……どういうつもりなんだろ?

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