その後、近くの公園にて会談が開かれた。面子はアザゼル、バラキエル、オーディンの爺ちゃん、グレモリー眷属、ヴァーリチーム、そして俺と眷属たち。一応人払いの結界も張った上で、だが。
「それで?ヴァーリ、どうしてお前らはここに来たんだ?助かったのは事実だが、そこははっきりしてもらいたい」
「……そんなまわりくどい事させなくても良いだろ。お前の目的はロキと戦う事か?フェンリルと戦う事か?どっちだ?」
「両方、と言いたいがさすがに俺も同時に相手を出来るとは思えていない。先ほどの戦闘を見る限り兵藤一誠もロキとフェンリルを同時に相手取るのは不可能ではないにしても、困難だと分かった。だが、俺たちが組めば話は別だ」
周り、もといヴァーリチームを除いたほぼ全員が驚く中で一誠だけは実に面白いと言わんばかりに笑顔を浮かべていた。一誠は誰かと共闘するなどという事を滅多にしない。そんな事をするよりも自分でやった方が早い場合の方が圧倒的に多いからだ。
そんな滅多にしない行為をする、それもライバルでもある白龍皇と共にだ。これほど面白い事はそうそうないだろう。一誠にとってはこれほど面白い物を逃したくはないと思っているが、あくまで護衛として立っているため決定権は一誠にはない。まあ、あったとしても公言はしなかっただろうが。テロリストの提案に簡単に乗るなんて行為は普通は許されない。それがどれだけ魅力的であったとしても、だ。
「まあ、断ったところで来るんだろうし……どうする?」
「……今はひとまず保留だな。サーゼクスとも話し合わなきゃならんしな。おそらく、と言うか十中八九サーゼクスは許可を出すだろうがな。ロキの相手をしつつ、ヴァーリの相手をするなんてやってられないからな」
「そうか。それなら俺はここで一旦戻るわ。やっぱりこの
足下に転移用の魔法陣を展開しつつ、チラリとヴァーリを見てみると少なくとも夏休み前よりも強くはなっているようだ。そこに少しだけ安心しつつもいつの間にか入っていた眷属たちと一緒に家に戻った。そのまま自分の部屋に向かい、ベッドに倒れこんだ。
しかし初めて実戦投入してみたが、やっぱり使い勝手が難しい。それにやっぱりと言うべきかフェンリルの相手をするのが面倒くさい。本当に
『やはり元の
「まあな。でも、ロキはまだしもフェンリルの相手をするのにはさしもの俺でも
調整して新しい物に変わったとはいえ、肉体的な意味で人間だった頃に比べていろいろな部分が格段に跳ね上がっている今の状態ではどうしても覇龍の力も格段に跳ね上がってしまう。そうなると使い勝手も悪くなってしまうのだ。いくらそう何度も使う物ではなくても、だ。
「………………」
『どうしたんだ?何か変な事でもあったのか?』
「もう少しで答えが掴めるような気がするんだ。創生龍が俺に言った言葉の意味が。フェンリルと戦っている最中に何かは分からないんだが、奇妙な感覚がしたんだ。もしあれが他人の
今まで一誠は扉の前まで行っても扉は開かなかった。何かしらの条件があるんだろうとは思っていたし、それ自体は別に不思議じゃない。だが扉に触れる度に奇妙な感覚に襲われていた。そして今日、フェンリルと激突している途中に自分の中で何かが疼いた……と言うより蠢いたのを感じた。あれが何なのか分かれば、答えも見えてくるはずだ。
「鬼が出るか蛇が出るか。どうなるかは分からないが、それを知れば世界の一部を知る事ができるはずだ。それが如何なる物であれ受け止めて前に進むさ」
『それ以外に方法もないがな。しかし俺も竜具《ヴィラルト》の連中もそんな感覚はしなかった。となると、神器というよりは相棒の本質ーーーー魂の方に関係があるのかもしれないな』
「魂、か……まあ、今はどうしようもないことだ。あれこれ考える前に自分のできる事をしよう。何にせよ、やろうと思えば何時でも出来るしな」
今するべき事をなすために。それだけが今、必要な事だ。創生龍から言われてあれから幾月か過ぎているが、それでも今日その実感があったという事は少なくともすぐに消えてしまうような物ではないという事だ。それなら今は、ロキとフェンリルの対策の為にできる限りの事をしておこう。
一誠side out
ドライグside
ドライグは何も感じなかったと言ったが、実は一誠と同じように奇妙な感覚に襲われていた。だが事前に口止めされていた。そう言ってきたのは目の前にいる相手ーーーー創生龍フィーエルガだった。話をしやすいようにドライグは今人間の形態になっていた。真っ赤な短髪に逞しい身体つきをしたイケメンの部類に入る男性だ。(イメージ的にはザフィーラから獣耳をとって赤く染めた感じ)
「それで、キチンと説明してくれるのだろうな?俺に相棒に対して口止めまでさせたのだ。生半可な理由だったら納得せんぞ。
ドライグは内心では怒っていた。兵藤一誠という存在はドライグにとって歴代の中で1番会話していると言っても過言ではなく、自分も相棒と認めている。そんな信頼をし、さらには信頼を勝ち取っているほどの相手に対して嘘をつかねばならなかった。それもまったく知りもしない存在が言った言葉に従って、だ。それにオーフィスとグレートレッドを除けば世界最強に近い場所に立っていた赤龍帝としてのプライドもある。
「ふふふっ。分かっています。しかしその前に聞かなければならない事があります。ーーーー彼の瞳と髪はいつからあのような色になりましたか?」
「それとこれと一体どういう関係があると言うのだ!あまり舐めているようだと貴様をここで噛み砕くぞ!」
「私にとっては重要な事なのですよ。……それによって彼の覚醒の期間も変わってくるのですから」
「……8年前だ。聖書の神の残滓に相棒は身体を乗っ取られた。そこから相棒が身体を取り返した時にはああなっていた」
「8年前、ですか……それならおそらくは……。分かりました。ありがとうございました。それでは貴方の質問であったあの力が一体何なのか、ご説明いたすとしましょう」
そこからドライグが受けた話は到底信じられる物ではなく、されどその話が本当ならば一誠のあの状態にも説明がつく。
「バカな……いくら相棒が規格外だとは言ってもそんな事ができるはずがないだろう!」
「しかし、事実です。そうでなければ説明がつかないですし、何より彼自身がそれだけのキャパシティの持ち主でしたから。……話は変わりますが、この話は彼にはしばらくの間黙っていて貰います。貴方自身、混乱しているようですしね。心配する必要はありませんよ。遅くても半年以内に彼は覚醒するでしょうからね。それでは、これにて失礼いたします」
そして精神世界からフィーエルガは姿を消し、その場には混乱したままのドライグがたった1人残されたのであった。
ドライグside out