こちらに飛びかかってきたフェンリルを強化されたグレイプニールによって捕獲した直後、ロキはフェンリルの息子であるスコルとハティを召喚した上に量産されたミドガルズオルムを呼び出した(さすがにあそこまでの大きさはないが)。それらをタンニーン、グレモリー眷属、バラキエル、ヴァーリチーム、赤龍帝眷属が対応。
そして俺たちは妨害してくる奴だけを吹き飛ばし、手始めに俺と加那でロキの防御魔法を破壊した。そこにヴァーリの会得したばかりの北欧の術式と高神くんの宝具による同時攻撃。あまりダメージをくらっている感じはしないが。
「卓越した技術を誇る白龍皇、圧倒的な破壊力を誇る赤龍帝と破壊龍、どんな事態にもすぐさま対応できる創生龍。なるほど、確かに同時に相手をするのは骨が折れそうだな。しかし……ハティ!」
「どわっ!」
「創生!?」
「1人抑えておけば苦ではない。さらに言うなら……敵に対して背を向けるべきではないな!」
ハティに襲われた高神くんの救援に向かった加那の背中に向けて大質量の魔法を放ったーーーーが、右腕で受け止めて流すように方向をずらしてそばにいた量産型ミドガルズオルムにぶつける事で無力化した。
「ほぅ……」
「二天龍を前にして余所見なんていい度胸だな。お前の相手をするだけなら2人で事足りるんだって事を忘れんなよ」
『BoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoostBoost!!!!』
魔法どうしが飛び交い、四方八方から攻撃が飛んでくる。隙をみてスコルがこちらに向かってきたが殴り飛ばしておいた。そしてヴァーリが強烈な一撃をロキにぶつけようとした瞬間ーーーーフェンリルに噛みつかれた。グレイプニールを確認してみると、離脱したスコルとハティによって外されていた。
「ヴァーリ!こんの駄犬が!」
「おっと、行かせはせんよ!白龍皇はこれで終わりだ。次は貴様の番だよ、赤龍帝」
俺はヴァーリの救援に向かおうとしたのをロキに邪魔され、俺の代わりに向かおうとしたタンニーンが神速で動くフェンリルの爪に切り裂かれた。これはまずいと考えたところで未だ噛まれたままでいるヴァーリが呟いた。
「あまりこの俺を……ヴァーリ・ルシファーを、白龍皇を舐めるなよ!加那!予定通り、俺を予定の位置に飛ばせ!」
「了解!」
そして加那は術式を使ってグレイプニールをフェンリルに向かって放り投げた。そのグレイプニールがヴァーリごとフェンリルを縛りあげた瞬間に唱え始めたーーーー神より奪いし覇道の理を。
「我、目覚めるは──」
<消し飛ぶよっ!><消し飛ぶねっ!>
「覇の理に全てを奪われし二天龍なり──」
<夢が終わる!><幻が始まる!>
「無限を妬み、夢幻を想う──」
<全部だっ!><そう、全てを捧げろっ!>
「我、白き龍の覇道を極め──」
「「「「「「「「「「汝を無垢の極限へと誘おう──ッ!」」」」」」」」」」
『Juggernaut Drive!!!!!!!!!』
ヴァーリの鎧が生体的なフォルムに変わるのを待たずに展開されていた魔法陣は動きだし、フェンリルとヴァーリを別の場所に飛ばした。それを眺めていた俺に向けてロキは大質量の魔法を放ってきた。俺はそれを翼で弾き、手刀で切り裂いた。
「あれがヴァーリの
『ああ、赤龍帝の覇道を見せつけるとしよう』
「……ドライグ、お前が何を悩んでんのか俺は知らない。それがどんな物であっても、俺は気にしない。でもさ、俺がなんか力になれるんなら幾らでも言ってくれよ。俺たちはパートナーなんだからさ」
『……ッ!ああ、そうだな。是非そうさせてもらう。だが今は目の前の敵に集中しよう。相手は悪神だ。俺たちの力を振るうにはちょうど良い相手だろう!』
「我、目覚めるは──」
〈始まるぞ!〉〈始めよう!〉
「覇道の極地に辿りつきし赤龍帝なり──」
〈始まりを紡ごう!〉〈終わりを奏でよう!〉
「無垢なる無限を慈しみ、聡明たる夢幻を愛する──」
〈無限の果てを!〉〈夢想の極地を!〉
「我、真なる赤き覇道を貫き──」
「「「「「「「「「「汝を絶対なる黎明と終焉の極地へ誘おう──ッ!」」」」」」」」」」
『Jaguarnaut Crossover Drive!!!!!!!!』
これが俺だけの新しい
鎧の形はより生体的なフォルムに変化し、鎧の各所にある宝玉の色も七色に変化している。その荘厳な姿に誰も口を開く事ができず、動くこともできなかった。その力の波動には空間すら耐えきれず、各所に穴が空きそこから次元の狭間が見えていた。
だが、ただ佇んでいるだけの一誠に量産型ミドガルズオルムが襲いかかった。そしてその牙に噛まれたーーーーと思った瞬間、一誠の身体が光に変わり量産型ミドガルズオルムの背後に現れた。
「残念でした。そりゃ残像だ……なんてな!」
足から放たれた踵落としの一撃はまるで斧のような豪快さでミドガルズオルムの身体を分断した。その光景に誰もが目を疑った。今確かに、ミドガルズオルムの牙は一誠の身体を貫いた。にもかかわらず、一誠に傷など皆無。これは一体どういうことなのか?この能力の正体は赤龍帝としての倍加と譲渡の力を損なわず、尚且つ神龍である
今発動したのは退魔の祓甲『
「タンニーン!受け取れ!」
『Transfer!!!!』
一誠は討鬼の双刃『
「喧しいぞ、駄犬が」
その瞬間にスコルとハティは本能的に理解した。この者は圧倒的に上位の存在だと。自分では勝つという事を考える事それ自体がおこがましいほどの境地に立つ者だと。スコルとハティは伏せ、抵抗する事を止めた。
その光景にロキは驚いた。多少スペックは落ちるが、それでも
「……量産型ミドガルズオルムはほぼ全滅。我が息子は呼べば来るだろうが、白龍皇が相手ではそれも厳しいか。スコルとハティは降参。これ以上は打つ手なし。完全に摘まれたな。これが赤龍帝か。どのような策を拵えようとも真っ向から力によって叩き潰す、絶対無双の存在。……降参だよ!我の負けだ!」
ロキが降参した事で戦闘は終了した。残っていたミドガルズオルムは活動を停止し、スコルとハティに至っては完全に戦意を失っていた。ちなみにこの二体は後にシエナの使い魔となるが……それはまた別のお話。