リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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信じる辛さ

 

 

案内された場所は二条城で俺と八坂は軟禁状態……だった(・・・)。何故だったのかと言うとーーーー

 

「どうしてこんだけの人数がいて全員コンビニ弁当なんだよ!」

 

というわけだ。なに?まったく分からない?簡潔に言うと、料理を出来る奴はいるようだが構成員の数が数なので作るのが手間だったから全員コンビニ弁当だったらしい。いくら人間が相手じゃないとは言っても、こいつらは本当にテロリストの構成員なのか?俺と八坂の飯を作っていると集まってきたので作る羽目になった。なんで俺は軟禁されてまで料理を作ってるんだろうか……。

 

『おかわり!』

 

「自分で行け!……まったく、ここはガキの集まりか?そして俺に茶碗を突きつけるのをやめろ」

 

「俺としてはそんなつもりはないよ。それに不味いと言われるより全然良いじゃないか。こんなに美味いとは思ってもみなかったよ。そしておかわり」

 

「だから、自分で行け。おい、そんな急いで食うと詰まるぞ……って、早速かよ。ほれ、お茶」

 

「ゲホ、ゴホ……わ、悪い。しっかし美味すぎだろ。俺は今までこんなに美味いもん食ったことねえぞ」

 

「旅してたら自然と料理も出来なくちゃいけないんだよ。日々の楽しみと言ったらそれぐらいしかないし。……だから茶碗を突きつけるのをやめろ。そんな事しても俺は行かん。って言うか何人か潰れてるんだけど、あれ何だ?」

 

何人かが何を言っているのかは分からないけど、とにかくなんか呟いてる。その割に手の動きはまったく止まってない。つか寧ろ速いんだけど。食べ終わると即座に並んでる列の方にダッシュして行った。多分、着く頃には殆どなくなってると思うけどな。その光景を見て男性陣は苦笑していた。ちなみにジークフリートとゲオルグは静かに食べていた。長いテーブルと丸テーブルが置いてあって俺の後ろの席には八坂が座っている。ーーーー割とできあがってる状態だが。お前は本当に自分の立場分かってんのか?

 

「あまりの美味さに軽くショックを受けてるだけさ。放っておいてくれて構わないよ。……そう言えば君の眷属とグレモリー眷属が京都を訪れるらしいね。これはちょっと試してみるか?」

 

「別に止めはせんが。ただ下手な事はするなよ。特にジークフリートとヘラクレス!英雄の魂を継いでるからって調子に乗ってると殺されるぞ。伊達に俺が協力してるわけじゃない。イリナとゼノヴィアはまだしも、他の面子はアザゼルですら簡単に下せる。俺の眷属を見下すような真似だけは止めろ」

 

「へぇ……それは是非お相手願いたいね。とはいえ、僕の目下の目的は『聖魔剣』木場祐斗。出来ればゼノヴィアとイリナとも戦ってみたいかな?模擬戦をするなんて教会時代以来だよ」

 

「あまりやり過ぎるなよ。俺が我慢できなくなってお前を殺しかねないから。……ああ、悪い。ゼノヴィア今はデュランダル持ってないわ。天界に送ったらしい。何でかは聞いてないが」

 

「……そう言えば君の眷属はアタッカーが大半だけど、アシストとか遠距離にいる敵に対してはどうするんだい?」

 

「……まあ、問題ないか。遠距離に関しては俺とシエナがいればどうとでもなるさ。サポートに関しても、俺が力を送れば何の問題もない」

 

「君の眷属にも魔法使いはいるんだね。それは厄介だな……ゲオルグ、何とかなるか?」

 

「やれるだけやってみるとしか言えないな。相手の力量が不明瞭な以上、簡単に安請け合いするわけにもいかない」

 

「こと魔法や魔術に関することならあいつは優秀だぜ?神滅具(ロンギヌス)を使われなければ俺以外の誰にも負けない。ああ、いや、別にお前を貶してるわけじゃないんだぜ?単純にあいつには才能があるってだけさ。あいつは俺から八年もの間、ずっと薫陶を受けていたんだ。簡単に負けてもらっては困る」

 

「ほぅ……それは面白い。是非お手合わせ願おう」

 

「それじゃあ俺たちは部屋に戻るよ。ついでに風呂場の場所を教えてくれ。最後の奴が呼びに来てくれると嬉しいがな」

 

「こちらで案内役を用意しておこう。後片付けはこちらの方でやっておく」

 

俺は八坂を抱き上げると割り振られた部屋に戻った。そして八坂を椅子に座らせ、俺は座禅を組んでいた。これは単純に癖みたいな物だ。魔力と気を安定させるためって言うのと、力を引き出しやすい状態に常にしておくためだ。八坂がこんなに無防備なのは俺がいるという安心感からだろう。それなら俺も万全な状態にしておこう。

 

同時に内部に潜ることで俺の渇望が何なのか知るための作業もしている。これはラインハルトたち聖槍十三騎士団対策だ。今、世界中で起こっているテロの中で聖槍十三騎士団の面子が起こしている物がある。魂喰らいの聖遺物を使っての戦闘をしているらしい。こいつらに関しては人間や人外などを差別することなく殺している。戦場や軍の基地を狙って襲撃しているらしい。

 

遠からず、ラインハルトは流出の法に目覚める。その時こそ、始まるだろう。すべての終末が。神々の黄昏、ハルマゲドン、怒りの日。様々な呼び方があるが、その本質は終末だ。そんな事を許してたまるものか。だが、現状として俺は創造しか届いていない。必要なのだ、世界を塗り替える法が。様々な渇望を使えるが故に、俺の本当の渇望が分からない。それを知らなければ勝てない。

 

「……のう、兵藤よ」

 

「は?ああ、起きたのか。なんだ?」

 

「儂は……無事に皆のところに戻れるんじゃろうか?お主を信用しておらんわけではけしてないのじゃ。ただ」

 

 

「それ以上は言うな。……不安になるのは分かるさ。いくら親しい奴でもこの場面で信じるなんて行為は難しいだろうさ。それでも余計な事なんざさせねえよ。俺は自分の大切なもんを守るためならこの命だって賭けてやる。障害は叩き潰す。俺の信念にかけてな」

 

 

「ふふふっ……ははははははははははっ!そうじゃったな。けして契約を裏切らず、信念を曲げるような事をしない。そういう人間じゃったな、お主は」

 

「ああ。不安がるな、とは言わない。でも信じてくれよ。お前が命を託した奴は決してお前を裏切らないんだ、ってな」

 

「勇ましいことじゃな。これは儂も何かした方が良いのかな?」

 

「いらん。何を考えてるかは知らんが、もし肉体関係云々の話なら不要だ。そんな事をお前に求めたことは一度もないからな」

 

「手厳しいのう。儂らを除けば1人もおらぬのじゃから羽目を外しても構わんじゃろう?まあ、儂も久しくしておらぬから如何なるかは分からんがな」

 

「一応は敵地である場所でタガが外れれば両方困るだろうが。俺はそんな危機的状況に自分を陥れる気はない。……そんな一時的な気の迷いでそんな事をするのは嫌なんだよ。俺は」

 

「……兵藤よ。儂は何も一時の気の迷いでこのような事を言っておるわけではない。儂はお主を好いておる。1人の人間であるお主をの。世界中を歩き回ればきっと儂だけではあるまい。お主を好いておる者はたくさんおる事じゃろう。人の心を信じてみよ」

 

「俺は大切な者を失う事が怖い。人の手で守れるのは有限だ。すべてを救えるわけじゃない。世界最強なんて大層な二つ名を持ってはいるけど、俺は基本的に臆病者なんだよ。大切な者を作ってもし俺の手が届かなかったら?と思うと気が引けちまうんだよ。守ってほしくて、俺を好いているわけじゃないと分かっていても」

 

八坂はそんな怖がっている俺を悲痛そうな表情で見つめた後、後ろから抱きついてきた。そしてゆっくりと俺の頭を撫でてきた。その温もりは、死んでしまった母さんのような温もりで。ぬるま湯に浸かっているかのようなその温かみに、俺はゆっくりと眠ってしまった。

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