それから数日、いろんな事があったが割愛しておく。今日はグレモリー眷属とアザゼルに対して宣戦布告するらしい。俺も戦力の一つとして数えられているので行かない訳にはいかない。戦闘装束である黒いコートを羽織って結界空間の渡月橋に向かった。到着する頃には既に招き終わっていた。
「おっ、やっと来たのかい?思っていたよりも遅かったんじゃないか?」
「お前は俺に何を期待してるんだよ。本拠地から向かってたんだから多少遅くなってもしょうがないだろ」
俺の登場に動揺を隠せないアザゼルとグレモリー眷属、それにイリナとゼノヴィア。シエナと祐樹は小揺るぎもしていない。いや、祐樹は視線が微妙にぶれてるから多少は動揺してるんだろう。必死になって抑え込んでるけどバレバレだ。シエナは完全に落ち着いてるよ。まあ、動揺してる奴から死ぬって教えこんでるから当然か。
「どうしてあんたがそんなところにいるんだよ!兵藤さん!」
「……どうして俺がお前にそんな事を説明しなきゃならんのだ。俺が如何しようが俺の勝手だ。お前らにとやかく言われる筋合いはないんだよ」
「あんたまさか
「あのさ、何言ってんの?師匠は傭兵だよ?仕事があるならやるけど、
「まあ、概ねその通りだな。それに俺の基本的な立場は中立だ。三大勢力と協力してたわけじゃない。ただ事件の現場に俺もいた、ただそれだけだ」
「そいつらの所為でたくさんの人たちに被害が出てるんだぞ!おかしいとは思わないのか!?」
「別に。三大勢力だって今まで人間を虐げてきたじゃないか。強力な神器を持っているというだけで殺される。人とは違う力を持っているだけで家族から、隣人から虐げられる。悪魔だって殺してから眷属にする奴もいるだろう?因果応報だよ。今まで好き勝手やってきたから、それの反発が今来ただけ。お前たちに文句を言われる筋合いはないんだよ。なぁ、アザゼル。俺の言ってる事はなんか間違ってるか?」
「確かに間違ってはいねえな。だが俺はそれを認めるわけにはいかないんだよ!」
「ふーん……まあ、なんでも良いけどな。俺の知らない有象無象がいくら死んでも俺にはまったく関係ないんだからさ。今確かな事は俺はお前らの敵って事だけ。つっても俺は特にする事なんかないんだろうが」
「なんか俺がすごい空気なんだが、まあいいか。アザゼル総督。一手俺と仕合ってもらう」
「
「まあ、
俺たちよりも後方から出てきたのは小さい少年だった。その子の影からたくさんの魔獣が生みだされ、その魔獣から悪魔の弱点である光が放たれた。これが度重なる襲撃によって創り出されたアンチモンスターか。さすがは上位
曹操とアザゼルは聖槍と光の槍をぶつけ合いながら上流の方に行った。京都の街並みがたとえコピーとはいえ壊れていくのには感じるところはあるが、それは今気にしてもしょうがない。ジークフリートが剣を構えて前に出た。
「初めまして。僕はジークフリート。仲間にはジークと呼ばれている。さて、早速だが聖魔剣の木場祐斗。僕と戦ってくれ」
「それを許すわけにはいかないな。まさか貴方がテロリストに下ったとは思わなかったよ」
「やあ、ゼノヴィアにイリナ。久しぶりだね。最後に会ったのは教会時代だから、一年位は経っているのか。なんなら君たちが混ざっても構わないよ?僕としては願ったり叶ったりだからね。……そこの君は混ざらないのかい?」
ジークフリートは腕を組んだまま立っている祐樹に視線を向けた。それまでこちらを見つめていた視線を逸らし、ジークフリートにその視線を向けた。
「……確かに強いみたいだけど、三人が組めば少なくとも直ぐにはやられないよ。残念ながら、一対一の戦いには慣れていても一対多の戦いには不慣れなの。だからいても邪魔になるだけなんだよね」
「なるほど、理に叶っているね。というかこっちに興味がないだけなんじゃないかい?」
「そうとも言うね。マスターが敵側にいる以上、少なくとも私とシエナは動けない。……まあ、元々
「いや、俺は構わないぜ?攻撃してきても。お前らの実力を図り直すには良い機会だからな。……さあ、かかってこい」
「それじゃあ遠慮なく」
その声と同時に空中に無数の魔法陣が展開された。照準をまったく定めていない広範囲殲滅術式。術式の種類は特定できる範囲で悪魔式、堕天使式、天使式、北欧式、ギリシャ式、精霊式……俺ならどうせ防げると思ってはっちゃけやがった。光属性の拡散術式を使って次々と誘爆させていく。それでも抜けていった物はゲオルグが
それを確認すると上体を逸らし、飛んできた剣を回避。
最早外野からは火花が散っているのと、高速で動いている事しか分からないだろう。ジークフリートも戦う手を止めてこちらを眺めていた。忙しなく目が動いている事からなんとか把握は出来ているようだ。グレモリー眷属は
「おや、そちらもやっているようだね。いや、さすがは堕天使の総督だと言うべきなんだろうね」
「遊んでただけの癖によく言う。それで如何するんだ?これ以上続けても千日手だ。さっさと宣告して帰らせた方が良いんじゃないのか?」
「まあ、俺としては問題ないから構わないが……ん?」
「あの魔法陣は……?」
唐突に魔法陣が出てきてそこからとんがり帽子にマントといった魔法使い然とした小柄な女の子が現れた。誰だあれは?昔似たような顔立ちの人に会った事があると思うんだが……
「はじめまして。ヴァーリチーム所属の魔法使い、ルフェイ・ペンドラゴンと申します。以後お見知り置きを」
「へぇ……誰に似てるのかと思ったらカーシャさんか。いやはや、聖皇剣を継いだペンドラゴンの末裔がテロリストとは……世も末か?」
ボソリと呟いたから聞こえなかったようだ。聞こえていても面倒だが。カーシャ・ペンドラゴン。昔俺が黄金の夜明け団と接触した時に出会った女性。実力自体は大した事はないが、そのレパートリーや発想には驚かされる事がままあった。そう言えば、俺と歳の近い娘がいるとか言ってたな。こんな形で会う事になるとは思わなかったがな。
「……それで、ヴァーリのところの者が一体何の用だ?」
頭を掻きながらそう言う曹操に対してルフェイと名乗る少女は屈託のない笑顔でこう言った。
「はい。ヴァーリさまからの伝言をお伝えいたします!『邪魔だけはするなと言った筈だ』──だそうです。ウチのチームに監視を送った罰ですよ〜」
次の瞬間、地震でも起きたかのような巨大な揺れがその場にいた全員を襲いアーシア嬢は体勢を崩していた。そして地面を引き裂き現れたのはーーーー
「あれは……ゴクマゴクか!またけったいな物を引っ張り出してきたもんだな!」
聖書の神が廃棄した遺物。殆どが休止状態で放置されていたそれの中から態々次元の狭間を探検して探しだしたらしい。
「私たちのチームのパワーキャラのゴッくんです!」
ゴクマゴクはこちらに向けて拳を振るってきた。曹操と共に後ろに下がった。ゴクマゴクの圧倒的な質量に耐えきれず、渡月橋は轟音と共に砕け散った。さすがは聖書の神の創った遺物だな。面倒すぎる。いくら問題がないとはいえ、俺が相手をするのは嫌だ。曹操に視線を向けるとーーーー笑っていた。
「ハハハ!ヴァーリはお冠か!どうやら監視していたのがばれたようだ!」
そう言いながら槍を伸ばしてゴクマゴクの肩の部分に直撃させるとゴクマゴクがひっくり返った。明らかな質量差とかいろいろとツッコミたいところはあるが、今は放置しておこう。
「人が折角よく眠ってたのに……ドッカンバッタンチュドーンってうるさいんれすよ!」
後ろから聞き覚えのある声がしたと思ったら、つい最近オーディンの爺ちゃんの護衛を辞めて悪魔に転生したロスヴァイセさんだった。妙に酔っ払ってるけど、一体何があったんだ?英雄派の構成員が捕まえようとするとフルバースト型の魔法陣を展開してきた。
「ゲオルグ!防げ!」
「分かっている!」
「大体の目的は果たせた。アザゼル総督!我々は今夜、この京都の地で九尾の御大将を使い、二条城にて一つ大きな実験をする!是非とも制止するために我々の祭りに参加してくれ!」
その言葉と共に霧がアザゼルとグレモリー眷属たちを包み結界の外に連れ出していった。ルフェイはゴクマゴクを回収し、霧が発生する寸前に魔法陣を使って撤退していった。