リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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アットノベルス版のハイスクールD×D改のパクリなんじゃないか?というお便りをいただきましたが言っておきます。違います。確かに作者自身あの作品は好きですが、パクリでは決してありません。

あちらでは八坂との出会いが京都からですが、こちらの一誠は幼少時からの顔なじみです。多少似通った点もありますが、パクってるわけではありません。そもそもそういう設定でした。

無関係の方にはすいません。ただ言っておきたかった事なので言っておきます。いくら似通っていてもパクリと疑うのはやめてください。完全に流れが一緒であれば言っていただいても結構ですが、多少重なってもとやかく言わないで欲しいです。作者のモチベーション的にも萎えます。

さて、今回は一誠が自分の渇望を見つける回です。それに尽力したのは……?それでは、どうぞ!


本当の渇望

 

 

その後、シエナたちが家に戻ると一誠は戻っていなかった。アザゼルにも連絡を取ってもらったが、交渉の場にもいなかったらしい。よくある行方不明状態だった。それを少し不満に思ったシエナたちではあったが、どうせすぐに戻ってくるだろうと思っていた。しかしその予想に反し、一週間経っても一誠は戻ってこなかった。

 

そして駒王学園の屋上にて、シエナたち赤龍帝眷属+レイヴェルで昼食を取っていた。レイヴェルは修学旅行の後に転校という形で転入してきた。元々、一誠から手助けしてほしいと言われていたので問題はなかった。

 

「それでどう?学校には慣れてきた?」

 

「あ、はい。皆様のおかげでどうにかなっていますわ。段々と友達もできてきましたし……」

 

「そう?それは良かったね。友達は大切にしなよ?いつ何処でその縁が役に立つか分からないし、私は気にしないけど先輩に頼るっていうのは何かと不都合な事が多いからね」

 

「はい!……それにしても本当に戻ってきませんね。シエナ様たちも理由は分からないのですか?」

 

「ん〜……分からないかな。残念ながらね。師匠はあれで基本的に人に頼るような真似をしないんだよね。ロキ戦以降はその態度も軟化してきたけど、やっぱり頼り辛いんだろうね。多分どこかで考えこんでるんじゃないかな?」

 

「それって具体的にはいつまでやってるの?一誠くんが家を開けた事は何回もあるけど、こんなに開けたのは初めてじゃないの?」

 

「ここ最近じゃね。でも最長で半月ぐらい開けた事もあるし……まだ許容範囲内かな?大体2日か3日ぐらいは開けるのが普通なんだけど」

 

「ああ、あったね。あの時は皆大慌てだったよね。幸いと言うかなんと言うか、置き手紙だけはしてくれてたから幾分かはマシだったんだけど……すごく心臓に悪かった」

 

「そういう事もあるよ。幸い料理できる人は残ってるから問題ないしね。……まあ、さすがにグレードは落ちちゃうけど」

 

「……それは出来ない私に対する当て付けか?」

 

「まさか。私だってどちらかと言えば食べる方が専門だよ。でも軽く食べたいけど、頼むのが面倒な時だけ私が作るの。炒飯とかがそうだね」

 

「その割に料理スキル高いよね。お弁当作ってるのってシエナちゃんなんでしょ?」

 

「ムグムグ……私の分はそうだけど、皆の分は違うよ?今日は確かアイリスさんが作ってたかな?基本的にウチの台所は師匠と八舞さん、それにアイリスさんの3人で回ってるから。だから最近もお店の方が忙しいんだよ。だから私も手伝いしてるの」

 

ほらと言いながら弁当の中身を見せると確かに他の面子とは中身が違っていた。シエナ曰く『日常的にやってないと腕も鈍っちゃうからね〜』だそうだ。そこからも和気藹々と団欒は続いていく。

 

そして噂されている一誠はーーーー今も尚、次元の狭間にいた。浮いている大地の一つに座りこみ坐禅を組んでいた。一誠が修行するには次元の狭間しかなくなってきた為だ。内に眠る力をじわりじわりと解放していく。たったそれだけで周りに浮いている残骸などが粉々に砕け散っていく。

 

一誠がやっている事は魂の出力を上げる事で座に至る事ができるようにする為に、流出位階の出力を出せるようにしていた。『無』を体現する空間であるがゆえに、本来は流出したところで次々とかき消されていく。それが無いのは、単に次元の狭間でも消しきれない程の質と量を備えている事。そしてかき消される度にかき消された分を上回る力を放出しているからだ。

 

本来なら既に2〜3の世界の座を塗り替える事ができる程の流出をしている。しかし結界を組んでいる為、必要以上の領域まで流出が埋め尽くさないのだ。そして力を使い尽くして倒れこんだ。京都での一件からどれだけの月日が経ったかは知らない。時間の概念も存在しない場所なので仕方ないとも言えるだろう。

 

「ああ〜……駄目だ。こいつは俺の流出じゃない。昔使った時の他の誰かの流出だな。これで三回目か」

 

初めに起きた法は『永劫回帰』。この周辺に浮いている残骸などを本来のあるべき姿へと返す、否永遠に回帰させる法。そしてこれから連想される存在はーーーー水銀の蛇。

 

次に起きた法は『無間大紅蓮地獄』。万象一切を停止させる永遠の停止。例外などありはしない刹那の法。そしてこれから連想される存在はーーーー永遠の刹那。

 

最後に起きた法は『修羅道・至高天』。回帰させた残骸が次々と崩壊していった力。例外なく世界に破壊をばら撒く戦いの法。そしてこれから連想される存在はーーーー黄金の獣。

 

何故、一誠がこれらの流出を使えるのか?それは一誠がかつて流出を使った際に、他者の渇望の源泉を見たからだ。無論、それだけで使える事はおかしいのだろう。それは重々理解している。しかし使える物は仕方ないと言わざるをえないのだ。一誠自身、何故自分が他人の流出を使う事ができるのか理解していないのだから。

 

『相棒、頑張るのは良いが少し休め。立て続けにこれだけ力を放出しているんだ。消耗は相当な物になっている。行き詰まっているようだし、一旦家に戻ってみたらどうだ?』

 

「……まあ、それも一つの手か。確かレイヴェル嬢も来ている筈だったな。いつまでも家主が家を開けるわけにはいかない、か。もう一つの方は完璧に制御できるようになったんだけどな。中々上手くはいかない物だ」

 

『しかし相棒。その流出とやらは必ず出来なければならないのか?はっきり言って創造だけでも十分だと思うんだが』

 

「駄目だ。流出位階と創造位階では天と地程の差がある。お前が言ってるのは、身体能力的には五分五分の奴が禁手(バランス・ブレイカー)覇龍(ジャガーノート・ドライブ)に勝つみたいなもんだ。要するに、無理だ」

 

『俺からすると分かりやすい例えだな。しかしさっきからその流出とやらを放っているじゃないか。それじゃあ駄目なのか?』

 

「俺のは所詮、猿真似みたいなもんだからな。そんなんじゃ本来の出力は出ないんだよ。それじゃあいつには勝てない。三大勢力陣営や他の神話勢力、それに噂じゃ禍の団(カオス・ブリゲード)にすら被害が出ているとか。破竹の勢いで魂を集めているんだ。あいつの流出は半端じゃない出力になる。その為には」

 

 

「自分の質をあげるしかない、かな?妙な波動を感じたから来てみたけど、貴方だったのか。赤龍帝」

 

 

「……何か用か。悪いが貴様に構っている余裕はこちらにはないのだがね」

 

後ろを振り向けば楽しげな表情を浮かべたラインハルトが立っていた。一誠の敵意に反応して赤龍帝としての力が弱っている一誠にさらなる活力を与える。一瞬で戦闘体勢を整えた一誠を見てラインハルトは笑っていた。

 

「ハハハッ、分かってるさ。とはいえ、君とは一度話し合いたいと思っていたんだよ。世界最強の座を手に入れた赤龍帝にね。見たところ、憑依転生って奴なのかな」

 

「だったらどうした。……なんだそれは?」

 

「え?酒だよ。腹を割って話しあう時は必要だろう?まあ、安心してくれよ。こんな味気ない場所で恐怖劇(グランギニョル)の最終幕ーーーー怒りの日(ディエス・イレ)を始める気はない。もっと相応しい舞台でやるし、それにはまだもう少し時間がある。それに関してもいずれ教えるさ」

 

「……最終戦争か。まあ何にせよ、今やる気がないならそれで良い。それで何を話しあおうと言うんだ?」

 

「俺がどういう役割なのか、とかかな?後は助言とか……なんなら俺の転生特典を教えても良いぜ」

 

「何を考えている?転生者同士、いや同格の存在同士での戦いにおいて重要なのは能力だ。あっさりと能力をバラすなんてありえないことだ」

 

「まあ、落ち着けって。どうせ時がくれば戦うんだし、能力がばれたって対策のしようなんてないんだからバレても困らないってだけだよ。俺の転生特典は『Dies irae』ってゲームのラスボスであるラインハルト・トリスタン・オイゲン・ハイドリヒとの魂の融合とその聖遺物、そして渇望だ」

 

「修羅道・至高天か。全力を振るう事だけを望んだ存在か。分からないな。どうしてそんな力を望んだんだ?」

 

「……死ぬ前はさ、俺は生きてる事に不満を感じてたんだ。その男と同じように、俺は全力を振るう事ができなかった。分かりやすく言うなら才能がありすぎたんだよな。大抵の事はすぐに出来た。難しい事でも一日経てば理解出来たし、実践できた。友達には飽きっぽいとか言われたけど、俺にはどうしようもない事だった。その時に友達から借りたゲームに出てきたのがそいつだった」

 

「そのあり様に憧れたのか?」

 

「単純にすげぇと思った。俺と同じように全力を振るえない事に苦しみながらも、すべてを愛しているとか言うんだぜ?ゲームとはいえ、こんな男になってみたいと思った矢先に死んだ。いや〜マジでびびったわ。そこで出会ったのがロキとか名乗る自称神。俺の役割はあんたに対するアンチテーゼ。あんたはこの世界で強くなりすぎた。だからこそ、俺という自滅因子が用意されたんだよ」

 

「自滅因子、ね……そうなるとお前は俺と怒りの日(ディエス・イレ)が終われば結果を問わずに死ぬって事じゃないのか?」

 

「ん、まあな。だが別に構わねえよ。俺は一度で良いから、本当の全力って物を出してみたい。それが出来れば本望さ。後、訂正しておくが、怒りの日(ディエス・イレ)を演じるのは俺とあんたと白龍皇だ」

 

酒を煽りながら話しているけど、わりと真面目に話してる。俺もラインハルトも酒なんぞ飲んでも酔っ払わない。毒素を分解しているからだ。純粋に味しか伝わってこない。それにしても望みうるは全力の境地、か。三つ巴の最終戦争ーーーー怒りの日(ディエス・イレ)。ロキが用意した俺を倒しうる力を持つ者でありこの歌劇ーーーー恐怖劇(グランギニョル)を演じる役者の一人。

 

「ままならん物だな……まあ、同情なんてしないけどな。お前の選んだ道を、俺は肯定する。俺のライバルになってくれると言うなら是非もない。ーーーー全力を持って叩き潰してやるよ。お前に敬意を評してな」

 

「嬉しいね。俺も半端な加減なんていらないんだ。欲しいものは全力を振るえる相手だ。今ならあんたと白龍皇だな。白龍皇の方はちょっと遅れ気味だが、あいつの成長速度は半端じゃない。いずれ来たる日には同レベルに至っているだろうさ。……あんたもちょっと行き詰まっているみたいだが」

 

「……まあな。だが心配するな。お前は俺が殺してやるから」

 

「みすみす殺されるつもりは無いっての。……さすがは天然物のツァラトゥストラだな。使える渇望が多すぎて自分の渇望が分からないとかどんだけだよ」

 

「フリードリヒ・ヴィルヘルム・ニーチェ著作の『ツァラトゥストラはかく語りき』か?超人とも言うが」

 

「知ってるんだな。でも言葉の通りだろ?複数の渇望を使える時点で、あんたは既に超人だ。しかも3人分の流出を使えるとはな。どんだけだよって話だ」

 

「使えるんだからしょうがないだろ。それで?一体どんな助言をくれるって言うんだよ」

 

 

「なんであんたはそれを使えるようになった?人にはそれぞれ異なった常識がある。他人の渇望を理解するなんて不可能だ。それならば何故、あんたはそれを認識した上に理解できるようになった?つまりはそれが答えってことなんじゃねえの?」

 

 

「………………」

 

むちゃくちゃだ。理論的ですらない。だが何故だ?それが答えなのだと思える。確かにこいつの言うとおり、なんで俺は他の者の渇望を理解できる?それを納得し、共感し、使う事ができる?

 

『永劫回帰』?同じ生が何度も続くなど俺はゴメンだ。人生とは何が起こるか分からないからこそ、人生なのだ。同じことが何回も続くなら、それは小説と同じだ。

 

『無間大紅蓮地獄』?確かにこの刹那が愛おしいと思った事は何度もある。だが刹那とは一瞬だからこそ、刹那なのだ。永遠に止まり続ける景色を永遠に見続けたいとは思わない。

 

『修羅道・至高天』?戦い続けて、勝利し続けて、破壊し尽くしてその先はどうする?永遠に戦い続けるなんて事をする戦乱を生きたいとは思わない。

 

よく考えてみると、俺自身何故使えるのか分からない渇望ばかりだ。それなのに何故俺は使う事ができる?まさか俺の、俺だけの渇望はーーーー

 

「クックックッ……ハッハッハッハッハッハッハッハッ!こんな!こんな物が俺の渇望だったのか!なんで俺はそんな単純なことにすら気がつかなかったんだ!?可笑しくて堪らないな!」

 

「……どうやら見つかったみたいだな。さて、俺は帰らせてもらうわ。ほとんど俺の1人語りだったとはいえ、中々有意義な時間を過ごさせてもらったよ。それじゃあな、赤龍帝。次は戦場で合間見えよう」

 

「ああ、こちらも中々楽しかったよ。お前の期待に応えられるようにこちらも出来るだけのことはしておこう。全身全霊をもってお前と相対する。全力の境地ってもんを見せてやる」

 

「それは楽しみだ。ーーーー期待を裏切ってはくれるなよ?」

 

「当たり前だろ。ーーーーお前は俺が殺してやる」

 

双方の足元に魔法陣が現れ、その光が2人を包み込みその光が晴れる頃には2人の姿は跡形もなく消えていた。

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