あれから色々な手段を用いて探したが、結局見つかる事はなかった。それよりも問題なのは……
「何だ?あれは……まさか管理局って奴か?」
そう、宇宙空間内にSFにでも出てきそうな艦があった。俺の視力がべらぼうに良くて偶然見つけた……とかではなく、町中にばら撒かれている物から見て何か来たんだと理解して探しまわった結果見つけた。
「どうでもいいか……」
結界を展開して、町中にばら撒かれている物を絡めとり一気に破壊した。監視カメラみたいな物なんだろう。ハッキリ言って邪魔だ。
「しかし今更来られてもな……。もう決着間際だし、無駄だろう」
さっきから俺がやっているのは、魔力で町中に網を貼りジュエルシードを探している。まあそれでも見つからないわけだが……あいつらはどうやって探しているんだ?
「足で探す他ない、か……」
『相棒、何もそこ迄焦る必要はないだろう。放っておいてもどうせ奴らが回収するだろう?』
「それはその通りだろうさ。でも、俺は適当な所で終わらせるつもりなんか無い。やるなら最後まで、だ」
『相棒らしい事だが、他にも理由があるんじゃないのか?明らかにおかしいぞ』
「……余計な介入をさせない為だ。管理局がこちらの裏事情を知った時、何をしでかすか分からないんだ。余計なことをしでかす前にこの一件にけりを付けたいんだ。お前にとってはどうでも良くてもな」
『確かに俺は白いのと戦えればどうでもいいが……それでもランキング五十位からは完全に人外の領域だ。どうにもならんと思うが?』
「あいつらの強さなんかどうでもいいんだよ。重要なのは、別の技術が此方の世界に流れ込んでくる事だ。
新しい技術ってのはそれだけで騒乱を呼ぶ理由になりかねない。そんな事があってもらっては困るんだよ。非常にな」
『例えばどんな物だ?』
「高町なのはの砲撃魔法。あんな物を遠距離からバカスカ撃たれたら、それだけで圧倒的なアドバンテージになる。少なくとも、下級の存在はな。それに戦争狂の連中も黙っちゃいないだろうしな」
例を上げるとするなら、コカビエル。聖書にも載っている程の堕天使だ。あいつは戦争狂で自分の組織ーーーー
「確かに俺からすれば敵じゃねえよ。それでもこれを機会に変な事を仕出かそうとする奴は絶対にいる。それならそんな事が起こる前に終わらせたいんだ」
三つ巴の戦争では圧倒的な被害が出た。あれで世界もまた大きく変化したんだ。今度また同じようなことがあれば、碌な事にはならないだろう。
『力の権化である赤龍帝の力を振るう者とは思えないな。……なんにせよ、俺は相棒のやる事に従うだけだが、な』
「俺は無用な力は振るわない。そう誓ったからな。俺が力を振るうのは必要な時だけさ。知ってるだろ?」
ドライグは何も言わず、ただフッと笑っていた。さてこれからどうした物か……。そう思いながら、街を歩き回っていると八神を見つけた。しかもなんか車椅子の車輪が溝にはまった状態で。
「おう、八神。何をしてるんだ?」
「……見て分からんか?」
「いや、分かるが。ただ聞いてみただけだ。全く……どうやったらそんな状態に陥るのやら」
「車を避けよう思たら、予想よりも動き過ぎてな。そしたらこの有様や」
「ああ、微妙に地面が濡れてるな。水でも撒いたんじゃないか?運が悪いとしか言えないな。八神。……よっこらせ」
「うっさいわ。……ところで一誠君はこんな所でなにしとるん?学校は行っとらんの?」
「俺には戸籍なんて便利なものが存在しないからな。作ろうと思えば作れるが……面倒くさい。なんで勉強が分かるのに、学校なんて面倒な場所に行かなきゃならん」
「……なんかゴメン」
「ん?戸籍がない事か?別にお前が何か思う必要はないさ。っていうか、お前はいったい何をしてたんだ?何処かに行こうとしてたのか?」
「図書館に行って来た帰りやで。ほら、こんなんとか」
「ギリシャ神話ね。ただのエロ爺と嫉妬深い女神様を中核にした話だろうに。そんなに面白いか?」
「あれ、一誠君ギリシャ神話知っとるん?なんか意外やわ」
「俺が本を読んでちゃおかしいか?……っていうか」
「なんでちゃっかりお前の家に入ってんだよ、俺は!?」
なんか話し込んでいる内に気が付いたら家に入ってまったりとくつろいでいた。そして何故、八神はその事を突っ込まない!?
「いや、せっかくやしええかな〜と思っただけやけど」
「……ま、いいか。それで八神。ちょっと訊きたい事があるんだけど」
「?なんや?」
「お前の足はいつからそんななんだ?」
家に親がいないこともそうだが、この家はあからさまにおかしい。しかもなんか監視されてるしな。八神の足からも何か呪術的な物を感じる。
「う〜ん……物心付いた時からこれやから覚えてへんわ。でもまたなんで?」
「いや、ちょっとな」
おかしい。あの足の状態は明らかにおかしい。人為的にやられている。まるで呪いみたいだ。……呪い?そういえばなんか上の方から魔力の反応がするな。
「なぁ八神。お前さ、変な本とか持ってないか?」
「持っとるよ。なんか鎖で縛り付けられとる本が。……それがどないしたん?」
「八神、ちょっとお前に質問する。……お前は魔法とか魔術とかそういう埒外の事が信じられるか?」
「あったらええな、とは思うよ。一回くらい魔法とかに触れてみたいと思ってもおかしくはないやろ?」
「そりゃそうだ。……それじゃあお前に奇跡を見せてやるよ。ーーーー
俺の背中から十二枚の金色の翼が生えた。そんな俺を見た八神はと言うとーーーー
「…………」
呆けていた。まあ、非日常でしか絶対に見られない光景だしな。無理はないんだが……。ボケッとしすぎだろう。だから八神の頬っぺたを引っ張てみた。
「いひゃいいひゃい!……こんな可愛い乙女に向かって何すんねん!」
「乙女?お前が?」
「なんでそこで訊き返してくんの!?ウチが美少女やったらおかしいんか!」
「それを公言するのはどうかと思うが……まあ、いい。八神、ちょっと足だせ」
「へっ?な、何すんの?痛くせんといてや?」
「それくらい分かっている。ほら、サッサとしろ」
八神の足を掴むと、右手を当てて翼を大きく広げて力を使った。悪法だろうが邪法だろうがまとめて問答無用で叩き潰し、地獄の奥底に封印するミカエルの力。その効果は絶大で八神の足に溜まっていた呪詛のような物をまるごと消し去った。……また再発しそうだが。
「はれ……?足が……」
「一時的な物ではあるだろうが、とりあえず暫くは動くはずだ。また再発したら俺も気付くだろうし、また治してやるよ。原因は分からないが、大方は消し去ったからな。暫くは自由だろ」
「…………ううっ」
「何故泣く。喜べよ」
「ち、ちゃうねん。嬉しいねんで?ウチ、こんな足やから学校にかって行かれへん。寂しかった。辛かった。苦しかった。でも一誠君が奇跡を起こしてくれた。その事が嬉しくて……」
「たまたまだろ。俺がたまたまなんとかできる力を持っていただけ。それが八神にとっていい方向に動いた。それだけだ。だから感謝なんていらん」
「それでもやん。たとえ偶然でも一誠君がやってくれたから奇跡は起きたんやろ?それなら感謝せなあかんよ」
なんか恥ずかしいな……。俺は自分にできる力があるからやってるだけだし。でもまあ、少なくとも礼はきちんと受け止めておこう。
「どういたしまして」
そんなこんなで第十四話。
原作?そんなの知らないよ?みたいなノリでやりました。しかしこれは沈静化しただけで別に解決した訳ではありません。……はい、ただの言い訳です。
そして自重という単語を知らない一誠君でした。サーチャーをまるごと破壊。管理局には大迷惑。困ったちゃんです。
もう無印って何?みたいな感じですね。次でもう終わってしまうのか?その答えはまた次回。