リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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約定

 

形勢不利と断じて曹操は撤退した。代わりにジークフリートとゲオルグが残り、死神たちが大量にやってきた。それを聞いて一誠の機嫌はすぐさま悪くなった。フロア全体に結界を張り、回復魔法やアーシアの神器などで負傷者の手当てが始まったが皆の視線は一誠に注がれていた。

 

「無様だな、ヴァーリ。サマエルなんぞにやられたのか」

 

「……否定のしようもないな。オーフィスを守りきれず、赤龍帝に力を借りなければならないとは俺も随分とまあ間抜けだ」

 

「自虐なら後で1人でやってろ。今からお前に天使の力(テレズマ)を流し込んで毒を抹消する。聖なる力の毒はお前の方でなんとかしろ」

 

「ああ、分かった。……なあ、兵藤一誠。さっきのあれは一体なんなんだ?」

 

「治療が終わったら話してやる。だから落ち着け。……よし、これで終わりか。他の負傷者は……いないな」

 

一息つきつつ、椅子に座りこむとフロアを見てくると言っていたオーフィスが戻ってきた。出る前よりも力が増加しているところを見ると何かを回収してきたようだ。実際力を蛇の形にして逃がしていたらしい。今の力は大体二天龍よりも二回り上、程度らしい。

 

「弱くなったな」

 

「だが、二天龍よりも上ならさしたる問題はない。そんじょそこらの神格に捕まる、なんて事はないだろうからな」

 

曹操は今のオーフィスを搾りかすと断じた。だがそれだけ残っているなら、問題はない。二天龍っていうのはオーフィスやグレートレッドなどの特殊な奴を除けば世界最強の存在だ。それよりも二回り上なら英雄派なんて殲滅できる。ハーデスの相手をするのは多少厳しいだろうが。あんな骸骨でも一応は上位ランカーだからな。

 

「さて、兵藤。説明して貰うぞ。さっきのあれは一体なんなんだ?あの波動は……聖書の神と同じものだった」

 

「そりゃああの槍を使ってたからだよ。それとその話をするならまだ役者が足りないな。出てこい、創生龍。それに破壊龍もだ。俺が目覚めた以上、盟約を語っても問題はないだろう」

 

俺がそう言うと、高神くんの背中から翼が。加那の腕に籠手が現れ、二つが同時に光だし光が消えるとワンピースを着た女性と全身黒づくめの男が現れた。

 

「この姿になって外に出てくるのは初めてだな。初めまして、次代の後継者。私が破壊龍である。名はリューベンス。よろしく頼む」

 

「神器の魂が肉体を持って具現化するだと……?そんな事が起こりうるのか?」

 

「そこから認識を改めるか。まずこいつらは神器じゃない。こいつらは聖書の神と初代ルシファーの魂から生まれた存在だ」

 

『は?』

 

事の発端ははるか昔ーーーー未だ堕天使という概念がなかった頃の話である。初代ルシファーは聖書の神にとある賭けをしないか?と話しかけた。その賭けの内容はもし自分たちが死んだ場合、後継を同時期に決めてその2人を争わせてどちらが強いかを決めるという物だった。聖書の神もそれを了承し、それぞれの魂から一体ずつ龍を生みだしそれらを作ったばかりであるシステムで眠らせた。

 

そしてそれぞれが先の大戦で死んだ事で、二体は目覚めた。しかしそんなすぐに宿主とすべき者が見つかるはずがない。二体はそれぞれ長い時を待った。だがとある日、破壊龍は動いたが創生龍は動けなかったそして莫大な神気を感じてついに動いた。

 

「……っていうのが八年前のあの時だ。しかし、破壊龍も創生龍もどちらも思った人物に宿る事が出来なかったんだ」

 

「何故だ?それだけ条件が揃っていたなら可能だろう?」

 

「馬鹿か。俺たちが宿している物はなんだ?……そう、二天龍だ。それだけ強大な魂を素の状態で宿しているのに、その上にそこの二体を宿らせる事ができるわけないだろ。だからこの二体は次善策を選択したんだ」

 

「次善策?」

 

「この二体を宿せないのは、単純に肉体がまだ幼い故に魂が耐えきれなくなるからだ。だったら成長を待ち、魂が成長して覚醒するのを待てば良い。という訳だ。どちらにせよ、その間の仮初めの主としたのがそこの2人ってわけだ」

 

「あの〜……ちょっと聞いても良いっすか?」

 

「ん?なんだい?」

 

「創生龍が兵藤さんのところに行くって事は、俺が能力を失うってことなんじゃ……」

 

「ああ、それは大丈夫。この二体は神器じゃない。この二体が長期間、宿主としていた2人は魂が元の物とは変質している。流石に概念創造なんかは出来ないだろうけど、普通の武具の精製とかは出来るし特殊能力は君の駒に依存してるからね。関係ないよ」

 

実際、宿っていたというよりは寄生していたに近いからな。

 

「それじゃあお前がさっき言ってた物ーーーー神器(セイクリッド・ギア)システムについて教えろ。なんでお前が使えるんだ?」

 

「八年前、聖書の神を引っ込めた時に俺が聖書の神の残滓の魂を取り込んじゃったらしいんだ」

 

『は?』

 

「そこで神器(セイクリッド・ギア)システムの管理権限を手に入れてたらしい。つっても管理権限だけじゃどうしようも……」

 

「待て待て待て!なに!?聖書の神の残滓の魂を喰らった?お前は一体なにを言ってるんだ!」

 

「そんなに騒ぐなよ。黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)の中には聖書の神の残滓がいる。それは知ってるだろ?あれは神器(セイクリッド・ギア)システムの最深部にいるんだがな。そこから介入して来たんだよ」

 

「最深部か?まあ、いるとしたらそれぐらいしかないが……」

 

「話は少し変わるけど、お前は神器(セイクリッド・ギア)システムがどんな物だと思う?」

 

「どんな物って……」

 

神器(セイクリッド・ギア)システムっていうのは、聖書の神が最初に創り出した神器(セイクリッド・ギア)だ。ただ存在する神器の能力を記載するだけの能力。それがこの神器(セイクリッド・ギア)だ」

 

「それならなんでシステムに組み込まれていたんです?あり得ないとは思いますけど、天界の防御を突破すれば手に入るんでしょう?」

 

「能力が書いてあるだけで、それ以外には役に立たない神器なんて持っていても意味がない。この神器は管理権限を使うことのできる者だけがその真価を発揮できるような代物だ。必然、聖書の神ぐらいしかその力を使えなかった。という訳だ」

 

「それならさっきのあれは?サマエルが槍に変わっちまったが」

 

「あれが封印系神器(セイクリッド・ギア)の作り方だ。核となる魂を抉り出し、その皮ーーーーつまり肉体を外殻とすることで神器は創られる。……まあ、基本的には籠手などの形になるが白龍皇であるアルビオンや龍王のヴリトラのように、その者の特色となる力が形になる者もいるが。そこは千差万別だな」

 

膝に座りこんだオーフィスの頭を撫でつつ、話は続いた。幾ら神器(セイクリッド・ギア)システムを使えるようになったとはいえ、神滅具クラスになると器が必要になってくる。正確に言うと、器がない状態で力を使えばそれだけ負担も大きくなるという事だ。とはいえ、このご時世に神滅具集めなんてできる訳がないが。




どもども、シュトレンベルクです。こうやって後書きを書くのも久しぶりです。

今回は神器システムについてのお話でした。いや〜やっと出せましたよ。神器システムが最初の神器であるというネタが!

とは言っても、そんなに出す機会ないんですよね。一誠は基本的には他の神器を使いませんから。ただ、この聖書の神と初代ルシファーのネタも出せたので作者的には満足。皆様にも楽しんで戴けると幸いです。それではまた次回!
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