リリカルD×D~狩り人の戦記~   作:シュトレンベルク

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反撃の幕開け

 

 

さすがに現状放置といくわけにはいかないので脱出する面子を決める事になった。その際、支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)を手渡された。とはいえ、俺が出てもどうしようもないのでレイヴェルちゃんに先に家に戻って渡しておくように頼んだ。最初は自分は後回しで良いと言っていたのだが、俺が無理矢理ねじこんだ。元々、出る面子を決めあぐねていたし俺は神器(セイクリッド・ギア)システムを盗ってきたに近いから戻りにくいので八舞あたりに報告しておくように、と頼んでおいた。

 

他のメンバーは姫島さん。アザゼルはぜんぜん戻る気がないらしい。責任を感じてるのか、ここで迎撃するつもりらしい。リアスさんは(キング)として戦うらしい。元々、2人か3人程度しか出られないからちょうど良いと言えばその通りなのだが。加那を休ませている現状で術式を組み替える事ができるのは俺かルフェイちゃん。

 

「……あの」

 

「うん?どうかした?」

 

「カーシャ・ペンドラゴンという名前に聞き覚えはありませんか?私の母なんですが」

 

「知ってるよ。あの人にはいろいろとお世話になったからね。いや〜それにしても似てるよね。ルフェイちゃんとカーシャさん。正直な話、京都で見た時は驚いたね」

 

「やっぱりそうなんですか!小さい頃によく聞いたんです!私よりちょっと上の赤龍帝様のお話!こうやってお話できて光栄です!」

 

「ハハハッ。ちょっと大袈裟だと思うよ?俺はあの人にいろいろと助力してもらった人間だし。あの人に対して何かしたと言うほどはっきりとした事はしてないし」

 

「母の魔法は黄金の夜明け団(ゴールデン・ドーン)の中でも異端に近いもので、誰にも認めてもらえなかったらしいんです。でも赤龍帝様に認めてもらった時、すごい嬉しかったって言ってました」

 

「奇抜だったし使い勝手の悪い物も幾つかあったけど、嵌れば強い物も多かったんだ。あの人の実験にはよく巻き込まれたね。今となっては良い思い出だけど、あの当時は大変だった……あ、それとその赤龍帝様って言うのは止めてくれ。柄じゃないんだ。名前でも何でも好きに呼んでくれ」

 

「良いんですか?」

 

「構いやしないよ。ヴァーリだって名前で呼んでるんだろ?別にその程度の事で目くじら立てるほど気は短くない」

 

「そ、それじゃあ……一誠さんと呼ばせてもらいます」

 

「レイヴェルちゃんみたいな娘だな。……さて、これで良し。それじゃあ2人を送る。2人とも、任せたよ」

 

「はい、分かっていますわ。きちんとサーゼクス様とミカエル様に今回の一件をお伝えしてきます」

 

「ん、任せた。それじゃあ」

 

魔法陣が輝き、2人を包みこんだ。俺はそれを見届けると、屋上に続く階段に群がっていた死神を吹き飛ばした。

 

「それじゃあ俺も始めるか。俺が出ていったら結界を強化しといてくれ。俺は二階と屋上の石像を潰してくるから、駐車場の方は任せたぞ?アザゼル」

 

「分かった。お前も気をつけろよ……ってこれは必要ねえか。お前も終わり次第、こっちに来てくれ。それじゃあ行くぞ、お前ら!」

 

『はい!』

 

俺はそれを見送ると、屋上に上がり始めたーーーー途中で止まり、神器(セイクリッド・ギア)システムを起動させた。

 

「アクセスーーーー神器(セイクリッド・ギア)システム。魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)、起動」

 

3人分の肉体を創り上げ、そこに歴代の先輩の意思を宿らせる。無論、エルシャやベルザードを出した方が簡単に終わるんだが2人が完全に実力を出しきれる肉体を創るのは疲労が大きすぎる。邪魔してくる死神を潰しつつ、石像を壊すだけならこの方が楽だ。3人に二階の石像を任せて俺は屋上に向かった。

 

着いてみるといるわいるわ。うじゃうじゃとゴキ○リか貴様らは。背中から翼を出現させて絨毯爆撃の要領で次々と死神を屠っていく。たまに向かってくる死神は竜具(ヴィラルト)で殺していく。目の前まで来ると、集束砲で跡形も残らず消し飛ばした。周りを見回してみるとさっきまで周りにいた連中が消えていた。増援にでも行ったか?

 

そう思いつつ、飛び降りようとしたところで先輩たちが出てきた。

 

「大丈夫でした?」

 

「ああ。昔なら苦戦しただろうが今ならまったく問題ないな。身体も馴染んでいるし、普段よりも動きやすかった」

 

「そうですか。そりゃ良かった。それじゃあお疲れ様」

 

「ああ。また機会があったら呼んでくれ」

 

「あんまりない方が俺は嬉しいなぁ。そんなに毎回毎回騒動に巻き込まれたくないし」

 

笑い交じりに先輩たちは戻っていった。飛び降りて駐車場に向かうと、見事に荒れていた。ところどころに死神の死体が散らばっていた。オーフィスは後方に下げられ、各所でグレモリー眷属やヴァーリが暴れていた。

 

「死神もそんなに強くないよな。割とあっさり死んでいくし」

 

 

<死神を舐めてもらっては困りますね>

 

 

「この声は……最上級死神のプルートか。あの糞爺もふざけてやがんな。マジで殺してやろうか」

 

<久しぶりですね、今代の赤龍帝。出来ればこんな風に会うことは避けたかったのですが、仕方がありませんね>

 

「どうせそっちで勝手なシナリオが出来てるんだろ?黙って聞いててやるから言えよ」

 

<テロリストの首領たるオーフィス、グレモリー眷属、赤龍帝、堕天使の総督と共に同盟勢力を内側から崩そうとしました。それは万死に値します>

 

「……なるほど。妥当と言えば妥当な理由だな。なんでお前らが知ってるんだ、って話だがな。この事は三大勢力トップ陣営じゃアザゼル以外は知らない情報だってのに。まあ、そりゃどうでもいい。

 

ーーーー退けよ、プルート。今ならサマエルを出した一件でハーデスを問い詰めるつもりだったのを下げても良い。お前にはそれだけの価値があるからだ」

 

<……さて、なんの事か分かりませんね。サマエルは今はコキュートスの中で封印されている。貴方の勝手な被害妄想を押しつけられても困りますね>

 

「それがお前の答え、か……なら死ね。やはりお前らは世界に害しか及ぼさない。ここで殺してやるから覚悟しろよ」

 

<先程も言いましたが……死神を舐めてもらっては困りますね>

 

「ほざけよ。俺からすれば最上級死神だろうがなんだろうが有象無象の一部でしかないんだよ」

 

「アクセスーーーー神器(セイクリッド・ギア)システム。龍滅の原罪龍槍(ファンテクス・ランス)、起動」

 

それは負の呪い。神の怒りを買ったが故に、呪われた龍。アダムとイブに智慧の実を与えた原初の天使。その一撃は受けた龍に呪いを与える。等しく滅べ。一切の例外なく、蛇よ滅べと。世界最強の龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)

 

<それは……まさか!>

 

「神器化されたサマエルだよ。お前らの言は通らない。このオーラを感じれば誰もが理解する。ーーーーこれはサマエルだ、とな」

 

圧倒的なまでの負の呪い。いくらこれが龍殺し(ドラゴン・スレイヤー)と言えども、受ければ等しく死に絶える。もちろん1番効果があるのはドラゴンだが、それ以外でも死へと誘う呪いとなる。ドラゴンの力の一切を無効化する性質であるが故に、赤龍帝としての力は使えないが問題ない。

 

「終わらせてやるよ。ここが終われば次はハーデスだからな。手っ取り早く済ませたいんだよね。だからーーーーさっさと死ね」

 

<ーーーーッ!>

 

最上級死神の鎌を紙一重で躱し、サマエルの力を宿した槍がプルートの命を刈り取ろうと迫る。火花が散り、周りにいた死神たちが悉く死に絶えていく。速度的にはすでにトップスピードであり、アザゼルと言えども反応が間に合わないような戦いが繰り広げられていた。

 

術式を使っている一誠はまだまだ余裕そうな表情をしていたが、プルートは自分の顔のすぐ近くをサマエルの槍が向かってくる度に内心で冷や汗を流している。ただそこにあるだけで絶対的な呪いを放つ龍槍だ。それをすぐ近くで浴びる事になる疲労具合は半端ではない。

 

だが、それを振るう一誠とてただではすまない。一誠の身体は人間をベースとしているが、あくまでも肉体はドラゴンなのだ。サマエルの毒はきちんと機能している。では何故それを振るえるのか?それは天使の力(テレズマ)を使って毒を浄化しているからだ。その影響で槍を振るっている一誠の手は焼け爛れている。

 

一誠は槍を思いっきり地面に叩きつけた。瓦礫が何個か直撃したが、プルートは距離を取った。そしてまだ土煙が上がっている方向に油断なく鎌を構えたーーーーその瞬間だった。一誠がプルートの背後に突然現れた。

 

「アクセスーーーー神器(セイクリッド・ギア)システム。黄昏の聖槍(トゥルー・ロンギヌス)、起動」

 

<なっ……>

 

一誠が出現させた聖槍がプルートの身体を貫く。一誠がプルートの背後から出てきた方法は、神器(セイクリッド・ギア)システムで起動させた闇夜の大盾(ナイト・リフレクション)の応用だ。元々、この神器には影を操る能力を持っている。その能力を使って自分の影の中に入り込み、プルートの影から出てきたのだ。

 

神滅具(ロンギヌス)クラスでなければ、一々接続せずとも力を使う事ができる。それによって即座にこんな手段を使えたのだ。プルートが死神ーーーー神格を宿す以上、この槍はフェンリル並かそれ以上の天敵。貫かれた時点で生き残る術はない。

 

「輝け、真なる聖槍よ!」

 

一誠の持つ聖槍が光だし、プルートの身体を粉々に吹き飛ばした。一誠が聖槍を消して周りを見渡すと殆どの死神は消え、木場はジークフリートに手傷を与えていた。そろそろ終わるかと思いきや、魔法陣が展開された。その魔法陣はーーーー旧ベルゼブブの魔法陣。そこから出てきたのはかつて創生によって消し飛ばされたはずのシャルバ・ベルゼブブ。そして脇に抱えていたのはーーーー

 

「……シャルバ・ベルゼブブ?何故生きている。それにレオナルドは別作戦に当たっていたはずだ。無理矢理連れてきたのか!?」

 

「一体なんの目的でここに来たんだ?」

 

「やあ、ジークフリートにゲオルグ。久しぶりだ。聖槍十三騎士団の面子に救われてね。……オーフィスの蛇がないせいで、多少はパワーダウンしてしまったが問題ない。

 

そうそう、目的だったな。宣戦布告に来たのだよ。そのために彼に少し協力してもらおうと思って連れてきたのだよ。ーーーーこんな風にな!」

 

 シャルバが禍々しいオーラの小型魔法陣をレオナルドの頭につけ、展開させる。すると、悪魔文字が高速で動くと同時にレオナルドが叫び声を上げる。

 

「うあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」

 

 絶叫を上げ、苦悶の声を上げ、酷く苦しそうに頭を抱える。それと同時にレオナルドの影が広がって行き、遂には結界内部全域を覆う程の規模となった。その場で空中に浮かび、シャルバは哄笑し始めた

 

「ふははははッ!素晴らしい、これが神滅具の力か!その中でも『魔獣創造』はやはり理想的な力だ! しかも彼はアンチモンスターを作るのに特化している!英雄派の別動隊から攫ってくる時に多少構成員を殺してしまったが、そんな事は些事でしか無い!さぁ、それでは創って貰おうか!現悪魔どもを滅ぼせるだけの力を持った怪物をッ!」

 

レオナルドの影から、巨大な──それこそ二百メートル程度の大きさがあるのではないかと思えるほどの巨体が姿を現す。気味の悪い構成をした二足の怪物。それを、百メートル規模の化物を次々と創造していく。

 

『ゴガァァァァァァァァァァァァァァッ!!』

 

 叫びを上げるそれは、突如として足元に現れた魔法陣に沈んでいく。──シャルバの使用した転移魔法陣だ。

 

「フハハハハハッ!今から、こいつらには冥界で思う存分に暴れて貰う予定だ!これだけの規模を誇るアンチモンスターだ!さぞかし冥界にいる多くの悪魔を屠ってくれる事だろう!」

 

『やめろぉぉぉぉぉぉぉ!』

 

俺以外の全員が魔獣に向かっていく中、俺は警戒をしていた。聖槍十三騎士団の面子が善意でこんな奴を助けるわけがないのだから警戒をしておく必要はある。魔獣が転移された影響で結界空間はぼろぼろ。既に崩壊を始めていた。

 

「この結界空間は限界だ。レオナルドもキャパシティを超える無理な能力発現をさせられた。一旦戻ろう」

 

「……仕方ないね、頃合いだ。レオナルドを連れて撤退をーーーー」

 

「させないよ」

 

一誠は一足早く気絶しているレオナルドの前に辿り着き、右手を胸に置きとある魔法陣を展開した。その魔法陣と行為で何をしようとしているのか気がついたジークフリートは駆け寄ろうとすると、防壁に阻まれた。

 

「止めろ!それを抜いたらレオナルドはーーーー!」

 

「……はぁ。お前さんらはテロリストだろう?奪い奪われる覚悟を持って戦ってんだろ?今回のオーフィスの一件で決めたよ。お前らを潰す。契約は破棄だ。俺は友に危害を加えた貴様らを許しはしない」

 

展開した魔法陣はーーーー神器(セイクリッド・ギア)を抜き出す術式。抜き取った神器は無論、『魔獣創造(アナイアレイション・メーカー)』。シャルバ・ベルゼブブの方に視線を向けると、オーフィスを悪魔文字を使った魔法で捕らえていた。それを止めようとヴァーリが魔力弾を放つが、本調子ではないのかシャルバ・ベルゼブブの魔法陣に防がれた。

 

「行け、ヴァーリ。後は俺がやる」

 

「分かった。任せたぞ」

 

「誰に言ってんだよ」

 

ヴァーリたちが転移するのを確認しつつ、シャルバ・ベルゼブブに視線を向けた。充血し、完全に復讐に囚われた眼だ。こいつはもう救いようがないな。……旧魔王派なんて元々そんなもんだったか。さっきからごちゃごちゃと何かをほざいているが、聞くのも面倒だな。

 

「煩いぞ、喚く事しか知らん蠅風情が。身の程を知れ。この世界に貴様のような者は要らんのだからな」

 

「赤龍帝ぇぇぇぇぇぇぇっ!」

 

「くたばれ」

 

集束された天使の力(テレズマ)をくらい、跡形もなく消し飛んだシャルバ・ベルゼブブを見つつオーフィスの身体を縛っている紐を引きちぎった。さてと……まずは何から始めるとしようかな?

 

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